独裁は、保たないと云う最大公約数の考えがある。
プーチン・習近平は、それを果たした。トランプはそれを目指している。
日本のマスコミは敗戦呆けの能天気が続いていているが政治家も口を噤む。
習近平の途が平坦ではないと云う分析である。
先ず、国内に燻る極端な集権に対する不満である。
肝心の経済の見通しは、暗い。
成長率は落ち、経済対策に湯水のように金を使えず、海外に巨額の援助する手法は遂げにくくなっている。
2017年10月18日開幕した共産党大会で習は、3時間半に亘る演説をぶっていた。
が、その後半で共青団の次世代のホープ、大胡の胡錦濤に対し小胡と呼ばれている胡春華があろうことか席を立ったのである。
その画像は、直ちに削除された。共青団は、力を持っているのである。
中国では、保険を掛けて置く必要があるが護符の一例は、指導者との記念写真である。
王岐山が政変劇のシナリオを描いているのは間違いない。彼は、日本のユーラシア歴史家岡田英弘の著作の愛読者でもある。
中国全土に届く核ミサイルを保有した北朝鮮の存在は無視出来ない。
栄光の高句麗の都であった集安は、現在中国領にある。
北の中国・アメリカに対する想いは三者関係であり複雑である。
金正恩は、若輩と云えども一筋縄ではいかない。過去二度、習近平の顔を潰した。
そして、かって中国自身が歩んだ途をすすんでいる。それは、ロシアの利用をアメリカの利用と読み替えれば解かる。
中国の植民地化を避けるのは、核・ミサイル保有しかない。
中国は、北との隣接省に大規模難民キャンプの設置を指示した。
綿密な情報収集と分析の確かさは読ませる。
ふと思う。能天気な「自虐史観」の持ち主など、ごく普通な国でよくて病院送りだろうと。
折しも、米・北首脳会談が公表された。
外交ルートでなく裏ルートでの交渉結果である。それは、米・中間でも米・ソ間でも機能しているはずである。
日本マスコミの浅はかな読みは、自分自身でも恥づかしくないであろうか。
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習近平帝国の暗号 2035 単行本 – 2018/3/9
中澤 克二
(著)
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購入オプションとあわせ買い
止まらない北朝鮮の暴走、米トランプ政権から受ける強い圧力……。国内の権力基盤を盤石にした習近平政権は、中華帝国再興、世界覇権の掌握の野望を隠そうともしない。だが、その眼前には、国内外で数々の難題、難敵が待ち受ける。
2035年――。習近平が「現代化された社会主義強国」の実現を国家目標とするが、その裏には、どのようなメッセージが織り込まれているのか。
現実になりつつある核戦争リスク、政敵排除で「独裁化」が進む習政権が孕む危険など、中国が主要プレーヤーとなっている国際情勢の動向について、ボーン・上田賞記者が独自の取材にもとづき鮮烈に描く骨太ノンフィクション。
2035年――。習近平が「現代化された社会主義強国」の実現を国家目標とするが、その裏には、どのようなメッセージが織り込まれているのか。
現実になりつつある核戦争リスク、政敵排除で「独裁化」が進む習政権が孕む危険など、中国が主要プレーヤーとなっている国際情勢の動向について、ボーン・上田賞記者が独自の取材にもとづき鮮烈に描く骨太ノンフィクション。
- 本の長さ392ページ
- 言語日本語
- 出版社日本経済新聞出版
- 発売日2018/3/9
- 寸法13.4 x 2.8 x 19.5 cm
- ISBN-104532357683
- ISBN-13978-4532357689
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商品の説明
著者について
中澤 克二
日本経済新聞編集委員兼論説委員
宮城県仙台市出身。早稲田大学第一文学部卒。1987年日本経済新聞社入社。政治部などを経て98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長の後、東日本大震災の際、震災特別取材班総括デスクとして仙台に半年ほど駐在。2012年から中国総局長として北京へ。2014年ボーン・上田記念国際記者賞受賞。現在、東京本社編集委員兼論説委員。著書に『習近平の権力闘争』『中国共産党 闇の中の決戦』(日本経済新聞出版社)。
