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夜のフロスト (創元推理文庫 M ウ 8-3) 文庫 – 2001/6/8

4.4 5つ星のうち4.4 128個の評価

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流感が猛威をふるう町に中傷の手紙がばらまかれ、切り裂き犯も老女を襲う。絶体絶命の人手不足の中、ウィルスにも見放されたフロスト警部に打つ手はあるのか? シリーズ既刊は2点ともミステリ・ベスト10第1位に選ばれた、大好評シリーズの第3弾!
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商品の説明

商品説明

フロスト警部が帰ってきた。待ち焦がれていた読者は数知れないだろう。あのだらしなく、口汚く、行き当たりばったりのスケベ警部。いったいどうしているのかと思っていたら、相も変わらぬお姿で元気にご活躍。猛威をふるうインフルエンザにもかからず、ほとんど寝るのも忘れて夜の町をあっちへうろうろするかと思えば、肌もあらわな若妻のピンとおったった乳首に、今にもしゃぶりつきそう。その間にも老女の連続殺人、新聞配達の娘の失踪事件、少女の自殺、ポルノビデオ、そして小うるさいマレット警視の叱責に追いまくられて、フロストは新米巡査部長のギルモアを引き連れ、事件解決に大わらわ。

でもいつものフロスト警部のこと、一貫した捜査方針などこれっぽっちもない。ただわめいて、走り回って、勘を頼りに強引な捜査を続けるのみ。しかしこいつが犯人だと確信したのもつかの間、強力なアリバイが見つかって、また一からやり直し。だがここでくじけないのがフロストのいいところ。ただし一緒に振り回されるギルモアはたまったものじゃない。奥さんには愛想をつかされ、かぐわしきアフター・シェイブ・ローションは同僚からバカにされ、事件を解決したと思いきや、手柄はほかの刑事のものとなる。上司に恵まれないとひどいことになるという、まさに典型。

ところが妙なことに、てんやわんやの大騒動もいつしか犯人が捕まってめでたく終了。とても普通では考えられない解決を見るのだから、やっぱりフロスト警部は天才なのか。いや、単に運がよかっただけというのが、真実だろう。『クリスマスのフロスト』(原題『Frost at Christmas』)、 『フロスト日和』(原題『A Touch of Frost』)に続いてのこの作品、大いに楽しんだ。まだ未訳の作品が2つある。早く読みたいものだ。それにしても大手柄は訳者の方。罵詈雑言、エッチ満載のセリフを、実に見事に訳している。ぜひご尊顔を拝したい。(小林章夫)

出版社からのコメント

 フロスト警部シリーズの第1作『クリスマスのフロスト』が創元推理文庫で刊行されたのが1994年の秋。以来、作者のR・D・ウィングフィールドとは、その小説だけを仲立ちにした付き合いが続いています。どういうことかと言いますと、ウィングフィールドという人は、公の場に出てきてしゃべることは勿論、インタビューには応じない、素顔は公開しない、自分のプロフィールも、ディテールをぼかした簡略な紹介文しかおもてに出さない――要するに作品以外はほとんど自分をさらさない、という構えの作家なのです。こんな強烈な個性のミステリを書くのは、いったいどういう人物なのだろう、と穿鑿がましい気持ちにならなかったと言えば嘘になりますが、イギリスはやはり遠く、ため息をついて編集作業に戻ったものでした。
 ところが数年前のことです。いっかな刊行される気配のない(自然現象のように言ってはいけませんね。ほんとに申し訳ありませんでした)本書『夜のフロスト』の日本版刊行の予定について、本国の著作権代理業者から問い合わせが入ってしまったのです。実を言えば、その時点では第二作『フロスト日和』の訳稿すら仕上がってはいず、担当編集者としては、来るベきものが来たか……と首をたれるしかありませんでした。解説しておきますと、翻訳権獲得にかかわる契約書には出版期限の項目があり、当時すでにその期限から大幅に遅れていた関係上、先方から前払い金の追加などを求められても仕方のない状況にあったのです。
 こういうとき、英米の仕事先に対して、口当たりはいいけれども実現する見込みの薄い“予定”を伝えるのは厳禁です。現状を正直に申告し、さらに、実はいま翻訳者がかくかくしかじかの事情(やむをえないものでした)をかかえており、この予定でしか進められないが、翻訳者が変わるとキャラクター等の印象が違ってしまう危険があるので、それはしたくないのだとも付け加えました。現状以外の部分は、日本側の著作権代理業者の担当氏にわかってもらいたくて、ついつい口にしてしまった、というのが正直なところです。ですから、しばらくして本国から“了解した。そのまま進めてくれ。もし予定が変わることがあったら教えてほしい”とだけ(文字どおり)返事がかえってきたときには、ただただ仰天しました。
 けっして愛想のいい返事ではありません。けれども当時、社としてペナルティを科されずにすんだことを喜ぶより前に、襟を正さずにはいられないような、そんな気持ちに駆られたことを憶えています。少ない口数のかげにあったかもしれないものを、ここで具体的な言葉に置き換えようとするのは愚かというものでしょう。ですが、あえて勝手なことを書き記すなら、ウィングフィールドという一職業人の核になっているのはこれだ、とわけもなく感じたのです。そして、あの破天荒なフロスト警部のなかにも、同質のものは確かに存在している、と感じました。
 ……長らくお待たせしました。ようやくできあがりました。書架に並べていただけると嬉しいです。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 東京創元社 (2001/6/8)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2001/6/8
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 784ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4488291031
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4488291037
  • カスタマーレビュー:
    4.4 5つ星のうち4.4 128個の評価

著者について

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R.D.ウィングフィ−ルド
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カスタマーレビュー

