元マッキンゼーでXEED代表の波頭亮氏と、元ボストンコンサルティングで産業再生機構COO等を歴任し経営共創基盤代表の冨山和彦氏の対談。
長年、ビジネスコンサルティングを手がけてきた両者だけに、東京デジタルホン(現ソフトバンク)やカネボウを巡る経営戦略の具体的な話しなど、興味深い話しが多い。
近年では事業会社でもMBAホルダーが増えており、経営企画部署でもコンサルのノウハウを既に持っている。そのために、コンサル業界では純粋な戦略案件は少なくなっており、戦略立案することよりも、それをエグゼキューション(実行、実現)することに意味がある、という箇所は目から鱗だった。
現場での経験を大切にしつつ、コンサルとして本当に深いところまで思考してきた2人なので、ビジネスのプロフェッショナルにとって刺激になる内容である。
ただ、「俺らすごい(すごかった)」という補正が掛かっている箇所も多く見受けられる。
特に、「最近の若い者は・・・」という説教じみた箇所もあるので、そういうのが嫌いな人は読まない方がよいかもしれない。
恐らくは、2人が代表を務めるファームの若手コンサルには、「少年少女探偵団」しかいないというだけなのだろう。
自社の若手の無能さをさらけ出すのはどうかと思うが。。。
もしくは、本気で若手コンサルにはビジネスを実現する力がないと思っているのなら、波頭氏と冨山氏は、もはや耄碌しているというだけのこと。
こういう昔話に花を咲かせるおっさん共を相手にするのが、これからの若手コンサルの仕事でもある。
説教を話半分に受け流し、大事なところは真摯に耳を傾けることができる人であれば、面白く読めてためになる一冊。
以下、気になった点のメモ。
日本の一律平等の社会では、リーダーが生まれない。外部から来た「青い目の人」や、黒い目の青い目みたいな人である、外国に島流しされていた人や、組織の中で傍流の人が、企業の危機を救うリーダーになれる。
ビジネススクールで学んだ知識は、コンサルタントとして必要なノウハウの10分の1しかない。
3か月に1つずつ、年4つのマスターを取るくらいの勉強が必要。
歴史を知ることで、当事者意識を持ち、自分だったらどうかを考えるためのレッスンとなる。正史じゃない鬼や裏史のことが分かって、実態が分かる。網野史観など。
現場を知ることで、世の中が分かる。「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」という発見の連続。
どんなに知識を身につけたって、人間を語ることはできない。「なぜ」を突き詰めることで、論理的でない、情理(情の理屈)まで分かる。
当事者意識を持ち、ロジックじゃないところまで思考して、解答がある。
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プロフェッショナルコンサルティング 単行本 – 2011/5/27
この2人だから話せる
経営のリアルとコンサルティングの真髄
企業のトップマネジメントの仕事が今後ますます高度化・複雑化する中で、
若手コンサルタントや次代を担うビジネスリーダーは今、何を身に付け、
いかに行動するべきか。
戦略系コンサルタントの第1人者・波頭亮氏と、企業再生の実践派コンサル
タント・冨山和彦氏が、コンサルティングの心髄を解き明かす! カネボウ
再生の決め手となったたった1行のソリューション、NTTドコモと
東京デジタルホンのケーススタディ、などこの2人だから話せる経営の
リアルが語り尽くされた対談。
経営のリアルとコンサルティングの真髄
企業のトップマネジメントの仕事が今後ますます高度化・複雑化する中で、
若手コンサルタントや次代を担うビジネスリーダーは今、何を身に付け、
いかに行動するべきか。
戦略系コンサルタントの第1人者・波頭亮氏と、企業再生の実践派コンサル
タント・冨山和彦氏が、コンサルティングの心髄を解き明かす! カネボウ
再生の決め手となったたった1行のソリューション、NTTドコモと
東京デジタルホンのケーススタディ、などこの2人だから話せる経営の
リアルが語り尽くされた対談。
- 本の長さ255ページ
- 言語日本語
- 出版社東洋経済新報社
- 発売日2011/5/27
- 寸法13.3 x 1.8 x 18.8 cm
- ISBN-104492556915
- ISBN-13978-4492556917
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商品の説明
著者について
波頭 亮(はとう・りょう)
1957年生まれ。東京大学経済学部経済学科卒業。82年マッキンゼー・アンド・
カンパニー入社。88年コンサルティング会社XEEDを設立。幅広い分野における
戦略系コンサルティングの第一人者として活動を続ける。また、明快で斬新な
ヴィジョンを提起するソシオエコノミストとしても注目されている。
著書に『成熟日本への進路』『プロフェッショナル原論』(いずれもちくま新書)、
