柚木シリーズの特徴である軽妙洒脱な会話は、個人的には黒川博行に匹敵すると思っている(登場人物のアクの強さは正反対だが)。ただ、本格物ではないので読者をあっと言わせるトリックが肝の短編は今一つだし、逆に長編では、会話が間延びしていまいち展開が遅く感じられる。
本作は中編と呼んでいいのだろうか、3篇が収められている。どれもそれなりによくできている。程よい長さのために、謎も重くなりすぎず、複雑になりすぎずで、何より良いのは、柚木のもてっぷりもきざっぷりも適度で、嫌味で不自然なところまで行くことがない。寝る前に一杯やりながら楽しめる佳品だ。
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探偵は今夜も憂鬱 (創元推理文庫) 文庫 – 2006/11/11
樋口 有介
(著)
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- 本の長さ320ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2006/11/11
- ISBN-10448845903X
- ISBN-13978-4488459031
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2006/11/11)
- 発売日 : 2006/11/11
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 320ページ
- ISBN-10 : 448845903X
- ISBN-13 : 978-4488459031
- Amazon 売れ筋ランキング: - 412,466位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,503位創元推理文庫
- - 2,418位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2006年11月15日に日本でレビュー済み
シリーズの3作目,3本の中編集になります.
前作では,やや空まわりに感じたセリフがうまくまわり,
主人公の憂鬱(女性やお金)とともに,テンポよく楽しめました.
また,トリックというか,謎がやや前に出ているようで,
主人公が解決していくため,大きく悩むことはないものの,
ちょっと考えたりと,いつもと違うおもしろさもあります.
ちなみに,3本とも『○の憂鬱』というタイトルなのですが,
その意味や指すところが,なかなか深くてむずかしいです.
読みながら,読んだあとに,いろいろと考えてみてください.
復刊の文庫なのに,いつもあとがきを書く著者にも好感.
前作では,やや空まわりに感じたセリフがうまくまわり,
主人公の憂鬱(女性やお金)とともに,テンポよく楽しめました.
また,トリックというか,謎がやや前に出ているようで,
主人公が解決していくため,大きく悩むことはないものの,
ちょっと考えたりと,いつもと違うおもしろさもあります.
ちなみに,3本とも『○の憂鬱』というタイトルなのですが,
その意味や指すところが,なかなか深くてむずかしいです.
読みながら,読んだあとに,いろいろと考えてみてください.
復刊の文庫なのに,いつもあとがきを書く著者にも好感.
2013年1月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
柚木草平シリーズ初の短編集。長編よりインパクトが薄く忘れてしまったので読み直しました。前半の謎に反し結末が平凡。しかし、単純に謎ときを楽しむというより主人公の洒落た会話を楽しむ読み方があり、長さも適度でオススメできます。
2019年5月17日に日本でレビュー済み
フリーライター柚木草平シリーズの3作目です。
今回は短編集です。3つのエピソードが収録されています。
最初のエピソードが一番面白く、次に2つ目、最後に3つ目と、
だんだん落ちてくるので、微妙な感じがしました。
やはりこのシリーズは長編の方が面白いです。
今回は短編集です。3つのエピソードが収録されています。
最初のエピソードが一番面白く、次に2つ目、最後に3つ目と、
だんだん落ちてくるので、微妙な感じがしました。
やはりこのシリーズは長編の方が面白いです。
2007年4月20日に日本でレビュー済み
「雨の憂鬱」「風の憂鬱」「光の憂鬱」の3つの中編。
