前作も面白かったのですが今作はさらに面白くなるような仕掛けが組み込まれていてまるで映画を1本見ているような質の濃さでした。
前半のRed Backと後半のBlue Baukの2部構成で語られるとある少女と須川くんのパート分け。学校の中で起こる謎を前作と同様マジックパートを絡めながら解き進めていく構成。そして章が進むごとに進行していくトモとユカの物語。そして最後に予測していなかったところで起こる反転。正直ここでmediumシリーズと同じギミックを使ってくるとは思っていなかったのでかなりの衝撃を受けました。
物語としては非常に楽しめたのですが、読んで最後の最後に感じたのは消化不良。トモとユカのその後の展開は書いて欲しかったし、一番重要な八反丸さんと須川君の勝負の行方も結局どちらが選ばれるのかはわからず終い。個人的には狡猾に須川君を牽制し続け、絶対に諦めないと宣言した八反丸さんが優勢だと信じているのだが笑。
そういう消化不良な面も含めてもう少し酉乃初の物語を綴って欲しいと思いました。
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ロートケプシェン、こっちにおいで 単行本 – 2011/11/19
相沢 沙呼
(著)
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酉乃と心が通じ合ったはずのクリスマスのあの日、しかし彼女の連絡先を聞き忘れたまま冬休みに突入してしまった。あの出来事は夢だったのではないかと、悶々と過ごす僕に、織田さんからカラオケの誘いが。カラオケの後の食事の際に、急に泣きながら飛び出していってしまった織田さんにいったい何が? 僕は酉乃に力を借りるべく『サンドリヨン』へと向かう……。バレンタインでの事件をはじめ、学園内外で巻き起こる謎をたおやかに解く、マジシャン・酉乃初の事件簿。
- 本の長さ333ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2011/11/19
- ISBN-104488024866
- ISBN-13978-4488024864
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2011/11/19)
- 発売日 : 2011/11/19
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 333ページ
- ISBN-10 : 4488024866
- ISBN-13 : 978-4488024864
- Amazon 売れ筋ランキング: - 265,107位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 74,228位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2021年7月9日に日本でレビュー済み
午前零時のサンドリヨンの続編です。ミステリーと言っても学園内で起きるちょっとした事件を「僕」とヒロインが解決するもので、ちょうど「氷菓」シリーズと同じようなボーイミーツガールの学園青春物語です。ただ、こちらの方は作者が女性だけに、女子学生同士の心理や行動が丁寧に描かれていて、男子学生の友人関係の描写が多い「氷菓」とは違って、もう少しキラキラした甘い印象があります。
全体の雰囲気は悪く無いのですが、前作と違ってこちらは連作全体を通して叙述トリックが仕掛けられていて最後にそれが明かされるのですが、その結末を受け入れられるかどうかで作品の評価が変わってくるでしょう。最近のミステリー小説は叙述トリックが多いのですが、最後の種明かしで素直にやられた!と思えるようなら成功でしょうが、「え!何で?」と言う困惑が残るようでは失敗ではないでしょうか。
この作品は私には後者の様に思えました。実際最後の結末で登場人物名前を間違えているのでは無いかと本気で思った程でした。最後まで読んでもう一度最初から丁寧に読み返して見たら、確かに嘘をついていないことは判りましたが必要以上に読者を混乱させるような記述が多く、結局最後の結末に直接関係ないエピソードを押し込んで読者を惑わせるようなところがあってどうにも納得がいきませんでした。
