限られた紙面で知財マネジメント基礎論を展開していく。知財の入門書として「知財像」をざっと俯瞰するにはいい本である。しかし、全体的に教科書的な解説であり、経験に基づく肉声的な知財論ではない。無難で手堅い内容だが、個性(効能と毒性)は薄い。
・・・2016年12月19日再読・・・
曰く・・・
特許出願にかかるコストは弁理士費用も含めると1件あたり平均33万円(2001年のデータ)。
NECでは、「技術の強さ」と「事業の重要度」という2軸で知的財産権を見る。双方が大きい領域では事業展開を推進し、特許網構築を目指す。一方、双方が小さい領域では研究開発活動を縮小し、権利譲渡などで収益化を測る。
試験研究費用と特許を守るための裁判費用は特許からのロイヤリティを上回った。発明家としてではなく、商品を(自ら)生産し、販売するメーカーとしてお金を儲けた(エジソン)。
TOTOが開発したハイドロプロテクト技術は、開発当初は事業の方向性や収益性が明確ではなかった。そこで、開発者はこの技術を新聞広告等を通じて開示した。この開示に対して多くの企業から反応が寄せられ、それによってトップによるこの技術の評価が大いに高まった。ハイドロプロテクト技術の事業化が予算化され、多様な分野に展開された。
IBMでは、知的財産権部門はプロフィットセンターと位置づけられる。IBMの経常利益の20%(約1850億円:2001年)は特許料収入。
技術移転のためには、技術の可視性・実体性が求められる。技術に基づく製品試作が必要。また、ライセンシーにどのような価値をもたらすかという効果・効用を提示すること。ライセンシーにどれくらいの収益が生まれ、その事業展開がどのように進展していくかというシナリオ提示が含まれる。ビジネスモデルなくして技術移転なし。技術移転の成功はライセンシーのビジネスモデルの理解とその発展の構想に大きく依存する。
などなど。
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知財マネジメント入門 新書 – 2004/12/1
- 本の長さ240ページ
- 言語日本語
- 出版社日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
- 発売日2004/12/1
- ISBN-104532110424
- ISBN-13978-4532110420
登録情報
- 出版社 : 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版; New版 (2004/12/1)
- 発売日 : 2004/12/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 240ページ
- ISBN-10 : 4532110424
- ISBN-13 : 978-4532110420
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,024,144位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 214位著作権
- - 2,068位その他の経営理論関連書籍
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2022年1月1日に日本でレビュー済み
★3.2/2021年133冊目/12月12冊目/『知財マネジメント入門』(日経文庫/日本経済新聞社)/米山 茂美,渡部 俊也/P.240/2004年/900円+税 #読了 #読了2021
日経文庫にしては、実務寄りな内容だと感じた。「組織配置の工夫」に関しては、『V字回復の経』(三枝 匡近)を思い出した。近年、企業は業績よりも中期的な成長を鑑みるとサステナビリティや知財マネジメント戦略が重要になっている。特に、リスクマネジメントで足元を掬われないように経営との戦略のすり合わせが必須だ。業種によってマネジメント戦略は大きく変わるだろう。守りももちろん大切だが、時には攻めも重要だ。本書でも触れられているように、取得費用が膨大な一方で、未利用な特許が多いのは日本全体の課題だろう。
日経文庫にしては、実務寄りな内容だと感じた。「組織配置の工夫」に関しては、『V字回復の経』(三枝 匡近)を思い出した。近年、企業は業績よりも中期的な成長を鑑みるとサステナビリティや知財マネジメント戦略が重要になっている。特に、リスクマネジメントで足元を掬われないように経営との戦略のすり合わせが必須だ。業種によってマネジメント戦略は大きく変わるだろう。守りももちろん大切だが、時には攻めも重要だ。本書でも触れられているように、取得費用が膨大な一方で、未利用な特許が多いのは日本全体の課題だろう。
2009年4月7日に日本でレビュー済み
これだけ安価に知財マネジメントについて学べる入門書は他にはないでしょう。
特に大企業の知財部となると、業務が細分化されているため、俯瞰した視点に欠けがちです。
本書を読むことで、知財部の役割がイメージできるようになり、会社レベルの視点で考えられるようになります。
自分の働いている会社と本書のケーススタディを比較しながら読むのもよいでしょう。
既に知財の仕事についている人にオススメです。
特に大企業の知財部となると、業務が細分化されているため、俯瞰した視点に欠けがちです。
本書を読むことで、知財部の役割がイメージできるようになり、会社レベルの視点で考えられるようになります。
自分の働いている会社と本書のケーススタディを比較しながら読むのもよいでしょう。
既に知財の仕事についている人にオススメです。
2006年5月1日に日本でレビュー済み
こんなにコンパクトな新書判で、近年の知財戦略が学べる良書である。近年は、製品やサービスの差別化があまり進まず、コモディティ化が進んでいる。
そのような中、特許などの知的財産を有効に活用することによって、企業は競争力を高めることが可能となる。その基礎的な概念を構築するのに本書は最適であるといえよう。
そのような中、特許などの知的財産を有効に活用することによって、企業は競争力を高めることが可能となる。その基礎的な概念を構築するのに本書は最適であるといえよう。
2006年3月8日に日本でレビュー済み
特許などの知的財産をいかに想像し、権利化し、活用するかについて書かれた本です。MOTでは必須のスキルです。本書は、青色LEDの特許裁判がホットな時期だっただけに、冒頭の部分で扱われていますが解決に至ったところではなかったので、触れるにとどまっています。実際の開発現場では、内向きの話よりも競合相手の特許に抵触しないものをどのように開発するかに絞られてきます。ところが、避けるばかりが能ではなくクロスライセンスを図るなどいろいろな手立てが考えられるわけです。最後の二章、”知財紛争のマネジメント”、”知財インフラの構築”は興味深い内容です。実例がもう少し入るといいのかもしれませんが、入門書としての紙幅の都合もあるでしょうから妥当と思います。