その身をもって六公国を窮地から救ったフィッツだったが、毒された体は重い後遺症に悩まされる。
すっかり弱気になってしまったフィッツを再び駆り立てたのは今や美しい女性に成長した”鼻血っ子”モリーだ。
山の王国で静養していたフィッツは、<技>によってシュルード王を通じ、六公庫沿岸の町シルトベイが赤い船団に襲撃されたことを知り、その遠視の中に逃げ惑うモリーの姿があったのだ。
フィッツが病んだ体を引きずるようにしてたどり着いたバックキープには、既に彼を頼ってモリーが訪れており、そのままペイシェンスの召使として雇われていた。
しかし、フィッツが庶子とは言えども王族であることを知ったモリーはよそよそしい態度を示し、結婚の許しを王に求めたが、こちらもきっぱりと断られ、逆に政略結婚を仄めかされるという始末。
王が次第に衰弱して行く中、赤い船団の襲撃に対抗する最後の手段として、伝説にのみその名を残す<旧き者>の支援を得ようと<継ぎの王>たるヴェリティは少数の兵とともに危険な探索行に旅立ち、その機に乗じた弟リーガルは、宮廷での支配力を強めていく。
自分の恋路と六公国の行く末に悩むフィッツだが、頼りの主君ヴェリティとは思うように連絡が取れず、自らが正しいと信じた道を選択するのだが・・・
王は病み、<継ぎの王>たるヴェリティは不在。
王位を狙ってリーガルが暗躍する中、遠い異国から嫁いだばかりの<継ぎの王妃>ケトリッケンを影ながら支えるフィッツの活躍が見所。
宮廷陰謀劇が展開する中で明かされた、登場人物達の意外な正体にはあっと驚かされた。
宮仕え故の葛藤に煩悶とするフィッツの様子に、幾度と無く何故自分の思うままに行動しないのかともどかしくもなるのだが、彼が幼少の頃にシュルード王と結んだ契約の重さに思い当たる。
フィッツと彼が動物商から買い取った狼「ナイトアイズ」との<気>による精神の交流も面白く、狼は人間社会も自分の価値観で「群」と考えているのだが、これが結構しっくり来るから不思議だ。
身寄りの無い少年であったフィッツだが、彼の六公国を救おうとする行為の動機は、命を購ってこの世への存在意義を持たせた王に対する義務感から、次第に自発的な使命感へと変遷していく。
信頼を寄せる叔父のヴェリティや、夫シヴァルリの不義の子であるにも関わらず保護者として発起してくれたペイシェンス、そして誰よりも愛情を注ぐモリー、更には長年関わりを持ってきたバックに住まう人々などの全てがナイトアイズの言うところの「群」として意識されたとき、無心の犠牲的な行為も可能となったのだろう。
目前の危機を逃れたところで終わっているが、やはり<旧き者>を訪ねたヴェリティが気がかり。
赤い船団の真の目的も未だ明らかにされておらず、<技>や<気>についてもその来歴は伝説の彼方という状態なので、最終巻には多くの答えが待っていそうだ。
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帝王(リーガル)の陰謀 上 <ファーシーアの一族2> (創元推理文庫) 文庫 – 2005/7/8
ロビン・ホブ
(著)
ファーシーア一族が治める六公国。その王家の私生児として生まれた少年は、フィッツ(庶子)と呼ばれ育ってきた。祖父である王の命令で、暗殺者としての訓練を受けたフィッツは、公国のために影ながらがんばってきた。けれど、異母兄のリーガルに疎まれ、徐々に陰謀の渦にまきこまれていってしまう。 継ぎの王であるヴェリティの地位を、奪おうと企んでいるリーガル王子に、散々な目にあわされたフィッツ。弱りきった身体でようやく城へ帰り着いてみると、当のリーガルが大きな顔をして歩いている。そのことに苛立ちを募らせるけれど、どうしようも打つ手がない。 「赤い船団」の恐怖は広がる一方だし、ヴェリティの花嫁は王宮で孤立しているし、王サマの周囲に不穏な動きがあるし、フィッツに次々と問題がふりかかってきます。 この第二部では、陰謀の色合いが濃い物語りになっています。が、暗い感じはないです。それというのも、当のフィッツ自身が怒りながらもどこか飄々としているように見えるからかも。 幼馴染のモリーとの関係も気になる展開です。王に忠誠を誓っているので、自由な恋愛もできない、、、なんて言いつつ、想う気持ちは止められない~♪少年は恋をして、少し大人になったようです。 この物語の魅力の一つですが、動物の存在が重要視されています。犬だったり、馬だったり、狼だったり。動物を愛してやまない優しい心がじんわりと伝わってきました。
- 本の長さ576ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2005/7/8
- ISBN-104488562035
