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バッキンガムの光芒 (ファージングⅢ) (創元推理文庫) 文庫 – 2010/8/28
ファシスト政治が確立したイギリスで、ひそかに進行する巨大な陰謀。歴史の流れに翻弄されていく人々の運命は──。傑作歴史改変エンターテインメント三部作、怒涛の完結編。
- 本の長さ494ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2010/8/28
- ISBN-104488279074
- ISBN-13978-4488279073
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2010/8/28)
- 発売日 : 2010/8/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 494ページ
- ISBN-10 : 4488279074
- ISBN-13 : 978-4488279073
- Amazon 売れ筋ランキング: - 241,114位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 922位創元推理文庫
- - 1,384位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2018年2月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
かくして、新たな歴史は幕を閉じました。三部作ならではの感慨がありますね。冗長と思われる方もいてもおかしくない、長い歴史の果てという感じでしょうか。文体に味があるわけでもないので、1冊目はつらいですが、3冊目までくれば楽しめます。個人的はめずらしく我慢して読んで最終的に面白かった本になりました。
2021年6月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
三部作二話目の『暗殺のハムレット』では『ハムレット』という劇中劇を使ってやった仕掛けを、今度は劇中劇無しで試みようとしたのでしょうか。
実在の人物であり、英国では誰もがよく知るウインザー公と女王陛下という二人に、あまり現実的(リアル)でない、お芝居の中の悪玉と善玉のような定型的な役割を付与して、その周囲を、架空の人物達に複雑でリアルな性格を持たせ、生き生きと動き回らせる、それによって読者に、改変された世界の方が実在(リアル)なのかも、自分達の生きている現実(リアル)は本物(リアル)なのだろうか、と感じさせる意図があったように見えます。
更にもう一つの仕掛けは、一話目からカーマイケルの執務室に飾られていた絵ーー薄暗い黄昏色の風景の中に一人立つ男の絵ーーですが、ラストシーンでは、この絵の中に囚われていたカーマイケルが、春の光の下へと脱け出して来るように感じられます。どちらも上手い仕掛けですが、もう一工夫あってもよかったのではないでしょうか。個人的にはもうちょっとSF色を出した終わり方でもよかったと思います。
とは言え、三部作全体を通して見れば、よくまとまった面白い〈パラレルワールド歴史劇〉でした。
ミステリーファンをも惹き付ける書き方をされていますが、この作者の本質はSF作家なのですね。
実在の人物であり、英国では誰もがよく知るウインザー公と女王陛下という二人に、あまり現実的(リアル)でない、お芝居の中の悪玉と善玉のような定型的な役割を付与して、その周囲を、架空の人物達に複雑でリアルな性格を持たせ、生き生きと動き回らせる、それによって読者に、改変された世界の方が実在(リアル)なのかも、自分達の生きている現実(リアル)は本物(リアル)なのだろうか、と感じさせる意図があったように見えます。
更にもう一つの仕掛けは、一話目からカーマイケルの執務室に飾られていた絵ーー薄暗い黄昏色の風景の中に一人立つ男の絵ーーですが、ラストシーンでは、この絵の中に囚われていたカーマイケルが、春の光の下へと脱け出して来るように感じられます。どちらも上手い仕掛けですが、もう一工夫あってもよかったのではないでしょうか。個人的にはもうちょっとSF色を出した終わり方でもよかったと思います。
とは言え、三部作全体を通して見れば、よくまとまった面白い〈パラレルワールド歴史劇〉でした。
ミステリーファンをも惹き付ける書き方をされていますが、この作者の本質はSF作家なのですね。
2013年6月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「ファージング」三部作の最終作だが、"まえがき"にある作者の「私は楽天家」という言葉が全てを象徴している作品。前二作において、ファシズムを初めとする個人の尊厳・自由を束縛・弾圧する諸々のものへの強い反発心という骨太のテーマの裏に隠れていた作者の負の面、即ち、ファンタジー作家としての本領が前面に出てしまったという印象を受けた。絵に描いた様なハッピー・エンドに、本シリーズのファンの方は肩透かしを喰った様に感じたのではないか。シンプソン夫人との"世紀の恋"を出している辺りも少女趣味が横溢している。