『リーダーシップ構造論』『戦略策定概論』『組織設計概論』(いずれも産能
大学出版部)、『日本人の精神と資本主義の倫理』(茂木健一郎氏との共著、
幻冬舎新書)などがある。
冨山和彦(とやま・かずひこ)
1960年生まれ。東京大学法学部卒、スタンフォード大学経営学修士。
ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクション代表取締役
社長を経て、2003年、産業再生機構設立時に参画しCOOに就任。解散後、
経営共創基盤(IGPI)を設立、代表取締役CEOに就任。数多くの企業の経営改革や
成長支援に携わり、現在に至る。
オムロン社外取締役、ぴあ社外取締役、
朝日新聞社社外監査役、財務省「財政制度審議会」専門委員、文部科学省
「科学技術学術審議会」委員などを務める。
著書に『挫折力』(PHP新書)、『会社維新』(朝日新聞出版)などがある。
1957年生まれ。東京大学経済学部経済学科卒業。82年マッキンゼー・アンド・
カンパニー入社。88年コンサルティング会社XEEDを設立。幅広い分野における
戦略系コンサルティングの第一人者として活動を続ける。また、明快で斬新な
ヴィジョンを提起するソシオエコノミストとしても注目されている。
著書に『成熟日本への進路』『プロフェッショナル原論』(いずれもちくま新書)、
『リーダーシップ構造論』『戦略策定概論』『組織設計概論』(いずれも産能
大学出版部)、『日本人の精神と資本主義の倫理』(茂木健一郎氏との共著、
幻冬舎新書)などがある。
冨山和彦(とやま・かずひこ)
1960年生まれ。東京大学法学部卒、スタンフォード大学経営学修士。
ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクション代表取締役
社長を経て、2003年、産業再生機構設立時に参画しCOOに就任。解散後、
経営共創基盤(IGPI)を設立、代表取締役CEOに就任。数多くの企業の経営改革や
成長支援に携わり、現在に至る。
オムロン社外取締役、ぴあ社外取締役、
朝日新聞社社外監査役、財務省「財政制度審議会」専門委員、文部科学省
「科学技術学術審議会」委員などを務める。
著書に『挫折力』(PHP新書)、『会社維新』(朝日新聞出版)などがある。
登録情報
- 出版社 : 東洋経済新報社 (2011/5/27)
- 発売日 : 2011/5/27
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 255ページ
- ISBN-10 : 4492556915
- ISBN-13 : 978-4492556917
- 寸法 : 13.3 x 1.8 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 50,336位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 4,856位投資・金融・会社経営 (本)
- カスタマーレビュー:
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2012年10月27日に日本でレビュー済み
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2022年2月11日に日本でレビュー済み
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合理性と情理性の両方を実経験を元に養い続けて初めて、プロフェッショナルであり得るということを学んだ。、
2021年10月10日に日本でレビュー済み
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鋭いトップレベルのビジネスコンサルタントの会話は始めは面白いが、自慢話の様相にもなってしまい、途中から退屈でした。
2012年12月4日に日本でレビュー済み
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波頭氏があとがきに書いているように「経営の核心が執行力」にうつってきたということそのための冨山氏・波頭氏それぞれの手段、そして、ファクト・論理・情理を徹底的に検証していくという主張には非常に共感する。企業の事業領域・規模にもよるが、単純に戦略だけの勝負ではないというのはその通りだし、執行力を磨く為には上記のトレーニングが必要だというのも分かる。
一方で、対談が会話レベルで収まってしまっているところが残念に感じることも多かった。
より本質的な「核心」に触れてほしいにも関わらず、体験談や若者への感情的な叱咤激励に終わってしまっている部分はもったいない。
この二人レベルのコンサルタントであればそれでもよいのであればもったいないという意味で★は3つとした。
一方で、対談が会話レベルで収まってしまっているところが残念に感じることも多かった。
