こりゃえーわー、というのが読みだしてからの感想です。他の本では抽象的にしか語られないストーリーの組み立て方が具体的に書かれていて、今執筆中の論文を早速見直しました。例として登場する論文の一文一文の「意義」について読者の心理にまで踏み込んで分析がなされており、目鱗でした。
英語に関しても、科学の記述に適した語彙が並べられており、ワンパターンな言い回しを避けたいときに参照できそうですし、福祉の使い方などのネイティブでも時々間違えるというような微妙な表現法についても解説されています。
本全体の構成は、イントロから入ってディスカッションに至るという論文特有の構成に特化しているので、科学文書一般を執筆することを想定した内容ではないのですが、応用はできると思います。
他のこの手の本は、研究者自身の手によるものがほとんどで、いわば先輩からの手ほどきなのですが、この本は文章書きを専門に教えている先生によるものなので、厚みが全然違います。例として抜粋されている論文も生物から工学まで広い範囲から収集されており、自分の専門分野の論文が登場した時はおもわずニヤリとなりますね。
インペリアルカレッジの授業が丸々つまっているわけですからこの値段は安いと思います。それにしても非ネイティブの学生のためにこのような授業を用意してくれるイギリスの大学ってすごいなと思いました。
残念なのは、訳があまりに拙速なことで、これで一点減点です。例えば、 the と a の使い分けで全く意味が変わってしまうという例文があるのですが、日本語訳では意味の違いが全然わからないです。例えば、
This effect may hide a connection between the two. の適切な訳は、「この効果は、この2つの間に、ある関係を隠し持っているかも知れない。」
This effect may hide the connection between the two. の適切な訳は、「この効果は、この2つの間の関係を、隠してしまっているかも知れない。」
だと思うのですが、本に掲載されている日本語訳ではほとんど同じ文になってしまっています。
また、「言いたい事」と「その表現法」の表があるのですが、あろうことか訳者は翻訳することを放棄してしまっています(訳できなかったのでは?)。
逆に、例として挙げられている論文に訳を付ける必要性は感じないのですが、わざわざ訳を付けてくれています。
素晴らしい内容だけに、訳のまずさは本当に残念。

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理系研究者のためのアカデミックライティング 単行本 – 2011/12/8
本書は、インペリアル・カレッジ・ロンドンの留学生向けの授業を紙上再現したものである!
ノンネイティブのために「ネイティブならではの文法やその使い分け」「論文の構成」など、
執筆手順に従って例題や課題学習を交えつつ科学論文執筆法を解説してくれる硬派な1冊だ。
ユニットごとに必須単語や表現がまとめられており、実践にも便利。
もくじ
訳者のことば
はじめに 本書の使用法
Unit 1 Introduction の書き方
Unit 2 Methodology の書き方
Unit 3 Results の書き方
Unit 4 Discussion/Conclusion の書き方
Unit 5 Abstract の書き方
参考文献および謝辞
役立つ参考文献およびさらに勉強を進めたい人のために
付録A 科学論文で用いられる略語
付録B 科学論文に用いられる接頭辞
付録C ラテン語、ギリシア語の単数形と複数形
付録D 役に立つ動詞
ノンネイティブのために「ネイティブならではの文法やその使い分け」「論文の構成」など、
執筆手順に従って例題や課題学習を交えつつ科学論文執筆法を解説してくれる硬派な1冊だ。
ユニットごとに必須単語や表現がまとめられており、実践にも便利。
もくじ
訳者のことば
はじめに 本書の使用法
Unit 1 Introduction の書き方
Unit 2 Methodology の書き方
Unit 3 Results の書き方
Unit 4 Discussion/Conclusion の書き方
Unit 5 Abstract の書き方
参考文献および謝辞
役立つ参考文献およびさらに勉強を進めたい人のために
付録A 科学論文で用いられる略語
付録B 科学論文に用いられる接頭辞
付録C ラテン語、ギリシア語の単数形と複数形
付録D 役に立つ動詞
- ISBN-104489021186
- ISBN-13978-4489021183
- 出版社東京図書
- 発売日2011/12/8
- 言語日本語
- 寸法14.8 x 1.9 x 21 cm
- 本の長さ368ページ
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商品の説明
出版社からのコメント
「訳者のことば」より
