・サノーさん一言コメント
「グローバリゼーションの主導者であったはずのアメリカが、未知のフラット化された社会に直面した時抱く、恐怖。世界の累進性を知る、必読の書」
【サノーさんおすすめ度★★★★★】
・ウノーさん一言コメント
「開かれた世界と、閉ざされた社会。人類が選ぶのは、どの選択肢なのでしょうか。現状と将来を世界視点から、教えてくくれます」
【ウノーさんおすすめ度★★★★★】
・サノーさん、ウノーさん読書会
サノーさん(以下サ):読み終えて、すぐに思ったのは、現・アメリカ大統領のことだ。
ウノーさん(以下ウ):政治経験のない事業家が、あれよあれよという間に大統領になって、外目には理解しがたい政策を展開する理由が、ここには、はっきりと書かれています。
サ:まずは、単純な恐怖なんだな。世界がフラット化し、他国と自国の労働力と生産性の垣根がなくなっていく過程で生じた歪みは、こんなにもアメリカを直撃していたとは、知らなかった。
ウ:左脳系の労働はインドと中国にアウトソースして、右脳系の労働からイノベーションを起こす、実にアメリカ的発想だと、思いました。
サ:それだけ、大戦後の筆頭国であるアメリカが抱える悩みは深いわけだ。だって、自分たちが先導してきた自由と平等、民主主義の概念にそって「フラット化する世界」が実現していくなかで、自分たちが「落ちこぼれる」可能性が高まっているわけだから。
ウ:まさに「盛者必衰」なのか、と思わせつつ、やっぱりこういう本が書けちゃうわけだから、アメリカの先行者益、知的、創造的レベルの高さには、かなわないですね。
サ:IQと同様に好奇心度や創造度も、数値化しようとしている姿は、ちょっと微笑ましい気すらする。子供の教育、自分の仕事に悩んでいるのは、アメリカ人だけではない。フラット化を回避しないのなら、世界規模での教育を見直す時期だと思うが。
ウ:フラット化による反動や歪みがあまりにも大きい場合は「フラット化しない」という選択肢が「求心力」を得ますね。
サ:それがまさに「メキシコに壁をつくる」ことなんだろう。荒唐無稽な政策のように感じる人も多いと思うが、この本を読めば、その動機がアメリカ人の「切実な恐怖」に基づいていることが理解できる。
ウ:11.9でベルリンの壁が崩壊したことにより、シンボリックな点でも、世界の「フラット化」が始まり、9.11のテロで「揺り戻し」が起き、社会と社会がつながるのか、分断するのかの分水嶺が、浮き出たわけですね。
サ:いや、基本的に「フラット化」は選択できるものではなく、テクノロジーの発展により「不可避な事実」なんだ。その前提のうえで、いかに幸福を目指す選択をし続けることができるかが、私たち全員に試されているのだと思う。
ウ:イスラエルの若者の財布にあった「アラファト議長」と「恋人」の二枚の写真。ここに、映し出された将来を、垣間見ました。
サ:それぞれの価値観と、その元始となっている哲学、その重要性が増す世界であることは、間違いないだろう。
ウ:それと「学び」です。こういう考察、こういう世界がある、というのを知らないまま、自分の生き方を決めるのは、不可能ですから。
ちなみに、この本は2008年の上梓です。現・アメリカ大統領に関する記述は一切ありませんので、ご購入の際は、ご注意ください。
【了】
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フラット化する世界 下: 経済の大転換と人間の未来 単行本 – 2006/5/1
トーマス フリードマン
(著),
伏見 威蕃
(翻訳)
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The World Is Flat――世界は「フラット」になった。この言葉の意味を理解しなければ、これからの企業や個人が生き延びることはできません。ITの飛躍的発展はインドや中国にグローバルな競争力を与え、その結果、先進国の仕事は次々に奪われています。その一方、知識やアイディアが共有されることにより、あらゆる場所でイノベーションが起きています。競争とイノベーションの新時代を、われわれはどう生き抜けばいいのか? Google、ウォルマート、デルなど「世界のフラット化」を成功に結びつけている実例を多数紹介しながら、21世紀の繁栄の条件を示します。
- 本の長さ425ページ
- 言語日本語
- 出版社日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
- 発売日2006/5/1
- ISBN-104532312809
- ISBN-13978-4532312800
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商品の説明
出版社からのコメント
数十年に一度、あらゆる人たちの考え方を変えてしまう歴史的作品が出現します。トフラーの『第三の波』、ガルブレイスの『不確実性の時代』など――。本書『フラット化する世界』は21世紀で初めて出現した、そんな作品です。
著者について
1953年ミネソタ州生まれ。ブランダイス大学を首席で卒業後、オックスフォード大学で修士号取得(現代中東研究)。UPI通信に入社し、1979年から81年までベイルート特派員。その後ニューヨーク・タイムズ社に移り、ベイルート、エルサレムの両支局長を歴任。その間、ピュリツァー賞を2度受賞。89年に帰国し、ホワイトハウス担当首席記者を経て95年からニューヨーク・タイムズ紙の外交問題コラムニスト。2002年、テロ問題に関する執筆活動により、3度目のピュリツァー賞を得る。著書に、全米図書賞を受賞した『ベイルートからエルサレムへ』、世界的ベストセラーとなった『レクサスとオリーブの木』などがある。
登録情報
- 出版社 : 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版; New版 (2006/5/1)
- 発売日 : 2006/5/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 425ページ
- ISBN-10 : 4532312809
- ISBN-13 : 978-4532312800
- Amazon 売れ筋ランキング: - 179,222位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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ニューヨーク・タイムズ紙コラムニスト。1953年ミネソタ州ミネアポリス生まれ。ブランダイス大学を首席で卒業後、オックスフォード大学で修士号を取得 (現代中東研究)。UPI通信に入社し、1年間ロンドン支局で勤務した後、ベイルートに派遣される。1979年から81年まで特派員生活を送った後、 ニューヨーク・タイムズ社に移り、1982年ベイルート支局長を命じられた。赴任直後にイスラエルによるレバノン侵攻が起こり、この戦争、とくにサブラ・ シャティーラ虐殺事件を取材したことで1983年のピュリツァー賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 グリーン革命〔増補改訂版〕(上) (ISBN-13: 978-4532316228 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年6月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2017年10月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
公平な視点・思考で記述しようと、様々な見地から努力し書かれた本だと思いますが、一方で、豊かな国に生まれた著者の分析には、偏りを感じざるを得ない感がします。
最も豊かな1%の人々が世界の資産の40%を所有している事に対し、著者自身がその1%に含まれるとなると、イマイチ説得に欠ける。
しかしながら、視点を変え、その豊かな国に住んでいる人々、或いはその予備軍国家の人々には、警笛を鳴らす本かも知れません。
最も豊かな1%の人々が世界の資産の40%を所有している事に対し、著者自身がその1%に含まれるとなると、イマイチ説得に欠ける。
しかしながら、視点を変え、その豊かな国に住んでいる人々、或いはその予備軍国家の人々には、警笛を鳴らす本かも知れません。
2018年10月8日に日本でレビュー済み
アメリカのオフィス機能のインドへのアウトソーシングはよく知られた話だし、日本の企業も同じようなことを中国の大連とかでやっているけれども、個々の事例ではなく、こういうふうに網羅的に提示されると、20年前と現在がどれだけ違っているかがはっきり認識できる。
著者が現代を、コロンブスたちが未知の海に乗り出した大航海時代になぞらえているが、たしかにそのとおりかもしれない。
そこで活躍するのはオヤジではなく若い人達。
そういう人達にこの本を読んでもらって、中国人やインド人に負けないように頑張ってほしいものだ。
やつらは本当にパワフルでハングリーで優秀だからな。
こちらも死ぬほど頑張らないと本当にまずいと思う今日この頃である。
著者が現代を、コロンブスたちが未知の海に乗り出した大航海時代になぞらえているが、たしかにそのとおりかもしれない。
そこで活躍するのはオヤジではなく若い人達。
そういう人達にこの本を読んでもらって、中国人やインド人に負けないように頑張ってほしいものだ。
