専門が応用微生物学ということもあるのだろうがその観点からの考察は見るべきものはあると思う。しかし、水道水の塩素消毒をこれでもかと礼賛するのには辟易する。
著者は執筆時(2004)における水道水カルキ臭を殆ど問題視していなかったようだが、現在の東京都高度浄水でもそのままでは異味異臭が酷く、それでも無理やり飲むと腹痛を起こすなど浄水器無しでは飲めない人も確実に存在する。それに一番風呂やシャワー時のピリピリ肌刺激や浴室に充満するカルキ臭など耐え難いものがある。
全ての人が著者のように感覚が鈍いわけではないだろうから、塩素消毒が恩恵だらけのように書き連ね、ネガティブ面に触れないのは極めてアンフェア。この点については化学産業側を擁護する別の理由があるのでは? という疑念さえ沸いたほど。
どや顔で塩素消毒の有用事例を何度も持ち出すなど、傲慢・狭量狭視野・我田引水が過ぎるような好ましからざる印象を受けたというのが正直なところ。
ダイオキシンや硝酸亜硝酸塩などについても触れているが、それらについて個人的判断を下すことはできないものの鵜呑みは警戒すべきというのが現時点での態度。
まぁ一昔前の本なので著者が現時点でも同様の考えを維持しているかどうかは分からないけれど。
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水と健康: 狼少年にご用心 (シリーズ地球と人間の環境を考える 7) 単行本 – 2004/2/1
林 俊郎
(著)
- 本の長さ213ページ
- 言語日本語
- 出版社日本評論社
- 発売日2004/2/1
- ISBN-104535048274
- ISBN-13978-4535048270
登録情報
- 出版社 : 日本評論社 (2004/2/1)
- 発売日 : 2004/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 213ページ
- ISBN-10 : 4535048274
- ISBN-13 : 978-4535048270
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,534,904位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2007年6月14日に日本でレビュー済み
以前読んだ「環境ホルモン」と同じシリーズ。
「環境ホルモン」が非常に説得力があったので他の本も読んでみることにしました。
最近すっかりイメージが低下した水道水ですが、実はいろいろと役に立っているということですよね。特に驚いたのは塩素で殺菌した水道水がピロリ菌を殺すということでしょうか。そのおかげで世界の胃がん患者は減少しているというのもまた驚きです。
その一方でAF2のような発がん物質を放置した厚生省の責任は重いですよね。そのせいで塩素消毒のおかげでもっと減ってもよかった日本人の胃がんが減らなかったのですから。それどころか「日本人に胃がんが多いのは野菜を食べるため」などという滅茶苦茶な調査をしていたのですから。
それにトリハロメタンの危険性はたいしたことがないということ、それだけではなく、トリハロメタンの幻に怯えたペルー政府が水道の塩素消毒をやめたおかげで腸チフスが大発生したなどという情報もまた収穫でした。
「環境ホルモン」が非常に説得力があったので他の本も読んでみることにしました。
最近すっかりイメージが低下した水道水ですが、実はいろいろと役に立っているということですよね。特に驚いたのは塩素で殺菌した水道水がピロリ菌を殺すということでしょうか。そのおかげで世界の胃がん患者は減少しているというのもまた驚きです。
その一方でAF2のような発がん物質を放置した厚生省の責任は重いですよね。そのせいで塩素消毒のおかげでもっと減ってもよかった日本人の胃がんが減らなかったのですから。それどころか「日本人に胃がんが多いのは野菜を食べるため」などという滅茶苦茶な調査をしていたのですから。
それにトリハロメタンの危険性はたいしたことがないということ、それだけではなく、トリハロメタンの幻に怯えたペルー政府が水道の塩素消毒をやめたおかげで腸チフスが大発生したなどという情報もまた収穫でした。
2005年8月16日に日本でレビュー済み
水.とくに飲み水と人間との関わりについてバランスよくまとまった本.
巷にあふれる表面的な水の本とは違って,これまでの人類と水との関わりをきちんと追いながら綴っていく姿勢に好感が持てる.
現在の世界を渦巻く水問題の本質は,食料生産のための水量確保の問題,水系感染症をいかに予防するか,飲み水の砒素・フッ素・硝酸汚染対策,そして貧困と水との関係に絞られる.
これらの問題が以下に根深く深刻であるのかを第1章できちんと言及した上で,多くの日本人が関心を払う,塩素消毒→トリハロメタン騒動はナンセンスであるということを以後の章で厳しく説いている.
胃ガン・子宮癌と飲み水との関連については,かなりくわしく,かつわかりやすく解説していて興味深い,また子どもと飲み水の関係については,私自身もこの本で初めて触れる知識であり,非常に勉強になった.
高価な浄水器を購入する前に,この本をきちんと読んでもらいたい.
そんな本でした.
巷にあふれる表面的な水の本とは違って,これまでの人類と水との関わりをきちんと追いながら綴っていく姿勢に好感が持てる.
現在の世界を渦巻く水問題の本質は,食料生産のための水量確保の問題,水系感染症をいかに予防するか,飲み水の砒素・フッ素・硝酸汚染対策,そして貧困と水との関係に絞られる.
これらの問題が以下に根深く深刻であるのかを第1章できちんと言及した上で,多くの日本人が関心を払う,塩素消毒→トリハロメタン騒動はナンセンスであるということを以後の章で厳しく説いている.
胃ガン・子宮癌と飲み水との関連については,かなりくわしく,かつわかりやすく解説していて興味深い,また子どもと飲み水の関係については,私自身もこの本で初めて触れる知識であり,非常に勉強になった.
高価な浄水器を購入する前に,この本をきちんと読んでもらいたい.
そんな本でした.