★3.4/2022年147冊目/12月7冊目/『IKEA 超巨大小売業、成功の秘訣』(-/日本経済新聞出版社社)/リュディガー ユングブルート/P.326/2007年/1800円+税 #読書 #読書2022 #読了 #読了2022
IKEAの歴史、創業者(カンプラード)の人となりがよくわかる。IKEAの功績は、家具とは代々受け継がれる高価な財産という常識を覆し、低価格、良品質の理想を実現し、あらゆる階層の人々に美しい機能性に富んだ家具インテリアを提供したことだ。私も過去にIKEAのカタログをずっと眺めていた時期がある。IKEAの成功は、ビジネスモデルよりも、カンプラードを中心とした組織力によるものだと思う。徹底したコスト意識、責任感、行動力が他の企業とは大きく違うと感じた。ーーー「失敗するのはやる気のある証拠だ」p102
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IKEA超巨大小売業、成功の秘訣 単行本 – 2007/2/1
リュディガー ユングブルート
(著),
瀬野 文教
(翻訳)
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- 本の長さ326ページ
- 言語日本語
- 出版社日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
- 発売日2007/2/1
- ISBN-104532313155
- ISBN-13978-4532313159
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登録情報
- 出版社 : 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版; New版 (2007/2/1)
- 発売日 : 2007/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 326ページ
- ISBN-10 : 4532313155
- ISBN-13 : 978-4532313159
- Amazon 売れ筋ランキング: - 574,045位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 367位企業動向
- - 36,439位投資・金融・会社経営 (本)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2016年11月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書を読んでみて、IKEAは、家具を売っているのではないと思う。
事業ドメインの観点からも、IKEAは、コンセプトを売っているのだと思う。
子供のころ、私の祖父は建具職人だった。私は、中学の技術家庭の授業で
習うような木工技術については、小学校卒業までに身に着けていた。
その時、家具を「作る」ことは楽しいと思っていた。
だが、IKEAはモノとしての家具ではなく、コンセプトを売っている。
詳しくは本書を捲っていただきたいと思うが、IKEAは事業ドメインの定義付けで
成功している世界的企業の良い例であり、創業者の生い立ちや性格等、ストーリー
としても楽しめる内容だと思う。
よく、IKEAはニトリと比較されるが、ニトリの「ロマン」と比較しながら読むと
もっと面白いではないか。
事業ドメインの観点からも、IKEAは、コンセプトを売っているのだと思う。
子供のころ、私の祖父は建具職人だった。私は、中学の技術家庭の授業で
習うような木工技術については、小学校卒業までに身に着けていた。
その時、家具を「作る」ことは楽しいと思っていた。
だが、IKEAはモノとしての家具ではなく、コンセプトを売っている。
詳しくは本書を捲っていただきたいと思うが、IKEAは事業ドメインの定義付けで
成功している世界的企業の良い例であり、創業者の生い立ちや性格等、ストーリー
としても楽しめる内容だと思う。
よく、IKEAはニトリと比較されるが、ニトリの「ロマン」と比較しながら読むと
もっと面白いではないか。
2007年8月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
