江戸川乱歩が黄金時代のベスト・テンの中で
第7位に選んだということで、有名な作品。
カーの初期の代表作とされています。
1930年代のロンドンで発生する帽子の連続盗難事件。
この事件を追う新聞記者のドリスコルが
ロンドン塔逆賊門の階段で刺殺死体となって発見され、
その頭上には盗まれたシルクハットがのっていました。
相前後し、ドリスコルの叔父、ビットン卿が
ポーの未発表原稿を発見しますが、
その原稿が盗まれるという事件が発生します。
これらの事件を名探偵フェル博士が
どんな名推理で解決していくのか・・・。
この小説の評価の分かれ目は、
「密室以上のトリックを考案して
全世界をうならせた代表作!」と
本書中の作品紹介にもありますとおり、
作品の最後の最後で明かされるトリック(犯行の意外な手口)を
面白いと感じるかどうか、だと思います。
ちなみに、カーに傾倒していたとされる日本の推理作家、
横溝正史の某代表作の中に、
同じ発想のトリックが使われています
(着想が同じなだけで、
同一のトリックではありません)。
このことからも、
この作品が後の作家に大きな影響を与えたことが推察されます。
じつは本書は1980年に読んで以来の再読なのですが、
トリックは今読み直しても、
なかなか味のあるものとして楽しめましたので、
★4つとしました。
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帽子収集狂事件 (創元推理文庫 118-4) 文庫 – 1960/9/1
夜霧たちこめるロンドン塔逆賊門の階段で、シルクハットをかぶった男の死体が発見され、いっぽうロンドン市内には帽子収集狂が跳梁して、帽子盗難の被害が続出する。終始、帽子の謎につきまとわれたこの事件は、不可能興味において極端をねらう作家カーが、密室以上のトリックを創案して全世界の読者をうならせた、代表的な傑作である。
- 本の長さ406ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日1960/9/1
- ISBN-104488118046
- ISBN-13978-4488118044
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (1960/9/1)
- 発売日 : 1960/9/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 406ページ
- ISBN-10 : 4488118046
- ISBN-13 : 978-4488118044
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,099,578位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年4月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
28版求!!
2014年11月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
”乱歩推し”という事で興味をもってみたのですが・・・。
シンプルな”事故”なのに、同時期にあった帽子収集狂騒ぎや、
当事者の不倫の件などで、複雑怪奇になっているというお話。
昼下がりに”事件”の知らせを聞いて、(小説の中の)12時間くらいで
解決に至ってるとこだけ面白いと思いました。
カーということで、”密室”を期待してたんですが、これはそうではなかった・・・。
(”意外な犯人”モノではありますが)
シンプルな”事故”なのに、同時期にあった帽子収集狂騒ぎや、
当事者の不倫の件などで、複雑怪奇になっているというお話。
昼下がりに”事件”の知らせを聞いて、(小説の中の)12時間くらいで
解決に至ってるとこだけ面白いと思いました。
カーということで、”密室”を期待してたんですが、これはそうではなかった・・・。
(”意外な犯人”モノではありますが)
2016年1月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み始め、なんか面白くなるのかな、とふあんでしたかが、カーの話の中では安心して楽しめた。結末にも満足。
2011年2月12日に日本でレビュー済み
カーの作品は、ベスト5を選ぼうものなら皆違う作品を並べ、誰一人として同じ組み合わせ・順位はないというほど、人によって評価が分かれると聞くが、この作品も、日本では江戸川乱歩が高く評価したため知名度こそ高いが、表面的には密室のような不可能性は薄く、またカーの持ち味である怪奇趣味も影を潜めており、一般的にはカー・ファンはそれほど上位に挙げていないようだ。
