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退職刑事 (1) (創元推理文庫) (創元推理文庫 M つ 3-2) 文庫 – 2002/9/22
都筑 道夫
(著)
かつては硬骨の刑事、今や恍惚の境に入りかけた父親に、現職刑事の息子が捜査中の事件を語ると、父親はたちまち真相を引き出す。国産《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第一集。収録作品 写真うつりのよい女/妻妾同居/狂い小町/ジャケット背広スーツ/昨日の敵/理想的犯人像/壜づめの密室
- 本の長さ293ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2002/9/22
- ISBN-104488434029
- ISBN-13978-4488434021
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ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2002/9/22)
- 発売日 : 2002/9/22
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 293ページ
- ISBN-10 : 4488434029
- ISBN-13 : 978-4488434021
- Amazon 売れ筋ランキング: - 365,140位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,339位創元推理文庫
- - 2,117位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2002年12月8日に日本でレビュー済み
主人公は、書名のとおり定年退職をした元刑事。息子の現職の刑事のところにきては、いま関わっている事件のことを話させ、たちどころに真相を見つけ出してしまう。典型的な安楽椅子探偵ものの短編集です。
ページにして約40ページほどの短編が7作収録されていますが、どれもよくできていて、一見不可解な謎が著者の言うところの「論理のアクロバット」で、ものの見事に思ってもいないところに着地する。短編推理小説のお手本のようなものばかりが並んでいます。
が、この「論理のアクロバット」なるものがクセモノで、これをオオッ!と感心するか、強引・著者の一人よがりととるかで評価が変わってくるのではないでしょうか。私は大好きです。
著者の代表作に数えられているのですが、長いこと品切れ状態だったこのシリーズ、出版社は変わりましたが復刊されたこと、とてもうれしく思います。
ページにして約40ページほどの短編が7作収録されていますが、どれもよくできていて、一見不可解な謎が著者の言うところの「論理のアクロバット」で、ものの見事に思ってもいないところに着地する。短編推理小説のお手本のようなものばかりが並んでいます。
が、この「論理のアクロバット」なるものがクセモノで、これをオオッ!と感心するか、強引・著者の一人よがりととるかで評価が変わってくるのではないでしょうか。私は大好きです。
著者の代表作に数えられているのですが、長いこと品切れ状態だったこのシリーズ、出版社は変わりましたが復刊されたこと、とてもうれしく思います。
2021年3月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
作者が常に唱えていた、
・トリックよりもロジックを
・名探偵の復活を
等を念頭に書かれたものとしては、キリオン・スレイ・シリーズ(電子化してくれ~)と双璧をなす、出色の出来である。
子供の頃から何度となく繰り返し読んできて、いくつかはストーリーや結末を憶えてしまっている話もあって、ちょっと読む楽しみが減ってきたのが残念である。
それほど面白いシリーズだが、本当にそう思えるのは2巻目(もしくはせいぜい3巻目)くらいまでで、それ以降は惰性というか、ちょっとロジックにとらわれる余り、段々と面白味が無くなっていってしまう。多分作者としては当初はこんなに書き続けるつもりはなく、好評を受けて出版社に「書かされた」から(無理をしたの)であろう。こうなると作者も言うとおり、本来ウリであったはずの限られた設定(親子2人の会話で進行する)、ということも限界に拍車をかけることになっているのは皮肉なことですらある。
色々書いたが、2巻目までは間違いなく面白い小説(作品集)であることは保証できることを強調しておきたい。
・トリックよりもロジックを
・名探偵の復活を
等を念頭に書かれたものとしては、キリオン・スレイ・シリーズ(電子化してくれ~)と双璧をなす、出色の出来である。
子供の頃から何度となく繰り返し読んできて、いくつかはストーリーや結末を憶えてしまっている話もあって、ちょっと読む楽しみが減ってきたのが残念である。
それほど面白いシリーズだが、本当にそう思えるのは2巻目(もしくはせいぜい3巻目)くらいまでで、それ以降は惰性というか、ちょっとロジックにとらわれる余り、段々と面白味が無くなっていってしまう。多分作者としては当初はこんなに書き続けるつもりはなく、好評を受けて出版社に「書かされた」から(無理をしたの)であろう。こうなると作者も言うとおり、本来ウリであったはずの限られた設定(親子2人の会話で進行する)、ということも限界に拍車をかけることになっているのは皮肉なことですらある。
