日本国内では、被害妄想的で一方的な消費者側の視点でしか、
石油は語られない。(農産物、金属・鉱物資源もおなじですが)
もう少し頭を冷やして、相手(供給国)の立場になって冷静に
考えてもいいんじゃない?っていう良い問題提起をしている。
翻って、地政学を超えたかと言われれば 「?」
石油の供給に当面は支障が無く、古典的な奪合いをしなくて良いという
意見には大方賛成だが、貿易的要衝を浮き上がらせる「血を流さない地政学」的な
視点は不可欠であるのは、著者も認めるところであろう。
市場が自由を謳歌しつづけるために、お互いの血の気の多い地政学者を
刺激しないほうがいいというのは理解するが、
現在の繁栄が、市場原理主義的自由主義者の勝利に基づくものなのか、
単に、7つの海を鎮めるパクス・アメリカーナの産物なのかは 誰にも分からない。
つまり、アメリカがインド洋辺りのシーレーンの防衛を「やーめた」って言ったときに、
世界はホントに丸いままなのかどうかは、はなはだ疑問である。
まぁ、油断はするなってこった。
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石油を読む: 地政学的発想を超えて 新書 – 2005/2/1
藤 和彦
(著)
高騰する原油価格の主原因はどこにあるのか? 我々の生活への影響は? 世界のエネルギー源の4割を占める石油市場への関心が高まっている。石油に関する「神話」を解き明かし、さらに日本がとるべき戦略について語る。
- 本の長さ197ページ
- 言語日本語
- 出版社日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
- 発売日2005/2/1
- ISBN-104532110564
- ISBN-13978-4532110567
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登録情報
- 出版社 : 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版; New版 (2005/2/1)
- 発売日 : 2005/2/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 197ページ
- ISBN-10 : 4532110564
- ISBN-13 : 978-4532110567
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,756,819位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年11月6日に日本でレビュー済み
石油の現在・未来について信頼性の高いデータを用いながら丁寧に説明している良書だが、一点だけ残念な所がある。ピークオイルを迎えた際の経済面への悪影響を軽視し過ぎ。天然ガスを猛プッシュしているけど、自動車の燃料はどうすればいいのでしょうか?
2011年3月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
石油関係の本を読むのは多分生まれてはじめてだと思いますが、
かつての石油メジャー、OPECが何を考え、どう行動したかなどの歴史、
2006年時点での石油をめぐる国際的な動き(特に中国・ロシア)、
石油の採掘・輸送に関しての基礎知識、
石油市場・石油埋蔵量・ピークオイル問題、
天然ガスに関する基礎知識などわかりやすく説明されていました。
基礎知識量が少なかった分、非常に勉強になった感じがします。
日常のエネルギー問題に関するニュースを考察する上、
日本のエネルギー政策をどうしていくべきか考える上で、
−サハリン2などの極東資源との関連・リスクの分散化など−
有用な基礎知識を得ることができますが、
素人ではどうにもこうにも検証できそうにない情報に関しては、
参考にとどめておく方がよいものもあるかと感じました。
かつての石油メジャー、OPECが何を考え、どう行動したかなどの歴史、
2006年時点での石油をめぐる国際的な動き(特に中国・ロシア)、
石油の採掘・輸送に関しての基礎知識、
石油市場・石油埋蔵量・ピークオイル問題、