しかし、連続帽子盗難事件とポーの未発表原稿盗難事件に絡ませたロンドン塔での殺人は、それぞれが別々の事件のはずが裏側で見事なまでに結合し、最後の最後でフェル博士に明かされる緻密な真相には、玄人ファンほどうならされるのではないだろうか。
また、本作品には怪奇趣味は薄いと前述したが、実際幽霊だの魔術だの魔女だの呪いだの、そういったオカルト性は皆無にも関わらず、本書の雰囲気は怪奇ムードに満ちている。そういうオカルト的な言葉を用いずに怪奇な雰囲気を醸し出すところもまた、本書のすごいところだと思う。
なお、ポーを敬愛してやまないカーは、本書で未発表原稿を扱っている他にも、処女作の「夜歩く」でポーの作品の一節を引用したり、とある短編作品にポー本人を登場させたりしている。
しかし、連続帽子盗難事件とポーの未発表原稿盗難事件に絡ませたロンドン塔での殺人は、それぞれが別々の事件のはずが裏側で見事なまでに結合し、最後の最後でフェル博士に明かされる緻密な真相には、玄人ファンほどうならされるのではないだろうか。
また、本作品には怪奇趣味は薄いと前述したが、実際幽霊だの魔術だの魔女だの呪いだの、そういったオカルト性は皆無にも関わらず、本書の雰囲気は怪奇ムードに満ちている。そういうオカルト的な言葉を用いずに怪奇な雰囲気を醸し出すところもまた、本書のすごいところだと思う。
なお、ポーを敬愛してやまないカーは、本書で未発表原稿を扱っている他にも、処女作の「夜歩く」でポーの作品の一節を引用したり、とある短編作品にポー本人を登場させたりしている。
2010年2月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
カー初期の傑作。だが冷静にみれば,まだまだ洗練されていないし破綻気味な作品だ。それでも愛すべき古典には間違いないし,それどころか,
ありきたりの古臭さというものをこえ,いつまでも前衛的な輝きを放っている。
それというのも,帽子きちがいなる謎の設定や,眩暈すらする濃霧立ち込めたロンドン塔という舞台設定以上に,登場人物の微にわたり細をうがつ
心情を描破しているからだ。その古今東西変わらぬ人間の我慾は決して色褪せないのね。。でもそれ故,強烈にして魅力的,大げさに形容すれば
幾何的な道具立てがいまいち活きず,長々とした心情描写にダラダラとした問答が起伏なく繰り返されて間延び感覚が否めない。
しかし総合するなら結局はその展開の遅さも最終的には効果を発揮して,不思議に本当に不思議と嫌味のない読後。
おもうに本編はマニアックに愛読される存在でしょうね。これをイチオシする人は偏執要素が高いかと。ただ,僕はそんなタイプが好きだし,
実際問題自分もそうなんだろうなぁ。。そんなこんなでずっと手元に置いてるんだろう。
ありきたりの古臭さというものをこえ,いつまでも前衛的な輝きを放っている。
それというのも,帽子きちがいなる謎の設定や,眩暈すらする濃霧立ち込めたロンドン塔という舞台設定以上に,登場人物の微にわたり細をうがつ
心情を描破しているからだ。その古今東西変わらぬ人間の我慾は決して色褪せないのね。。でもそれ故,強烈にして魅力的,大げさに形容すれば
幾何的な道具立てがいまいち活きず,長々とした心情描写にダラダラとした問答が起伏なく繰り返されて間延び感覚が否めない。
しかし総合するなら結局はその展開の遅さも最終的には効果を発揮して,不思議に本当に不思議と嫌味のない読後。
おもうに本編はマニアックに愛読される存在でしょうね。これをイチオシする人は偏執要素が高いかと。ただ,僕はそんなタイプが好きだし,
実際問題自分もそうなんだろうなぁ。。そんなこんなでずっと手元に置いてるんだろう。
2020年9月19日に日本でレビュー済み
もうほとんどロンドン党敷地内の内部での状況説明が横溢なのだが、とにかく分かりにくいことか。戦前ミステリ黄金期の見取り図や地図って、たぶんオリジナルからの転載なんだろうけど、出来の悪いものが多すぎる。訳も残念なのが多いし・・・。本格ものの探偵が鼻持ちならないのはいつものことだが、「帽子収集狂」はいきなり最後に真犯人が名乗り出て饒舌にセルフ謎解き。探偵フェル博士は、「初めから分かっておったのじゃ」的したり顔。トホホです。帽子にからむ謎など面白い部分もあったが、全体的にカーは、ミステリとして一級のものでも、小説としては奇形的にバランスが悪い。あまつさえ帽子収集狂はミステリとしても凡庸。
2010年1月5日に日本でレビュー済み
カー得意の神秘怪奇趣味はないが、もう一つの歴史趣味に色濃く染め上げられている。ロンドン塔の歴史についてのカーの語り口は魅力に溢れ、それを読むだけでも値打ちがある。だが読む者を霧に煙るロンドン塔に引きつけておいて、最後にけたぐりを喰わせる手口はさすがにカー。そしてフェル博士、ハドリ警視、ランボウルの三人が「未解決」と評決する結末は最高の充足感をあたえてくれる。