色々書いたが、2巻目までは間違いなく面白い小説(作品集)であることは保証できることを強調しておきたい。
2022年9月14日に日本でレビュー済み
評論書『黄色い部屋はいかに改装されたか?』で、都筑道夫は「トリックよりロジックが大切だ」というようなことを言っている。そしてその実践例として、自らの『退職刑事』シリーズから「ジャケット背広スーツ」という作品を創った経緯を述べている。
それで興味をもち、本書を読んでみたわけだが…うーん、あまり面白くなかった。よく考えてみれば、わたしは『隅の老人』も『九マイルは遠すぎる』もあまり楽しめなかった記憶がある。トリックよりロジック、そしてロジックよりプロット、と考えるミステリファンなのだ。
都筑道夫はまた「名探偵は必要」という主張でも知られるが、本書ではあまりに登場人物がキャラ立ちしていなくて、魅力が感じられないことも残念だった。短編集だから仕方ないのか? でも名探偵が必要と言うなら、短編集であってもそれなりのキャラクターを創造してほしかった。
解説では、褒めているのか褒めていないのかよくわからない解説を法月綸太郎が書いている。要は手放しでは褒められないが、褒めるべきところがないでもない、ということだろう。シリーズは6冊まであるようだけれど、もういいかな、十分かなという気がしている。
それで興味をもち、本書を読んでみたわけだが…うーん、あまり面白くなかった。よく考えてみれば、わたしは『隅の老人』も『九マイルは遠すぎる』もあまり楽しめなかった記憶がある。トリックよりロジック、そしてロジックよりプロット、と考えるミステリファンなのだ。
都筑道夫はまた「名探偵は必要」という主張でも知られるが、本書ではあまりに登場人物がキャラ立ちしていなくて、魅力が感じられないことも残念だった。短編集だから仕方ないのか? でも名探偵が必要と言うなら、短編集であってもそれなりのキャラクターを創造してほしかった。
解説では、褒めているのか褒めていないのかよくわからない解説を法月綸太郎が書いている。要は手放しでは褒められないが、褒めるべきところがないでもない、ということだろう。シリーズは6冊まであるようだけれど、もういいかな、十分かなという気がしている。
2004年6月20日に日本でレビュー済み
和製・安楽椅子探偵と聞いて、まっ先に頭に浮かぶのが坂口安吾『明治開化 安吾捕物帖』の結城新十郎で、次いで、福永武彦が加田玲太郎の筆名で発表した「完全犯罪」その他の短編に出てくる伊丹英典。その加田玲太郎作品を、江戸川乱歩は「論理遊戯の文学」と評したという。都筑道夫が手塩にかけて育て上げた安楽椅子探偵・退職刑事が、息子の現職刑事から口づてに聞く犯罪現場の状況や関係者の人物像をたよりに繰り出す切れ味鮮やかな、しかし時として強引であまりに小説的な推理は、あくまで「論理的」な事件解決の道筋を示すものであって、結城新十郎や伊丹英典の華麗さはないものの、まさしく「論理遊戯の文学」の王道を行くものだと思う。ただ、この短編群を一度に読んでは、かえって興を殺ぐ。やはり月に一度の雑誌連載、あるいは週に一度のテレビ番組で、次号、次回を待ち遠しい思いで読む・観るに限る。それから、女気がないのもやや物足りない。「スリーA」こと、現職刑事の奥さんの美恵さんが会話に加わるとか、時には美恵さんが義父を相手に一本とるとか、ひねりが欲しいところ。(これは、読者の身勝手な無いものねだりですね。)
2011年8月4日に日本でレビュー済み
本シリーズは、所謂「安楽椅子探偵もの」というジャンルに該当する作品だろう。
そして、このジャンルの作品は、当然のことながら短編ということになる。
本シリーズは、後の作品になるほどレベルが下がってしまう。
しかし、その第一巻である本書に収載されているのは、初期の高いクォリティの作品である。
そして、著者が「黄色い部屋はいかに改装されたか」で自身が詳細に解析したように、本書中の著者の一押しは「ジャケット背広スーツ」ということである。
実はこの作品、その推理というか推測にけっこう強引なところがある。
必然性が足りないから、推理というかロジックが甘いのである。。
そういう意味では、本シリーズの作品はどれも、息子の話から父親が勝手な想像をする、というのが正直なところと言ってしまっても、けっして言い過ぎではない。
論理派の著者としては、けっこう詰めが甘い作品群なのである。
多分そのあたりは、掲載誌とその対象とする読者層の問題だったのだと思う。
これが、かつての「幻影城」誌や「EQ」、今なら「ジャーロ」や「メフィスト」のような、本当にマニアが手に取るような雑誌への掲載だったら、もっとピュアで先鋭的なロジックを展開する、マニアックな短編ミステリになっていたのではないだろうか。
ただし、その場合には、そのクォリティを維持するのに大変な労力を必要とする。
だから、シリーズが長く続くことはなかっただろう。
思えば、「なめくじ長屋」のシリーズも、初期のハイレベルなクォリティを下げながら、シリーズがだらだらと続いたのだった。
本シリーズの後半以降の作品の雰囲気は、そういえばなんとなく「なめくじ長屋」シリーズの後半以降のそれと良く似ているような気がする。
しかし、本書は、間違いなく傑作ぞろいの一冊である。