天然ガスに関する基礎知識などわかりやすく説明されていました。
基礎知識量が少なかった分、非常に勉強になった感じがします。
日常のエネルギー問題に関するニュースを考察する上、
日本のエネルギー政策をどうしていくべきか考える上で、
−サハリン2などの極東資源との関連・リスクの分散化など−
有用な基礎知識を得ることができますが、
素人ではどうにもこうにも検証できそうにない情報に関しては、
参考にとどめておく方がよいものもあるかと感じました。
2012年2月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
石油を読むとあるが、本質的にはエネルギーと天然ガスに関する本。
露中いう資源国・需要国の視点、石油の歴史と近況、日本の置かれた状況とアプローチについて。
2008年の本とはいえ、本質的な状況は2012年の現在もあまり変わっていないため、石油に興味を持った人が最初に手に取る一冊としても優秀。
価格も手頃でボリュームも丁度いい。
露中いう資源国・需要国の視点、石油の歴史と近況、日本の置かれた状況とアプローチについて。
2008年の本とはいえ、本質的な状況は2012年の現在もあまり変わっていないため、石油に興味を持った人が最初に手に取る一冊としても優秀。
価格も手頃でボリュームも丁度いい。
2006年9月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
・1.石油の増産においての技術(油層マネジメント、フラクチャリング)の役割が大きいこと、2.輸出インフラの重要性、3.天然ガスの大気汚染度の低い理由と輸送コストの高さ、4.今、ロシア天然資源省による工事承認取り消しで話題になっている「サハリン2」、など、私がよく理解していなかったことが説明されており、参考になった。
・新書なので価格は安く、あまり多くを求めるのは酷だが、せめて世界の原油産出国と輸出国、消費国と輸入国のデータ表ぐらいは説明の出発点として欲しいと思った。要するにデータ不足で、著者の分析・予測は結果的に正しいのかもしれないが、少なくとも私は納得しなかった。
・新書なので価格は安く、あまり多くを求めるのは酷だが、せめて世界の原油産出国と輸出国、消費国と輸入国のデータ表ぐらいは説明の出発点として欲しいと思った。要するにデータ不足で、著者の分析・予測は結果的に正しいのかもしれないが、少なくとも私は納得しなかった。
2009年1月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
採掘技術からタンカーやパイプラインでの輸送といった石油ビジネスの全体像、
日本を始め中東諸国やロシア、中国、アメリカといった主要国の石油事情、
石油の価格形成メカニズムについてまで幅広く知ることが出来る内容です。
日本を始め中東諸国やロシア、中国、アメリカといった主要国の石油事情、
石油の価格形成メカニズムについてまで幅広く知ることが出来る内容です。
2014年8月27日に日本でレビュー済み
2007年の本(初版は2005年)。著者は経産省や石油公団などで勤務した内閣官房内閣参事官(当時)。
曰く・・・
ロシアは90年代には友好価格で安価にガスを供給したがCIS内で民主化ドミノが進行する。安価なエネルギーでこれらの国をつなぎとめられないので自国の経済的利益のために旧ソ連諸国を優遇しなくなった。脱政治であり、エネルギーを政治の道具として利用している、という批判はあたらない。
原油市場は世界単一市場であるため、イランが原油を供給停止をすると原油価格は跳ね上がり、イランは減収分を単価上昇でカバーできる。
ナイジェリア原油は軽質低硫黄で質がいい。世界の原油価格指標となっているWTIや北海ブレンド原油に類似しているので、少量の減産でも原油価格に与える影響が大きい。
大手国際石油会社の探鉱活動は低迷している。株価の維持・向上のために豊かなキャッシュ・フローを配当や自社株消却にまわす。中東産油国も余剰収入を債務返済に回す。深刻なのは上流部門における人材不足であり、浮沈の激しい業界への就職は敬遠される。石油枯渇の可能性もマイナスイメージ。