叙述トリックを気にしなければ全体の雰囲気は悪く無いのでこの作者の作品が好きな方は読んで見てもいいのではないでしょうか。
全体の雰囲気は悪く無いのですが、前作と違ってこちらは連作全体を通して叙述トリックが仕掛けられていて最後にそれが明かされるのですが、その結末を受け入れられるかどうかで作品の評価が変わってくるでしょう。最近のミステリー小説は叙述トリックが多いのですが、最後の種明かしで素直にやられた!と思えるようなら成功でしょうが、「え!何で?」と言う困惑が残るようでは失敗ではないでしょうか。
この作品は私には後者の様に思えました。実際最後の結末で登場人物名前を間違えているのでは無いかと本気で思った程でした。最後まで読んでもう一度最初から丁寧に読み返して見たら、確かに嘘をついていないことは判りましたが必要以上に読者を混乱させるような記述が多く、結局最後の結末に直接関係ないエピソードを押し込んで読者を惑わせるようなところがあってどうにも納得がいきませんでした。
叙述トリックを気にしなければ全体の雰囲気は悪く無いのでこの作者の作品が好きな方は読んで見てもいいのではないでしょうか。
2012年12月20日に日本でレビュー済み
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女子高生マジシャンミステリーの第二弾です。
どこにでもいる高校生須川くんがマジシャン酉乃に謎を問いかけ、彼女が謎を解くというスタイルは今回も継承されています。
二人の関係に意外と進展がなかったのが残念でしたが、続編が出そうな感じなので、これからのお楽しみというところでしょうか。
マジック、ミステリー、青春。
このキーワードに反応される方にお勧めします。
連作集ですが、完全に前作の続きとなっているので前作は必読です。
ぜひ、一巻からどうぞ。
どこにでもいる高校生須川くんがマジシャン酉乃に謎を問いかけ、彼女が謎を解くというスタイルは今回も継承されています。
二人の関係に意外と進展がなかったのが残念でしたが、続編が出そうな感じなので、これからのお楽しみというところでしょうか。
マジック、ミステリー、青春。
このキーワードに反応される方にお勧めします。
連作集ですが、完全に前作の続きとなっているので前作は必読です。
ぜひ、一巻からどうぞ。
2014年8月23日に日本でレビュー済み
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アンソロジー「放課後探偵団」を通して、「相沢沙呼」という作家さんを知った者としては、
「恋のおまじないのチンク・ア・チンク」が重複してしまっているのが、ちょっと損した気分・・・。
「相沢沙呼」という作家、もっと知られていい!、と強く思いますので、ぜひ前作に続いて、
本作が文庫化されますように、願います。
また、本作の後半から「マジックを魅せる」、「ミステリー」の要素が薄れていき、
“思春期女子男子の心理描写”に重きが置かれていっているように思います。
著者の近刊紹介を拝見する限り、“ミステリー”よりも“思春期”を題材とした作品へと
シフトされているように思いますが、それはドウナノカ・・・・・。
男性作家が描く女子高生ヒロインとして、〝神秘化”された存在だからこその、「酉乃初」
だと、思うのですが・・・。“リアルな心情描写”路線は、他の作家にお任せしてもいいのでは。
八反丸さんとも交えた“三角関係”の行く末も、非常に気になります。
ぜひ、続編を完成させてくださるよう、お願いします。
「恋のおまじないのチンク・ア・チンク」が重複してしまっているのが、ちょっと損した気分・・・。
「相沢沙呼」という作家、もっと知られていい!、と強く思いますので、ぜひ前作に続いて、
本作が文庫化されますように、願います。
また、本作の後半から「マジックを魅せる」、「ミステリー」の要素が薄れていき、
“思春期女子男子の心理描写”に重きが置かれていっているように思います。
著者の近刊紹介を拝見する限り、“ミステリー”よりも“思春期”を題材とした作品へと
シフトされているように思いますが、それはドウナノカ・・・・・。
男性作家が描く女子高生ヒロインとして、〝神秘化”された存在だからこその、「酉乃初」
だと、思うのですが・・・。“リアルな心情描写”路線は、他の作家にお任せしてもいいのでは。
八反丸さんとも交えた“三角関係”の行く末も、非常に気になります。