昨年20年ぶりに日本に再上陸した世界最大の家具小売りチェーン・イケアは、破竹の勢いで世界市場の覇権を握っている。ビジネスウィークによればイケアのブランド価値は世界38位だ。
イケアはイングバール・カンプラッド(IK)が一代で築き上げた世界一の企業である。 IKはフォーブス誌によれば、世界第4位の資産家(330億ドル)である。
しかし、その生活ぶりは、到底お金持ちとは思えない、地味で徹底的なケチケチで有名である。
飛行機はエコノミークラス。ある時、ストックホルムの記者会見場に地下鉄で現れ、「シニア割引」を利用した、と自慢したという。
現在スイス・ローザンヌ郊外エパランジュ村の質素なバンガローに住んでいる。スイスではもちろん一番の資産家だが、要請があっても地域にイケアの家具も寄付はしないし、外食は一切しないそうだ。
「歩いて行けるところへは、バスにも乗らない、タクシーはもってのほか。ロンドンでもクロムウェル・ロードの安ホテルにしか泊まらない。クリスマスカードは前の年に人からもらったカードを手直しして、一番安い紙に貼付けたもの」(英国のデザイナー・テレンス・コンラン談)
昨年日本の第一号店船橋店のオープニングの際に、イケアは、「あなたの家おもしろい?」「家庭と仕事、どっちが大切?」「こどもとあそんでる?」と、家は寝るだけの場所?の日本人のライフスタイルを問う広告戦略を展開した。
イケアはドイツに1974年に進出し、現在41店舗を保有する最大の市場である。ドイツのCMのコピーに 《ただ住んでいるだけ? それとももうちゃんと生活している?》というのがある。
2004年にドイツのエムニート世論調査研究所は、《イケアはドイツの家具インテリアスタイルに決定的な影響を与えたか?》という問いをしたが、70%が、与えた、と答えた。
イケアはドイツのように、日本人のインテリアとライフスタイルにも影響を与えるのか、興味深い。
イケアはイングバール・カンプラッド(IK)が一代で築き上げた世界一の企業である。 IKはフォーブス誌によれば、世界第4位の資産家(330億ドル)である。
しかし、その生活ぶりは、到底お金持ちとは思えない、地味で徹底的なケチケチで有名である。
飛行機はエコノミークラス。ある時、ストックホルムの記者会見場に地下鉄で現れ、「シニア割引」を利用した、と自慢したという。
現在スイス・ローザンヌ郊外エパランジュ村の質素なバンガローに住んでいる。スイスではもちろん一番の資産家だが、要請があっても地域にイケアの家具も寄付はしないし、外食は一切しないそうだ。
「歩いて行けるところへは、バスにも乗らない、タクシーはもってのほか。ロンドンでもクロムウェル・ロードの安ホテルにしか泊まらない。クリスマスカードは前の年に人からもらったカードを手直しして、一番安い紙に貼付けたもの」(英国のデザイナー・テレンス・コンラン談)
昨年日本の第一号店船橋店のオープニングの際に、イケアは、「あなたの家おもしろい?」「家庭と仕事、どっちが大切?」「こどもとあそんでる?」と、家は寝るだけの場所?の日本人のライフスタイルを問う広告戦略を展開した。
イケアはドイツに1974年に進出し、現在41店舗を保有する最大の市場である。ドイツのCMのコピーに 《ただ住んでいるだけ? それとももうちゃんと生活している?》というのがある。
2004年にドイツのエムニート世論調査研究所は、《イケアはドイツの家具インテリアスタイルに決定的な影響を与えたか?》という問いをしたが、70%が、与えた、と答えた。
イケアはドイツのように、日本人のインテリアとライフスタイルにも影響を与えるのか、興味深い。
2017年1月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
IKEAの成長や創業者の哲学だけでなく、近代スウェーデンの歴史と政治も学ぶことができて、一石三鳥の本。
IKEAは世界的に成功しているスウェーデンの会社だが、最も営業に力を入れている国はドイツだという。それは創業者のカンプラード氏がドイツ系移民だから、という話で始まる。ドイツを愛する余り、十代のカンプラード少年はナチス支持運動に参加。(晩年これについて謝罪。)「機能的でオシャレ、しかも安い」IKEAの家具が大ヒットした時、本国スウェーデンでは老舗の家具屋に妬まれ、意地悪をされる。(※ニトリの社長さんも自伝で似たようなことを言っていた。) だが皮肉なことに、それこそがIKEAがポーランドなどの外国で安い木材を仕入れる道を切り開き、世界に出て行って成功するきっかけとなる。「ネガティブな行動が報われることは、決してないよ。」彼のこの言葉には、大いに賛成。