やつらは本当にパワフルでハングリーで優秀だからな。
こちらも死ぬほど頑張らないと本当にまずいと思う今日この頃である。
2021年8月22日に日本でレビュー済み
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新品商品として購入しましたが、3ページにわたりエンピツでアンダーラインされている箇所があり、消しゴムで消しました。不愉快です。
2015年6月21日に日本でレビュー済み
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時間がなく、半分ぐらい読んで、あとは訳者あとがきを読みました。
現在も進行するグローバル化の世界にあって、参考になることが書かれています。
自分自身、IT業界に属し、ひときわ変化の早い環境に身を置いています。そのような環境にあっても、この本は十分価値があると思います。
確かにフラット化には脅威の面もあると感じますが、その分チャンスが増え、よりデザインや感性に差別化の要素があるのではないかと思います。
前向きにこの状況を受け入れ、楽しめるようになりたいと思いました。
===訳者あとがきの抜粋
人間の五感や能力は非常にすばらしい。
<中略>
優秀なセールスマンや店員は、ちょっとした気遣いや心配りや工夫で、売上げを伸ばすことができる。肝心なのは、そうした力を「フラット化した世界」で駆使するすべを知ることだ。
<中略>
つてがなにもないアマチュア・カメラマンでも、才能をグローバルに発揮できるわけだ。世界のフラット化により、ビジネスチャンスがいたるところで生まれているという、本書の提言を如実に示す好例だろう。
<中略>
グローバリゼーションと世界のフラット化がよりよい未来をもたらすためには、正しいイマジネーションが必要である、とフリードマンは結論「イマジネーション」で強調している。
<中略>
建設的なイマジネーションが、その解決策になりうる可能性がある。
===
できれば、あとからゆっくり最初から読めれば理想であるとは思います。
それに値する本だと思います。
現在も進行するグローバル化の世界にあって、参考になることが書かれています。
自分自身、IT業界に属し、ひときわ変化の早い環境に身を置いています。そのような環境にあっても、この本は十分価値があると思います。
確かにフラット化には脅威の面もあると感じますが、その分チャンスが増え、よりデザインや感性に差別化の要素があるのではないかと思います。
前向きにこの状況を受け入れ、楽しめるようになりたいと思いました。
===訳者あとがきの抜粋
人間の五感や能力は非常にすばらしい。
<中略>
優秀なセールスマンや店員は、ちょっとした気遣いや心配りや工夫で、売上げを伸ばすことができる。肝心なのは、そうした力を「フラット化した世界」で駆使するすべを知ることだ。
<中略>
つてがなにもないアマチュア・カメラマンでも、才能をグローバルに発揮できるわけだ。世界のフラット化により、ビジネスチャンスがいたるところで生まれているという、本書の提言を如実に示す好例だろう。
<中略>
グローバリゼーションと世界のフラット化がよりよい未来をもたらすためには、正しいイマジネーションが必要である、とフリードマンは結論「イマジネーション」で強調している。
<中略>
建設的なイマジネーションが、その解決策になりうる可能性がある。
===
できれば、あとからゆっくり最初から読めれば理想であるとは思います。
それに値する本だと思います。
2015年5月5日に日本でレビュー済み
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ベルリンのかべ崩壊、インターネットの普及、それから世界はどう変わっていくのか。
2018年12月8日に日本でレビュー済み
下巻。上巻に続き、難解なテーマに挑んでいるが、分かりやすい筆致だ。
勿論、分かりやすい筆致だからと言って、手を抜いているものではない。
多くのデータをもとに、富の集中、今後勃興していく国や文化圏など、
ジャーナリストらしい分析を加え、納得感が高い。出版から時間が経過
しているため、さすがに今後の予測にはズレが出てきている点は散見さ
れるが、やむを得ないことであろう。しかし、予測をするためのベース
である出版時の現在と過去の分析については、正確な論評と感じさせる。
大変好感が持てる内容だ。
勿論、分かりやすい筆致だからと言って、手を抜いているものではない。
多くのデータをもとに、富の集中、今後勃興していく国や文化圏など、
ジャーナリストらしい分析を加え、納得感が高い。出版から時間が経過
しているため、さすがに今後の予測にはズレが出てきている点は散見さ
