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日本怪奇小説傑作集1 (創元推理文庫) 文庫 – 2005/7/8
茶碗の中,海異記,蛇-「永日小品」より-,蛇,悪魔の舌,人面疽 他
- 本の長さ496ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2005/7/8
- ISBN-104488564011
- ISBN-13978-4488564018
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2005/7/8)
- 発売日 : 2005/7/8
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 496ページ
- ISBN-10 : 4488564011
- ISBN-13 : 978-4488564018
- Amazon 売れ筋ランキング: - 185,130位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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東 雅夫(ひがし・まさお)
1958年、神奈川県横須賀市生まれ。アンソロジスト、文芸評論家、怪談専門誌「幽」編集長。
早稲田大学文学部卒。1982年に研究批評誌「幻想文学」を創刊、2003年の終刊まで21年間にわたり編集長を務めた。
近年は各種アンソロジーの企画編纂や、幻想文学・ホラーを中心とする批評、怪談研究などの分野で著述・講演活動を展開中。
評論家として「ホラー・ジャパネスク」や「怪談文芸」「800字小説ムーヴメント」などを提唱。NHKテレビ番組「妖しき文豪怪談」シリーズ等の企画監修や、「幽」怪談文学賞、ビーケーワン怪談大賞、みちのく怪談コンテストなど各種文学賞の選考委員も務める。
2011年、著書『遠野物語と怪談の時代』で日本推理作家協会賞を受賞。
著書に『なぜ怪談は百年ごとに流行るのか』『百物語の怪談史』『江戸東京 怪談文学散歩』『怪談文芸ハンドブック』ほか、編纂書に『文豪怪談傑作選』『伝奇ノ匣』『てのひら怪談』の各シリーズほか多数がある。
著者公式サイト「幻妖ブックブログ」http://blog.bk1.jp/genyo/
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年9月8日に日本でレビュー済み
この第一巻には明治35年(1902年)から昭和10年(1935年)にかけて発表された全17編が収録されている。
紀田順一郎氏による前書きとしての「日本怪奇小説集の創始」で、簡単に我が国における怪奇小説の幕開けの時代を世界と比較し、東雅夫氏による「解説」でこの傑作集を編纂した理由、収録作品の選定方法、怪異小説の時代的な流れなどを紹介している。
収録作品のいくつかについてごく簡単に感想などをご紹介します。
「茶碗の中」(小泉八雲)
茶碗の中の男の魂を飲み込んでしまった武士の話。結末は描かれていない。
「蛇―「永日小品」より」(夏目漱石)
蛇はそもそも気味の悪い生き物だが。人間の心に話しかける蛇?
「妙な話」(芥川龍之介)
友人の妹の話。どうも普通ではない何かに監視されているらしい。
「盡頭子」(内田百問)
盡頭とは「外れ」という意味らしいが、何故こんな難しい漢字を使ったのかは意味不明。
「化物屋敷」(佐藤春夫)
止むを得ぬ事情により何やら怪しい雰囲気の下宿屋に住むことになるのだが。佐藤春夫の実体験らしい。
極めつけの恐怖とまでは言いませんが、明治、大正、昭和にかけての文豪たちが書き綴った恐怖短編に触れることのできる貴重なアンソロジーです。
紀田順一郎氏による前書きとしての「日本怪奇小説集の創始」で、簡単に我が国における怪奇小説の幕開けの時代を世界と比較し、東雅夫氏による「解説」でこの傑作集を編纂した理由、収録作品の選定方法、怪異小説の時代的な流れなどを紹介している。
収録作品のいくつかについてごく簡単に感想などをご紹介します。
「茶碗の中」(小泉八雲)
茶碗の中の男の魂を飲み込んでしまった武士の話。結末は描かれていない。
「蛇―「永日小品」より」(夏目漱石)
蛇はそもそも気味の悪い生き物だが。人間の心に話しかける蛇?
