法と社会の関係を研究する学問としての法社会学の紹介書です
研究の位置づけ、学説史、隣接諸分野(心理学、エスノメソドロジー、経済学、人類学等』の研究、
ポストモダン以降の法社会学研究動向についてごくごく簡単にさらっと、幅広く紹介しています。
本書が比較的踏み込んだ内容を記述しているのが、ポストモダン以降の法社会学研究の動向です。
具体的にはポストモダンの総括を「主体の死」「客観的認識への懐疑」として提示し
それをうけて誕生した法社会学の新たな潮流、解釈的法社会学について概括しています。
そこでは、法の特性として以下の事項に触れています。
1.法の客観的実在性の否定(現実に運用される法はあくまで法規の解釈結果に過ぎない)
2.法の二重再帰性(法はつねに解釈により創造され、それが解釈を生み出す前提となる)、
3.法の自己組織性(二重再帰性をもつ法は、つねに自らを参照して新しい法が想像されていく)
4.法のアリーナ性
法とは紛争解決に利用しうる言説アリーナの一つであり、他のアリーナ(暴力による服従、金銭交換など)よりも
多種多様な紛争の解決において利用しやすい点に法アリーナの特徴がある。
上記の内容を踏まえて、法の妥当性(紛争解決における合意形成の得やすさ)について言及されています。
法の妥当性とは、警察などの実力行使手段により担保されるのではありません。警察等はサブ担保要因に過ぎず、
法と他者への期待から生じる循環的自己強化ループにより妥当性が維持されている。
(他者が法を守るという期待⇒個々人が法に沿って行動⇒法への期待が維持上昇⇒行動⇒期待増進⇒・・・)
以上のようなループによって法の妥当性は維持されているに過ぎず、
換言すれば紛争解決への利用可能性の低下(法が現実社会の問題へ対応していない、法制定が非合理、法が不平等)
とは、それだけで法の妥当性も減衰してしまうことになってしまう。
法社会学の知見についてかなり噛み砕いて書かれておりわかりやすいのは大変良かったです。
ただしあまりに概観すぎて、やや辞書を読んでいるような気分になった点が残念でした。
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法と社会へのアプローチ (SERIES LAW IN ACTION 1) 単行本 – 2004/10/1
和田 仁孝
(編集)
- ISBN-10453551142X
- ISBN-13978-4535511422
- 出版社日本評論社
- 発売日2004/10/1
- 言語日本語
- 本の長さ257ページ
登録情報
- 出版社 : 日本評論社 (2004/10/1)
- 発売日 : 2004/10/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 257ページ
- ISBN-10 : 453551142X
- ISBN-13 : 978-4535511422
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,079,570位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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