本書はScience Research Writing for Non-Native Speakers of English (Imperial College Press)の全訳です。
著者のHilary Glasman-Deal は長年 にわたり、英国のインペリアル・カレッジ・ロンドンにおいて科学英語の授業、
および非英語圏からの留学生に対する論文執筆指導を行っており、本書はその内容をテキストとしてまとめたものです。
いわゆるAcademic Writingに関する本ですが、論文の書き方というよりも、論文を書く際の英 語の使い方に重点が置かれている点が他書と異なっています。
現在英語で書かれたAcademic Writingのテキストは、native speaker向けの文章作成術の本が多く、
一方、日本で出版されている科学英語の書籍は、プロの研究者が自身の英文を校正する際の参考になる事例集か、
学生が論文を書く際の心構えや論文で多用される頻出表現について解説したものの両極端に分化しています。
日本の学生が大学入学までに培った英語力をベー スに、専門的な研究内容をnative speaker と同レベルで論文として書けるようになるためには、
どのような知識が必要で、どのようなトレーニングを積めばよいのか、スムーズに指導してくれる手引書はほとんど見あたりません。
本書はこの要求を十分に満足してくれます。
本書では、論文中で現在時制と過去時制をどのように使い分けるか、受動 態はどのような際に用いるべきなのか、といった文法解説や、
語感を踏まえた同義語の使い分けにも言及しています。
たとえば、多くの日本人が「現在完了は、継続、経験、完了を表す」といった表層的な説明で理解しているところを、
「現在完了は、過去の事象そのものでなく、それが現在どのような影響をおよぼしているかに関心があるときに用いる」という、
より深層の次 元から説明しており、native speakerの発想法まで学ぶことができます。
テキストに出てくる例文はすべて実際の科学論文から引用されており、練習問題形式でステップを踏んで、学ぶことができます。
以上のように、本書は非英語圏出身の学生が英語で科学論文を書く際の必要かつ十分な知識や技法について解説してありますので、
研究を始めたばかりの学生だけでなく、実際の日本人研究者が達意の英語で科学論文を書く際にもおおいに参考になると思われます。(以下、略)
本書はScience Research Writing for Non-Native Speakers of English (Imperial College Press)の全訳です。
著者のHilary Glasman-Deal は長年 にわたり、英国のインペリアル・カレッジ・ロンドンにおいて科学英語の授業、
および非英語圏からの留学生に対する論文執筆指導を行っており、本書はその内容をテキストとしてまとめたものです。
いわゆるAcademic Writingに関する本ですが、論文の書き方というよりも、論文を書く際の英 語の使い方に重点が置かれている点が他書と異なっています。
現在英語で書かれたAcademic Writingのテキストは、native speaker向けの文章作成術の本が多く、
一方、日本で出版されている科学英語の書籍は、プロの研究者が自身の英文を校正する際の参考になる事例集か、
学生が論文を書く際の心構えや論文で多用される頻出表現について解説したものの両極端に分化しています。
日本の学生が大学入学までに培った英語力をベー スに、専門的な研究内容をnative speaker と同レベルで論文として書けるようになるためには、
どのような知識が必要で、どのようなトレーニングを積めばよいのか、スムーズに指導してくれる手引書はほとんど見あたりません。
本書はこの要求を十分に満足してくれます。
本書では、論文中で現在時制と過去時制をどのように使い分けるか、受動 態はどのような際に用いるべきなのか、といった文法解説や、
語感を踏まえた同義語の使い分けにも言及しています。
たとえば、多くの日本人が「現在完了は、継続、経験、完了を表す」といった表層的な説明で理解しているところを、
「現在完了は、過去の事象そのものでなく、それが現在どのような影響をおよぼしているかに関心があるときに用いる」という、
より深層の次 元から説明しており、native speakerの発想法まで学ぶことができます。
テキストに出てくる例文はすべて実際の科学論文から引用されており、練習問題形式でステップを踏んで、学ぶことができます。
以上のように、本書は非英語圏出身の学生が英語で科学論文を書く際の必要かつ十分な知識や技法について解説してありますので、
研究を始めたばかりの学生だけでなく、実際の日本人研究者が達意の英語で科学論文を書く際にもおおいに参考になると思われます。(以下、略)
著者について
甲斐基文(かい もとふみ)
東京薬科大学生命科学部教授(言語科学研究室)。フランス語学、ロマンス語学専攻。
1986年上智大学文学部フランス文学科卒業。