「妙な話」(芥川龍之介)
友人の妹の話。どうも普通ではない何かに監視されているらしい。
「盡頭子」(内田百問)
盡頭とは「外れ」という意味らしいが、何故こんな難しい漢字を使ったのかは意味不明。
「化物屋敷」(佐藤春夫)
止むを得ぬ事情により何やら怪しい雰囲気の下宿屋に住むことになるのだが。佐藤春夫の実体験らしい。
極めつけの恐怖とまでは言いませんが、明治、大正、昭和にかけての文豪たちが書き綴った恐怖短編に触れることのできる貴重なアンソロジーです。
2005年10月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
明治以降の日本の短篇怪奇小説を、全3巻で構成したアンソロジー。
1巻には、明治35年から昭和10年までの17篇が収録されている。ハーン、泉鏡花、夏目漱石、森鴎外、芥川龍之介、室生犀星、岡本綺堂、江戸川乱歩、川端康成、佐藤春夫など著名な作家の、あまり有名でない作品が集められている。それでも怪奇小説としての完成度はなかなかのもので、かなり楽しく読むことが出来た。
欧米の怪奇小説とは異なる、日本独特のぬめりが感じられ、不気味である。江戸以前の日本文化と、欧米からもたらされた「近代」とが気持ち悪く混じり合い、得体の知れないものになったのだろう。
近年は欧米の怪奇小説紹介に行き詰まりが見えていただけに、嬉しい一冊であった。
1巻には、明治35年から昭和10年までの17篇が収録されている。ハーン、泉鏡花、夏目漱石、森鴎外、芥川龍之介、室生犀星、岡本綺堂、江戸川乱歩、川端康成、佐藤春夫など著名な作家の、あまり有名でない作品が集められている。それでも怪奇小説としての完成度はなかなかのもので、かなり楽しく読むことが出来た。
欧米の怪奇小説とは異なる、日本独特のぬめりが感じられ、不気味である。江戸以前の日本文化と、欧米からもたらされた「近代」とが気持ち悪く混じり合い、得体の知れないものになったのだろう。
近年は欧米の怪奇小説紹介に行き詰まりが見えていただけに、嬉しい一冊であった。
2020年2月2日に日本でレビュー済み
日本怪奇小説傑作集は全3巻。
紀田順一郎と東雅夫両氏の選であり、登場する作品すべてに解説が付いている。
解説の内容は、各作品の著者の紹介と、掲載した作品に対する解説と評価である。
書き手としてだけでなく、というよりも読み手として卓越している紀田順一郎の読力の魅力が遺憾なく発揮されており、この部分を読むためだけに本書3巻を開いても十分以上の満足を得られるに違いない。
第1巻には漱石、鴎外、鏡花らが並び、岡本綺堂、谷崎潤一郎、川端康成も登場する。時代が降り、第3巻になると、小松左京、筒井康隆、星新一もいる、という具合だ。
全3巻欲しい。どうしても手に入れたい、しかし古書しかなく、しかも古書価格で3巻揃えることは、私にとっては絶望的高価なのである。
kindleで出していただけないものだろうか。お願いです。
この3巻は、現代先端の怪奇小説を読むためにも、有益であり基礎となるものと思います。
紀田順一郎と東雅夫両氏の選であり、登場する作品すべてに解説が付いている。
解説の内容は、各作品の著者の紹介と、掲載した作品に対する解説と評価である。
書き手としてだけでなく、というよりも読み手として卓越している紀田順一郎の読力の魅力が遺憾なく発揮されており、この部分を読むためだけに本書3巻を開いても十分以上の満足を得られるに違いない。
第1巻には漱石、鴎外、鏡花らが並び、岡本綺堂、谷崎潤一郎、川端康成も登場する。時代が降り、第3巻になると、小松左京、筒井康隆、星新一もいる、という具合だ。