前二作の登場人物達やその関係者達が思いがけない形で登場し、物語に絡んでくる辺りは巧いと思うが、最終作としては当然か。今回の一人称のヒロインはカーマイケルの被後見人(作中では姪)となっており、その記述内容が、カーマイケルの三人称部分と非常に接近しているため、こうした記述形式を採る必然性が乏しくなってしまった。その上、物語がカーマイケルとヒロインに降り掛かる災厄に絞られているので、全体として矮小感しか感じられない出来。サスペンス性が非常に希薄だった。
更なる問題は(ファンにとっては人気の)ジャックの扱い。ジャックをこのように扱えるのならば、カーマイケルにとっての枷が無くなってしまうので、元々第一作で問題の決着は付いていた筈だ。構想の不備を覚えた。前二作までが良い出来だっただけに、何とも締まりのない結末になってしまったと思う。
前二作の登場人物達やその関係者達が思いがけない形で登場し、物語に絡んでくる辺りは巧いと思うが、最終作としては当然か。今回の一人称のヒロインはカーマイケルの被後見人(作中では姪)となっており、その記述内容が、カーマイケルの三人称部分と非常に接近しているため、こうした記述形式を採る必然性が乏しくなってしまった。その上、物語がカーマイケルとヒロインに降り掛かる災厄に絞られているので、全体として矮小感しか感じられない出来。サスペンス性が非常に希薄だった。
更なる問題は(ファンにとっては人気の)ジャックの扱い。ジャックをこのように扱えるのならば、カーマイケルにとっての枷が無くなってしまうので、元々第一作で問題の決着は付いていた筈だ。構想の不備を覚えた。前二作までが良い出来だっただけに、何とも締まりのない結末になってしまったと思う。
2010年11月3日に日本でレビュー済み
第一部、第二部を読まれた方なら、ここのレビューなんてチェックするまでもなく第三部に突入される事でしょう。だから、もうレビューの必要はないんじゃないかなとも思いますが・・・。
完結編のヒロインは、第二部で父親を亡くし、カーマイケルの養女になったエルヴィラで、彼女の回想とカーマイケルの視点から語られる章が交互になっている形式は、これまで通り。(今回のヒロインは、勇気と不屈の精神が際立つ魅力的な女の子。)
社交界デビューの話が延々続きますが、成る程こういう結末になるからか・・・・・・・・と、最後まで読めば納得。
スピード感アップで、もう物語から離れられなくなります。第二部までの登場人物にも、全員ではないけれど、再会できます。
一応ハッピーエンドで、カーマイケルが私立探偵として活躍する続編が書かれる可能性も残した終わり方に感じられました。
それにしても、後を引く内容でした。読了後何日も経ちますが、まだまだ余韻に浸っていて、終わってしまったのが寂しくてなりません。
その理由は二つあって、一つは小説自体が上質で面白さ抜群だったから。もう1つは、この歴史改変がなかなか魅力的だから。
この架空の世界では、ドイツが真っ先に原爆を開発し、ソ連はドイツに原爆投下され崩壊、その後日本もイギリスも核保有国になり、事実上、大国間での戦争は不可能になった模様。ソ連消滅後は、ソ連は緩衝地帯を挟んで日独が支配し、中国は香港以外は日本領、不況から抜け出せず分裂寸前の米国は日英に食われんばかり。(日本は、サンフランシスコとハワイの領有を主張。)――どーも、世界の3強は日・独・英のようなのです。
欧州においては、強制収容所の類は大陸にあり、イギリスは片付けたい連中を大陸に送り付けるだけで、汚れ仕事はドイツ任せ。(こういう偽善ぶりが、いかにもって感じを漂わせています。)
現実の世界=正、この虚構世界=悪、という単純な構図で書かれていないから、この小説は奥が深く、読後考えさせられてしまうのだと思います。どちらの道を辿っても、大国はダブスタで、勝者が歴史を正当化する点に、違いはないでしょうから。
3作通して、サイレント・マジョリティは結束しにくいので信じられないくらい簡単に特殊な野望を持った団体の支配を民主主義手続きの元に許してしまい、戦うタイミングを逸したら最早逃亡するしかなく、その機会も逸したら闇の中に葬られるだけ・・・・の恐怖を味わいましたが、流される人々や真実を伝えないマスコミや権力を濫用する小役人は今将に存在するもので、著者のそれらへの怒りや危機感、個人個人がしっかりしなくちゃ!のメッセージが伝わって来ました。
第三部では、大日本帝国陸軍大将ナカジマなる強烈な人物(映像化するとしたら渡辺謙?)が登場しますので、日本人読者にはこちらも楽しみの一つ。
全ての方にお勧めですが、必ず第一部からお読みになって下さい!!
