経済学部になんとなく入ったけど、面白さや意義がわからないという学部生が読むと目から鱗だと思います。
経済学を自由自在に扱える人の良い例が見えると思います。
ニュースメディアで、社長さんや理系の研究者、経営コンサルタントが語るバックグラウンドの理論が明確に説明されない疑問符がつく経済評論が多い中、この本はバックグラウンドの理論を説明しながらも反対論まで整理して意見を述べています。経済学者の中にも、バックグラウンドの理論を明示せず、どの説明変数を動かしたくてどの説明変数を刺激するのかといった話を載せずに経済論を述べる方がいます。
経済学は科学であり、どの説明変数とどの説明変数が因果関係にあるのかを説明するのが最低限の役割です。
これが抜けたものは「経済評論」です。「経済評論」はターゲット層を決めて、耳障りの良いことを喋り、レトリックを用いた魅力的な文章や演説ができるならば、メディアや本の購入者からお金をいただける、ある意味良いビジネスです。
つまり科学的でもないし、真実に肉薄してません。
ああいうものを読むとセンスが悪くなります。
内容は昔のものですが、現在の貿易について考えたり、市場経済というシステムがなぜ多くの国で採用されているのかを考える良い材料が揃っています。
話をまとめると、
①バックグラウンドがしっかりしている経済論であり、プロの経済学者のお手本の一例が見える
②内容は古くても、考える材料を今でも提供してくれる良い内容である
となります。
ただし、国際経済学のトピックが多いですから、ゲーム理論や産業組織論、空間経済学
などといった他の分野の具体的な例は触れられません。
そちらの方面の経済論を読みたい方は、経済セミナーをオススメします。
各号ごとにテーマが固定されていますので、バックナンバーを大学図書館で探して
気になったものをお読みください。
クルーグマンすげーとなった方は、是非ともコツコツとミクロ、マクロ、統計、計量に取り組んで、
学びたい教授のゼミナールに入って、学問して楽しんでください。
最後に、これを読んだ学部生が経済学の魅力にいち早く気づいて、理論も実証もしっかり学び、
経済学部に入ってよかったと思ってくれることを願います。
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良い経済学悪い経済学 文庫 – 2000/11/1
ポール クルーグマン
(著),
山岡 洋一
(翻訳)
- ISBN-10453219010X
- ISBN-13978-4532190101
- 版New
- 出版社日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
- 発売日2000/11/1
- 言語日本語
- 本の長さ298ページ
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商品の説明
著者について
ポール・クルーグマン (Paul Krugman)
プリンストン大学教授。
1953年生まれ。国際経済学の第一人者として活発な著作活動や政策提言を行っており、その言動は世界中の政策担当者やビジネス・リーダーの注目を集め続けている。著書に『経済政策を売り歩く人々』『自己組織化の経済学』『グローバル経済を動かす愚かな人々』ほか
<訳者紹介>
山岡洋一 (やまおか・よういち)
翻訳家。1949年生まれ。政治経済分野の翻訳で高い評価を得る。訳書に『大統領執務室』『市場対国家』ほか多数。
プリンストン大学教授。
1953年生まれ。国際経済学の第一人者として活発な著作活動や政策提言を行っており、その言動は世界中の政策担当者やビジネス・リーダーの注目を集め続けている。著書に『経済政策を売り歩く人々』『自己組織化の経済学』『グローバル経済を動かす愚かな人々』ほか
<訳者紹介>
山岡洋一 (やまおか・よういち)
翻訳家。1949年生まれ。政治経済分野の翻訳で高い評価を得る。訳書に『大統領執務室』『市場対国家』ほか多数。
登録情報
- 出版社 : 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版; New版 (2000/11/1)
- 発売日 : 2000/11/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 298ページ
- ISBN-10 : 453219010X
- ISBN-13 : 978-4532190101
- Amazon 売れ筋ランキング: - 371,809位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,804位経済学 (本)
- - 12,645位経営学・キャリア・MBA
- - 87,668位文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
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1953年生まれ。マサチューセッツ工科大学(MIT)でPh.D.を取得。イェール大学、MIT、スタンフォード大学などで教鞭をとる。現在プリンスト ン大学教授。82~83年、大統領経済諮問委員会委員。IMF、世銀、EC委員会のエコノミストも務める。91年、40歳以下の最も優れた経済学者に贈ら れるジョン・ベーツ・クラーク賞を受賞、2008年、ノーベル経済学賞を受賞した。著書多数(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 自己組織化の経済学―経済秩序はいかに創発するか (ISBN-13: 978-4480092564)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年5月12日に日本でレビュー済み
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モデル的に間違ってるみたいな所は、なんか言葉遊びな感じがして弱いと思った。国際競争力という言葉が中身のない言葉であるとかいろいろ書かれていたりするけど、一番センセーショナルな部分は、結局はGDPが読めないという所だと思った。でもそれは経済学ではなく会計学や簿記の範疇ではないだろうか。数字を確認することは図書館にいってちょっと調べればわかることだ、とか書かれているけど、それほど簡単なことなのだろうかと自分は思う。例えば、この本に影響されて経済学の入門書とか読んでも、簿記とかは別なので、この本の内容の後追いみたいなことはできないと思う。会計教育の重要性を訴える本だと思った。
2012年4月19日に日本でレビュー済み
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1993、1994年ごろ書かれた文章ですが、今でも有効な議論ばかり。本書で再三槍玉にあがる「国際競争力」といったエセ経済学な概念は、今でも当時と同じく信じられたままであるし、「空洞化」も同じ。TPP反対派の方は必読ですよ。
2015年3月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
クルーグマンの言う良い経済学とは、「自分も所属している経済学会系の経済学」で、悪い経済学とは「マクロ経済学の裏付けもなく、国際経済の主流になってしまっている俗流国際経済論」 と僕なりに要約してみました。
さて、どっちが正しいのでしょうか?
97年に俗流国際経済論で言われていた事と、クルーグマンが「それは間違いでこっちが正しい」と言った事のどちらが?
20年経った今なら、どちらが正しかったか読者でも決着が付けられると思います。
いち読者である僕の判定は、クルーグマン圧勝です。
「自由貿易は基本的に双方にとって有益である。」 というテーゼは20年経っても揺らいでいません。
一例を挙げれば、中国はあまり自由ではなかった貿易から、結構自由な貿易に変更して急成長し、中国国民にとって有益な結果になっています。
日本も中国から安い財を輸入して100円ショップが繁盛するなど、国民の同賃金内での消費力が増大しています。
鎖国に近い状況の北朝鮮と比べると「自由貿易は基本的に双方にとって有益である。」 というテーゼの正しさの一例といえるでしょう。
一方、アジア経済に関する予想は的中率80%くらいで、他の予想が90%以上なのと比べると少し落ちます。
投入と効率に関する考察なのですが、現在の台湾や韓国を見ると、「欧米に生産効率においてはるかに及ばない」事もないと思うので、ちょっと割り引いてます。
古本で買ったのですが、僕はこんな感じで読んだので、20年前の本でも十分に楽しめましたよ。
さて、どっちが正しいのでしょうか?
97年に俗流国際経済論で言われていた事と、クルーグマンが「それは間違いでこっちが正しい」と言った事のどちらが?
20年経った今なら、どちらが正しかったか読者でも決着が付けられると思います。
いち読者である僕の判定は、クルーグマン圧勝です。
「自由貿易は基本的に双方にとって有益である。」 というテーゼは20年経っても揺らいでいません。
一例を挙げれば、中国はあまり自由ではなかった貿易から、結構自由な貿易に変更して急成長し、中国国民にとって有益な結果になっています。
日本も中国から安い財を輸入して100円ショップが繁盛するなど、国民の同賃金内での消費力が増大しています。
鎖国に近い状況の北朝鮮と比べると「自由貿易は基本的に双方にとって有益である。」 というテーゼの正しさの一例といえるでしょう。
一方、アジア経済に関する予想は的中率80%くらいで、他の予想が90%以上なのと比べると少し落ちます。
投入と効率に関する考察なのですが、現在の台湾や韓国を見ると、「欧米に生産効率においてはるかに及ばない」事もないと思うので、ちょっと割り引いてます。
古本で買ったのですが、僕はこんな感じで読んだので、20年前の本でも十分に楽しめましたよ。
2017年8月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
クルーグマンの語り口なのか、どんどん話しに引き込まれていきます。
複雑な事象をシンプルに読み解く手腕と論理に感服。
複雑な事象をシンプルに読み解く手腕と論理に感服。
2013年10月2日に日本でレビュー済み
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「国と国との貿易は会社同士の競争とは決して異なる」を主張した本。
文句をひとつ言うとすれば、訳が固く、山形浩生訳で読みたかった。
文句をひとつ言うとすれば、訳が固く、山形浩生訳で読みたかった。
2010年9月30日に日本でレビュー済み
シンプルな理論や分析手法でいろいろの経済現象を説明する手法は見事だ思います。
自由貿易と生産性向上を重視する考え方に賛成です。経済学の教科書としておすすめ
できます。
自由貿易と生産性向上を重視する考え方に賛成です。経済学の教科書としておすすめ
できます。