上巻と比較するとエンタメ色が強い作品が多くて読みやすい。
ブルガーコフ「運命の卵」は詳しくないと言いつつも、しっかり新聞記者に説明しているペルシコフ教授が可愛い。無常観に包まれる幕切れが印象的で、科学が政治に利用されることに対するブルガーコフの危機感を感じる。巨大蛇が人を襲う展開にはB級パニックムービー好きとしては心躍らずにはいられないね。
ベリャーエフ「髑髏蛾」はアマゾンの奥地へと髑髏蛾を追って彷徨い込んだ生物学者が辿る数奇な顛末を描いた作品。人目につかぬ秘境における遭遇が幻想味を帯びるのは必然か。
作品も素晴らしいが、巻末のソビエト・ロシアSF史を概観する深見弾の評論も上下巻合わせて圧巻の出来。
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ロシア・ソビエトSF傑作集 下 (創元SF文庫 ン 7-2) ペーパーバック – 1979/4/1
長い伝統を誇るロシアSFを、革命前ロシア時代と、その後、第二次世界大戦前までの初期ソビエト時代に区分し、10編の名作を年代順に収めたファン期待のアンソロジー。各巻末に訳者によるロシア・ソビエトSFの歴史と詳細な解説を付す。重要邦訳文献リストを併録したロシアSF入門の書である。
●収録作品
アレクセイ・トルストイ「五人同盟―世界が盗まれた七日間―」
ミハイル・ブルガーコフ「運命の卵」
アレクサンドル・ベリャーエフ「髑髏蛾」
エ・ゼリコーヴィチ「危険な発明」
ゲ・グレブネフ「不死身人間」
解説=深見弾〈初期のソビエトSF―革命後から第二次世界大戦まで―〉
●収録作品
アレクセイ・トルストイ「五人同盟―世界が盗まれた七日間―」
ミハイル・ブルガーコフ「運命の卵」
アレクサンドル・ベリャーエフ「髑髏蛾」
エ・ゼリコーヴィチ「危険な発明」
ゲ・グレブネフ「不死身人間」
解説=深見弾〈初期のソビエトSF―革命後から第二次世界大戦まで―〉
- 本の長さ361ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日1979/4/1
- ISBN-104488657028
- ISBN-13978-4488657024
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (1979/4/1)
- 発売日 : 1979/4/1
- 言語 : 日本語
- ペーパーバック : 361ページ
- ISBN-10 : 4488657028
- ISBN-13 : 978-4488657024
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,029,065位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 453位創元SF文庫
- - 632位ロシア・ソビエト文学 (本)
- カスタマーレビュー:
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2013年2月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とても敏速に処理して頂き、本も良好な品でした。有難う御座いました。
2021年6月8日に日本でレビュー済み
きょうから寝るまえの読書は、『ロシア・ソビエトSF傑作集』下巻である。これまた再読だが、目次を見ても、さっぱり思いだせない。しかし、作家のブルガーコフやベリャーエフの名前は知っている。『巨匠とマルガリータ』や『犬の心臓・運命の卵』を読んでるし、ベリャーエフは短編集を持っている。
1作目は、アレクセイ・トルストイの「五人同盟」月を爆破して、株価を暴落させ、世界を恐慌に陥れようとした五人の人間がいる。月は割れて7つに分解した。ひとびとは恐慌に陥るどころか、躁状態で、おだやかに過ごしていた。五人は、こんなはずではなかったと思うが、世界は躁状態だった。