日本経済新聞編集委員兼論説委員
宮城県仙台市出身。早稲田大学第一文学部卒。1987年日本経済新聞社入社。政治部などを経て98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長の後、東日本大震災の際、震災特別取材班総括デスクとして仙台に半年ほど駐在。2012年から中国総局長として北京へ。2014年ボーン・上田記念国際記者賞受賞。現在、東京本社編集委員兼論説委員。著書に『習近平の権力闘争』『中国共産党 闇の中の決戦』(日本経済新聞出版社)。
登録情報
- 出版社 : 日本経済新聞出版 (2018/3/9)
- 発売日 : 2018/3/9
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 392ページ
- ISBN-10 : 4532357683
- ISBN-13 : 978-4532357689
- 寸法 : 13.4 x 2.8 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 463,988位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,863位国際政治情勢
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年2月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
第1章は幹部達の固有名詞ばかりがでてきて、内容が乏しく新聞記者の詳細な記事に過ぎなかった。新聞記者の書く文章は読者を惹きつける力が乏しく、只々事実の詳細な記述に終始しつまらない。
2018年3月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私自身も留学生、企業人として著者と同じ時期(1980年代末から2000年代初頭まで)を中国で過ごした。帰国してから既に十数年が経つが、現在も中国に縁の深い仕事をしているため、常に中国の動向には敏感に反応してしまう。著者の本は1冊目から読んでいるが、同じ時期に中国にいたこともあってか、著者の本からは、他のどの中国本よりも生々しい臨場感を感じてしまう。
仕事柄、今の中国は本気で人民元を国際通貨に、中国語を世界標準言語にしたいと思っているのかも…と感じる場面に多々遭遇するのだが、本書を読めば、それがあながち絵空事ではないと思わされる。
おそらく習近平は国内では毛沢東超えを本気で目指し、世界の覇権を本気で目指しているのだと思う。
「歴史に学べ」とは、当節ではいささか使い古された感のある言葉だが、中国人の為政者たちほど歴史を顧み、歴史に果敢に挑む者は他にないのではないだろうか。というよりも、今なお、中国の為政者たちは、春秋戦国、三国時代のような感覚で、天下統一を夢見ているような気がしてならない。現在においてもそれほどまでに権力闘争は苛烈だ。
2035年に習近平が権力を掌握し続けられているのかどうかは今はまだ未知数だ。毛沢東の頃とは時代も違えば、社会的な状況も違う。だが、その一方で中国という国は古来より「皇帝」という絶対的な権力者を容認してきた長い歴史がある。人間の本質はそうそう変わることもないと考えるのならば、2035年に盤石な習近平帝国が構築されている可能性もあるだろう。そうなった時、日本はどう動くべきか。そんなことも考える必要がある頃合いに差し掛かっているのだと思う。
余談ではあるが、習近平が総書記に就任する前に、次代を担う中国のリーダーとの呼び声が高かった政治家諸氏(薄熙来を筆頭に)の大半が既に獄中に有る現状に恐ろしさを感じざるを得ない。
内容がとても面白いだけに、誤植が散見されるのが、とても勿体ないと感じてしまう。増刷時には修訂されていることを望む。
続刊を期待しつつ。
仕事柄、今の中国は本気で人民元を国際通貨に、中国語を世界標準言語にしたいと思っているのかも…と感じる場面に多々遭遇するのだが、本書を読めば、それがあながち絵空事ではないと思わされる。
おそらく習近平は国内では毛沢東超えを本気で目指し、世界の覇権を本気で目指しているのだと思う。