1988年日本国文部省給費奨学生としてフランスに留学。
1989年パリ第III大学Ma?trise 習得(Lettres modernes : option linguistique)。
1990年東京外国語大学大学院外国語学研究科ロマンス系言語専攻フランス語コース修了(文学修士)。
2000年パリ第III大学D.E.A. 習得(Sciences du Langage)。
1994年甲南女子大学文学部フランス文学科専任講師。
2007年同教授を経て、2009年9月より現職。
これまでに東京外国語大学、東京家政大学、甲南大学、青山学院大学等で非常勤講師を歴任。
海外経験なしで英検1級、仏検1級を取得。他にイタリア語とスペイン語もあやつる。
主な著書に、大学初級フランス語テキスト『メビウス』(第三書房)をはじめ、
『フランス語を考える─フランス語学の諸問題II』、『フランス語を探る─フランス語学の諸問題III』(分担執筆、いずれも三修社)がある。
日本バレーボール協会公認審判員としてVリーグをはじめ、世界選手権、ワールドカップ等の国際試合にも出場経験多数あり。
小島正樹(こじま まさき)
東京薬科大学生命科学部教授(生物情報科学研究室)
1990 年 東京大学理学部生物化学科卒。
1995 年 同大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。
東京薬科大学生命科学部助手、講師、助教授、岩手医科大学薬学部准教授を経て現職。
専門は生物物理学、生命情報科学。
著書に『ライフサイエンス基礎実験』(分担執筆、丸善)、『生物物理学ハンドブック』(分担執筆、朝倉書店)、
『未来の治療に向かって─生命医科学の挑戦』(分担執筆、東京化学同人)、訳書に『物理生化学』(共訳、van Holde 他著、医学出版)がある。
東京薬科大学生命科学部教授(言語科学研究室)。フランス語学、ロマンス語学専攻。
1986年上智大学文学部フランス文学科卒業。
1988年日本国文部省給費奨学生としてフランスに留学。
1989年パリ第III大学Ma?trise 習得(Lettres modernes : option linguistique)。
1990年東京外国語大学大学院外国語学研究科ロマンス系言語専攻フランス語コース修了(文学修士)。
2000年パリ第III大学D.E.A. 習得(Sciences du Langage)。
1994年甲南女子大学文学部フランス文学科専任講師。
2007年同教授を経て、2009年9月より現職。
これまでに東京外国語大学、東京家政大学、甲南大学、青山学院大学等で非常勤講師を歴任。
海外経験なしで英検1級、仏検1級を取得。他にイタリア語とスペイン語もあやつる。
主な著書に、大学初級フランス語テキスト『メビウス』(第三書房)をはじめ、
『フランス語を考える─フランス語学の諸問題II』、『フランス語を探る─フランス語学の諸問題III』(分担執筆、いずれも三修社)がある。
日本バレーボール協会公認審判員としてVリーグをはじめ、世界選手権、ワールドカップ等の国際試合にも出場経験多数あり。
小島正樹(こじま まさき)
東京薬科大学生命科学部教授(生物情報科学研究室)
1990 年 東京大学理学部生物化学科卒。
1995 年 同大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。
東京薬科大学生命科学部助手、講師、助教授、岩手医科大学薬学部准教授を経て現職。
専門は生物物理学、生命情報科学。
著書に『ライフサイエンス基礎実験』(分担執筆、丸善)、『生物物理学ハンドブック』(分担執筆、朝倉書店)、
『未来の治療に向かって─生命医科学の挑戦』(分担執筆、東京化学同人)、訳書に『物理生化学』(共訳、van Holde 他著、医学出版)がある。
登録情報
- 出版社 : 東京図書 (2011/12/8)
- 発売日 : 2011/12/8
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 368ページ
- ISBN-10 : 4489021186
- ISBN-13 : 978-4489021183
- 寸法 : 14.8 x 1.9 x 21 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 318,298位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 40位科学技術の参考図書・白書
- - 2,361位英語よみもの
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年7月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2016年5月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一読したのですが、頭に入ってきませんでした。
