「ティール組織」のオレンジ型組織の紹介としてジャック・ウェルチ氏がCEOを務めるGEが取り上げられていたことに興味を持ち、著者の経営に対する考え方を知ろうとして手に取った。ティール組織論の中でオレンジ型組織はやや古い組織にあたる。
読んでみると確かに昭和の企業にありそうな印象を抱く。ジャック・ウェルチ氏が掲げるテーマは「勝利」だ。勝つという目的ことが企業、個人を成長させるという信念がある。これを企業のカルチャーとしては古いという人もいる。例えばティール組織の著者、フレデリック・ラルー氏は勝利を前提とするミッションステートメントではメンバーの共感を得られにくと考えている。
確かに一時期Googleのプロジェクトアリストテレスが話題になりイノベーションに必要なことは心理的安全だと言われるようになった。企業のプロジェクトのステークホルダーが複雑化したため率直にコミニュケーションを取ることが重要になったからだ。それに対して社内外での競争が伴うGEでは心理的安全性が高いとは言えない。
それではウェルチ氏の考えはもう使えないのだろうか。そう思いながら本を読み進めると勝利に必要な「哲学」「組織」「戦略」が書かれており、その中で選別が重要性が説かれている。成績がボトムのメンバーを解雇するのだが、一見やはり昔ながらの企業だと思ってしまうが、ネットフリックスにも解雇のシステムがあり、これを活用して実際に成長している。また、報酬に対する考えもモチベーションには報酬が最も作用するという点でネットフリックスと似ている。ネットフリックスの組織論に関しては書籍「NO RULES」に詳細がある。
組織論としてみれば確かにウェルチ氏の考えは古く区分される。しかし人事組織の選択肢の1つとして今なお考え方は古びてないと思う。むしろ既存の成長企業の組織論と大きく重なるところがある。何もティールが正解というわけではない。この本は組織のモデルとして参考になるところがあった。
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イメージ付きのレビュー
フランクであれ！
この方は、硬直マインドセットから、しなやかなマインドセットに変わった方の1人として、その経緯や失敗談から学べるものがあると思い手に取りました。一番印象に残ったのは、1章の率直さについて書かれていたところです。確かに社内で率直であり続けることは、日本の企業ではどうしても浮いてしまう。自分も新人の時には何度か苦い経験を味わい、そこからどんどん内向的になっていったのを覚えています。ただ、これを社会全体の人間関係として捉えれば、自分の世界はもっともっと広がっていくことに気づきました。今は、なるべく周囲の人に率直に接しています。その方が、早く仲良くなれるし、親密になることができると思います。いろいろな視点で見ることができる本だと思います。