本シリーズの面白さを堪能するためには、とりあえずこの一冊があれば十分である。
そして、できれば著者の長編エッセイ「黄色い部屋〜」も、併せて読んで欲しい。
「ジャケット〜」の面白さが数倍になる。
ただし、ミステリマニアのひとりとしては、「ジャケット〜」は著者が言っているほどの傑作だとは思わないのだが。
そして、このジャンルの作品は、当然のことながら短編ということになる。
本シリーズは、後の作品になるほどレベルが下がってしまう。
しかし、その第一巻である本書に収載されているのは、初期の高いクォリティの作品である。
そして、著者が「黄色い部屋はいかに改装されたか」で自身が詳細に解析したように、本書中の著者の一押しは「ジャケット背広スーツ」ということである。
実はこの作品、その推理というか推測にけっこう強引なところがある。
必然性が足りないから、推理というかロジックが甘いのである。。
そういう意味では、本シリーズの作品はどれも、息子の話から父親が勝手な想像をする、というのが正直なところと言ってしまっても、けっして言い過ぎではない。
論理派の著者としては、けっこう詰めが甘い作品群なのである。
多分そのあたりは、掲載誌とその対象とする読者層の問題だったのだと思う。
これが、かつての「幻影城」誌や「EQ」、今なら「ジャーロ」や「メフィスト」のような、本当にマニアが手に取るような雑誌への掲載だったら、もっとピュアで先鋭的なロジックを展開する、マニアックな短編ミステリになっていたのではないだろうか。
ただし、その場合には、そのクォリティを維持するのに大変な労力を必要とする。
だから、シリーズが長く続くことはなかっただろう。
思えば、「なめくじ長屋」のシリーズも、初期のハイレベルなクォリティを下げながら、シリーズがだらだらと続いたのだった。
本シリーズの後半以降の作品の雰囲気は、そういえばなんとなく「なめくじ長屋」シリーズの後半以降のそれと良く似ているような気がする。
しかし、本書は、間違いなく傑作ぞろいの一冊である。
本シリーズの面白さを堪能するためには、とりあえずこの一冊があれば十分である。
そして、できれば著者の長編エッセイ「黄色い部屋〜」も、併せて読んで欲しい。
「ジャケット〜」の面白さが数倍になる。
ただし、ミステリマニアのひとりとしては、「ジャケット〜」は著者が言っているほどの傑作だとは思わないのだが。
2015年5月17日に日本でレビュー済み
作風の相似や名探偵の多さで日本のE・D・ホックと呼んで良いと私には思えるトリッキーな短編本格派ミステリーの名手・都筑道夫の自信作「退職刑事」シリーズ第1弾です。五人いる息子の中で唯一人の現役刑事の末っ子を助けて奇怪な難事件を鮮やかに解決してみせる退職刑事の父親が名探偵のこのシリーズですが、先でどうなるかは未確認ながら今の所「退職刑事」の姓名は不詳で、僅かに息子の名が「五郎」その妻が「美恵」としか明らかではないですね。作品の構成としては息子が語る奇怪な難事件の詳細を父親の退職刑事が聞きながら推理し必ずや意外な真相を暴き出すという形で少々ワンパターンな面はありますが、でも二人の掛け合いのしゃべくりの楽しさや発想の転換による推理の面白さが存分に味わえますし「日本版の正統派安楽椅子探偵」として大満足の出来栄えと言えるでしょう。
『写真うつりのよい女』男物のパンツ一枚をつけただけで後は素裸の女の死体が自宅マンションで発見される。記念すべき第一作は実話を基にした創作で、奇妙奇天烈な状況に対して大胆な発想でねじ伏せて説得力を持たせていますね。『妻妾同居』妻妾を円満に同居させ、セックス絵日記をつけている事で有名な絶倫男が殺された。物事を額面通りには受け取らずに疑ってかかり裏の裏を推理するおやじさんの艶っぽい鮮やかな名推理ですね。『狂い小町』精神病の女が昼間に他所の無人の家で殺されているのが見つかるのだが動機を含めてさっぱり見当がつかない。少々突飛で荒っぽい筋書きですが、著者の常に意外性に満ちた状況を考え出す想像力は一級品ですね。『ジャケット背広スーツ』中年の未亡人が殺された事件の容疑者が出して来たアリバイは地下鉄のホームで上着を二着手に持っている男を見たという何とも奇妙な話だった。本編も著者の実体験に基づく創作で、とにかく一応の辻褄が合うストーリーを組み立てて信じ込ませる著者のお見事な才能には唯々感心するばかりですね。『昨日の敵』裕福な男が殺され妻君と妊娠中の二号の女は互いに「犯人はあおの女だ」と言い合い殺人の前には殺人予告らしき小道具も目撃されていたという。本編はちょっと著者が気前良くヒントを出し過ぎではありますが、相変わらず見かけ通りではない欺瞞の人間ドラマをこしらえる腕は絶品ですね。『理想的犯人像』会社の同僚の女の家に夜忍び込んで強姦し殺したと男が自首して来るが、翌朝その女の死体が家から離れた外で発見されるという怪事件が起きる。このトリックは種明かしされてみると「何だ」と拍子抜けしてややガッカリしましたが、途中までは理解に苦しむ不可能興味の魅力が楽しめましたね。『壜づめの密室』ボトルシップの中に死体の人形が現われるという殺人予告の通りに製作者の居候の男が殺される。本編はタイトルに使われながら密室その物がテーマではないのが肩すかしで非常に残念でしたが、今回も著者は手の込んだ複雑怪奇な陰謀ストーリーで楽しませてくれましたね。
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