松尾先生の一般向けの本が分かりやすいので、「教科書はないものか」と探し求めてこの本に出会いました。
他の経済学の教科書をあまり読んでいないので何とも言えないのですが、少なくともこの教科書を読むと今までもやもやとしていたことがすっきりしました。特にわかりやすさがさく裂しているのは、(1)非自発的失業の存在の説明、(2)インフレ予想の無差別曲線による解析、(3) 流動性の罠のミクロ経済学的分析でしょうか。こんなシンプルな仮定だけで、本質が理解できるツールがあるのは驚きでした。
賃金の下方硬直性を仮定しなくても失業はちゃんと説明できるんですね。まさに「伸縮価格」で学ぶ、という副題の通り。
レーガノミクスの失敗や神戸空港建設論議など今となってはだいぶ古いトピックを取り扱っていますが、賃金が下がっても不況が改善しない「失われた20年」の日本の状況や、インフレ予想を組み込んだ経済政策の可能性など、その後実際に起こった事象を予想しています。それ自体がこの解説の見事さを裏付けていて、本当に素晴らしい。
また、主体の最適化行動ですべてを説明しているので、「陰謀論」が入り込む余地がないのも好感が持てます。
もう出回っていないと思いますが、復刻版や改訂版が出ると嬉しいです。こんな教科書があったら、経済学が面白くなって挫折する人が少なくなるでしょう。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
標準マクロ経済学: ミクロ的基礎・伸縮価格・市場均衡論で学ぶ 単行本 – 1999/11/1
松尾 匡
(著)
- 本の長さ204ページ
- 言語日本語
- 出版社中央経済グループパブリッシング
- 発売日1999/11/1
- ISBN-104502638757
- ISBN-13978-4502638756
この著者の人気タイトル
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
著者からのコメント
学術レベルの常識的土俵に則る初の初心者向け入門書 今日理論経済学の教員の間では、マクロ経済学の一般的教科書体系に対する不満が高まっている。現在の学術レベルの理論では、すでにミクロ経済学とマクロ経済学の区別は昔話になっており、市場メカニズムに対する賛否の度合いにかかわらず、ミクロ的基礎付けと一般均衡論に基づいて議論することが常識になっている。にもかかわらず、マクロ経済学の教科書は50年以上相も変わらぬアメリカケインジアンの体系に則っており、学術レベルの議論と入門教科書の体系のギャップが耐えられない大きさにまでなっている。しかし、ミクロ的基礎と一般均衡に基づくテキストは、多くは微分を知らない私立文系学生が読めるものではない。本書では、微分を一切使わず二次元図だけを用いて、ミクロ的基礎付け、伸縮的価格調整、市場均衡論によるマクロ経済学の入門体系を解説した。しかも、一般教科書同様、45度線やIS-LM分析 の手法により、不完全雇用を伴うケインズ体系を矛盾なく扱っている。必要に応じてミクロ的基礎の章を飛ばすこともできる。
内容(「MARC」データベースより)
ミクロ的基礎付け、伸縮価格、市場均衡分析を特徴とし、通常のマクロ教科書で扱われている「45度線分析」「ケインズ理論」等の標準トピックスも、ミクロ経済学での体系に則って解説する。
登録情報
- 出版社 : 中央経済グループパブリッシング (1999/11/1)
- 発売日 : 1999/11/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 204ページ
- ISBN-10 : 4502638757
- ISBN-13 : 978-4502638756
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,203,876位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,915位経済学 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中5つ
5つのうち5つ
2グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。