「歴史に学べ」とは、当節ではいささか使い古された感のある言葉だが、中国人の為政者たちほど歴史を顧み、歴史に果敢に挑む者は他にないのではないだろうか。というよりも、今なお、中国の為政者たちは、春秋戦国、三国時代のような感覚で、天下統一を夢見ているような気がしてならない。現在においてもそれほどまでに権力闘争は苛烈だ。
2035年に習近平が権力を掌握し続けられているのかどうかは今はまだ未知数だ。毛沢東の頃とは時代も違えば、社会的な状況も違う。だが、その一方で中国という国は古来より「皇帝」という絶対的な権力者を容認してきた長い歴史がある。人間の本質はそうそう変わることもないと考えるのならば、2035年に盤石な習近平帝国が構築されている可能性もあるだろう。そうなった時、日本はどう動くべきか。そんなことも考える必要がある頃合いに差し掛かっているのだと思う。
余談ではあるが、習近平が総書記に就任する前に、次代を担う中国のリーダーとの呼び声が高かった政治家諸氏(薄熙来を筆頭に)の大半が既に獄中に有る現状に恐ろしさを感じざるを得ない。
内容がとても面白いだけに、誤植が散見されるのが、とても勿体ないと感じてしまう。増刷時には修訂されていることを望む。
続刊を期待しつつ。
2018年4月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中澤編集委員の習近平シリーズ三作目である。
途中少しお休みされた日経での連載を回復されたと思って喜んでいたら、それほど待たずに3冊目の単行本を手にすることになった。この執筆スピードはかなりのものだ。
今回はかなり微妙な時期を選んで出版されたが、習近平氏の政治テロとも呼ばれる終身制への一歩を踏み出すタイミングに合わせたという意味では、ちょうど美味しいタイミングで市場に投げ込まれた感が強く、リアルタイムで今動いていることを解説してくれているとも言えるだろう。
ページを開くと、連載をつなぎ合わせたとは思えぬほど滑らかに話が繋がって行く。前作、前々作よりも、繋がりが良く、一気に読ませる勢いがある。人物に関する考察は前作前々作よりもキレが良く、中国の政界についての知識を増すことができるだけに留まらず、昨年から目に見える形で進んできた粛清やその系譜がよく掴め、現政権の行く先すら示唆されているので、この先何が起こっても、ああ、そういえば書いてあったなと思うことになると感じる。
また、今作では、珍しく「第五の政治文書」など、具体的に中澤委員の主張が見えるというか、ドラマを見ていたら俳優がいきなり素に戻って語りだすような部分もあり、ちょっと驚かされる。
個人的には、習近平は江沢民時代から行われてきた経済面での「百花斉放」について、調子に乗りすぎた者を引き締めるという、まさに毛沢東のマネのようなことをしているなと感じている。これでは今後誰も金儲けに精を出さなくなるか、習近平に擦り寄ることで富を築くことしか考えなくなりそうな気がしてならない。要はいまある腐敗はシステミックなもので、習近平本人がよほど自分を律しない限り実現はできない構造的腐敗なのである。なのでどれだけトラを叩いても、自分を鞭打つつもりがないのだから、そんなものは実現などできないのだ。監察委員会も、結局は金塗れの党員や特権まみれの公務員を締め付けるだけのもので、委員会を監視する機構はないのだから、要は恐怖政治の司令塔を作るようなもので、その委員の腐敗は許されることになる。さらに、市民はそれをわかっており、利益を共有できない末端はかなり呆れているし、隙あらば海外へと子供を送り出し、根を張っていく。そして、これだけ自己愛に満ち満ちた党への忠誠度は確実に日に日に落ちており、旨味を得られなければ誰も寄り付かなくなっていることは、先日の住民戸籍抹消騒ぎで明らかになっており、かなり舵取りは難しくなっている。トランプにも増して御都合主義な党の、算盤づくな成長がどこまで続けられるのか、その辺も微妙に感じる。
また、書中で一部指摘されているように、中国は強国強権を一度表面化し、失敗している。そこで引っ込めたはいいものの、世界の国々はその未来をすでに予見してしまっている。本書が指摘するように、2035という期限が示されているとするならば、これは大失態だと感じる。そして、この数字は金正恩との会見でも会談内容として「そこまで一緒に行こうぜ」と言ったと示されており、中澤委員の指摘は現実のものになりつつあるのだが、国内に問題を押し込めたままの寝技続きの内政には、私個人、大きな不安を覚えざるを得ない。