コモディティ・インデックスの組成はエネルギーセクターの占める割合が多い。ここに年金資金がが入っているが、これらの投資マネーはヘッジファンドと異なり買いっぱなしで短期的に売り戻さない。このため市場流動性が吸収・消費されてしまい、結果として原油価格は高騰しやすい。
中国は派手な外交攻勢によって多数の石油権益を確保しているように見えるがハズレが多い。中国政府幹部や軍高官には米国による資源陰謀論がはびこっている。特に、マラッカ海峡を封鎖されると中国は干上がってしまうという恐怖感があり、これは軍独特の発想。古典的な地政学的発想があるため、コスト度外視で権益獲得に走るが、その一方、国際石油市場に参加して原油調達するという面もあり、まだら模様である。
油田の生産量を維持するためには、絶えず新しい坑井を掘削し、生産設備を更新しなければならない。自転車操業。中東は巨大油田が多く、自転車操業の程度はそれほどひどくない。アメリカ、ノルウェー、カナダなどの先進国でも石油生産の3割ほどを生産しており、これは中東に匹敵する量。
石油は常温常圧下では比重が水に近いために輸送コストが非常に低い。タンカーさえ着船できれば世界中の油田のどこからでも大量購入できる。このために世界全体で石油は単一市場を構成する。市場再配分機能が働くため、石油はほぼ一物一価であり、中東が減産して価格高騰しても供給不足にはならない。一方、天然ガスは長距離輸送コストが大きいので地域によって価格が異なる。
石油価格と生産量をコントロールするのは「市場」である。産油国が勝手に値付けすることは不可能。地域間で価格差が生じればたちまち裁定取引される。
石油は、国際市場で取引され、全世界で消費されるのに、在庫・消費・生産等の実需給を把握しにくい。ゆえに国際石油市場には情報不完全性があり、投機を呼びやすく群集心理が発生しやすい。
石油産業は事業開始当初は巨額資金が必要で工事期間も長いが、設備が完成すれば操業費は安い。したがって、石油価格が下落しても生産を減少させるインセンティブが働きにくく、石油価格が上昇しても新規投資を行って生産増加させるには時間がかかる。価格が多少上がっても、需要がすぐに減るものでもないし、価格が下がっても急に需要は増えない。したがって、価格が下落すると生産者は収入維持のために増産し、更に価格が低下してしまう。充分な低価格化によって供給力が低下し不足した時点で、短期需要の価格弾力性が低いために今度は価格が急騰し、高騰が続く。価格に大きな循環傾向があり、5年、10年の価格の動きを期間平均してやっと均衡価格が見いだせる。
人為的な価格引き上げは代替エネルギー導入や消費減退を招くので首を締めることになるとサウジアラビアは認識している。70年代に原油価格が引き上げられ、消費国経済は大不況になったため80年代は石油需要が低迷し、OPECは凋落した。しかも、これまで注目されなかった北海やアラスカの油田開発がなされたため、OPECと低迷する需要を奪い合う。それでもOPECは協調減産できず、結局、サウジだけが減産を引き受ける。しかし、サウジも減産に協力しない他のOPEC諸国にしびれを切らして増産に転換。これにより石油価格は暴落し、OPECは石油支配力を失った。
井戸を一本掘って石油が発見される確率は30%前後であり、経済的採算まで考えると確率はさらに一桁落ちる。一つの油田を発見し、その埋蔵量を把握するだけでも百億円単位かかり、それを生産するには更に数百億円から数千億円かかる。
地中の原油は岩石の粒子と粒子の間にしみわたるように存在している。従来は30%程度しか回収できなかったが技術革新により回収率は50%から70%になった。石油価格が高くなると今まで商業ベースに乗らず生産されていなかった油田も掘れるようになる。確認可採埋蔵量はこういった事情で自動的に増加する。中東では、新規油田を発見しなくても、90年は生産できるほどの埋蔵量があるといわれる。むやみに発見すると石油の価値が低下するので探鉱インセンティブもない。サウジなど本気で探せばまだまだ出てくる。
石油可採年数は40年といわれているが、新規油田開発や技術革新がなければ現在の生産量を維持できるのはせいぜい10年。油田は生産開始直後はよく出るが、そのうち地中圧力が下がって徐々に生産量は減っていく(ほそぼそと生産し続ける)。新規の探鉱開発投資を怠るとそのツケは意外に早く出てくる。