完結編のヒロインは、第二部で父親を亡くし、カーマイケルの養女になったエルヴィラで、彼女の回想とカーマイケルの視点から語られる章が交互になっている形式は、これまで通り。(今回のヒロインは、勇気と不屈の精神が際立つ魅力的な女の子。)
社交界デビューの話が延々続きますが、成る程こういう結末になるからか・・・・・・・・と、最後まで読めば納得。
スピード感アップで、もう物語から離れられなくなります。第二部までの登場人物にも、全員ではないけれど、再会できます。
一応ハッピーエンドで、カーマイケルが私立探偵として活躍する続編が書かれる可能性も残した終わり方に感じられました。
それにしても、後を引く内容でした。読了後何日も経ちますが、まだまだ余韻に浸っていて、終わってしまったのが寂しくてなりません。
その理由は二つあって、一つは小説自体が上質で面白さ抜群だったから。もう1つは、この歴史改変がなかなか魅力的だから。
この架空の世界では、ドイツが真っ先に原爆を開発し、ソ連はドイツに原爆投下され崩壊、その後日本もイギリスも核保有国になり、事実上、大国間での戦争は不可能になった模様。ソ連消滅後は、ソ連は緩衝地帯を挟んで日独が支配し、中国は香港以外は日本領、不況から抜け出せず分裂寸前の米国は日英に食われんばかり。(日本は、サンフランシスコとハワイの領有を主張。)――どーも、世界の3強は日・独・英のようなのです。
欧州においては、強制収容所の類は大陸にあり、イギリスは片付けたい連中を大陸に送り付けるだけで、汚れ仕事はドイツ任せ。(こういう偽善ぶりが、いかにもって感じを漂わせています。)
現実の世界=正、この虚構世界=悪、という単純な構図で書かれていないから、この小説は奥が深く、読後考えさせられてしまうのだと思います。どちらの道を辿っても、大国はダブスタで、勝者が歴史を正当化する点に、違いはないでしょうから。
3作通して、サイレント・マジョリティは結束しにくいので信じられないくらい簡単に特殊な野望を持った団体の支配を民主主義手続きの元に許してしまい、戦うタイミングを逸したら最早逃亡するしかなく、その機会も逸したら闇の中に葬られるだけ・・・・の恐怖を味わいましたが、流される人々や真実を伝えないマスコミや権力を濫用する小役人は今将に存在するもので、著者のそれらへの怒りや危機感、個人個人がしっかりしなくちゃ!のメッセージが伝わって来ました。
第三部では、大日本帝国陸軍大将ナカジマなる強烈な人物(映像化するとしたら渡辺謙?)が登場しますので、日本人読者にはこちらも楽しみの一つ。
全ての方にお勧めですが、必ず第一部からお読みになって下さい!!
