本作は、人類の未来に強い関心を抱いていたイギリスのSF作家ジョン・ブラナーが1965年に発表したSF長編小説（約300頁）。
本作の「テレパシスト」とは、言葉を使わずに他人と精神交流ができる者のことで、彼らは国際連合の中で、国家間の調停者として働いています。・・といっても、政治的、社会的な物語ではなく、先天性の身体障害を負いつつ、テレパシーという特殊能力を持った主人公の出生からベテランテレパシストになるまでを描いた、個人的で心理的、そして感動的な成長物語です。
過度なロマンスを避け、人間を現実的に描いていて、それが作品をしっかりした、根を張ったものにしています。又、他方で、「共感覚」というテーマも取り上げられていて、その先見性に驚きます。
残念なのは翻訳。「不具」「片端(かたわ)」「唖(おし)」「つんぼ」といった差別用語が使用されてしまっているので、その言葉を「身体障害」とか「身体にハンデを負った」、「聴覚障害者」等と読み替えながら、是非多くの人に読んでほしい・・・って想う作品です。
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