世間でこれだけリスクマネジメントがもてはやされているというのに、リスクマネジメントがどのような経緯で現状に至ったのかという点に触れている和書はほとんどない。
この本の肝となるのは、リスクマネジメントのルーツを整理した箇所だと考えている。それによれば20年代のドイツ、30年代のアメリカ、60年代の危機管理の登場、70年代の企業の国際化に伴うリスク管理の４つがルーツなのだそうだ。
しかし、私はこの観点に異論がある。1921年にはシカゴ学派の祖（っていいのかいまいち自信がないが）であるF.ナイトが論及したのが始めであろうと個人的には思っている。それに70年代の国際化の問題は、ファイナンスにおけるポートフォリオ理論の影響が大きかろうとも思う。つまり、米国における経済学・ファイナンス理論の歴史抜きに現代のリスクマネジメントは語れないのではないだろうか。
まあ、しかしこれまでこの分野でまとめてくれた人がいなかったのだから、星４つに値しましょう。
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