全3巻欲しい。どうしても手に入れたい、しかし古書しかなく、しかも古書価格で3巻揃えることは、私にとっては絶望的高価なのである。
kindleで出していただけないものだろうか。お願いです。
この3巻は、現代先端の怪奇小説を読むためにも、有益であり基礎となるものと思います。
2014年12月12日に日本でレビュー済み
明治以降のこのジャンルの代表的な短篇を1作家1作ずつ選んだもので、発表順に並べている。全3巻。第1巻は小泉八雲から佐藤春夫まで、明治~昭和初期の17篇。
小泉八雲「茶碗の中」。平井呈一の訳文が素晴らしい。
江戸初期、大名家の侍が茶店で飲んだ茶碗の中に別人の顔を見る。その幽霊が因縁をつけるように侍にまとわりつく。理由はまったく示されず、話が尻切れトンボに終わる。その不条理な感覚がとてもいい。
泉鏡花「海異記」。房総の漁村を舞台にした海がらみの怪異譚。
話の9割は漁師頭の若い嫁と組の一番下っ端の漁師見習い少年との会話で、少年の口からカツオ漁に出て遭遇した怪異がこれでもかと語られる。しかし本当の怖さは少年が帰ってしまった後に待っている。人間を狩りに海から上がってきた物の怪が、女房のところへ現れる。
夏目漱石「蛇」。「永日小品」中の一編。
3頁の小品で、実に巧い。画家が一筆加えると絵が浮かび上がってくるような感じで、一行書くごとに情景がくっきりとしてくる。嵐の情景描写が極まったところで、いきなり蛇が現れて、人間の声でたった一言「覚えていろよ」と言って消える。
芥川竜之介「妙な話」。実に巧くできていて、完璧といってよい。
第一次大戦で、地中海へ長期派遣された軍艦に乗り組む海軍将校の妻が、夫とのテレパシー交換を経験をする。その間を取り持つのが怪しい赤帽で、赤帽姿のままでマルセイユにも現れていたという仕掛けが新鮮。オチもよく効いていて、タイトル以外は文句なし。
室生犀星「後の日の童子」。長男を病気で失った犀星がその翌年に書いた散文詩とも言える短篇。
あの世から何度も何度も訪ねてくるわが子と両親夫婦との交流が淡々と綴られる。詩人らしい静謐さに満ちた無駄のない文章が見事。
川端康成「慰霊歌」。心霊術・降霊術テーマの幽霊譚。
官能的かつ文学的な文体。幽霊とかなり長く話をするのだから異常な物語で、その異常性が面白いといえば面白い。
夢野久作「難船小僧(SOS BOY)」。海洋もの。
アメリカンコミックを読んでいるような反リアリズムの活劇調。ものすごく明るく乾いたブラックユーモアがあり、ぜんぜん怖くないが、本アンソロジーでもっとも気に入った。
小泉八雲「茶碗の中」。平井呈一の訳文が素晴らしい。
江戸初期、大名家の侍が茶店で飲んだ茶碗の中に別人の顔を見る。その幽霊が因縁をつけるように侍にまとわりつく。理由はまったく示されず、話が尻切れトンボに終わる。その不条理な感覚がとてもいい。
泉鏡花「海異記」。房総の漁村を舞台にした海がらみの怪異譚。
話の9割は漁師頭の若い嫁と組の一番下っ端の漁師見習い少年との会話で、少年の口からカツオ漁に出て遭遇した怪異がこれでもかと語られる。しかし本当の怖さは少年が帰ってしまった後に待っている。人間を狩りに海から上がってきた物の怪が、女房のところへ現れる。
夏目漱石「蛇」。「永日小品」中の一編。
3頁の小品で、実に巧い。画家が一筆加えると絵が浮かび上がってくるような感じで、一行書くごとに情景がくっきりとしてくる。嵐の情景描写が極まったところで、いきなり蛇が現れて、人間の声でたった一言「覚えていろよ」と言って消える。