訳が読みにくいのだと思います。
原著に当たることをお勧めします。日本語訳を読んで頭をひねっているより、かえって早いのではと感じました。
日本語訳を読むとしたら、原著が分かりにくいときの参考とするぐらいがいいのではないでしょうか。
この本に限らず、ネイティブの書いた英文/論文ライティングのテキストで、読みやすく翻訳されている本を滅多に見ません。
もし読みにくいと感じたら深追いしないことをおすすめします。
訳が読みにくいのだと思います。
原著に当たることをお勧めします。日本語訳を読んで頭をひねっているより、かえって早いのではと感じました。
日本語訳を読むとしたら、原著が分かりにくいときの参考とするぐらいがいいのではないでしょうか。
この本に限らず、ネイティブの書いた英文/論文ライティングのテキストで、読みやすく翻訳されている本を滅多に見ません。
もし読みにくいと感じたら深追いしないことをおすすめします。
2011年12月17日に日本でレビュー済み
本書は「
Science Research Writing: A Guide for Non-Native Speakers of English
」の翻訳です。そちらのレビューを再掲します。英語原本を読み通すのに苦労する読者層、初めて英語論文を書く理系研究者(の卵)の方にオススメできます!
Non-native speaker向けに科学英語ライティングを教えてきた著者によるガイド本です。とても分かりやすい自習書です。
【主要目次】
* Introduction: How to Use This Book
* How to Write an Introduction
* Writing about Methodology
* Writing about Results
* Writing the Discussion/Conclusion
* Writing the Abstract
* Appendices
英語論文の各章(abstract, introduction, methodology, results, discussion/conclusion)をどういう話の流れで書くのか、その時によく用いられる構文(言い回し)や単語の解説、文法的な注意事項(例:時制によるニュアンスの持たせ方、冠詞の使い分け…)、等々、よく練られた解説が読めます。とくに論旨の運び方は学ぶところがありますね。"Show your reader the wall before you begin to examine the bricks."(話の全体像を見せてから 詳細に入るべし、という意味)は、科学論文に限らず口頭発表の際でも重要ですね。
Imperial College Pressのサイト([...])に見本("Unit 1: How to Write an Introduction")がありますので、ご購入の検討の際にご覧になると良いでしょう。もし本書の和訳本が出たら、多分 人気が出るでしょうね。
Non-native speaker向けに科学英語ライティングを教えてきた著者によるガイド本です。とても分かりやすい自習書です。
【主要目次】
* Introduction: How to Use This Book
* How to Write an Introduction
* Writing about Methodology
* Writing about Results
* Writing the Discussion/Conclusion
* Writing the Abstract
* Appendices
英語論文の各章(abstract, introduction, methodology, results, discussion/conclusion)をどういう話の流れで書くのか、その時によく用いられる構文(言い回し)や単語の解説、文法的な注意事項(例:時制によるニュアンスの持たせ方、冠詞の使い分け…)、等々、よく練られた解説が読めます。とくに論旨の運び方は学ぶところがありますね。"Show your reader the wall before you begin to examine the bricks."(話の全体像を見せてから 詳細に入るべし、という意味)は、科学論文に限らず口頭発表の際でも重要ですね。
Imperial College Pressのサイト([...])に見本("Unit 1: How to Write an Introduction")がありますので、ご購入の検討の際にご覧になると良いでしょう。もし本書の和訳本が出たら、多分 人気が出るでしょうね。
2018年1月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ところどころ訳がわかりにくいところがあります.特に,論文の結果の章に方法の記述をするのが通常であるというような記述は学生が誤解するので困っています.