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5つのうち4.4つ
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上位レビュー、対象国: 日本

2020年9月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ゲスの極み警部。
下ネタ、セクハラ発言のオンパレード
で、事務処理能力ゼロの困ったオッサン。
でも弱い立場の人間に対する、深い共感と思いやりも持っている。
この矛盾のかたまりのようなキャラクターが、難事件をみっともなく解決していく。
上司にしたい人一位だけど、上司にしたくない人も一位になりそうな警部の姿をお楽しみ下さい。
2011年4月24日に日本でレビュー済み
作品のレベルは全く落ちていないが、シリーズもののジレンマがラスト辺りにあって、個人的には私自身もジレンマがある。

どういう事かというと、フロストは風体は卑しく、言動も下品で、一見すると、何故このような人物が警部なのかと疑われても仕方がないのであるが、実力はピカ一で、今回も難事件の数々を解決する。

この落差が魅力の一つなので、その事を知らない新人の刑事が大体フロストの部下になり、なんちゅう人なんだと思わせながら解決していく過程が面白いのだ。

また、マレットという鼻持ちならない署長にも一泡吹かせるのも魅力なのだが、今回、ラストの落ちがそこまで行ってなく、少なくとも新人刑事がフロストを尊敬の眼差しで見てくれないのが、個人的に腹立たしいかぎりなのだ。

要するにフロストは実力はあるのに、実力がない人物として描かなければならないと云うことにジレンマがあるのだ。 
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2016年3月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
相変わらず700ページ超えの分厚い本作は読みごたえ十分です。
そして本作はアクションシーンが結構出てくるんですねえ。

犯人ら被疑者との格闘に、なんとカーチェイスまで。
ボンドじゃないんだから、あっさりのされちゃうのかなあ?とおもいきや
善戦してやっつけちゃったりするんですねえ。「クリスマス」では撃たれてましたけどね。

あとは相変わらずの、エロ話好きでだらしなくて、もうどうしようもない程のオヤジぶりは
見事に発揮されています。そして個性的な憎たらしい上司や同僚達も活躍します。

でもねえ、管轄内で殺人事件が頻発しすぎる点と、大活躍しているのにフロストが
まったく評価されていない点がちょっと不満がのこりますねえ。

ドジもやるけど迷宮入りしそうな事件を最後には見事に解決するんですから、
いい加減評価してやってほしいなあ。さすがに全く浮かばれ可哀そうです。

フロスト初心者ですが、寝る前に一節読むのが習慣化しています。ああ止められない♪
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2002年1月3日に日本でレビュー済み
フロストのシリーズは、なかなか下品でいつも楽しい。今回もフロストが八面六臂の大活躍。自己中心かつ職務熱心さのあまり、ペーパーワークから必死の思いで逃れつつ、摩訶不思議な難事件を見事に解決していく爽快感は、上司に恵まれない中間管理職には必見!?
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2016年6月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「クリスマスのフロスト」、「フロスト日和」ときて、本作、「夜のフロスト」。本作も750ページの大作で、墓地に捨てられた新聞配達の少女、嫌がらせを受ける金持ち野郎と超セクシーな若妻、そしてお婆さんばかりを残忍な手口で殺す連続殺人と盛りだくさんの事件がどんどん進行するなか、エリート警部のアレンを初め多くの警察官は流感で休んでおり、デントン警察は少ない人員でてんてこ舞い。

そんななかに配置されてきた結婚したばかりの若い刑事ギルモアは、不幸なことにアレンの代わりにジャック・フロスト警部の下に配属されてしまう。退屈なデントンで帰らない夫に不満を爆発される妻をなだめながら、「直感」を武器に手あたり次第に毒舌を吐きまくるフロストにひきずりまわされる...

フロストシリーズもさすがに三作目となると若い配属されたばかりの刑事とのコンビも含め、署長のマレットとのやりとりも、いってみればワンパターンなんだけど、それでもやっぱり面白い。直感が外れても一瞬へこんで、また次の直感で事件の真相をパズルのピースをはめ込んでいく行動力と洞察力が面白いし、「ちん〇こ」がやたらめったら出てくる毒舌も声に出して笑ってしまうほどおもしろい。毎回思うが役者の芹沢恵さんの仕事はすばらしく、イギリス人じゃないとわからないようなジョークもしっかりと解説してくれている。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2017年7月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とても長いけど読んでしまう、読ませてしまう面白さ!
まだ発見していない方が一人でも多くこの作品を見つけられますように。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2009年4月2日に日本でレビュー済み
国内出版から9年でようやく日本で8年前に出版された作品。最新巻から読み始めついに全巻を読み終えた。あいかわらず毎回のように押し寄せる少女関連の難事件と、裏のないフロスト節の推理に引き込まれる。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2015年2月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み出したら止まらないフロストシリーズ。今回も本当に面白い。
署長との衝突も今まで以上に激しくなり、署長の権力を盾にとり部下を見下したような横柄な態度や命令に読者も会社の上司を思い浮かべ、イライラしフラストレーションが溜まります。
がっ、フロストのいつもの、下品極まりないお下劣なトークや、何ものも恐れぬ身勝手な行動でいつの間にか読者自身もフロストの術中にはまり、本に引き込まれてハラハラ・ドキドキ、そして緻密に計算された容疑者とのやり取りで最後は難事件をスカッと解決してくれる爽快感がたまりません!
署員の誰もがフロストに色々な意味で恩恵を受け、人間味のある本当のフロストを知っているのでフロストを愛しています。
本当のフロストを知らないのは署長と署に赴任したばかりの新警部という構図が読んでいる読者をまた虜にします。
今まで以上に容疑者を追い込む緻密さが増した「夜のフロスト」絶対お勧めです。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート