超円高恐慌については、最近の黒田さんや岩田先生の日銀の政策で正しいことがよくわかりました。
この本を読んだ理由は、岩田先生がユーロの危機をどのように解釈しているか知りたかったからでした。
最適通貨圏理論というのがあって、それに従えばドイツ、フランス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの5ヶ国しか適合しない。
これ以上の国が入ると、この5カ国がいつも援助するような図式となり、国家主権が有る限りそれは無理ではないかというのが結論でした。
従って、ユーロは遅かれ早かれ崩壊するのだろうと思いました。
これほど明快に、実証的に説明している人を他に知りません。
ユーロの危機について興味のある方は、ぜひ一読をお勧めします。
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ユーロ危機と超円高恐慌 単行本 – 2011/12/1
岩田 規久男
(著)
ギリシャから始まったユーロ危機が世界経済を激しく揺さぶる。このままでは、超円高に苦しむ日本経済が、取り返しのつかない恐慌を迎えてしまう。その前に出来ることは何か。豊富なデータから日本を救う道を提言する。
- 本の長さ220ページ
- 言語日本語
- 出版社日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
- 発売日2011/12/1
- 寸法11 x 1.4 x 17.4 cm
- ISBN-10453226149X
- ISBN-13978-4532261498
登録情報
- 出版社 : 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版; New版 (2011/12/1)
- 発売日 : 2011/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 220ページ
- ISBN-10 : 453226149X
- ISBN-13 : 978-4532261498
- 寸法 : 11 x 1.4 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,877,627位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 89,430位投資・金融・会社経営 (本)
- カスタマーレビュー:
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5 星
真の経済学がここにある
著者は、今の経済危機、恐慌への対応として冒頭で明言する。「欧州中央銀行が目標とするインフレ率を現在の2%から4%程度に引き上げ、南欧国債を大量に購入する買いオペ(量的緩和)の実施に踏み切る」べきである。 今日の事態を招いた要因は、端的に、ユーロ統合により金融政策は一つになったのに、財政政策は各国別にまちまちで、そこに齟齬が出た事によるものである、と喝破する。 日本でならできる量的緩和政策は、ユーロの基にあるギリシアやスペイン等々では不可能であり、かつ財政が事実上破綻している事は既に経過した現実であって、付け焼き刃の支援や救済は、各国危機以上のユーロ崩壊、引いては世界経済の崩壊自体の先延ばしにしかなっていない、はっきり言えば全部無駄であるということになる。 遣るべきことは、緩和し、正常な信用秩序を取り戻せるよう雇用と消費が健全に回復、もはや復興というべきものができる規模、性格のものでそれはなければならないだろうということだ。
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2013年7月28日に日本でレビュー済み
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2012年2月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現在進行形の問題にメスを入れようという気迫は感じます。
けれど、納得いくような背景の解明はいまいちでは。
なぜ円が狙い撃ちされなければならないのか、読んでも
答えが出てきません。
けれど、納得いくような背景の解明はいまいちでは。
なぜ円が狙い撃ちされなければならないのか、読んでも
答えが出てきません。