2013年7月6日に日本でレビュー済み
論文の構成(IMRaD)に関する良質な本である。科学技術英語の読解の本であり、他の方が決定版とおっしゃっているように、本当に決定版だと思う。(評者は、書店にて本書を購入し、きちんと読みました。)理系学部生のリーディング教材として最適であろう。
科学技術論文は、IMRaDといわれる構成を取る。IMRaD型の文章は、その名の示すように骨格部が、少なくともIntroduction, Methods, Results, Discussionの4つのパートに分かれている。それぞれのパートにおいて
Introduction:先行研究の流れはどのようになっているのか?その流れの中で自分の研究が何を明らかにしようとしているのか?
Method:そのためにどのような手法を用いたのか?
Result:その結果どのようなデータが得られたか?
Discussion:得られたデータから何を意味しているか?何が結論づけられるか?
が論じられるということは、周知のとおりである。この本でも同様のことが述べられている。
しかしながら、模範とすべき手ごろな論文(モデル論文)を挙げ、モデル論文のそれぞれのパートの中の内部構造を分析、モデル化(ムーブ分析)した本は少数派で(知る限り以下の[2][3]及び部分的ではあるが[4]ぐらいしかないと思う)、現実の論文に対してこのようなムーブ分析をやってみせた本は、さらに少数派だ(知る限り以下の[3]と、部分的ではあるが[4]ぐらいしかないと思う)。
特に、モデル論文に訳がついていることと、モデル論文が様々な分野から選ばれているのが良い。
私らの世代は、「自分の分野の論文数編を読めば、論文の書き方などそのうち分かるであろう」等と言われ(確かに間違ってはいないが)、学部4年ぐらいになったら、教官ですらまともに読んでるかどうか怪しい、出たばかりの英語の論文をボンと10篇ぐらい渡されて、予備知識も英語力もないまま無理くり読んでいた。その際、多くの者は、それぞれのIMRDごとの内部構造を追ったり、用語を調べたり、意味の把握で悩んだりとしながら、ロジック、英文の表現を自力で分析していき、誤りを含みながらの暗中模索であった。訳のない原著論文を大量に渡されて頭が真っ白になった時に、本屋で片っ端から英語の本を探し、そのとき唯一使い物になりそうだと思ったのが受験英語のテキスト「富田の英文読解100の原則」だったという笑えない話もいい思い出。(その後、論文の構造や科学的な方法に関する本や、文レベルでの英語に着目した河本 健先生の素晴らしい諸著作が出てきてだいぶ改善した。)
この本を使うと、初めて論文を読むという難所を補助輪つきで学べる。そういう意味で言うと、挫折回避という意味でも、これから初めて科学技術英語に接する学生さんが、まず最初に手に取る本として、最適だと思う。理系文系問わず、学部教育の早い段階でこの本に取り組んでもらいたい。特に読解から入りたい人には最善の選択肢のように思う。原書は、TOEFL100点以上ぐらいを想定して書かれているらしいが、地の文は和訳されていて、モデル論文(英語)には和訳がついているので、必要な英語力として「富田の英文読解100の原則(言語学的にいうとVerb patternに相当するものの見方を中心に議論をしているきわめて珍しい受験参考書で、生成文法とかいった奥の院には入り込んでいない良書)」ぐらいの予備知識があれば充分お釣りが来ると思います。
ただ、本書は、研究のやりかた(科学的方法)についての記述が薄いので、一通り学んだあとは、[1],[5-7]のような本でそういった点を補足するとよりよいでしょう。文レベルの知識(前置詞と動詞の組み合わせ、Verb pattern等)が必要な場合には、河本 健先生の諸著作(初学者向けというのなら、「ライフサイエンス論文作成のための英文法」がお薦め。リスニングならば「ポール・アンダーセンの生命科学英語入門」もお薦めです。本書のレベルは原著がTOEFL100点以上とされるが、和訳がつくのでTOEFLのスコアに関わらず(英語力によらず)学べるものは多いと思う。しかし、冷静に考えれ見ると「論理的な文書の書き方、読み方」という観点もTOEFLの評価観点の一つである。こういうスキルがない人にしてみては、一体なんでこんなことをに注意せねばならぬかさえわからないかもしれない。本書で述べられているIMRaD形式が難しいと思った方は、”ファイブパラフラフエッセイ”というものを以下の参考書を用いて学んでみるとよいと思われる。
