粗筋 「雨の降り続ける名も無い都市の<探偵社>での上司の殺人を巡る奇々怪々な事件」 という謳い文句に
強烈なハードボイルド探偵小説サスペンスの”予感”を感じて読了したのだが、正直な所、粗筋に偽りはないが、予想を遥かに
越えた、”奇妙奇天烈”ダーク・ファンタジー小説だった。色々な毛色の変わった映画のアイデアを継ぎはぎしたような小説と言うべきか。
まず設定、<雨の降り続く、時代不明の8番街急行の走る街=NY、電話はあるが、ほとんど使用されない。41階建ての探偵社が街の中心で、
誰も彼も記憶があやふやで、街の外に出られるのかどうか不明。夜中には街中○○が徘徊し、パーティなんかを催している>
これなんか、映画『ダークシティ』= 夜だけの街、午前0時には全ての住民が眠りに落ち..云々の設定を彷彿とさせ、探偵専用地下鉄の
描写なんかは、映画『ミミック』。 さらには中心的仕掛けに関しては、後書きにもある最近の映画に似た仕掛け...
訳者後書きには、この<中心的仕掛け>を”言いたいのだが言えない”、とか記載あるが、私にはこの仕掛けの一端を明かしたからと言って、
ネタばれになるような、そんな一筋縄で行くような小説にはとても思えないのだが....
それくらいグチャグチャで、私は多くの場面で状況を把握できず、ついには誰が(上司)を殺害したのか?など、ミステリー部分など
如何でもよくなってしまった。
要は、この小説は本格物ではない、ファンタジー色が非常に強いストレンジな、ファニーな表現の小説であり、そこを理解した上で読了すべきであり、
他レビュアーの方が五つ☆を付けている様に、好きな傾向に合うヒトには合うし、私のように合わない者には、とことん敬遠したい小説。
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探偵術マニュアル (創元推理文庫) 文庫 – 2011/8/30
ジェデダイア・ベリー
(著),
黒原 敏行
(翻訳)
〈探偵局〉随一の辣腕探偵シヴァートが失踪した。彼専任の事務員アンウィンは、探偵術マニュアルと眠り病の助手だけを頼りに、難事件に挑む。ハメット賞受賞作。
- 本の長さ389ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2011/8/30
- ISBN-10448819754X
- ISBN-13978-4488197544
登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2011/8/30)
- 発売日 : 2011/8/30
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 389ページ
- ISBN-10 : 448819754X
- ISBN-13 : 978-4488197544
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,517,207位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年10月15日に日本でレビュー済み
2011年9月21日に日本でレビュー済み
10年以上前のマニュアル本ブーム時代の作品のようなタイトルですが、れっきとした海外ミステリー小説です。書店で、あらすじの「雨が降り続ける名もない都市の<探偵社>に勤める記録員のアンウィンは、〜云々」の文章に惹かれて、思わず購入してしまいました。
「雨が降り続ける街」というと映画「ブレードランナー」の酸性雨まみれのLAを思わせ、「名もない町」というと映画「セブン」の舞台となった無名の街を連想しましたが、この作品にそんなに陰鬱な雰囲気はありません。殺人事件が起きますが、物語自体は何処となくまったりとした大人向けの絵本のような感じです。訳者あとがきにもありますが、この作品はあえて区分けするならファンタジー+ミステリーというジャンルになります。
この作品の面白いところは、ほぼ全てのことが特定できない「不確定な世界」であるところです。会社も、街も、時代も、世界も、どれくらいの広さや大きさをもつのか誰にも分かりません。所々、現実世界のある時代(近代ロマン風?)、地域をベースにしているなというのはありますが、それに全てを当てはめることはできません。登場人物以外の固有名詞がほとんど無いですし、出てきても<探偵社><セントラル駅>というように、ほとんど名詞なのか固有名詞なのか微妙なのです。そのくせ、登場人物の役職などはきっちり決まっていたりします。この読者にある程度の世界観の確立を委ねている曖昧さが、日本人読者にピッタリだと思います。