2012年7月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
経済学や金融政策についてはまるっきしの素人です。最近いくつかの経済学に関する新書レベルの文献を読み始めたのですが、その中でもこの本は非常にロジカルで入門者の私にも理解し易い本でした。著者は日銀の金融政策を批判し、マネタリーベースを増やしインフレ誘導を行うべきと主張します。かかる主張に至るまでの展開を読むともっともな主張に思えますが、にもかかわらず日銀がかかる政策の採用に腰が重いのはなぜか。著者の岩田氏の主張が通説なのか異端なのか、この分野に疎いため分かりません。反対論も参考にしたいので、お勧めの文献があれば紹介していただけるとありがたいです。
2013年4月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
安倍首相、黒田日銀総裁、が決まる前と後、2度に読みました。
経済が歴史と共に変化していることが本当によく理解できました。
経済が歴史と共に変化していることが本当によく理解できました。
2020年9月4日に日本でレビュー済み
金融を緩和する余地が残されていたリーマンショック時以上に、その後のギリシャをはじめとする南欧危機は政府債務の悪化により単一通貨「ユーロ」自体を見直さざるを得ない問題を孕んでいる。
2012年3月28日に日本でレビュー済み
【総括】
読みやすい。入門書としても読める。
現在の米欧の金融政策と日本のそれとを比較し、データを豊富にわかりやすく使いながら、欧州の通貨統合に関する批判、米国の金融緩和に関する賛辞、日本のデフレに対する批判、などの主張が述べられていて、一定の納得感はある。
【良かった点】
●最初から立場を明確にし、「デフレは悪」「円高は悪」という姿勢が首尾一貫しているのでわかりやすい。
●用語の解説や仕組みの説明が丁寧。
●「円高歓迎論」「デフレ肯定論」等、自己の主張の対極にある主張に対しても、反論・検証している点が公平。
【良くなかった点】
●そもそも意見の割れる論点について、自己の主張を正当化しようとしているので、やや独善的な箇所が散見される。
例えば、
->「デフレのすべての元凶は日銀」「日銀法を改正すればインフレに導ける」と述べているが、ではなぜ日銀はデフレを容認しているのか?、なぜここまでインフレターゲット論が叫ばれながら、実現しないのか?、といった真の要因については言及していない。
->「現在は超円高である」と言いながら、「実質実効為替レートから見れば、現在は実は円高ではない」という事実を否定できていない(p.193で、「国際競争力指数」という新たな指数を提示してお茶を濁しているのみ)
●前年に出版された「デフレと超円高」と内容が半分くらい重複している。(焼き直し?)
全体的に、経済学的には基本のキとでも言うべき内容が多いものの、よくまとまっており、読みやすいと思う。
但し、筆者はインフレターゲット論者・金融政策至上主意者なので、その点は念頭に置いて読む必要がある。
読みやすい。入門書としても読める。
現在の米欧の金融政策と日本のそれとを比較し、データを豊富にわかりやすく使いながら、欧州の通貨統合に関する批判、米国の金融緩和に関する賛辞、日本のデフレに対する批判、などの主張が述べられていて、一定の納得感はある。
【良かった点】
●最初から立場を明確にし、「デフレは悪」「円高は悪」という姿勢が首尾一貫しているのでわかりやすい。
●用語の解説や仕組みの説明が丁寧。
●「円高歓迎論」「デフレ肯定論」等、自己の主張の対極にある主張に対しても、反論・検証している点が公平。
【良くなかった点】
●そもそも意見の割れる論点について、自己の主張を正当化しようとしているので、やや独善的な箇所が散見される。
例えば、
->「デフレのすべての元凶は日銀」「日銀法を改正すればインフレに導ける」と述べているが、ではなぜ日銀はデフレを容認しているのか?、なぜここまでインフレターゲット論が叫ばれながら、実現しないのか?、といった真の要因については言及していない。
->「現在は超円高である」と言いながら、「実質実効為替レートから見れば、現在は実は円高ではない」という事実を否定できていない(p.193で、「国際競争力指数」という新たな指数を提示してお茶を濁しているのみ)
●前年に出版された「デフレと超円高」と内容が半分くらい重複している。(焼き直し?)
全体的に、経済学的には基本のキとでも言うべき内容が多いものの、よくまとまっており、読みやすいと思う。
但し、筆者はインフレターゲット論者・金融政策至上主意者なので、その点は念頭に置いて読む必要がある。
2012年1月6日に日本でレビュー済み
本書では欧州危機の今後について恐ろしい予測が述べられている。
経済学では「最適通貨圏」という理論がある。
この理論によれば、労働や資本といった生産要素が比較的少ない費用で移動できる範囲が、共通の通貨を使用すべき範囲になる。
しかし著者によれば、現行のユーロ17か国はその範囲ではないという(最適通貨圏の範囲は、ドイツ、フランス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの5ヶ国だという)。その理由は、欧州各国内でユーロ発足後も移民(=労働)が増えていないからだ。
そうだとすれば、財政条件の悪い国を財政条件の良い国が支援することが可能な仕組みを構築するしかない。
しかし、今回のような緊急時だけでなく、平常時から多国間で所得を再分配をするような仕組みを作ることについて、財政条件のよいドイツ、フランス、オランダ等が納得するであろうか。
著者は今回の欧州危機については、欧州中央銀行(ECB)が金融緩和し、目標インフレ率を4%に設定するという解決策を示している。
しかし上記の根本的な問題点から示唆されるのは、著者は明言しているわけではないが、たとえ今回の危機を乗り切ったとしても、やがてユーロは崩壊するだろうということである。
それ以外にも、リーマン・ショックによって世界的な信用収縮が起こり、各国が景気回復のため大量の国債を発行したことが今回の欧州危機につながったことや、危機に際しての欧州の対応について分かりやすく解説されている。
後半の日本の不景気は日銀のデフレ容認政策のせいであるとする点は、著者の前作「デフレと超円高」(講談社現代新書)等で述べられた持論の繰り返しになるが、星を減らす理由とはならない。
欧州危機と無関係ではいられない日本のビジネス・パーソンにとって必読の1冊と言える。
経済学では「最適通貨圏」という理論がある。
この理論によれば、労働や資本といった生産要素が比較的少ない費用で移動できる範囲が、共通の通貨を使用すべき範囲になる。
しかし著者によれば、現行のユーロ17か国はその範囲ではないという(最適通貨圏の範囲は、ドイツ、フランス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの5ヶ国だという)。その理由は、欧州各国内でユーロ発足後も移民(=労働)が増えていないからだ。
そうだとすれば、財政条件の悪い国を財政条件の良い国が支援することが可能な仕組みを構築するしかない。
しかし、今回のような緊急時だけでなく、平常時から多国間で所得を再分配をするような仕組みを作ることについて、財政条件のよいドイツ、フランス、オランダ等が納得するであろうか。
著者は今回の欧州危機については、欧州中央銀行(ECB)が金融緩和し、目標インフレ率を4%に設定するという解決策を示している。
しかし上記の根本的な問題点から示唆されるのは、著者は明言しているわけではないが、たとえ今回の危機を乗り切ったとしても、やがてユーロは崩壊するだろうということである。
それ以外にも、リーマン・ショックによって世界的な信用収縮が起こり、各国が景気回復のため大量の国債を発行したことが今回の欧州危機につながったことや、危機に際しての欧州の対応について分かりやすく解説されている。
後半の日本の不景気は日銀のデフレ容認政策のせいであるとする点は、著者の前作「デフレと超円高」(講談社現代新書)等で述べられた持論の繰り返しになるが、星を減らす理由とはならない。
欧州危機と無関係ではいられない日本のビジネス・パーソンにとって必読の1冊と言える。
2012年1月26日に日本でレビュー済み
岩田規久男先生の本なので、大筋の内容は予想できたのですが、今問題になっているユーロについて、細かいところまで知りたいと思い購入。
ヨーロッパだけでなく、アメリカのリーマンショックについても言及があり、リーマンショックは100年に一度などと言われたが、実際は1930年代の世界恐慌よりも景気の落ち込みが小さかったことなどのデータは参考になる。なぜ落ち込みが少なかったかということについても、非伝統的な金融政策のおかげであると指摘しており、量的緩和の有用性について述べている。