芥川竜之介「妙な話」。実に巧くできていて、完璧といってよい。
第一次大戦で、地中海へ長期派遣された軍艦に乗り組む海軍将校の妻が、夫とのテレパシー交換を経験をする。その間を取り持つのが怪しい赤帽で、赤帽姿のままでマルセイユにも現れていたという仕掛けが新鮮。オチもよく効いていて、タイトル以外は文句なし。
室生犀星「後の日の童子」。長男を病気で失った犀星がその翌年に書いた散文詩とも言える短篇。
あの世から何度も何度も訪ねてくるわが子と両親夫婦との交流が淡々と綴られる。詩人らしい静謐さに満ちた無駄のない文章が見事。
川端康成「慰霊歌」。心霊術・降霊術テーマの幽霊譚。
官能的かつ文学的な文体。幽霊とかなり長く話をするのだから異常な物語で、その異常性が面白いといえば面白い。
夢野久作「難船小僧(SOS BOY)」。海洋もの。
アメリカンコミックを読んでいるような反リアリズムの活劇調。ものすごく明るく乾いたブラックユーモアがあり、ぜんぜん怖くないが、本アンソロジーでもっとも気に入った。
2006年6月25日に日本でレビュー済み
仕事で頭が疲れ、現実から逃避する為の楽しみとして買いましたが、かえって「日本文学史」と「大正世相史」を学んだような気分です(これは誉め言葉です。)大変充実した作品集で、最近怖い怪奇小説がない、と嘆いていた私は感動しました。特に、何の怪奇も具体的に出てこない(が、実際は恐ろしい因縁がある)佐藤春夫の「化物屋敷」が一番怖かった。 実は二巻目も買いたいのですが、最初のショックが大きかったので、もっとお気楽な気分になった時買います。翻訳物も楽しいですが、感性を共有できる日本人の書く小説は、読んで損はありません。
2014年9月2日に日本でレビュー済み
取り敢えず収録作品が記載されていない様なので以下に記しておく。
日本海来小説の創始(紀田順一郎)
茶碗の中(小泉八雲)
海異記(泉鏡花)
蛇――「永日小品」より(夏目漱石)
蛇(森鴎外)
悪魔の舌(村山槐多)
人面疽(谷崎潤一郎)
黄夫人の手(大泉黒石)
妙な話(芥川龍之介)
盡頭子(内田百閒)
蟇の血(田中貢太郎)
後の日の童子(室生犀星)
木曾の旅人(岡本綺堂)
鏡地獄(江戸川乱歩)
銀簪(大佛次郎)
慰霊歌(川端康成)
難船小僧(夢野久作)
化物屋敷(佐藤春夫)
解説(東雅夫)
日本海来小説の創始(紀田順一郎)
茶碗の中(小泉八雲)
海異記(泉鏡花)
蛇――「永日小品」より(夏目漱石)
蛇(森鴎外)
悪魔の舌(村山槐多)
人面疽(谷崎潤一郎)
黄夫人の手(大泉黒石)
妙な話(芥川龍之介)
盡頭子(内田百閒)
蟇の血(田中貢太郎)
後の日の童子(室生犀星)
木曾の旅人(岡本綺堂)
鏡地獄(江戸川乱歩)
銀簪(大佛次郎)
慰霊歌(川端康成)
難船小僧(夢野久作)
化物屋敷(佐藤春夫)
解説(東雅夫)
2006年4月4日に日本でレビュー済み
傑作集の1巻目は明治から大正にかけて発表された作品がラインナップ。名前を聞いたことはあるけれど、未読の作家の小説を読む良い機会となった。教科書で読んだ「舞姫」の文体で挫折・放棄してしまった森鴎外が意外に楽しめたのがささやかな収穫。谷崎潤一郎の妖艶な短篇は今でも充分怪しくて魅惑的だ。夢野久作の独創的な文体には面食らった。読み仮名を多用してひらがなを現代表記に差替えたのは正解だと思う。間口を広げ敷居を下げる効果がかなりある。アンソロジーは全く知らなかった作家の話が読めることも楽しみのひとつだ。怪奇というフィルターを通すことで川端康成のように、ある程度イメージが定着した作家の知られざる一面を垣間見ることができた気もする。