構成も、目次と各章のタイトルも作品名である「探偵術マニュアル」に合わせて教本の見出しのようになっており、「1 尾行について 老練な探偵の尾行が気づかれないのは、目につかないからではない。尾行する相手の影のように、そこにいるのが当たり前のように見えるからである。」といったように各章の冒頭にその教義が記されていて、読者を楽しませる工夫がされており好感が持てます。
コアなミステリーファンには、物語の展開について真新しさはないのかもしれませんが、世界観や雰囲気を楽しむとおもしろいと思います。秋の夜長、あるいは秋雨の降りしきる街の喫茶店でのんびり読むのに良い作品です。助手のエミリーがけなげで笑えました。次回作もあるようなので是非読みたいです。
「雨が降り続ける街」というと映画「ブレードランナー」の酸性雨まみれのLAを思わせ、「名もない町」というと映画「セブン」の舞台となった無名の街を連想しましたが、この作品にそんなに陰鬱な雰囲気はありません。殺人事件が起きますが、物語自体は何処となくまったりとした大人向けの絵本のような感じです。訳者あとがきにもありますが、この作品はあえて区分けするならファンタジー+ミステリーというジャンルになります。
この作品の面白いところは、ほぼ全てのことが特定できない「不確定な世界」であるところです。会社も、街も、時代も、世界も、どれくらいの広さや大きさをもつのか誰にも分かりません。所々、現実世界のある時代(近代ロマン風?)、地域をベースにしているなというのはありますが、それに全てを当てはめることはできません。登場人物以外の固有名詞がほとんど無いですし、出てきても<探偵社><セントラル駅>というように、ほとんど名詞なのか固有名詞なのか微妙なのです。そのくせ、登場人物の役職などはきっちり決まっていたりします。この読者にある程度の世界観の確立を委ねている曖昧さが、日本人読者にピッタリだと思います。
構成も、目次と各章のタイトルも作品名である「探偵術マニュアル」に合わせて教本の見出しのようになっており、「1 尾行について 老練な探偵の尾行が気づかれないのは、目につかないからではない。尾行する相手の影のように、そこにいるのが当たり前のように見えるからである。」といったように各章の冒頭にその教義が記されていて、読者を楽しませる工夫がされており好感が持てます。
コアなミステリーファンには、物語の展開について真新しさはないのかもしれませんが、世界観や雰囲気を楽しむとおもしろいと思います。秋の夜長、あるいは秋雨の降りしきる街の喫茶店でのんびり読むのに良い作品です。助手のエミリーがけなげで笑えました。次回作もあるようなので是非読みたいです。
2012年5月7日に日本でレビュー済み
まず一つ言えるのは、好き嫌いが分かれるであろう、ということ。内容は、ミステリ的要素のあるファンタジーだ。なんどなく、不思議の国のアリスをイメージさせるようなそんな作品に感じた。
そうわかって読めば、それなりに楽しめるだろうが、スタート地点からいろいろと間違っている。まず、裏表紙の説明を読む限り、ほとんどの人が、この作品がミステリだと考えるだろう。また、ハメット賞受賞という文言から、ファンタジーを連想するのは難しい。そして何より、本作は創元推理文庫から出ている。同じ東京創元社でも、ファンタジー、あるいは百歩譲ってSFとかからなら、勘違いはしにくいだろうが、よりにもよって「推理」と名のつくところから出ているのが、最大のミスディレクションだろう。意図してやったのかどうかはわからないが、ミステリと期待して読んだら、ファンタジーだったというのでは、期待はずれに感じる人間がいるのではとおもう。
本作は、意外といろいろな言語に翻訳されているようで、日本語版以外にもドイツ語、スペイン語、イタリア語などもあるようだ。英語版と同じデザインの表紙を採用している言語もあるが、日本語、あるいはドイツ語などはかなりテイストの異なるデザインになっており、その辺りも国によって、読み方が異なるようで興味深い。個人的には、ドイツ語版の表紙がいいと思う。