誰もが汚れているから、それをネタに脅せば誰もが従う。そんな気の長い罠にかかった党員らは、この先この国をどう統治して行くのか、まともにしていけるのか。そしてさらに、両会議後に行われた大規模機構改革ではかなりの機構が整理され、党が臆面もなく国務院を凌駕する形で前面に姿を見せるようになっている。党が国であるという姿が、ここまで表面化した時代はあったであろうか。機構改革については、出版時にはまだはっきりしていなかったので、書中には出てこない話なのだが、この国=党の関係の変化も、今後の中国への進出や中国との外交に大きな影響を及ぼすことになるだろう。こうしたおもむろな改変が行われたということは、中国にとって党が「造物主」であるという考えの発露でもあり、この世界を人類運命共同体という概念で作り変えようとする考えの発露にほかならない。そこには、世界中が恐怖すべき要素が隠れている。「造物主」は、自分が何より可愛く、自分がルールを決める世界を好むのである。そして、もう一つ考えておかなければならないのは、造物主である共産党は一種の財閥的性格を持つという点である。彼らは造物主としての意識が余りにも強く、人民の評価が底をつきつつあった自らの存在に異様な危機感を覚えた結果、それを極端な方向に進めようとした薄熙来らを排除し、自らの財産を守る方向にシフトした、と考えるべきである。厳密に言えば革命世代とはなんの関係もない江沢民や胡錦濤ら、そして共青団には考えも及ばない、朝鮮の金一家と同じ思考回路で自らの財産を守ろうとし始めている。その管財人が革命世代の跡取りである習近平、執事が王岐山であると考えるならば、この5年に展開された「闘争」は派閥を超えた共産党浄化作戦であり(理論的に不都合な林毅夫まで捕まえないにしろシカトに走ったのは面白かったが)、それを寝首を掻かれずに遂行するには自らの子飼いを集める他ない状況にある、と考えると、もっとスッキリするかも知れない。そうすることで、前の世代がある程度死に絶えるまでは、エセ強権政治で走り抜ける体制を固めることができる。ただ、割りを食うのは国民なので、おそらくこれまでとは違った不満や歪みが生まれることだろうし、このカラクリがバレるまでにどれだけかかるかでも未来は変わってくるが。
そうした中国共産党の行動原理と、習近平の思考原理が、これまでの3冊を読み込むことで、怖いほどにますますその輪郭を露わにしてくる。本書は、現時点までのまとめとして、私たちに警戒を促していると言える。このまま習近平派は生き残るのか、それは彼ら数名の運命だけでなく、人民元や外交を通じて。世界の運命まで決めかねないレベルで影響を及ぼす事態に発展しているのだ。我々は、こうした優れた作品に多く触れることで、自らの人生や、日本人としての立ち位置、日本国の行く末を考えなければならないと感じる。
ある意味、背筋の寒くなる作品であった。
※一点追記しておくと、本書は6合目くらいまでは一気に読ませる流れがあるのだが、その後潮目が変わるようにリズムが変わってしまうポイントに遭遇する。感覚的なものなのだが、そこだけが珠に疵といえばそう言えるかも知れない。また、数カ所存在する誤植は、恐らく次の版で直っていること思われるので、そこはご愛敬ということにしておきたい。
途中少しお休みされた日経での連載を回復されたと思って喜んでいたら、それほど待たずに3冊目の単行本を手にすることになった。この執筆スピードはかなりのものだ。
今回はかなり微妙な時期を選んで出版されたが、習近平氏の政治テロとも呼ばれる終身制への一歩を踏み出すタイミングに合わせたという意味では、ちょうど美味しいタイミングで市場に投げ込まれた感が強く、リアルタイムで今動いていることを解説してくれているとも言えるだろう。
ページを開くと、連載をつなぎ合わせたとは思えぬほど滑らかに話が繋がって行く。前作、前々作よりも、繋がりが良く、一気に読ませる勢いがある。人物に関する考察は前作前々作よりもキレが良く、中国の政界についての知識を増すことができるだけに留まらず、昨年から目に見える形で進んできた粛清やその系譜がよく掴め、現政権の行く先すら示唆されているので、この先何が起こっても、ああ、そういえば書いてあったなと思うことになると感じる。
また、今作では、珍しく「第五の政治文書」など、具体的に中澤委員の主張が見えるというか、ドラマを見ていたら俳優がいきなり素に戻って語りだすような部分もあり、ちょっと驚かされる。