2作目は、ミハイル・ブルガーコフの「運命の卵」半年ほどまえに、新潮文庫の『犬の心臓・運命の卵』を読んだのだけれども、まったく憶えていなかったので、もう一度、この『ロシア・ソビエトSF傑作集』の下巻で読み直そうと思う。叙述がユーモアたっぷりなので、読んでて楽しい。動物学の教授が主人公。蛙の卵にあてた赤色の光線が、卵の繁殖力を驚異的なものにした。一方、ソビエトの鶏が病気になり、卵が孵らなくなってしまった。そこで、鶏の卵に、この赤色の光線をあてて雛を孵そうとしたのだが、届けられた卵はアナコンダの卵だったのである。10メートルのアナコンダ。そこに鰐も異常な繁殖力をもって、ひとびとを襲ったのであった。軍隊も出動したが、人民に多大な被害をもたらせるばかりであった。ひとびとは教授のせいだと言って、大学の研究所を襲い、教授を殺した。アナコンダや鰐たちは、冬になると死んでしまった。寒さに弱かったのである。これで話はおしまい。
3作目は、アレクサンドル・ベリャーエフの「髑髏蛾」主人公は昆虫学者。アマゾンで髑髏蛾を見るが、捕らえられず、その後ジャングルに15年間ひとりでこもって、さまざまな新種の昆虫の生態を調べていた。その知識は有益な性質のものだった。発見されて町に来させられるが、ジャングルを恋しく思う。
4作目は、エ・ゼリコーヴィチの「危険な発明」空気中の埃をゼロにする機械が発明された。スイッチが入れられると空気中の埃はゼロになった。しかし困ったことに、埃がゼロになると、雨が普通に降らなくなって、植物が育たなくなってしまった。もとに戻す機械が発明されたが、創った博士は雷で死んだ。
下巻さいごの5作目は、ゲ・グレブネフの「不死身人間」エマスフェラと名づけられた装置は、装着した人間に完璧なバリヤーを張る。主人公は、はじめ革命にそれを用いることに躊躇していたが、さいごに、どのようなものも、革命と無関係であることに気がつくのであった。
巻末に訳者によるエッセイが載っているが、ソビエトSFの初期についてのものだった。そういえば、上巻にも巻末に、ロシアSFについてのエッセイが載っていた。どちらも本文の短篇くらいの長さがあって、相当に詳しく述べられたものであった。
1作目は、アレクセイ・トルストイの「五人同盟」月を爆破して、株価を暴落させ、世界を恐慌に陥れようとした五人の人間がいる。月は割れて7つに分解した。ひとびとは恐慌に陥るどころか、躁状態で、おだやかに過ごしていた。五人は、こんなはずではなかったと思うが、世界は躁状態だった。
2作目は、ミハイル・ブルガーコフの「運命の卵」半年ほどまえに、新潮文庫の『犬の心臓・運命の卵』を読んだのだけれども、まったく憶えていなかったので、もう一度、この『ロシア・ソビエトSF傑作集』の下巻で読み直そうと思う。叙述がユーモアたっぷりなので、読んでて楽しい。動物学の教授が主人公。蛙の卵にあてた赤色の光線が、卵の繁殖力を驚異的なものにした。一方、ソビエトの鶏が病気になり、卵が孵らなくなってしまった。そこで、鶏の卵に、この赤色の光線をあてて雛を孵そうとしたのだが、届けられた卵はアナコンダの卵だったのである。10メートルのアナコンダ。そこに鰐も異常な繁殖力をもって、ひとびとを襲ったのであった。軍隊も出動したが、人民に多大な被害をもたらせるばかりであった。ひとびとは教授のせいだと言って、大学の研究所を襲い、教授を殺した。アナコンダや鰐たちは、冬になると死んでしまった。寒さに弱かったのである。これで話はおしまい。
3作目は、アレクサンドル・ベリャーエフの「髑髏蛾」主人公は昆虫学者。アマゾンで髑髏蛾を見るが、捕らえられず、その後ジャングルに15年間ひとりでこもって、さまざまな新種の昆虫の生態を調べていた。その知識は有益な性質のものだった。発見されて町に来させられるが、ジャングルを恋しく思う。
4作目は、エ・ゼリコーヴィチの「危険な発明」空気中の埃をゼロにする機械が発明された。スイッチが入れられると空気中の埃はゼロになった。しかし困ったことに、埃がゼロになると、雨が普通に降らなくなって、植物が育たなくなってしまった。もとに戻す機械が発明されたが、創った博士は雷で死んだ。
下巻さいごの5作目は、ゲ・グレブネフの「不死身人間」エマスフェラと名づけられた装置は、装着した人間に完璧なバリヤーを張る。主人公は、はじめ革命にそれを用いることに躊躇していたが、さいごに、どのようなものも、革命と無関係であることに気がつくのであった。
巻末に訳者によるエッセイが載っているが、ソビエトSFの初期についてのものだった。そういえば、上巻にも巻末に、ロシアSFについてのエッセイが載っていた。どちらも本文の短篇くらいの長さがあって、相当に詳しく述べられたものであった。