2011年1月13日に日本でレビュー済み
’00年にファンタジー小説で作家デビューした、英国ウェールズ出身でカナダ在住のジョー・ウォルトン女史による、ナチス・ドイツと講和を結んだ英国を舞台にした、歴史改変エンターテインメント3部作の第3弾完結編。
’10年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門で3部作まとめて第2位、「このミステリーがすごい!」海外編で第14位。講談社の文庫情報誌『IN★POCKET』の’10年11月号「2010年文庫翻訳ミステリー・ベスト10」で「総合」第3位、「作家が選んだ」部門同点第3位、「翻訳家&評論家が選んだ」部門同点第4位にランクインしている。
時は1960年、復活祭(イースター)を間近にひかえた4月。ソ連が消滅し、アメリカが日本に破れ、枢軸国側が大戦に勝利していた。本書の語り手‘わたし’は前作『暗殺のハムレット』で殉職したロイストン巡査部長の遺児エルヴィラ。18才の‘わたし’は、カーマイケルの後見を得て社交界デビューとオックスフォード大学進学を目前にしていた。そんなある日、親友ベッツィの両親の友人の息子アラン准男爵に誘われて、ファシストたちのパレードを見物に行く。ある男の飛び入り演説を機にパレードは暴動と化し、暴徒の群れのなか、連れとはぐれた‘わたし’は警察に逮捕されてしまう。
ノーマンビー首相の肝いりで創設された、テロリストの検挙を目的とした「監視隊(ザ・ウォッチ)」の隊長となったカーマイケルは、一方で「影の監視隊(インナー・ウォッチ)」を組織して多くのユダヤ人たちを密かに匿いアイルランドへ脱出させていた。
本書は、カーマイケルの“裏の顔”を暴かんとして‘わたし’を再度逮捕・尋問し、ひしひしと迫る「ファッショ化した」体制側とカーマイケルたちの必死の攻防の物語である。最後に意表をつく人物を頼り、そのパートナーのアドバイスを受け、乾坤一擲の勝負に出る‘わたし’。まさに3部作の掉尾を飾るにふさわしいラストが待ち受けていた。
英国の少額貨幣単位をそれぞれ原題としたこの3部作は、SFとミステリーの手法を使って、全体主義の恐怖を浮き彫りにしており、現在の世界を覆う苦悩にも通じた、オールタイム・ベスト級・読み応え充分の傑作である。
’10年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門で3部作まとめて第2位、「このミステリーがすごい!」海外編で第14位。講談社の文庫情報誌『IN★POCKET』の’10年11月号「2010年文庫翻訳ミステリー・ベスト10」で「総合」第3位、「作家が選んだ」部門同点第3位、「翻訳家&評論家が選んだ」部門同点第4位にランクインしている。
時は1960年、復活祭(イースター)を間近にひかえた4月。ソ連が消滅し、アメリカが日本に破れ、枢軸国側が大戦に勝利していた。本書の語り手‘わたし’は前作『暗殺のハムレット』で殉職したロイストン巡査部長の遺児エルヴィラ。18才の‘わたし’は、カーマイケルの後見を得て社交界デビューとオックスフォード大学進学を目前にしていた。そんなある日、親友ベッツィの両親の友人の息子アラン准男爵に誘われて、ファシストたちのパレードを見物に行く。ある男の飛び入り演説を機にパレードは暴動と化し、暴徒の群れのなか、連れとはぐれた‘わたし’は警察に逮捕されてしまう。
ノーマンビー首相の肝いりで創設された、テロリストの検挙を目的とした「監視隊(ザ・ウォッチ)」の隊長となったカーマイケルは、一方で「影の監視隊(インナー・ウォッチ)」を組織して多くのユダヤ人たちを密かに匿いアイルランドへ脱出させていた。
本書は、カーマイケルの“裏の顔”を暴かんとして‘わたし’を再度逮捕・尋問し、ひしひしと迫る「ファッショ化した」体制側とカーマイケルたちの必死の攻防の物語である。最後に意表をつく人物を頼り、そのパートナーのアドバイスを受け、乾坤一擲の勝負に出る‘わたし’。まさに3部作の掉尾を飾るにふさわしいラストが待ち受けていた。
英国の少額貨幣単位をそれぞれ原題としたこの3部作は、SFとミステリーの手法を使って、全体主義の恐怖を浮き彫りにしており、現在の世界を覆う苦悩にも通じた、オールタイム・ベスト級・読み応え充分の傑作である。
2010年9月13日に日本でレビュー済み
歴史改変SF+ミステリ。第二次世界大戦の際に、ナチスドイツと講和をし、その後ファシズム国家へと進んだ英国を舞台にした、「ファージング」三部作の完結編。
第一作、第二作も凄かったが、この第三作はシリーズの掉尾を飾るにふさわしい出来。歴史改変小説をSFというジャンルに含めてよければ、このシリーズは、今年度翻訳されたミステリ、SFの両部門でベストワンといって良いと思う。
