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ワーク・フェア―雇用劣化・階層社会からの脱却 単行本 – 2007/7/6
山田 久
(著)
2002年以降、日本経済は回復傾向を続けている。企業の経常利益は史上最高水準を記録し、設備投資も拡大局面に入った。昨年11月には「いざなぎ景気」を凌駕して、戦後最長の景気拡大期間を更新中である。悪化していた失業率も回復傾向を示し、「量」的な面では雇用問題は解消したようにみえる。だが一方、非正規労働者の増加、若年就労問題など、雇用の「質」の面では劣化が進んでいる。中年フリーター、ワーキングプアといった深刻な問題も顕在化し、平等社会を誇った日本はいま「階層社会」への瀬戸際にある。いわゆる「格差問題」がしきりに取り上げられ、構造改革路線の見直しを求める声もあがっている。だが、日本を取りまく経済環境の激変を踏まえれば、構造改革路線は後戻りできないし、するべきではない。構造改革のプラス面も正当に評価した上で、経済改革で生じた社会的な「ゆがみ」を直す必要がある。そして、その切り札となるのが、本書で提示する「ワーク・フェア」なのである。
この言葉のもとになった「ワークフェア(Workfare)」とは、もともと米国で社会保障給付をする際に就労義務を課すことを意味していた。その後、各種就労支援も含む政策を指すようになり、欧米で「成長と福祉の両立」において成果を挙げている。わが国でも、このコンセプトを、1就労形態の多様化、2就労可能性を高める職業訓練の重視、3福祉受給対象者に対する就労インセンティブの給付、4勤労者の仕事と育児・家事の両立支援、5「同一価値労働・同一賃金原則」への収束――の5本柱により拡充したものを、新しい経済社会の基本理念とすることが求められている。そして、これを実行することが、喫緊の課題である「若年就労問題への対応」「貧困層の解消」「少子化への対抗策」となることはもちろん、いま話題の「年金制度の信頼回復」にもつながる。
こうした政策は、福祉のみならず経済の面でも大きな効果をもたらす。構造改革・経済再生の成果を企業部門だけでなく、国民全体が享受することにもつながり、そのことがまた経済全体を押し上げるというプラスの循環が生まれるからだ。また、本書で示しているように、企業サイドもこうしたワーク・フェアの理念をマネジメントの基本哲学に据えることが、企業価値を高めることにもなる。このように、雇用・労働面にみられる様々な問題を通して、日本に迫る危機を明らかにし、国と企業と個人の新たな成長・繁栄の道筋を示したのが本書なのである。
この言葉のもとになった「ワークフェア(Workfare)」とは、もともと米国で社会保障給付をする際に就労義務を課すことを意味していた。その後、各種就労支援も含む政策を指すようになり、欧米で「成長と福祉の両立」において成果を挙げている。わが国でも、このコンセプトを、1就労形態の多様化、2就労可能性を高める職業訓練の重視、3福祉受給対象者に対する就労インセンティブの給付、4勤労者の仕事と育児・家事の両立支援、5「同一価値労働・同一賃金原則」への収束――の5本柱により拡充したものを、新しい経済社会の基本理念とすることが求められている。そして、これを実行することが、喫緊の課題である「若年就労問題への対応」「貧困層の解消」「少子化への対抗策」となることはもちろん、いま話題の「年金制度の信頼回復」にもつながる。
こうした政策は、福祉のみならず経済の面でも大きな効果をもたらす。構造改革・経済再生の成果を企業部門だけでなく、国民全体が享受することにもつながり、そのことがまた経済全体を押し上げるというプラスの循環が生まれるからだ。また、本書で示しているように、企業サイドもこうしたワーク・フェアの理念をマネジメントの基本哲学に据えることが、企業価値を高めることにもなる。このように、雇用・労働面にみられる様々な問題を通して、日本に迫る危機を明らかにし、国と企業と個人の新たな成長・繁栄の道筋を示したのが本書なのである。
- 本の長さ284ページ
- 言語日本語
- 出版社東洋経済新報社
- 発売日2007/7/6
- ISBN-104492394869
- ISBN-13978-4492394861
登録情報
- 出版社 : 東洋経済新報社 (2007/7/6)
- 発売日 : 2007/7/6
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 284ページ
- ISBN-10 : 4492394869
- ISBN-13 : 978-4492394861
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,522,437位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 310位総務・人事・労務管理の労働問題
- - 30,635位社会学概論
- カスタマーレビュー:
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2017年12月10日に日本でレビュー済み
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あとがきにも書かれているように,エコノミストとしての問題意識から,雇用問題が本質的には「産業・企業」の問題であると同時に「人が生活していく上での最も基礎的な条件」であることに気付いたという著者の問題意識が,非常に緻密に検討・著述されていると思う。エコノミスト以外の領域,例えば臨床心理学の観点からも,人々の「生きがい」「居場所」をどのように作り上げていくのかを考えていく上で,大変参考になる。是非,最近のデータに基づく新しい著作を希望したい。
2008年7月27日に日本でレビュー済み
社会・労働システムに関する提言型レポート。著者は日本総研の研究員。論理構築がしっかりしていて読みやすい。裏付け情報も自分なりに咀嚼・吟味されており、この分野での確かな研究実績を窺わせる。労働問題に関する昨今の状況は、この一冊を読めば大枠が整理できよう。
ワークフェア実現のための解決策は、1.理念を確立し、2.インフラ・システムを整え、3.ソフト面の施策によってボトムアップを推し進める、という主張。正社員・非正規社員の垣根を崩して底上げを図るという理屈は理解できるが、どどのとまりが「コミュニティカレッジ」「キャリア自立支援」というのがちょっと弱いなあと思う。シンクタンクが無茶を論じるわけにもいかないし、こんな落とし所が妥当なのかもしれないが。
ワークフェア実現のための解決策は、1.理念を確立し、2.インフラ・システムを整え、3.ソフト面の施策によってボトムアップを推し進める、という主張。正社員・非正規社員の垣根を崩して底上げを図るという理屈は理解できるが、どどのとまりが「コミュニティカレッジ」「キャリア自立支援」というのがちょっと弱いなあと思う。シンクタンクが無茶を論じるわけにもいかないし、こんな落とし所が妥当なのかもしれないが。