ミステリー仕立ての恋愛小説の雰囲気が大きい。
様々な男女の思いが事件の背景を作っている。そんな中で、モーニングジュエリーや墓石を通して、死に対しての意識が丁寧に描かれている。
日本とは違う風習がまた少しわかった気がした。
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死者の館に (創元推理文庫) (創元推理文庫 M テ 8-2) 文庫 – 2010/4/20
サラ・スチュアート・テイラー
(著),
野口 百合子
(翻訳)
服喪用装身具をつけて殺された若者は、スウィーニーのゼミの生徒だった。警察に協力を求められた彼女だが……。死と象徴に彩られた、芸術史家スウィーニー・シリーズ第二弾。
- 本の長さ448ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2010/4/20
- ISBN-104488270050
- ISBN-13978-4488270056
登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2010/4/20)
- 発売日 : 2010/4/20
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 448ページ
- ISBN-10 : 4488270050
- ISBN-13 : 978-4488270056
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,742,561位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 4,145位創元推理文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年7月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
魅力的な中産階級出のインテリ女性(しかも婚約者を失ったばかり)が事件に巻き込まれ、渋い警察官と共に体を張って真相を追う。容疑者サイドにはセクシーな男性がいて…と書くとありきたりな洋物ミステリですね。
たしかにスタイルとしてはそうなのですが、この作品、かなり丹念に伏線が引いてあり、本格ものとしても結構読ませます。何より優れているのが、ヒロインを含めた主要登場人物の心理的背景の書き込み。どうして被害者やヒロインがこれほど<死>に惹かれるのか、説得力のあ理由が用意してあるんですね。カバーにオフィーリアが出てくるだけの重みがあります。
たしかにスタイルとしてはそうなのですが、この作品、かなり丹念に伏線が引いてあり、本格ものとしても結構読ませます。何より優れているのが、ヒロインを含めた主要登場人物の心理的背景の書き込み。どうして被害者やヒロインがこれほど<死>に惹かれるのか、説得力のあ理由が用意してあるんですね。カバーにオフィーリアが出てくるだけの重みがあります。
2016年11月26日に日本でレビュー済み
いろんな意味で個性的な小説でした。まず主役がユニークです。ヒロインのスウィーニーは大学の助教授で、自身の専門は服喪用装身具という変り種。そしてある日、彼女の教え子ブラッドが猟奇的な方法で殺されるという事件が起こります。彼はやはり服喪用装身具をテーマに論文を準備していたところで、地域の名門パトナム家の出身でした。遺体は手をベッドに縛られ下着に服喪用のブローチをつけられていて、頭をビニール袋で覆われて窒息死していました。スウィーニーも、ブラッドのクラスメイトも家族も、みんな大変なショックを受けます。
物語の最初は1863年、当時のパトナム家の未亡人が夫の墓を訪れて、自分が夫と出会いパトナム家に嫁ぎ、そして夫を見取るところまでを回想するところから始まります。これが後にどんな影響を及ぼすのか、意味深で興味をそそられます。そしてお話は現代へ。現当主のパトナム夫妻とその子供たち、長女は上院議員、長男は実業家、次男は芸術家、そして今回亡くなったのは大学生の3男。過去には末っ子が交通事故で幼くして亡くなっています。その事故は、子供たち全員が乗っていた車で起きた追突事故で、運転していて末っ子の死に責任があったのは誰か、パトナム家や上からの圧力によりうやむやにされたままです。そしてそれは今回の猟奇殺人になにか関係しているのか?遺体につけられていた服喪用装身具が気になり、また警察にも協力を求められ、スウィーニーは自分でもあれこれ調べ始めます。
日本語で、カタカナでモーニング・ジュエリーと書かれると「えっ朝の宝石?」と最初思ってしまいましたが(笑)、むしろモウニングと書いた方が誤解が少ないかもしれません。英語のスペルはmournで発音はモゥアンに近いです。悼む、追悼する、喪に服するという意味です。1800年代のアメリカでは、故人の髪の毛を使ってアクセサリーを作り、それを身に着けて故人を悼むという習慣があり、現代人の感覚だと、不気味でなんだか気味が悪いと思ってしまいますが、当時は普通によくあることだったそうです。それが事件の主題であり、またヒロインがその研究者だというだけでも独特の雰囲気ですが、その上、舞台はボストン。日本人が一般的に持つアメリカのイメージとは少し違う保守的な東部、町はヴィクトリア朝様式の家が立ち並び、ヨーロッパから最初に移民が渡ってきた当時の、古風で少し陰鬱な面影を残しています。雰囲気的にイギリスの推理小説のようです。話の運びもうまく、パトナム家の人たちや、学生たち、調査に当たる刑事までがみんな個性的に描かれ、しっかりした人間ドラマになっています。作者のミステリはまだ日本では2作目までしか翻訳されていないようですが、本国では4作出版されているそうです。あとの2作の翻訳が待たれます。
物語の最初は1863年、当時のパトナム家の未亡人が夫の墓を訪れて、自分が夫と出会いパトナム家に嫁ぎ、そして夫を見取るところまでを回想するところから始まります。これが後にどんな影響を及ぼすのか、意味深で興味をそそられます。そしてお話は現代へ。現当主のパトナム夫妻とその子供たち、長女は上院議員、長男は実業家、次男は芸術家、そして今回亡くなったのは大学生の3男。過去には末っ子が交通事故で幼くして亡くなっています。その事故は、子供たち全員が乗っていた車で起きた追突事故で、運転していて末っ子の死に責任があったのは誰か、パトナム家や上からの圧力によりうやむやにされたままです。そしてそれは今回の猟奇殺人になにか関係しているのか?遺体につけられていた服喪用装身具が気になり、また警察にも協力を求められ、スウィーニーは自分でもあれこれ調べ始めます。
日本語で、カタカナでモーニング・ジュエリーと書かれると「えっ朝の宝石?」と最初思ってしまいましたが(笑)、むしろモウニングと書いた方が誤解が少ないかもしれません。英語のスペルはmournで発音はモゥアンに近いです。悼む、追悼する、喪に服するという意味です。1800年代のアメリカでは、故人の髪の毛を使ってアクセサリーを作り、それを身に着けて故人を悼むという習慣があり、現代人の感覚だと、不気味でなんだか気味が悪いと思ってしまいますが、当時は普通によくあることだったそうです。それが事件の主題であり、またヒロインがその研究者だというだけでも独特の雰囲気ですが、その上、舞台はボストン。日本人が一般的に持つアメリカのイメージとは少し違う保守的な東部、町はヴィクトリア朝様式の家が立ち並び、ヨーロッパから最初に移民が渡ってきた当時の、古風で少し陰鬱な面影を残しています。雰囲気的にイギリスの推理小説のようです。話の運びもうまく、パトナム家の人たちや、学生たち、調査に当たる刑事までがみんな個性的に描かれ、しっかりした人間ドラマになっています。作者のミステリはまだ日本では2作目までしか翻訳されていないようですが、本国では4作出版されているそうです。あとの2作の翻訳が待たれます。