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黒百合 単行本 – 2008/10/1

3.5 5つ星のうち3.5 9個の評価

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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 東京創元社 (2008/10/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2008/10/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 233ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4488024386
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4488024383
  • カスタマーレビュー:
    3.5 5つ星のうち3.5 9個の評価

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多島 斗志之
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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2024年5月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
戦前の時代と昭和十年とを交互に混ぜながら、男女3人の少年少女を中心に、そこに登場人物を巧みに配置し、物語を展開させていきます。確かに聞いていた通り、作者の物語を作る才能を感じますが、最後の展開というかどんでん返し?の様なネタばらしは、どうにも納得がいきません。単行本P217、222あたりで、浅木氏が「ベルリンの彼女」に触れ、それが戦時中に電車の車掌になり、結果片足を失った自分の妻「おばさん」だったという展開がどうにもわからない。自分の妻に対するにしては上のページでのセリフがあまりにも不自然と感じるのは、自分だけでしょうか?このまま少年少女と六甲の別荘、芦屋あたりを舞台にした人間関係の物語にしておけば・・・と惜しまれます。聞いた所では、この作者は行き詰って創作を止め、行方が不明とのことですが、凝り過ぎてしまったのではと残念です。読ませる人なのに・・・もう少し他の作品を読んでみるつもりです。
2014年6月18日に日本でレビュー済み
古き昭和の時代背景の中、少年少女たちのひと夏の日常が淡々と描かれていく。
設定は面白いのだが、読者に向けて仕掛けられたトリックが一度読んだだけでは分かりにくく、最後までまったく入り込むことが出来ず、楽しめなかった。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2020年11月10日に日本でレビュー済み
本の帯に【騙される率100%】と記載があり、意外な結末を期待して購入。その先入観のせいで注意深く読み進めて行くのだけれど、淡々と進んでいくだけ。同時にジワジワと騙されていく。時代が飛ぶし、登場人物を整理していかないと最後の種明かしで意味がわからなくなります。
ここからネタバレ注意…誰か教えてください。
マチコと日登美は同じ六甲に住んでいることはお互いに知っていたのでしょうかね?
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2008年11月15日に日本でレビュー済み
この作品は昭和27年の夏休みに父親の友人の別荘に招かれた主人公の14歳の少年が、そこで出会う一彦少年と香という少女と夏休みを過ごす3人の交流を描いた青春小説である。また、その夏休みの出来事を描く章をはさんで、主人公と一彦の父親の青年時代や香の叔母の日登美の過去を描いた話が挿入される。
本に書いてあるあらすじだけを読むと、青春小説がメインでミステリ色は薄く感じるが、実際は読者の先入観を利用した叙述トリックが仕掛けてあり、最後の数ページで現在(昭和27年)の物語と過去の物語が結びつき、意外な真相が明らかになる。
読了した後で、改めて読み直すと作者がうまく読者を誤導するように書かれていて良く考えられた構成になっている。
普通に読んでいるとおそらく最後にだまされると思うので、これから読む人はよく注意して読んで、本格ミステリの面白さを堪能してもらいたい。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2009年1月15日に日本でレビュー済み
進・一彦・香の3人が過ごす戦後の避暑地での青春物語の部分、ここの描写力がすぐれているので、作品全体の質を上げているのでしょう。
銀幕のスターたちの出ていた古い秀作の邦画のような雰囲気です。
香のおばさま日登美や、六甲の女王、小芝翁…などなど、脇役たちの人物像も、時代と上流階級の人々の雰囲気を良く伝えてくれます。
この序章の部分だけでも作品が成り立つぐらい上質なものだと思います。
ドイツで出会った謎の女性は誰?と思いながら読み進め、殺人事件の犯人は…とミステリー部分では謎を持たせ、全くもって巧いです。
昭和27年の部分は、夏休みの宿題の日記をつける進の目線で描かれるので、少年らしいたどたどしさもあって、語られない部分を巧くカバーしてミスリードを誘います。

もう一つの殺人事件が起こり、謎が解けないまま、ラストに突中。
え、もうページも少ないし終わっちゃうよ〜、と思ったら実にサラリと描かれる真相。
サプライズです、やられちゃいました。
ミステリーの謎解き、ここが一番の見せ場、そこをサラリと書いて素知らぬ顔して通り過ぎようとする作者。
う〜ん、にくい!
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2009年4月15日に日本でレビュー済み
’08年、「このミステリーがすごい!」国内編第7位、「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第8位にランクインした、職人肌の名匠、多島斗志之が精魂をこめ、繊細な技巧を駆使した、瑞々しい情感にあふれたミステリー。

昭和27年、14才の寺元進は、東京からひとり離れて父親の旧友浅木の持つ六甲山の別荘で夏休みを過ごすことになった。そこには浅木の息子で同い年の一彦がいた。また近所の裕福な家庭の、これもまた同い年の倉沢香とも出会う。彼らは意気投合して、ハイキング、水泳、スケッチと毎日のように夏の避暑地の日々を過ごす。やがて進と一彦は香にほのかな恋心を抱くようになる。この小説のほとんどを占めるのはつたない進の日記から始まる甘酸っぱい青春物語の懐古である。

その一方で、進と一彦の父親たちが昭和10年、ナチス政権下のドイツはベルリンで出会った不思議な女性との交流と、昭和16年から20年、戦時下の神戸における鉄道員と女学生の恋と、それが原因で起こる殺人という、ふたつのエピソードが挟み込まれる。

はたしてこれら三つのパートがどう関っているのか。読者の興味は尽きない。そして時を越えた複雑な人間関係が次第に明らかになり、これまで見えていなかった風景が終盤浮かびあがる時、作者の企みが現れる仕組みになっている。

多島斗志之は、基本的には淡い文芸的な青春恋愛小説を読者に読ませながらも、思いがけないところに伏線を張り巡らせていたり、<六甲の女王>なるミスディレクションに惑わせたりするのである。
本書は超絶的なテクニックに支えられた傑作である。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2017年3月21日に日本でレビュー済み
レビューが良かったのでほとんど前情報なしで読みました。本自体は短いのでさらっと読め、純文学を読んだかのような読後感。ミステリー要素がいまいち分からず、他サイトでネタバレを読んで納得。その構成は素晴らしいと思うけれど、読者をミスリードさせるためだけの複線、登場人物が多すぎる気がした。後からじわじわくるタイプのミステリー小説。読み返したくなります。よほど注意深い人なら初読でも気づけるかも?個人的には結末で素直に驚けるミステリーが好みなので星3つです。ミステリー玄人向けの作品のような気がします。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2009年2月21日に日本でレビュー済み
異なる3つの時代のストーリーが最後の最後で一つに交錯する時、その余りの意外性に意表を突かれるが、それ以上に三人の少年少女の夏休みの描写が透き通る程に美しく、いつまでも残像が尾を引く。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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