ぜひ、続編を完成させてくださるよう、お願いします。
2011年12月2日に日本でレビュー済み
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前作『午前零時のサンドリヨン』から二年。今回のタイトルの「ロートケプシェン』とはドイツ語で「赤ずきん」のこと。(裏表紙に可愛い赤ずきんが居ます)
今作は須川くんと、ある女の子のブロックに分けられており、甘い層と苦い層が加速して一つの作品になっています。前作で島田荘司さんが「赤いリボンのかかったケーキの小箱のように愛らしい作品」と称していましたが、今作はそのケーキを見て味わうことができたと言えましょう。女の子のブロックは読んでいて辛く、酉乃や須川くんは彼女をいったいどうやって助けようとするのか気になってどんどんと読み進めることができました。ミステリとしても最終章に向かっての伏線の回収は文句なしでやられた感が非常に強かったです。
また、須川くんと酉乃の関係も少しずつ変化し(拗ねている酉乃可愛い)、八反丸の本心がちらりと覗いたり、相変わらず読んでいてニヤニヤしてしまう箇所も多く、読みごたえのある日常の謎×青春ものでした。
読み終わってからもう一度表紙を見ると、なぜ酉乃がリングを持っているのかがわかります。
今作は須川くんと、ある女の子のブロックに分けられており、甘い層と苦い層が加速して一つの作品になっています。前作で島田荘司さんが「赤いリボンのかかったケーキの小箱のように愛らしい作品」と称していましたが、今作はそのケーキを見て味わうことができたと言えましょう。女の子のブロックは読んでいて辛く、酉乃や須川くんは彼女をいったいどうやって助けようとするのか気になってどんどんと読み進めることができました。ミステリとしても最終章に向かっての伏線の回収は文句なしでやられた感が非常に強かったです。
また、須川くんと酉乃の関係も少しずつ変化し(拗ねている酉乃可愛い)、八反丸の本心がちらりと覗いたり、相変わらず読んでいてニヤニヤしてしまう箇所も多く、読みごたえのある日常の謎×青春ものでした。
読み終わってからもう一度表紙を見ると、なぜ酉乃がリングを持っているのかがわかります。
2015年10月11日に日本でレビュー済み
第19回鮎川哲也賞を受賞した「午前零時のサンドリヨン」の続編になる連絡短編集。
前作の雰囲気が好きだったので、図書館で見つけて借りてみました。
ワトソン役は少し頼りない男性、探偵役はミステリアスな雰囲気を持つ女性でちょっとした特技を持つ……このパターンのライトノベル多いですよね。そらで3つ4つ言えそうですが、「ビブリア古書堂の事件手帖」がウケたのが一番大きかったのか今でも同様のシチュエーションの作品が増えていますね。
こちらの作品の探偵役・酉乃初は女子高生。学校では物静かでちょっと近寄りがたい雰囲気をもっている彼女が、夜はレストラン・バー「サンドリヨン」でマジックを堂々と演じる。
彼女に一目惚れの平凡な須川くんが遭遇した「日常の謎」を、酉乃さんが見事に解き明かす……といった感じだったんですが。
今作は物語の視点を前作同様に須川くんにした「Blue back」というパートに、須川くんと酉乃さんが通う学校で起こっているいじめに巻き込まれてしまった女子学生の視点の「Red back」というパートが交互に現れるという構成。
カラオケの最中に突然様子の変わった同級生の謎、バレンタインデーに配られたチョコレートが一か所に集められる謎といった人が死なないいわゆる「日常の謎」に遭遇した須川くんに、鮮やかな推理を見せる酉乃さん。須川くんが巧く進まない恋に身もだえている姿は微笑ましくて、なんとなく自身の学生時代を思い出してしまいます。
うんうん、このくらいのラブコメ感は良い感じ。
寧ろ注目したいのは「Red back」の展開。仲間からハブられないためについた言葉が傷つけて、気がつくと周りからハブられてそして「赤ずきんは、狼に食べられた」と黒板に書き付けて学校に来なくなってしまった友人のユカ。
「Blue back」のすがすがしい印象とは対照的に、じりじりと火に焼かれるような苦しさが続きます。
学校に来なくなってしまった友人に会いたい、謝りたいという気持ちとどうすれば良いのか分からずに自身を追い詰めていく感情移入します。
