最初の２章で文化の基本概念についてまとめられているが、従来の比較文化研究書とたいした違いがみられないが、集団主義ー個人主義というような分け方でなく、筆者独自の線状行動型、複合行動型、反応型と行動に対する時間の考え方や積極性の観点から分けている点は面白いと思った。
後半は、各国ごとの文化の特徴を事典のような形でまとめ上げられているが、読者が注意する点は、筆者の主観によってまとめ上げられている点である。筆者の海外経験は豊富であることから、うなづける点も多いが、やはり１人の筆者の限界もある。例えば、日本の記述では、けっこう誇張しているところが多く、ホントかな？と思ってしまう点が多々ある。
しかし、この手の本はどうしても、ステレオタイプ的な記述にならざらうを得ないので、仕方がない部分でもあるので、読者がまったく知らない文化に対して文化素養を身につけるために読むには好適な書である。読者自身が、ステレオタイプの罠にはまらないために、類書（例えば「文化情報事典」「世界比較文化事典」）と比較して知識をみにつける必要があろう。
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