<論文英語ライティング(文章全体レベル)に関するもの>
[1] 東京大学教養学部ALESSプログラム (編集) 「Active English for Science: 英語で科学する―レポート,論文,プレゼンテーション 」東京大学出版会 (2012/10) [ほぼ全文が英語]
[2] アメリカ心理学会 (著), 前田 樹海 (翻訳) ,江藤 裕之 (翻訳), 田中 建彦 (翻訳) ;「APA論文作成マニュアル 第2版 」 医学書院 (2011/03)
[3] 野口 ジュディー (著),岡本 真由美 (著) ,深山 晶子 (著); 「理系たまごシリーズ(3)理系英語のライティング 」アルク (2007/03)
[4]田地野 彰 (編集), Tim Stewart (原著), David Dalsky (原著) ;「Writing for Academic Purposes―英作文を卒業して英語論文を書く」ひつじ書房 (2010/04) [ほぼ全文が英語]
<科学的なものの見方、考え方に関するもの>
[5]戸田山 和久;『「科学的思考」のレッスン学校で教えてくれないサイエンス』 (NHK出版新書) 2011/11/8
[6]Tracey Greenwood, Lissa Bainbridge-Smith, 他著, 後藤太一郎 監訳 「ワークブックで学ぶ 生物学実験の基礎」オーム社 (2014/10/25)
[7]小山田 耕二 (著), 日置 尋久 (著), 古賀 崇 (著), 持元 江津子 (著) ;「研究ベース学習」コロナ社(2011/5/24)
<ファイブパラグラフエッセエッセイに関するもの>
[8]リーパーすみ子 (著), 横川綾子 (著) ;「アメリカ人なら小学校で学ぶ 英文ライティング入門」アルク (2014/8/8)
[9]笠井 照彦 (著) ;「高校受験 英語長文を論理的に読み解く本 」 中経出版 (2013/8/21)
科学技術論文は、IMRaDといわれる構成を取る。IMRaD型の文章は、その名の示すように骨格部が、少なくともIntroduction, Methods, Results, Discussionの4つのパートに分かれている。それぞれのパートにおいて
Introduction:先行研究の流れはどのようになっているのか?その流れの中で自分の研究が何を明らかにしようとしているのか?
Method:そのためにどのような手法を用いたのか?
Result:その結果どのようなデータが得られたか?
Discussion:得られたデータから何を意味しているか?何が結論づけられるか?
が論じられるということは、周知のとおりである。この本でも同様のことが述べられている。
しかしながら、模範とすべき手ごろな論文(モデル論文)を挙げ、モデル論文のそれぞれのパートの中の内部構造を分析、モデル化(ムーブ分析)した本は少数派で(知る限り以下の[2][3]及び部分的ではあるが[4]ぐらいしかないと思う)、現実の論文に対してこのようなムーブ分析をやってみせた本は、さらに少数派だ(知る限り以下の[3]と、部分的ではあるが[4]ぐらいしかないと思う)。
特に、モデル論文に訳がついていることと、モデル論文が様々な分野から選ばれているのが良い。
私らの世代は、「自分の分野の論文数編を読めば、論文の書き方などそのうち分かるであろう」等と言われ(確かに間違ってはいないが)、学部4年ぐらいになったら、教官ですらまともに読んでるかどうか怪しい、出たばかりの英語の論文をボンと10篇ぐらい渡されて、予備知識も英語力もないまま無理くり読んでいた。その際、多くの者は、それぞれのIMRDごとの内部構造を追ったり、用語を調べたり、意味の把握で悩んだりとしながら、ロジック、英文の表現を自力で分析していき、誤りを含みながらの暗中模索であった。訳のない原著論文を大量に渡されて頭が真っ白になった時に、本屋で片っ端から英語の本を探し、そのとき唯一使い物になりそうだと思ったのが受験英語のテキスト「富田の英文読解100の原則」だったという笑えない話もいい思い出。(その後、論文の構造や科学的な方法に関する本や、文レベルでの英語に着目した河本 健先生の素晴らしい諸著作が出てきてだいぶ改善した。)