他方、スウェーデンというと「弱者に親切な福祉国家」のイメージが私は強かったが、平等主義が行き過ぎて悪平等が蔓延し、「高収入者は高額(85%)の所得税を払わなければいけない」という奇妙なことになっていたため、カンプラード氏は家族とデンマーク⇒後にスイスに移住している。本の中に何と、私が子供の頃好きだった「長くつ下のピッピ」の著者リンドグレーンさんもチラッと登場。スウェーデンの高額すぎる税金を批判しているそうだ。そういえば去年、スウェーデンのある幼稚園で「男女の固定観念を子供に植え付けないため、先生はhe/sheの代名詞を使わない」方針を導入、というニュースを読んだが、この時も「それは行き過ぎなんじゃない?」と思ったことを、思い出した。
IKEAでは、取締役も上司も社員も平等で、階級にかかわらずファーストネームで呼び合う文化だという。ある意味、開放的で進んでいる気がするが、ピッピやIKEAやABBAの音楽が象徴する明るいスウェーデン文化の裏には、「平等が過激すぎて変」という闇が存在することを、垣間見られて勉強になった。
この本が書かれた時点(2007)では、IKEAは日本にはまだ進出していない。そして今、私はIKEAで買った椅子(素敵なグリーン)と机でこの書評を書いている。久しぶりにIKEAに行って、今度はビジネスマンの目線でお店を観察してみたいな(単にIKEAの雰囲気が好きなのだが・・・)という気分になった。
IKEAは世界的に成功しているスウェーデンの会社だが、最も営業に力を入れている国はドイツだという。それは創業者のカンプラード氏がドイツ系移民だから、という話で始まる。ドイツを愛する余り、十代のカンプラード少年はナチス支持運動に参加。(晩年これについて謝罪。)「機能的でオシャレ、しかも安い」IKEAの家具が大ヒットした時、本国スウェーデンでは老舗の家具屋に妬まれ、意地悪をされる。(※ニトリの社長さんも自伝で似たようなことを言っていた。) だが皮肉なことに、それこそがIKEAがポーランドなどの外国で安い木材を仕入れる道を切り開き、世界に出て行って成功するきっかけとなる。「ネガティブな行動が報われることは、決してないよ。」彼のこの言葉には、大いに賛成。
他方、スウェーデンというと「弱者に親切な福祉国家」のイメージが私は強かったが、平等主義が行き過ぎて悪平等が蔓延し、「高収入者は高額(85%)の所得税を払わなければいけない」という奇妙なことになっていたため、カンプラード氏は家族とデンマーク⇒後にスイスに移住している。本の中に何と、私が子供の頃好きだった「長くつ下のピッピ」の著者リンドグレーンさんもチラッと登場。スウェーデンの高額すぎる税金を批判しているそうだ。そういえば去年、スウェーデンのある幼稚園で「男女の固定観念を子供に植え付けないため、先生はhe/sheの代名詞を使わない」方針を導入、というニュースを読んだが、この時も「それは行き過ぎなんじゃない?」と思ったことを、思い出した。
IKEAでは、取締役も上司も社員も平等で、階級にかかわらずファーストネームで呼び合う文化だという。ある意味、開放的で進んでいる気がするが、ピッピやIKEAやABBAの音楽が象徴する明るいスウェーデン文化の裏には、「平等が過激すぎて変」という闇が存在することを、垣間見られて勉強になった。
この本が書かれた時点(2007)では、IKEAは日本にはまだ進出していない。そして今、私はIKEAで買った椅子(素敵なグリーン)と机でこの書評を書いている。久しぶりにIKEAに行って、今度はビジネスマンの目線でお店を観察してみたいな(単にIKEAの雰囲気が好きなのだが・・・)という気分になった。
2011年3月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
CDに入ってる評論家の説明みたいな内容。誉めすぎ。面白い部分は僅か。
2007年7月24日に日本でレビュー済み
スウェーデンの巨大家具店・IKEAの本。
IKEAの軌跡と創業者、イングヴァル・カンプラードについてと、
IKEA成功の秘訣という二部構成です。
成功の秘訣としては、その価格、デザイン、
流通、イメージ戦略などが挙げられています。