そうわかって読めば、それなりに楽しめるだろうが、スタート地点からいろいろと間違っている。まず、裏表紙の説明を読む限り、ほとんどの人が、この作品がミステリだと考えるだろう。また、ハメット賞受賞という文言から、ファンタジーを連想するのは難しい。そして何より、本作は創元推理文庫から出ている。同じ東京創元社でも、ファンタジー、あるいは百歩譲ってSFとかからなら、勘違いはしにくいだろうが、よりにもよって「推理」と名のつくところから出ているのが、最大のミスディレクションだろう。意図してやったのかどうかはわからないが、ミステリと期待して読んだら、ファンタジーだったというのでは、期待はずれに感じる人間がいるのではとおもう。
本作は、意外といろいろな言語に翻訳されているようで、日本語版以外にもドイツ語、スペイン語、イタリア語などもあるようだ。英語版と同じデザインの表紙を採用している言語もあるが、日本語、あるいはドイツ語などはかなりテイストの異なるデザインになっており、その辺りも国によって、読み方が異なるようで興味深い。個人的には、ドイツ語版の表紙がいいと思う。
2011年12月3日に日本でレビュー済み
レビューのタイトルの通りなのですが、いくつか補足を。
もともとの舞台設定が特殊である上に、物語の中盤あたりで明かされる仕掛けが出てくるとさらに入り組んで来るので、読みやすい小説とは決していえません。
ただ雨の続く架空の町を舞台に、巨大ということしか分からず全貌が見えない探偵社の組織、あやしいサーカス団、だれが信用できるか分からない怪しげな登場人物たちといった魅力的な材料をつかって、ゆるゆると先の見えない物語は独特の魅力を持っています。
「パースの城」や「迷宮1000」といった作品に近い感触ですが、もっとミステリとしての決着のつけ方にこだわった作品です。
読者を欺く作者の技を楽しみたい方、奇妙な舞台設定を楽しめる方などにはお勧めできると思います。
もともとの舞台設定が特殊である上に、物語の中盤あたりで明かされる仕掛けが出てくるとさらに入り組んで来るので、読みやすい小説とは決していえません。
ただ雨の続く架空の町を舞台に、巨大ということしか分からず全貌が見えない探偵社の組織、あやしいサーカス団、だれが信用できるか分からない怪しげな登場人物たちといった魅力的な材料をつかって、ゆるゆると先の見えない物語は独特の魅力を持っています。
「パースの城」や「迷宮1000」といった作品に近い感触ですが、もっとミステリとしての決着のつけ方にこだわった作品です。
読者を欺く作者の技を楽しみたい方、奇妙な舞台設定を楽しめる方などにはお勧めできると思います。
2012年2月10日に日本でレビュー済み
主人公のアンウィンが探偵社に着くと、自分の席には今朝駅で会ったばかりの女性が座ってタイプを打っていた。上司の部屋へいくと、敬語でむかられ探偵への昇進を告げられた。アンウィンは探偵社の有能な記録係だった。探偵が意味のありそうな事実の断片を集めてくると、それを整理して謎と解決を結ぶひとすじの糸を残すのが記録員の仕事だ。
昇進したアンウィンが頼りにするのは、『探偵術マニュアル』と助手となった居眠り病の中年女性エミリーである。アンウィンがエミリーに命じた最初の仕事は、自分の昇進が間違いではないかと確認する上司宛ての手紙のタイプだった。
アンウィンが専属記録係を務めた、「探偵のなかの探偵」シヴァートが行方不明になり、その肩代わりとして探偵に昇進したのだ。そしてシヴァート探しが始まる。アンウィンはシヴァートが関わっていた事件に首を突っ込み、奇怪な犯罪者たちが出没する怪事件に巻き込まれていく。
なぜか外はいつも雨が降っていて、アンウィンは雨の中を傘をさしながら自転車で走り回り、身体中がびしょ濡れになる。
ダリの描く絵のような奇妙な世界の中で繰り広げられる、シュールな幻想ミステリ。カフカの作品を彷彿とさせる。
昇進したアンウィンが頼りにするのは、『探偵術マニュアル』と助手となった居眠り病の中年女性エミリーである。アンウィンがエミリーに命じた最初の仕事は、自分の昇進が間違いではないかと確認する上司宛ての手紙のタイプだった。
アンウィンが専属記録係を務めた、「探偵のなかの探偵」シヴァートが行方不明になり、その肩代わりとして探偵に昇進したのだ。そしてシヴァート探しが始まる。アンウィンはシヴァートが関わっていた事件に首を突っ込み、奇怪な犯罪者たちが出没する怪事件に巻き込まれていく。
なぜか外はいつも雨が降っていて、アンウィンは雨の中を傘をさしながら自転車で走り回り、身体中がびしょ濡れになる。
ダリの描く絵のような奇妙な世界の中で繰り広げられる、シュールな幻想ミステリ。カフカの作品を彷彿とさせる。