ヨーロッパに関しては、有事の際は少し高めではあるが、ECBがインフレ率4%程度まで我慢して金融政策をすべきと言っている。また、最適通貨圏理論の観点から、共通通貨にすべきだったのは、ドイツ、フランス、ルクセンブルク、ベルギー、オランダの5か国で、ギリシャやイタリアなどの南欧、東欧は共通通貨にすべきではなかったと指摘している。
岩田氏の経済理論は、世界標準で、世界のマクロ経済学者から見れば、当たり前のことを言っていると思うだろうが、日本ではなかなか広まらないのが日本の経済が良くならない原因だろう。
ただ、後半で、高橋洋一氏が言う政府紙幣に対して言及があるが、高橋氏の主張に対して十分に理解しているとは言い難い部分があった。まず一つ目は、高橋氏は、「日銀がやらないのならば財務省がやればいい」といっており、本来ならば、日銀がきちんと金融政策を行うべきだということ。二つ目は、政府紙幣を発行したからと言って、それを国民が使うような紙幣になるかどうかは別で、高橋氏によれば、例えば政府が20兆円の政府紙幣を1枚発行して、日銀に持って行って日銀券と交換し、これを元手に財政支出を行うというもので、なにも、ATMなどの設備を取り換える必要はない。そうすれば、市場に出回るお札は日銀券だけになる。
その点について岩田氏はあまり高橋氏の著書やコラムなどは読んでないのかもしれない。まぁ普通の国なら中央銀行がきちんと金融政策やってくれるので、政府紙幣なんて考える必要ないのだけど、日銀という特殊な組織があるから、日本経済を良くするためにはそういうものも必要なのかもしれない。ただ、実際に政府紙幣発行の実務を行う財務省も相当特異だが。
そうは言うものの、この本は、ユーロ危機やリーマンショックについて勉強するには良い本だと思う。後半は岩田氏のお得意の日銀批判であるが、量が少し足りなかったのだろうか。ご愛嬌だと思えば良い。
ヨーロッパだけでなく、アメリカのリーマンショックについても言及があり、リーマンショックは100年に一度などと言われたが、実際は1930年代の世界恐慌よりも景気の落ち込みが小さかったことなどのデータは参考になる。なぜ落ち込みが少なかったかということについても、非伝統的な金融政策のおかげであると指摘しており、量的緩和の有用性について述べている。
ヨーロッパに関しては、有事の際は少し高めではあるが、ECBがインフレ率4%程度まで我慢して金融政策をすべきと言っている。また、最適通貨圏理論の観点から、共通通貨にすべきだったのは、ドイツ、フランス、ルクセンブルク、ベルギー、オランダの5か国で、ギリシャやイタリアなどの南欧、東欧は共通通貨にすべきではなかったと指摘している。
岩田氏の経済理論は、世界標準で、世界のマクロ経済学者から見れば、当たり前のことを言っていると思うだろうが、日本ではなかなか広まらないのが日本の経済が良くならない原因だろう。
ただ、後半で、高橋洋一氏が言う政府紙幣に対して言及があるが、高橋氏の主張に対して十分に理解しているとは言い難い部分があった。まず一つ目は、高橋氏は、「日銀がやらないのならば財務省がやればいい」といっており、本来ならば、日銀がきちんと金融政策を行うべきだということ。二つ目は、政府紙幣を発行したからと言って、それを国民が使うような紙幣になるかどうかは別で、高橋氏によれば、例えば政府が20兆円の政府紙幣を1枚発行して、日銀に持って行って日銀券と交換し、これを元手に財政支出を行うというもので、なにも、ATMなどの設備を取り換える必要はない。そうすれば、市場に出回るお札は日銀券だけになる。
その点について岩田氏はあまり高橋氏の著書やコラムなどは読んでないのかもしれない。まぁ普通の国なら中央銀行がきちんと金融政策やってくれるので、政府紙幣なんて考える必要ないのだけど、日銀という特殊な組織があるから、日本経済を良くするためにはそういうものも必要なのかもしれない。ただ、実際に政府紙幣発行の実務を行う財務省も相当特異だが。
そうは言うものの、この本は、ユーロ危機やリーマンショックについて勉強するには良い本だと思う。後半は岩田氏のお得意の日銀批判であるが、量が少し足りなかったのだろうか。ご愛嬌だと思えば良い。