これはIKEA好きなら、ある程度予測のつく強みですが
危機管理のすばやさや、ホットドッグを激安で販売するくだりなど、
IKEAのファンとしては楽しい感じです。
対して、カンプラード氏については意外な感じでした。
徹底した倹約家で商売人。
デザインにさほど興味なし。
かなり個性的で、感情の強い方のよう。
成功した企業のカリスマ創業者は
神様扱いされることも多いですが、
カンプラード氏に対する著者の筆は長所も短所も公平です。
従業員の待遇の悪さなどは、ちょっと残念でした。
IKEAの軌跡と創業者、イングヴァル・カンプラードについてと、
IKEA成功の秘訣という二部構成です。
成功の秘訣としては、その価格、デザイン、
流通、イメージ戦略などが挙げられています。
これはIKEA好きなら、ある程度予測のつく強みですが
危機管理のすばやさや、ホットドッグを激安で販売するくだりなど、
IKEAのファンとしては楽しい感じです。
対して、カンプラード氏については意外な感じでした。
徹底した倹約家で商売人。
デザインにさほど興味なし。
かなり個性的で、感情の強い方のよう。
成功した企業のカリスマ創業者は
神様扱いされることも多いですが、
カンプラード氏に対する著者の筆は長所も短所も公平です。
従業員の待遇の悪さなどは、ちょっと残念でした。
2019年5月19日に日本でレビュー済み
イケア(イングヴァル・カンプラード・エルムタリッド・アグナリッドの略)と言えば、日本でももはや知らない人はいないのではないかというくらい有名な会社だろう。北欧デザインで知られるイケアの家具や雑貨は、今では世界中で売られている。本書は、イケアがいかにして世界最大の家具店にまで成長したのか、この企業が見せる明るい表向きの顔は実態に合致したものなのか、などについて答えていくものである。
まず、私が本書を手に取った理由として、「世間一般に信じられているほどこの会社は明るく楽しく素晴らしい会社ではないのではないか?」という疑問があったのは事実である。というのも、イケアを徹底的に毛嫌いしている友人がいて、何もそこまで否定的に捉えなくてもいいのではないかと思っていたくらいなのだが、その後イケア社員と仕事上の接点ができて彼らの実態がわかるにつれて、従業員を大切にするという彼らの信条は、そのためには社外の人間に対して手のひらを返すような態度としゃくし定規の説明で済ませることもやってのける、ということも意味するらしいということに気づいたのである。
なぜこのようなことに触れるかというと、本書を読み、非常に合点がいくものがあったからである。本書を通してイケアという企業を慎重に見ていけば、この会社を「誠実」と呼べるか否か、改めて考えさせられるだろう。
もう一つの疑問。ネットなどで調べてみても、イケアに対して批判的な情報に触れることはあまり無いのはなぜか、ということ。この点も他の企業と一線を画している部分である。危機管理に優れていると言い換えることもできる。ネガティブな論評がほとんど無いというその事実がまた、彼らを慈善団体のような企業と誤解する人々が多い理由にもなっているらしいのが面白い。
イケアの創業者イングヴァル・カンプラードは間違いなく類まれな企業経営者であろう。世界的ブランドにまで押し上げたイケアを2018年まで60年以上にわたって率い、創業者の影響がこれほどまで長期間に及ぶ世界企業は他に例がないほどであるが、彼の一族がナチス・ヒトラーの熱烈な支持者であり、イングヴァル自身もまた、「若気の至り」では済まされない30代前半までナチスの支持者であったことは全くと言っていいほど知られていないし、全くと言っていいほど問題視されていない。創業者の過去を含め、ネガティブな側面はイケアのブランドイメージからは完全に払拭されているか、生じても速やかに払拭される。そして、払拭することに成功している。
その一方、イケアのような明るい表向きの顔をしている企業、世間一般の人から見て「あの会社で働けたらいいな」と思えるような会社について評するとき、「宗教っぽい」という表現を聞くことがある。本書でも似たような表現が登場する。私が意味するところは、外から見ているだけでは内部のことが正確にはわからないという点(資産状況を分かりにくくするためにあえて複雑な組織づくりに励むことを含む)と、ひとたび内部の人間になると批判的な意見を出しにくい(あるいは出ない)、という点で宗教と似ているということである。外部に対してはポジティブなイメージづくり、そして内部にはその宗教(会社)の信者しかいないのである。イケアの場合、創業者イングヴァルが1970年代に書いた「ある家具商人の遺言」が聖典になっているようだ。