- ISBN-13978-4488562038
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2005/7/8)
- 発売日 : 2005/7/8
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 576ページ
- ISBN-10 : 4488562035
- ISBN-13 : 978-4488562038
- Amazon 売れ筋ランキング: - 321,763位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2006年5月2日に日本でレビュー済み
前作でヒドイ目に遭ったフィッツ。
なかなか傷は全快にいたらず、だましだまし身体を動かし始めます。
市場で売られていた狼・ナイトアイズと出会い、かつてのように絆を結びます。
ハッキリ言って、この巻はフィッツと、ヴェリティに輿入れしたケトリッケンが主役格です。まぁフィッツは主役なんですが(笑)
ケトリッケン格好いいです。ヴェリティがかすんで見えます(ひどい)
でもまぁ男の立場なら、こんな元気の良すぎる嫁さん、煙たいかもしれません・・・女性受けはするんですけど(笑)
この巻でいよいよフィッツは初恋の相手、モリーに愛の告白をします。
なんだか純粋な愛情を感じて、少しうっとりしました・・・
お話はやはり一気読みです・・・。
なかなか傷は全快にいたらず、だましだまし身体を動かし始めます。
市場で売られていた狼・ナイトアイズと出会い、かつてのように絆を結びます。
ハッキリ言って、この巻はフィッツと、ヴェリティに輿入れしたケトリッケンが主役格です。まぁフィッツは主役なんですが(笑)
ケトリッケン格好いいです。ヴェリティがかすんで見えます(ひどい)
でもまぁ男の立場なら、こんな元気の良すぎる嫁さん、煙たいかもしれません・・・女性受けはするんですけど(笑)
この巻でいよいよフィッツは初恋の相手、モリーに愛の告白をします。
なんだか純粋な愛情を感じて、少しうっとりしました・・・
お話はやはり一気読みです・・・。
2005年9月7日に日本でレビュー済み
ファーシーア一族が治める六公国。その王家の私生児として生まれた少年は、フィッツ(庶子)と呼ばれ育ってきた。祖父である王の命令で、暗殺者としての訓練を受けたフィッツは、公国のために影ながらがんばってきた。けれど、異母兄のリーガルに疎まれ、徐々に陰謀の渦にまきこまれていってしまう。
継ぎの王であるヴェリティの地位を、奪おうと企んでいるリーガル王子に、散々な目にあわされたフィッツ。弱りきった身体でようやく城へ帰り着いてみると、当のリーガルが大きな顔をして歩いている。そのことに苛立ちを募らせるけれど、どうしようも打つ手がない。
「赤い船団」の恐怖は広がる一方だし、ヴェリティの花嫁は王宮で孤立しているし、王サマの周囲に不穏な動きがあるし、フィッツに次々と問題がふりかかってきます。
この第二部では、陰謀の色合いが濃い物語りになっています。が、暗い感じはないです。それというのも、当のフィッツ自身が怒りながらもどこか飄々としているように見えるからかも。
幼馴染のモリーとの関係も気になる展開です。王に忠誠を誓っているので、自由な恋愛もできない、、、なんて言いつつ、想う気持ちは止められない~♪少年は恋をして、少し大人になったようです。
この物語の魅力の一つですが、動物の存在が重要視されています。犬だったり、馬だったり、狼だったり。動物を愛してやまない優しい心がじんわりと伝わってきました。
継ぎの王であるヴェリティの地位を、奪おうと企んでいるリーガル王子に、散々な目にあわされたフィッツ。弱りきった身体でようやく城へ帰り着いてみると、当のリーガルが大きな顔をして歩いている。そのことに苛立ちを募らせるけれど、どうしようも打つ手がない。
「赤い船団」の恐怖は広がる一方だし、ヴェリティの花嫁は王宮で孤立しているし、王サマの周囲に不穏な動きがあるし、フィッツに次々と問題がふりかかってきます。
この第二部では、陰謀の色合いが濃い物語りになっています。が、暗い感じはないです。それというのも、当のフィッツ自身が怒りながらもどこか飄々としているように見えるからかも。
幼馴染のモリーとの関係も気になる展開です。王に忠誠を誓っているので、自由な恋愛もできない、、、なんて言いつつ、想う気持ちは止められない~♪少年は恋をして、少し大人になったようです。
この物語の魅力の一つですが、動物の存在が重要視されています。犬だったり、馬だったり、狼だったり。動物を愛してやまない優しい心がじんわりと伝わってきました。