れるが、やむを得ないことであろう。しかし、予測をするためのベース
である出版時の現在と過去の分析については、正確な論評と感じさせる。
大変好感が持てる内容だ。
2006年9月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
非常に示唆に富んだ本です。
(反フラット化のイスラム世界についてのくだりなんて、目からウロコでした。)
示唆の中から、若い日本人が認識すべきことを独断と偏見で選ぶなら…、
'@グローバルな競争(フラットな世界)はすぐそこまで来ている。
⇒これについては日本は英語圏でないので、すぐに当てはまるかは微妙ですが、
高付加価値な労働についてもいずれ競争に巻き込まれていくと思います。
資源の無い日本の活路はやはり高度な知的生産国家しかないと思うのですが、
現在の理系離れや教育水準の低下、少子化傾向で目標を達成できるのか…。
'A個人の知が競争の差別化要因となり、個人の知は教育によって育成される。
⇒これについて現在の日本は非常に憂慮すべき事態であると考えられます。
テクノロジーによるイノベーションのみが競争であるとは思いたくないですが、
経済発展を遂げる国は学生の理数系の成績が良い、という統計もあります。
アメリカは他国から優秀な頭脳をひきつける魅力がありますが、日本は…。
'B差別化できない最後のものは「イマジネーション」である。
⇒知のコモディティ化が進むと、あらゆる物は模倣され、コモディティ化する。
しかしながら、最後まで模倣できないことは、知からイノベーションを生み出す
「イマジネーション」、すなわち「独創性」や「考える力」である、と。
これは全く同感です。イマジネーションが生まれるにはどうすればいいか、
という問いにはあいまいにしか答えていませんが…。難しいですしね。
とまぁ、読む人によって大事に感じる箇所が微妙に違ってくると思います。
自分が「コレは大事なんじゃなかろうか」とうすうす思っていたことが
ズドーンと書いてあったので、個人的には非常に嬉しかったです。
(教育とか、イマジネーションこそが差別化要因だ、とか。)
他に普通の読み手としてはどうすることもできませんが、
・フラット化する条件とは何か。
・フラット化した世界で国家が競争力をつけるにはどうすればよいか。
・フラット化した世界に必要なセーフティーネットとはいかなるものか。
・フラット化できる国とそうでない国の決定的な違いは何か。
とか示唆に富んだ記述があります。
非常に勉強になるし、何より視野が広がります。
ホントにおすすめ。
(反フラット化のイスラム世界についてのくだりなんて、目からウロコでした。)
示唆の中から、若い日本人が認識すべきことを独断と偏見で選ぶなら…、
'@グローバルな競争(フラットな世界)はすぐそこまで来ている。
⇒これについては日本は英語圏でないので、すぐに当てはまるかは微妙ですが、
高付加価値な労働についてもいずれ競争に巻き込まれていくと思います。
資源の無い日本の活路はやはり高度な知的生産国家しかないと思うのですが、
現在の理系離れや教育水準の低下、少子化傾向で目標を達成できるのか…。
'A個人の知が競争の差別化要因となり、個人の知は教育によって育成される。
⇒これについて現在の日本は非常に憂慮すべき事態であると考えられます。
テクノロジーによるイノベーションのみが競争であるとは思いたくないですが、
経済発展を遂げる国は学生の理数系の成績が良い、という統計もあります。
アメリカは他国から優秀な頭脳をひきつける魅力がありますが、日本は…。
'B差別化できない最後のものは「イマジネーション」である。
⇒知のコモディティ化が進むと、あらゆる物は模倣され、コモディティ化する。
しかしながら、最後まで模倣できないことは、知からイノベーションを生み出す
「イマジネーション」、すなわち「独創性」や「考える力」である、と。
これは全く同感です。イマジネーションが生まれるにはどうすればいいか、
という問いにはあいまいにしか答えていませんが…。難しいですしね。
とまぁ、読む人によって大事に感じる箇所が微妙に違ってくると思います。
自分が「コレは大事なんじゃなかろうか」とうすうす思っていたことが
ズドーンと書いてあったので、個人的には非常に嬉しかったです。
(教育とか、イマジネーションこそが差別化要因だ、とか。)
他に普通の読み手としてはどうすることもできませんが、
・フラット化する条件とは何か。
・フラット化した世界で国家が競争力をつけるにはどうすればよいか。
・フラット化した世界に必要なセーフティーネットとはいかなるものか。
・フラット化できる国とそうでない国の決定的な違いは何か。
とか示唆に富んだ記述があります。
非常に勉強になるし、何より視野が広がります。
ホントにおすすめ。