より本質的な「核心」に触れてほしいにも関わらず、体験談や若者への感情的な叱咤激励に終わってしまっている部分はもったいない。
この二人レベルのコンサルタントであればそれでもよいのであればもったいないという意味で★は3つとした。
2014年1月18日に日本でレビュー済み
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皆さんが絶賛するだけのことはあります。
ビジネスマン、学生は一読の価値ありです。
ビジネスマン、学生は一読の価値ありです。
2011年7月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私自身、経営コンサルタントをしているので、「まさにその通り!」と思うことも多く、自信にもなった。
しかし、何と言っても第一人者のお二人の対談ゆえ、「さすがだ」とか「忘れかけていたがそこが原点だ」とう発見も多かった。
自社の若手コンサルタントに役立つ部分を「拾い読み」しようと思ったが、結局、全編、全ページを熟読してしまった。
それぐらい、対談形式なのに高密度の価値ある示唆に満ちている本である。
コンサルタントに限らず、「プロフェッショナル」を目指す企業人には大きな刺激が得られると思う。
しかし、何と言っても第一人者のお二人の対談ゆえ、「さすがだ」とか「忘れかけていたがそこが原点だ」とう発見も多かった。
自社の若手コンサルタントに役立つ部分を「拾い読み」しようと思ったが、結局、全編、全ページを熟読してしまった。
それぐらい、対談形式なのに高密度の価値ある示唆に満ちている本である。
コンサルタントに限らず、「プロフェッショナル」を目指す企業人には大きな刺激が得られると思う。
2011年6月15日に日本でレビュー済み
コンサルタントを使う立場としても、ビジネスマンとしても示唆に富んだ本。
・「組織の実行力が戦略の自由度を決める時代」
・「すごくよくできたカローラから抜け出す」〜クライアントの便利な「文房具」では終わらない
・クライアントとの関係は「どっちが考え尽くしたのか」という真剣勝負
・情理は情の理屈。ロジカルシンキングで情理も追及できる
・「ディメンション」・「独立・相関」・「因果の強さ」の3つをカバーする
などに関する対談は膝を打つ部分あり、唸る部分あり。
加えて、冨山氏・波頭氏のコンサルタントとしての粘着質なエピソードは迫力十分(「業界紙を2年分読破」・「商工ローン参入検討中のクライアントのために借りてかつ延滞してみた」等)。余りに面白く、一気に読んでしまった。
・「組織の実行力が戦略の自由度を決める時代」
・「すごくよくできたカローラから抜け出す」〜クライアントの便利な「文房具」では終わらない
・クライアントとの関係は「どっちが考え尽くしたのか」という真剣勝負
・情理は情の理屈。ロジカルシンキングで情理も追及できる
・「ディメンション」・「独立・相関」・「因果の強さ」の3つをカバーする
などに関する対談は膝を打つ部分あり、唸る部分あり。
加えて、冨山氏・波頭氏のコンサルタントとしての粘着質なエピソードは迫力十分(「業界紙を2年分読破」・「商工ローン参入検討中のクライアントのために借りてかつ延滞してみた」等)。余りに面白く、一気に読んでしまった。
2022年3月13日に日本でレビュー済み
マッキンゼー、BCGで著名なコンサルタントだった両氏の対談。内容としてはナレッジGAPが顧客との間でなくなっている現在、戦略コンサルティングというものは成り立たなくなっている。そこで、各コンサルティング会社はより、オペレーションに入っているのである。グローバル時代の経営とコンサルティングについても語ってる。外資系企業が日本に攻め込むことが難しい反面、特殊な日本企業は、海外に出ることへの難しさがある。
椎名武雄さんは、IBMを強い日本の会社にしたが、ほとんどの外資系企業は、日本市場向けのベストストラテジーを作ることはできない。藤田田もマクドナルドでそうした存在であった。マッキンゼージャパンの大前研一さんもそうだ。
しかしながら、こうしたケースは例外。ほとんどが本国を見て経営をしているため、日本でのベストストラテジーは作れない。
また、経営の諸問題に対して、外からみないとわからない施策を出すことも大事。会社は死ぬのである。このままだと死んでしまう会社に対して、自分たちが死ぬ、という客観的判断を示すことが大事だ。
また、日本企業は年功序列を廃止するだけで、競争に勝ち残る多くのことが可能となる。戦略的にビジネスリーダーを育成することが大事なのである。人材、リーダーの育成を急ぐべきである。世界に通用するモデルは、年功序列を廃止し、既得権を廃止しないといけない。これを維持しようとすると終身雇用も維持できないだろう。年齢と賃金が相関する欧州でも40くらいまではあがるが、その後は伸びない。日本だけである。年齢に応じて給与をあげるのはもはや意味をなさないのである。
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