とはいえ、本書の著者がかなり公正にイケアのことを書いているということにはごく素直に敬意を表したい。事実をありのままに指摘し、良いところは良いと明確にしており、偏った書き方をしていない。私のようにやや偏った予備知識を持って本書を読むに至った者にとっても、好感が持てるのではないだろうか。
最後に締めの言葉として批判を恐れずに言うなら、これは「外ヅラのいい会社には気をつけろ!」の原点である。これが現実である。
まず、私が本書を手に取った理由として、「世間一般に信じられているほどこの会社は明るく楽しく素晴らしい会社ではないのではないか?」という疑問があったのは事実である。というのも、イケアを徹底的に毛嫌いしている友人がいて、何もそこまで否定的に捉えなくてもいいのではないかと思っていたくらいなのだが、その後イケア社員と仕事上の接点ができて彼らの実態がわかるにつれて、従業員を大切にするという彼らの信条は、そのためには社外の人間に対して手のひらを返すような態度としゃくし定規の説明で済ませることもやってのける、ということも意味するらしいということに気づいたのである。
なぜこのようなことに触れるかというと、本書を読み、非常に合点がいくものがあったからである。本書を通してイケアという企業を慎重に見ていけば、この会社を「誠実」と呼べるか否か、改めて考えさせられるだろう。
もう一つの疑問。ネットなどで調べてみても、イケアに対して批判的な情報に触れることはあまり無いのはなぜか、ということ。この点も他の企業と一線を画している部分である。危機管理に優れていると言い換えることもできる。ネガティブな論評がほとんど無いというその事実がまた、彼らを慈善団体のような企業と誤解する人々が多い理由にもなっているらしいのが面白い。
イケアの創業者イングヴァル・カンプラードは間違いなく類まれな企業経営者であろう。世界的ブランドにまで押し上げたイケアを2018年まで60年以上にわたって率い、創業者の影響がこれほどまで長期間に及ぶ世界企業は他に例がないほどであるが、彼の一族がナチス・ヒトラーの熱烈な支持者であり、イングヴァル自身もまた、「若気の至り」では済まされない30代前半までナチスの支持者であったことは全くと言っていいほど知られていないし、全くと言っていいほど問題視されていない。創業者の過去を含め、ネガティブな側面はイケアのブランドイメージからは完全に払拭されているか、生じても速やかに払拭される。そして、払拭することに成功している。
その一方、イケアのような明るい表向きの顔をしている企業、世間一般の人から見て「あの会社で働けたらいいな」と思えるような会社について評するとき、「宗教っぽい」という表現を聞くことがある。本書でも似たような表現が登場する。私が意味するところは、外から見ているだけでは内部のことが正確にはわからないという点(資産状況を分かりにくくするためにあえて複雑な組織づくりに励むことを含む)と、ひとたび内部の人間になると批判的な意見を出しにくい(あるいは出ない)、という点で宗教と似ているということである。外部に対してはポジティブなイメージづくり、そして内部にはその宗教(会社)の信者しかいないのである。イケアの場合、創業者イングヴァルが1970年代に書いた「ある家具商人の遺言」が聖典になっているようだ。
とはいえ、本書の著者がかなり公正にイケアのことを書いているということにはごく素直に敬意を表したい。事実をありのままに指摘し、良いところは良いと明確にしており、偏った書き方をしていない。私のようにやや偏った予備知識を持って本書を読むに至った者にとっても、好感が持てるのではないだろうか。
最後に締めの言葉として批判を恐れずに言うなら、これは「外ヅラのいい会社には気をつけろ!」の原点である。これが現実である。
2011年5月13日に日本でレビュー済み
Mr.カンプラードすごいカリスマ!! 価格、スタイル、常に「別の路線」をとれ。”上場”せず、”財団”にて企業組織をコントロールする、徹底的な節税。
エピローグでもあったが、「このカリスマがいなくなったらIKEAはどうなるか?」疑問です。
エピローグでもあったが、「このカリスマがいなくなったらIKEAはどうなるか?」疑問です。