ドイル傑作集最終巻となる本書は、SFテイストの短編をあつめた作品集。
ほかの巻と比較すると、挿し絵が少ないのがちょっと残念。
表題作 「ラッフルズ・ホーの奇蹟」 は、たっぷり150ページある読みでのある中編。
片田舎に建造される謎めいた豪壮な邸宅に、やがて越してくる奇妙で不思議な大金持ち。
登場人物たちが絡みあい、奇抜なストーリーだけではなく人間模様が興味深い作品。
「体外遊離実験」 と 「ロスアミゴスの大失策」 は、ドイルが得意とするユーモア小説。
一種ドタバタ劇の楽しさが味わえる短編。
「新発見の地下墓地」は、イタリアを舞台にしたサスペンスで、情景描写が魅力的。
「危険!」 は、敵国側から英国との戦闘を語るという、ちょっと変わった作品。
当時最新兵器であった、潜水艦による戦闘をリアルに描いた近未来小説。
ビクトリア時代という、堅苦しさの中に垣間見える、社会の裏側や人々の本音。
人前では行儀の良い恋人たちが、人目のないところでは熱い抱擁をかわし、一見礼儀正しい紳士が、胸の奥では様々な黒い策略をめぐらせる。
ドイルの小説のおもしろさは、そんな裏表のコントラストにあるような気がします。

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ラッフルズ・ホーの奇蹟 (ドイル傑作集5) (創元推理文庫) 文庫 – 2011/12/21
- 本の長さ332ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2011/12/21
- ISBN-104488101143
- ISBN-13978-4488101145
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2011/12/21)
- 発売日 : 2011/12/21
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 332ページ
- ISBN-10 : 4488101143
- ISBN-13 : 978-4488101145
- Amazon 売れ筋ランキング: - 717,380位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,445位創元推理文庫
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2012年4月26日に日本でレビュー済み
ドイルといえばシャーロックホームズものやチャレンジャー教授ものだが、これはそれらシリーズに含まれない短篇を集めたもの。ドイル傑作選として何冊か創元から出ており、これは第5弾である。
表題作は、イギリスの田舎町に突如建設された豪華絢爛超近代的な工場のような研究所のような屋敷とその住人とをめぐる話だ。周囲に住む人々の心理の機微なども描かれるが、主題はジュールベルヌばりの古典的技術SFだ。読めば分かるが、荒唐無稽ぶりがベルヌ的なのだ。読んでいて、なんとも懐かしい気分にさせられてしまう。
この他の収録作として、SFもの、オカルトもの、人間心理ものが適度にミックスされている。この中でも、人間心理を扱った作品群はなかなか含蓄があって面白い。ヒッチコックみたいといえば伝わるだろうか?
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