個人的には、習近平は江沢民時代から行われてきた経済面での「百花斉放」について、調子に乗りすぎた者を引き締めるという、まさに毛沢東のマネのようなことをしているなと感じている。これでは今後誰も金儲けに精を出さなくなるか、習近平に擦り寄ることで富を築くことしか考えなくなりそうな気がしてならない。要はいまある腐敗はシステミックなもので、習近平本人がよほど自分を律しない限り実現はできない構造的腐敗なのである。なのでどれだけトラを叩いても、自分を鞭打つつもりがないのだから、そんなものは実現などできないのだ。監察委員会も、結局は金塗れの党員や特権まみれの公務員を締め付けるだけのもので、委員会を監視する機構はないのだから、要は恐怖政治の司令塔を作るようなもので、その委員の腐敗は許されることになる。さらに、市民はそれをわかっており、利益を共有できない末端はかなり呆れているし、隙あらば海外へと子供を送り出し、根を張っていく。そして、これだけ自己愛に満ち満ちた党への忠誠度は確実に日に日に落ちており、旨味を得られなければ誰も寄り付かなくなっていることは、先日の住民戸籍抹消騒ぎで明らかになっており、かなり舵取りは難しくなっている。トランプにも増して御都合主義な党の、算盤づくな成長がどこまで続けられるのか、その辺も微妙に感じる。
また、書中で一部指摘されているように、中国は強国強権を一度表面化し、失敗している。そこで引っ込めたはいいものの、世界の国々はその未来をすでに予見してしまっている。本書が指摘するように、2035という期限が示されているとするならば、これは大失態だと感じる。そして、この数字は金正恩との会見でも会談内容として「そこまで一緒に行こうぜ」と言ったと示されており、中澤委員の指摘は現実のものになりつつあるのだが、国内に問題を押し込めたままの寝技続きの内政には、私個人、大きな不安を覚えざるを得ない。
誰もが汚れているから、それをネタに脅せば誰もが従う。そんな気の長い罠にかかった党員らは、この先この国をどう統治して行くのか、まともにしていけるのか。そしてさらに、両会議後に行われた大規模機構改革ではかなりの機構が整理され、党が臆面もなく国務院を凌駕する形で前面に姿を見せるようになっている。党が国であるという姿が、ここまで表面化した時代はあったであろうか。機構改革については、出版時にはまだはっきりしていなかったので、書中には出てこない話なのだが、この国=党の関係の変化も、今後の中国への進出や中国との外交に大きな影響を及ぼすことになるだろう。こうしたおもむろな改変が行われたということは、中国にとって党が「造物主」であるという考えの発露でもあり、この世界を人類運命共同体という概念で作り変えようとする考えの発露にほかならない。そこには、世界中が恐怖すべき要素が隠れている。「造物主」は、自分が何より可愛く、自分がルールを決める世界を好むのである。そして、もう一つ考えておかなければならないのは、造物主である共産党は一種の財閥的性格を持つという点である。彼らは造物主としての意識が余りにも強く、人民の評価が底をつきつつあった自らの存在に異様な危機感を覚えた結果、それを極端な方向に進めようとした薄熙来らを排除し、自らの財産を守る方向にシフトした、と考えるべきである。厳密に言えば革命世代とはなんの関係もない江沢民や胡錦濤ら、そして共青団には考えも及ばない、朝鮮の金一家と同じ思考回路で自らの財産を守ろうとし始めている。その管財人が革命世代の跡取りである習近平、執事が王岐山であると考えるならば、この5年に展開された「闘争」は派閥を超えた共産党浄化作戦であり(理論的に不都合な林毅夫まで捕まえないにしろシカトに走ったのは面白かったが)、それを寝首を掻かれずに遂行するには自らの子飼いを集める他ない状況にある、と考えると、もっとスッキリするかも知れない。そうすることで、前の世代がある程度死に絶えるまでは、エセ強権政治で走り抜ける体制を固めることができる。ただ、割りを食うのは国民なので、おそらくこれまでとは違った不満や歪みが生まれることだろうし、このカラクリがバレるまでにどれだけかかるかでも未来は変わってくるが。