雨編では、原宿の総合スポーツ・クラブの美人オーナーからの依頼が、とんでもない方向へ発展する。オーナーの美しい義理の妹、爽やかなスポーツ・インストラクター、と美人も次々登場。「いい女の多すぎるこの東京自体が、おれにとっては地獄」と嘆きながら柚木は捜査を進める。
風編では、人気女優が失踪。美人マネージャーにコーヒーをかけられ、「フィリップ・マーロウも、リュウ・アーチャーも、そんなことで文句は言いません」と開き直られながら、過去をいっさい公表しない有名女優失踪の謎に迫る。
光編では、清潔な笑顔がまぶしいブティックの美人オーナーの所へ、死んだはずの夫から手紙が届く。夫の生死を確かめようと手紙の謎を追う柚木に、もちろん、いつもの「病気」が出る。が、今回は「病気が本物になりそう」で、恋の片鱗がチラホラ見える。3編の中ではこれが一番いいように思う。著者は、
3編を通して(これは著者の癖なのかもしれないけれど)犯罪の遠因ともいうべきものに相通じるところがあって、そこに少し無理を感じます。でも、推理は面白く、柚木草平の「生態」も相変わらずの魅力です。
雨編では、原宿の総合スポーツ・クラブの美人オーナーからの依頼が、とんでもない方向へ発展する。オーナーの美しい義理の妹、爽やかなスポーツ・インストラクター、と美人も次々登場。「いい女の多すぎるこの東京自体が、おれにとっては地獄」と嘆きながら柚木は捜査を進める。
風編では、人気女優が失踪。美人マネージャーにコーヒーをかけられ、「フィリップ・マーロウも、リュウ・アーチャーも、そんなことで文句は言いません」と開き直られながら、過去をいっさい公表しない有名女優失踪の謎に迫る。
光編では、清潔な笑顔がまぶしいブティックの美人オーナーの所へ、死んだはずの夫から手紙が届く。夫の生死を確かめようと手紙の謎を追う柚木に、もちろん、いつもの「病気」が出る。が、今回は「病気が本物になりそう」で、恋の片鱗がチラホラ見える。3編の中ではこれが一番いいように思う。著者は、
3編を通して(これは著者の癖なのかもしれないけれど)犯罪の遠因ともいうべきものに相通じるところがあって、そこに少し無理を感じます。でも、推理は面白く、柚木草平の「生態」も相変わらずの魅力です。
2008年8月16日に日本でレビュー済み
1992年(講談社、単行本)→1996年(講談社、文庫本)→本書。
柚木草平シリーズの第3弾。
「雨の憂鬱」「風の憂鬱」「光の憂鬱」の3篇が収められている。
初期の作品に比べると、ものすごく読みやすくなっている。『彼女はたぶん魔法を使う』あたりで辟易させられた人も、本書なら大丈夫だろう。
女性の恐さが著者のテーマなのだろう。美しかったり、気だてが良かったり、可愛かったり、それぞれ魅力的に見える女性たちが登場するのだが、事件を調査していくと、その醜さや恐ろしさに突き当たってしまう。それでも、男性は女性に繰り返し惹かれてしまう。ただ、本書ではぎこちない部分があるような・・。
ミステリとしての出来はいまいち。
柚木草平シリーズの第3弾。
「雨の憂鬱」「風の憂鬱」「光の憂鬱」の3篇が収められている。
初期の作品に比べると、ものすごく読みやすくなっている。『彼女はたぶん魔法を使う』あたりで辟易させられた人も、本書なら大丈夫だろう。
女性の恐さが著者のテーマなのだろう。美しかったり、気だてが良かったり、可愛かったり、それぞれ魅力的に見える女性たちが登場するのだが、事件を調査していくと、その醜さや恐ろしさに突き当たってしまう。それでも、男性は女性に繰り返し惹かれてしまう。ただ、本書ではぎこちない部分があるような・・。
ミステリとしての出来はいまいち。
2009年10月17日に日本でレビュー済み
作者のあとがきにあるように、
どうやら短編は得意ではないようです。
柚木シリーズですが、
これまでの長編ではなく、
中編とのことですが、
3作品入っています。
どれも、
これまで扱ってきた“殺人”とは違う事件の数々。
相変らずの持てっぷりだが、
どうも、これまでとは違ってご都合主義的。
事件そのものの薄さと、
女性像の薄さが、
いまひとつ楽しめなかった。
どうやら短編は得意ではないようです。
柚木シリーズですが、
これまでの長編ではなく、
中編とのことですが、
3作品入っています。
どれも、
これまで扱ってきた“殺人”とは違う事件の数々。
相変らずの持てっぷりだが、
どうも、これまでとは違ってご都合主義的。
事件そのものの薄さと、
女性像の薄さが、
いまひとつ楽しめなかった。