日本が主に輸入しているUAEのドバイ原油は重質高硫黄だが、日本は脱硫装置への投資ができているので品質を補えるという有利な状況がある。
危機発生時に再配分メカニズムが働くためには多少の時間がかかるのでそれを持ちこたえるための石油備蓄は重要。
天然ガスの確認可採埋蔵量をベースとした可採年数は60年以上で石油よりも長い(石油は40年)。しかも、石油を発見しようとしてたまたま天然ガスが発見されたというケースがほとんど。地層が深いほど天然ガスは多く存在することは確実なのでより多くの天然ガスがこれから発見されるはず。しかも、メタンハイドレートなどもある。
サハリンには巨大なガス・石油資源がある。まだごく一部しか探鉱されていない。日本に近いのでパイプラインで運べる可能性がある。
石油は軍需物資として特別戦略性が高いわけではない。石油を戦略物資と呼ぶのはもはやアナクロニズムである。
などなど。
曰く・・・
ロシアは90年代には友好価格で安価にガスを供給したがCIS内で民主化ドミノが進行する。安価なエネルギーでこれらの国をつなぎとめられないので自国の経済的利益のために旧ソ連諸国を優遇しなくなった。脱政治であり、エネルギーを政治の道具として利用している、という批判はあたらない。
原油市場は世界単一市場であるため、イランが原油を供給停止をすると原油価格は跳ね上がり、イランは減収分を単価上昇でカバーできる。
ナイジェリア原油は軽質低硫黄で質がいい。世界の原油価格指標となっているWTIや北海ブレンド原油に類似しているので、少量の減産でも原油価格に与える影響が大きい。
大手国際石油会社の探鉱活動は低迷している。株価の維持・向上のために豊かなキャッシュ・フローを配当や自社株消却にまわす。中東産油国も余剰収入を債務返済に回す。深刻なのは上流部門における人材不足であり、浮沈の激しい業界への就職は敬遠される。石油枯渇の可能性もマイナスイメージ。
コモディティ・インデックスの組成はエネルギーセクターの占める割合が多い。ここに年金資金がが入っているが、これらの投資マネーはヘッジファンドと異なり買いっぱなしで短期的に売り戻さない。このため市場流動性が吸収・消費されてしまい、結果として原油価格は高騰しやすい。
中国は派手な外交攻勢によって多数の石油権益を確保しているように見えるがハズレが多い。中国政府幹部や軍高官には米国による資源陰謀論がはびこっている。特に、マラッカ海峡を封鎖されると中国は干上がってしまうという恐怖感があり、これは軍独特の発想。古典的な地政学的発想があるため、コスト度外視で権益獲得に走るが、その一方、国際石油市場に参加して原油調達するという面もあり、まだら模様である。
油田の生産量を維持するためには、絶えず新しい坑井を掘削し、生産設備を更新しなければならない。自転車操業。中東は巨大油田が多く、自転車操業の程度はそれほどひどくない。アメリカ、ノルウェー、カナダなどの先進国でも石油生産の3割ほどを生産しており、これは中東に匹敵する量。
石油は常温常圧下では比重が水に近いために輸送コストが非常に低い。タンカーさえ着船できれば世界中の油田のどこからでも大量購入できる。このために世界全体で石油は単一市場を構成する。市場再配分機能が働くため、石油はほぼ一物一価であり、中東が減産して価格高騰しても供給不足にはならない。一方、天然ガスは長距離輸送コストが大きいので地域によって価格が異なる。
石油価格と生産量をコントロールするのは「市場」である。産油国が勝手に値付けすることは不可能。地域間で価格差が生じればたちまち裁定取引される。
石油は、国際市場で取引され、全世界で消費されるのに、在庫・消費・生産等の実需給を把握しにくい。ゆえに国際石油市場には情報不完全性があり、投機を呼びやすく群集心理が発生しやすい。
石油産業は事業開始当初は巨額資金が必要で工事期間も長いが、設備が完成すれば操業費は安い。したがって、石油価格が下落しても生産を減少させるインセンティブが働きにくく、石油価格が上昇しても新規投資を行って生産増加させるには時間がかかる。価格が多少上がっても、需要がすぐに減るものでもないし、価格が下がっても急に需要は増えない。したがって、価格が下落すると生産者は収入維持のために増産し、更に価格が低下してしまう。充分な低価格化によって供給力が低下し不足した時点で、短期需要の価格弾力性が低いために今度は価格が急騰し、高騰が続く。価格に大きな循環傾向があり、5年、10年の価格の動きを期間平均してやっと均衡価格が見いだせる。