二つのパートは物語が進むにつれて少しずつ近づいてきて、須川くんのまっすぐな気持ちからくるおせっかいと、それに動かされる酉乃さんの行動は全体の物語を綺麗に整えます。完全なハッピーエンドではなくて、バッドエンドからほんのちょっとだけ希望が見えるという締め方は大好き。
日常の謎系のミステリで、連作短編を繋いで全体に通じる謎を仕掛けておくという構成は今ではある意味ありふれていて、ちょっと損しているよなぁという感じが拭えません。結構、ヒロインの酉乃さんが好きなタイプなので、続編が出版されていないのが本当に残念。
前作の雰囲気が好きだったので、図書館で見つけて借りてみました。
ワトソン役は少し頼りない男性、探偵役はミステリアスな雰囲気を持つ女性でちょっとした特技を持つ……このパターンのライトノベル多いですよね。そらで3つ4つ言えそうですが、「ビブリア古書堂の事件手帖」がウケたのが一番大きかったのか今でも同様のシチュエーションの作品が増えていますね。
こちらの作品の探偵役・酉乃初は女子高生。学校では物静かでちょっと近寄りがたい雰囲気をもっている彼女が、夜はレストラン・バー「サンドリヨン」でマジックを堂々と演じる。
彼女に一目惚れの平凡な須川くんが遭遇した「日常の謎」を、酉乃さんが見事に解き明かす……といった感じだったんですが。
今作は物語の視点を前作同様に須川くんにした「Blue back」というパートに、須川くんと酉乃さんが通う学校で起こっているいじめに巻き込まれてしまった女子学生の視点の「Red back」というパートが交互に現れるという構成。
カラオケの最中に突然様子の変わった同級生の謎、バレンタインデーに配られたチョコレートが一か所に集められる謎といった人が死なないいわゆる「日常の謎」に遭遇した須川くんに、鮮やかな推理を見せる酉乃さん。須川くんが巧く進まない恋に身もだえている姿は微笑ましくて、なんとなく自身の学生時代を思い出してしまいます。
うんうん、このくらいのラブコメ感は良い感じ。
寧ろ注目したいのは「Red back」の展開。仲間からハブられないためについた言葉が傷つけて、気がつくと周りからハブられてそして「赤ずきんは、狼に食べられた」と黒板に書き付けて学校に来なくなってしまった友人のユカ。
「Blue back」のすがすがしい印象とは対照的に、じりじりと火に焼かれるような苦しさが続きます。
学校に来なくなってしまった友人に会いたい、謝りたいという気持ちとどうすれば良いのか分からずに自身を追い詰めていく感情移入します。
二つのパートは物語が進むにつれて少しずつ近づいてきて、須川くんのまっすぐな気持ちからくるおせっかいと、それに動かされる酉乃さんの行動は全体の物語を綺麗に整えます。完全なハッピーエンドではなくて、バッドエンドからほんのちょっとだけ希望が見えるという締め方は大好き。
日常の謎系のミステリで、連作短編を繋いで全体に通じる謎を仕掛けておくという構成は今ではある意味ありふれていて、ちょっと損しているよなぁという感じが拭えません。結構、ヒロインの酉乃さんが好きなタイプなので、続編が出版されていないのが本当に残念。
2012年2月26日に日本でレビュー済み
前作『午前零時のサンドリヨン』に続く
学園青春“日常の謎”連作短編集である。
初野晴ほどスラップスティックではなく、
米澤穂信ほど「探偵小説」という香りはしないが
人間関係と登場人物の心理/内声、そして
個々の短編のみならずシリーズを通した伏線を
丁寧に描いたそのさりげなくとも老練な筆致が
前作を上回る点は素晴らしい。
文体の適度な硬度と脱線が心地よく、
シリーズ化も嬉しい限り。
学園青春“日常の謎”連作短編集である。
初野晴ほどスラップスティックではなく、
米澤穂信ほど「探偵小説」という香りはしないが
人間関係と登場人物の心理/内声、そして
個々の短編のみならずシリーズを通した伏線を
丁寧に描いたそのさりげなくとも老練な筆致が
前作を上回る点は素晴らしい。
文体の適度な硬度と脱線が心地よく、
シリーズ化も嬉しい限り。
2021年6月2日に日本でレビュー済み
午前0時のサンドリヨンから続けて読みました。
面白かった。
ただマツリカシリーズと同じで随分前に出てるのに完結してない…
新しい城塚翡翠シリーズ始まってるのに。
どちらも続きを期待してます。
面白かった。
ただマツリカシリーズと同じで随分前に出てるのに完結してない…
新しい城塚翡翠シリーズ始まってるのに。
どちらも続きを期待してます。