患者がほめられてきているのは「成果」なのである。努力して、やっと出せた結果（よい成績など）に
ついては、ほめてもらえる。これこそは、「条件つき肯定」であり、精神的・安定的健康につながる「無
条件の肯定」とは似て非なるものである（「対人関係療法を活かした臨床現場から」水島広子氏）。
「ほめる」ことは、人を肯定するために条件をつけてしまう。たとえば、「勉強ができる」「よく頑張っ
た」…（「感情焦点化療法を活かした臨床の現場から」岩壁茂氏）。…ここに、ほめることのむずかしさが
表現されていると思います。
この特集を読んでみると、カウンセラー仲間であまり意識せずに使っている「ほめる」という言葉は、
「肯定する」とか、「是認する」とか、「認める」ということになるのではないでしょうか。
「関係的肯定＝セラピストのあたたかで、熱心に聞き入る表情や姿勢などで伝えられる」、「成長と自己
実現へと向かう意思と姿勢の肯定＝結果を出せなくてもなんとかm乗り越えようとする努力と意志を肯定する」、
「体験の肯定＝クライエントが感じることは間違っていないと、共感的な姿勢を超えて積極的に伝える」、
「実存的肯定＝クライエントの生きてきた道程、喜びや苦しみも含めてそれらすべてに意味があることを伝え、
それをまっとうすることに敬意を示す」（「感情焦点化療法を活かした臨床の現場から」岩壁茂氏）。
「どのような理由からこのクライエントはそのような質問をしたり、怒りを向けているのだろうか」という、
クライエント自身の能動性を駆り立てる動機を見つけていこうとする是認の姿勢である…（「動機づけ面接を
活かした臨床の現場から」中島俊氏）。
『ほめない子育てで子どもは伸びる』を参照しつつ、「ほめる」ことと「認める」ことの区別を説明していき
たい。…1)「お手伝いができて、えらいね」、2)「お手伝いしてくれて助かった、ありがとう」1)が「ほめる」
で2)が「認める」…1)の主語は“子ども”、2)の主語は“わたし”である（「コーチングを活かした臨床の現場から」
堀有伸氏、岸英光氏）
「ほめる」という言葉、その行為について、しっかり考えさせてもらいました。
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