シリーズの主人公、カーマイクルが英国のゲシュタポ、監視隊(ザ・ウォッチ)の隊長となっているが、彼はその地位を利用し、無実のユダヤ人たちを国外に逃亡させる非合法組織を束ねていた。前作、前々炸で、権力の強烈な圧力に屈し、意に染まないことをさせられてきたカーマイクルの圧制への抵抗である。
今回の物語は、そのカーマイケル自身の私生活にも暗雲が立ち込める。元部下の娘を養女にし、養育したが、その彼女が事件に巻きまれ、それをキッカケにカーマイケルにも追及の手が及んでくる。前二作同様、その過程がカーマイケルと養女の視点で交互に描かれているが、二人が窮地に追い込まれていくところは、非常にスリリングだ。
ただ、このシリーズの良さは、そのようなストーリーだけにあるのではない。あとがきにもあるように、この小説には、現代政治への怒りが感じられる。歴史改変という形式に仮託して、圧政に対する抵抗、自由への希望を描いた物語の底流にある著者の思いの強さが伝わってくる。
第一作、第二作も凄かったが、この第三作はシリーズの掉尾を飾るにふさわしい出来。歴史改変小説をSFというジャンルに含めてよければ、このシリーズは、今年度翻訳されたミステリ、SFの両部門でベストワンといって良いと思う。
シリーズの主人公、カーマイクルが英国のゲシュタポ、監視隊(ザ・ウォッチ)の隊長となっているが、彼はその地位を利用し、無実のユダヤ人たちを国外に逃亡させる非合法組織を束ねていた。前作、前々炸で、権力の強烈な圧力に屈し、意に染まないことをさせられてきたカーマイクルの圧制への抵抗である。
今回の物語は、そのカーマイケル自身の私生活にも暗雲が立ち込める。元部下の娘を養女にし、養育したが、その彼女が事件に巻きまれ、それをキッカケにカーマイケルにも追及の手が及んでくる。前二作同様、その過程がカーマイケルと養女の視点で交互に描かれているが、二人が窮地に追い込まれていくところは、非常にスリリングだ。
ただ、このシリーズの良さは、そのようなストーリーだけにあるのではない。あとがきにもあるように、この小説には、現代政治への怒りが感じられる。歴史改変という形式に仮託して、圧政に対する抵抗、自由への希望を描いた物語の底流にある著者の思いの強さが伝わってくる。
2018年4月3日に日本でレビュー済み
英軍参戦不要論は実際有ります。が、ムッソリーニイタリアですら、ユダヤ絶滅収容所など、作らなかったのが貴族的かつ個人主義のイギリスが簡単にファシズムになるとは考えられない。
米国が情けないが、二方面で勝利した現実と折り合いが付かず、日本もアジアを制しているが、東南アジアに進出した時点で、英米と開戦になるから。
突っ込みどころ満載だが、2までは主人公の、悩みのサスペンスてしても、3はなんなんでしょう。気が抜けました。
米国が情けないが、二方面で勝利した現実と折り合いが付かず、日本もアジアを制しているが、東南アジアに進出した時点で、英米と開戦になるから。
突っ込みどころ満載だが、2までは主人公の、悩みのサスペンスてしても、3はなんなんでしょう。気が抜けました。
2011年4月16日に日本でレビュー済み
ファージングは3冊を通して、特に男性の読者にとっては、女性の主人公が日常の些細な事や心情を語るところが、正直退屈で辛いものがあると思います。
私は女性の主人公の上流階級意識が鼻につき、読むのを止めようかと3冊とも思いました(イギリスの女流作家の小説にはよくあることですが)。
しかし、これもまた3冊とも、物語の後半にかけての加速感と読後の爽快感は素晴らしく、さらにIよりはII、IIよりはIIIというように巻が進むにしたがって良くなっていきます。
とくにIIIを読んだ後には「これは久しぶりに一生モノの本を読んだ」と思えました。
自分が正しいと思うことでも、周りの大半から否定されると、どうしても自分をごまかして、周囲に同調してしまいたくなってしまいがちです。
それでも自分を強く持つこと、時には守るべきもののために戦うということについて、とても勇気付けられて心に深く刻み込まれるものがありました。
私は女性の主人公の上流階級意識が鼻につき、読むのを止めようかと3冊とも思いました(イギリスの女流作家の小説にはよくあることですが)。
しかし、これもまた3冊とも、物語の後半にかけての加速感と読後の爽快感は素晴らしく、さらにIよりはII、IIよりはIIIというように巻が進むにしたがって良くなっていきます。
とくにIIIを読んだ後には「これは久しぶりに一生モノの本を読んだ」と思えました。
自分が正しいと思うことでも、周りの大半から否定されると、どうしても自分をごまかして、周囲に同調してしまいたくなってしまいがちです。
それでも自分を強く持つこと、時には守るべきもののために戦うということについて、とても勇気付けられて心に深く刻み込まれるものがありました。