人為的な価格引き上げは代替エネルギー導入や消費減退を招くので首を締めることになるとサウジアラビアは認識している。70年代に原油価格が引き上げられ、消費国経済は大不況になったため80年代は石油需要が低迷し、OPECは凋落した。しかも、これまで注目されなかった北海やアラスカの油田開発がなされたため、OPECと低迷する需要を奪い合う。それでもOPECは協調減産できず、結局、サウジだけが減産を引き受ける。しかし、サウジも減産に協力しない他のOPEC諸国にしびれを切らして増産に転換。これにより石油価格は暴落し、OPECは石油支配力を失った。
井戸を一本掘って石油が発見される確率は30%前後であり、経済的採算まで考えると確率はさらに一桁落ちる。一つの油田を発見し、その埋蔵量を把握するだけでも百億円単位かかり、それを生産するには更に数百億円から数千億円かかる。
地中の原油は岩石の粒子と粒子の間にしみわたるように存在している。従来は30%程度しか回収できなかったが技術革新により回収率は50%から70%になった。石油価格が高くなると今まで商業ベースに乗らず生産されていなかった油田も掘れるようになる。確認可採埋蔵量はこういった事情で自動的に増加する。中東では、新規油田を発見しなくても、90年は生産できるほどの埋蔵量があるといわれる。むやみに発見すると石油の価値が低下するので探鉱インセンティブもない。サウジなど本気で探せばまだまだ出てくる。
石油可採年数は40年といわれているが、新規油田開発や技術革新がなければ現在の生産量を維持できるのはせいぜい10年。油田は生産開始直後はよく出るが、そのうち地中圧力が下がって徐々に生産量は減っていく(ほそぼそと生産し続ける)。新規の探鉱開発投資を怠るとそのツケは意外に早く出てくる。
日本が主に輸入しているUAEのドバイ原油は重質高硫黄だが、日本は脱硫装置への投資ができているので品質を補えるという有利な状況がある。
危機発生時に再配分メカニズムが働くためには多少の時間がかかるのでそれを持ちこたえるための石油備蓄は重要。
天然ガスの確認可採埋蔵量をベースとした可採年数は60年以上で石油よりも長い(石油は40年)。しかも、石油を発見しようとしてたまたま天然ガスが発見されたというケースがほとんど。地層が深いほど天然ガスは多く存在することは確実なのでより多くの天然ガスがこれから発見されるはず。しかも、メタンハイドレートなどもある。
サハリンには巨大なガス・石油資源がある。まだごく一部しか探鉱されていない。日本に近いのでパイプラインで運べる可能性がある。
石油は軍需物資として特別戦略性が高いわけではない。石油を戦略物資と呼ぶのはもはやアナクロニズムである。
などなど。
2007年2月20日に日本でレビュー済み
2年前に出版された本の第2版ですが、石油をめぐるこの2年の
世界情勢を反映して大幅に改訂されており、別の本といって
よいほどの違いがあります。
著者は内閣官房内閣参事官であり、国の中枢的な立場にいます。
本書は地政学的な分析に始まり、ピークオイル論がナンセンス
であること、近年の原油価格高騰の原因、米国、中国、ロシア
中東などの原油に関わる国からめて、天然ガスも含むエネルギー
論などが述べられています。
今後の日本が目指すべき方針についても具体的に書かれています。
石油、天然ガスなどのエネルギー物質を通しての世界情勢の視点
を広げたい方、投資的な観点から興味がある方などは興味深く
読めると思います。
世界情勢を反映して大幅に改訂されており、別の本といって
よいほどの違いがあります。
著者は内閣官房内閣参事官であり、国の中枢的な立場にいます。
本書は地政学的な分析に始まり、ピークオイル論がナンセンス
であること、近年の原油価格高騰の原因、米国、中国、ロシア
中東などの原油に関わる国からめて、天然ガスも含むエネルギー
論などが述べられています。
今後の日本が目指すべき方針についても具体的に書かれています。
石油、天然ガスなどのエネルギー物質を通しての世界情勢の視点
を広げたい方、投資的な観点から興味がある方などは興味深く
読めると思います。