そうした中国共産党の行動原理と、習近平の思考原理が、これまでの3冊を読み込むことで、怖いほどにますますその輪郭を露わにしてくる。本書は、現時点までのまとめとして、私たちに警戒を促していると言える。このまま習近平派は生き残るのか、それは彼ら数名の運命だけでなく、人民元や外交を通じて。世界の運命まで決めかねないレベルで影響を及ぼす事態に発展しているのだ。我々は、こうした優れた作品に多く触れることで、自らの人生や、日本人としての立ち位置、日本国の行く末を考えなければならないと感じる。
ある意味、背筋の寒くなる作品であった。
※一点追記しておくと、本書は6合目くらいまでは一気に読ませる流れがあるのだが、その後潮目が変わるようにリズムが変わってしまうポイントに遭遇する。感覚的なものなのだが、そこだけが珠に疵といえばそう言えるかも知れない。また、数カ所存在する誤植は、恐らく次の版で直っていること思われるので、そこはご愛敬ということにしておきたい。
2018年4月17日に日本でレビュー済み
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習近平が率いる中国の本質とは何か、どこに向かおうとしているのか、何を欲しているのか、といった大局的な視点を得ることができる本。著者によれば、習近平の大目標は、2035年までに世界一流国になり、経済・軍事の両面で米国に追い付くというもの。新シルクロード経済圏構想「一帯一路」、北京・天津・河北省を一体化する新首都圏構想、宇宙開発強国、インターネット・ビッグデータ・人工知能(AI)と実体経済との高度な融合によるインターネット強国とデジタル中国の実現といった新聞でよくみる言葉は、大目標を達成するためのKPIである。
大目標に到達するためには内政・外交の環境面を整えなければならない。内政を安定化させる道具になっているのが腐敗防止運動と軍の掌握。腐敗防止運動の記事を新聞で漫然と読んでいると「彼は潔癖症なのかな」などどと考えていたが、これは長老・ライバルたちを屈服させるための手段である。外交面では米国とは安定した関係を築きたい。米中戦争など現時点ではもってのほか。内政の力を削がれるし、対米関係が悪化すると長老・ライバルが黙っていない。だから、現在の米中貿易問題の行方はいわゆる貿易戦争にはなりにくいのではないだろうか。
著者が言うように、二大国に挟まれる日本の立ち位置は今後難しくなる。これまでのように親米一辺倒で良いのだろうか、という意見も出てくるだろう。このあたりは、一帯一路への協力をできる部分で行うなどの現在出ている動きにも繋がっているのだな、と感じた。
新聞記事を追っているだけでは得ることができない大局観を得ることができる良書だと思う。
大目標に到達するためには内政・外交の環境面を整えなければならない。内政を安定化させる道具になっているのが腐敗防止運動と軍の掌握。腐敗防止運動の記事を新聞で漫然と読んでいると「彼は潔癖症なのかな」などどと考えていたが、これは長老・ライバルたちを屈服させるための手段である。外交面では米国とは安定した関係を築きたい。米中戦争など現時点ではもってのほか。内政の力を削がれるし、対米関係が悪化すると長老・ライバルが黙っていない。だから、現在の米中貿易問題の行方はいわゆる貿易戦争にはなりにくいのではないだろうか。
著者が言うように、二大国に挟まれる日本の立ち位置は今後難しくなる。これまでのように親米一辺倒で良いのだろうか、という意見も出てくるだろう。このあたりは、一帯一路への協力をできる部分で行うなどの現在出ている動きにも繋がっているのだな、と感じた。
新聞記事を追っているだけでは得ることができない大局観を得ることができる良書だと思う。
2021年6月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
非常に価値のある内容です。
平和ボケから卒業しましょう。
仕事に活かします。
平和ボケから卒業しましょう。
仕事に活かします。
2018年5月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
凄まじいまでの権力闘争の実態を知りました。もしかして習近平は13億を超える人民と共産党を統制する力は一時の毛沢東以来かもしれませんね。それでも仲間内で固めた権力は結局、歴史を見ると自壊の道をたどるのではないですか。同時に、政治的には民主制の国のインドは中国の人口を超えようとしていますが、これからどのようにして巨大な国を治めていくのか、中国との比較の上でとても気になります。