この本を使うと、初めて論文を読むという難所を補助輪つきで学べる。そういう意味で言うと、挫折回避という意味でも、これから初めて科学技術英語に接する学生さんが、まず最初に手に取る本として、最適だと思う。理系文系問わず、学部教育の早い段階でこの本に取り組んでもらいたい。特に読解から入りたい人には最善の選択肢のように思う。原書は、TOEFL100点以上ぐらいを想定して書かれているらしいが、地の文は和訳されていて、モデル論文(英語)には和訳がついているので、必要な英語力として「富田の英文読解100の原則(言語学的にいうとVerb patternに相当するものの見方を中心に議論をしているきわめて珍しい受験参考書で、生成文法とかいった奥の院には入り込んでいない良書)」ぐらいの予備知識があれば充分お釣りが来ると思います。
ただ、本書は、研究のやりかた(科学的方法)についての記述が薄いので、一通り学んだあとは、[1],[5-7]のような本でそういった点を補足するとよりよいでしょう。文レベルの知識(前置詞と動詞の組み合わせ、Verb pattern等)が必要な場合には、河本 健先生の諸著作(初学者向けというのなら、「ライフサイエンス論文作成のための英文法」がお薦め。リスニングならば「ポール・アンダーセンの生命科学英語入門」もお薦めです。本書のレベルは原著がTOEFL100点以上とされるが、和訳がつくのでTOEFLのスコアに関わらず(英語力によらず)学べるものは多いと思う。しかし、冷静に考えれ見ると「論理的な文書の書き方、読み方」という観点もTOEFLの評価観点の一つである。こういうスキルがない人にしてみては、一体なんでこんなことをに注意せねばならぬかさえわからないかもしれない。本書で述べられているIMRaD形式が難しいと思った方は、”ファイブパラフラフエッセイ”というものを以下の参考書を用いて学んでみるとよいと思われる。
<論文英語ライティング(文章全体レベル)に関するもの>
[1] 東京大学教養学部ALESSプログラム (編集) 「Active English for Science: 英語で科学する―レポート,論文,プレゼンテーション 」東京大学出版会 (2012/10) [ほぼ全文が英語]
[2] アメリカ心理学会 (著), 前田 樹海 (翻訳) ,江藤 裕之 (翻訳), 田中 建彦 (翻訳) ;「APA論文作成マニュアル 第2版 」 医学書院 (2011/03)
[3] 野口 ジュディー (著),岡本 真由美 (著) ,深山 晶子 (著); 「理系たまごシリーズ(3)理系英語のライティング 」アルク (2007/03)
[4]田地野 彰 (編集), Tim Stewart (原著), David Dalsky (原著) ;「Writing for Academic Purposes―英作文を卒業して英語論文を書く」ひつじ書房 (2010/04) [ほぼ全文が英語]
<科学的なものの見方、考え方に関するもの>
[5]戸田山 和久;『「科学的思考」のレッスン学校で教えてくれないサイエンス』 (NHK出版新書) 2011/11/8
[6]Tracey Greenwood, Lissa Bainbridge-Smith, 他著, 後藤太一郎 監訳 「ワークブックで学ぶ 生物学実験の基礎」オーム社 (2014/10/25)
[7]小山田 耕二 (著), 日置 尋久 (著), 古賀 崇 (著), 持元 江津子 (著) ;「研究ベース学習」コロナ社(2011/5/24)
<ファイブパラグラフエッセエッセイに関するもの>
[8]リーパーすみ子 (著), 横川綾子 (著) ;「アメリカ人なら小学校で学ぶ 英文ライティング入門」アルク (2014/8/8)
[9]笠井 照彦 (著) ;「高校受験 英語長文を論理的に読み解く本 」 中経出版 (2013/8/21)
2014年2月12日に日本でレビュー済み
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とても勉強にはなりました。
しかしながら、途中読みづらい箇所がいくつかあったりしました。
私の能力のせいかもしれませんが…
しかしながら、途中読みづらい箇所がいくつかあったりしました。
私の能力のせいかもしれませんが…