(1)失踪日記(2005/漫画作品)→(2)本書(2007/インタビュー中心)→(3)アル中病棟(2013/漫画作品)
の順番で出版された3冊。私もこの順番で読みました。
(2)の本書では、(1)で描かれなかったしんどい部分、舞台裏の笑えない話も語られており(活字で)、吾妻さんの成育環境からのヒストリーが語られていたり、それはおそらく鬱に至る遠因も含んでいるわけで、史料として興味深い内容ですし、舞台裏を知れば(1)の味わいも違ってきます。
いわば(1)を映画作品とすれば、そのぶ厚い、中味の濃いパンフレットのような存在でしょうか。
映画館で上映を見終えてそのまま帰るもよしですが、売店でパンフレットを買って作品の背景や関係者について掘り下げて知ることで作品の見え方が変わり愛着も深まった、みたいな。
私は読めて本当によかったです。
インタビューの初出は別冊漫画ゴラクの連載だった由ですが、連載した編集者さんの炯眼にも敬意。
決して、「この本買わなくていいです!」と著者自ら力説されるような内容ではありません。
(読み手次第ですが。確かに、吾妻さん個人に興味のない方、マンガと誤解して買った方には価値が薄いと思われるので、タイトルも含め、インタビュー本であることを明らかにして売るべきだったのでしょう。)
また、本書の後に出版された (3)アル中病棟 では入院中のエピソードが(1)の約10倍のページ量で描かれており、「(1)で描かれず(3)で初めて明かされたエピソード」が多数登場しますが、(2)の本書で吾妻さんが明かしているエピソードも多いです。つまり、(3)が実現するまでは、本書にはその予告編のような役割もあったと思います。
さらに、吾妻さん一個を離れ、60年代・70年代・80年代の漫画界・雑誌界の動向や業界内のエピソードが吾妻さんの口から語られている部分も価値のある史料だと思います。
全体からすればオマケですが、冒頭の写真企画も良かったです。
失踪日記の舞台が固有名詞で紹介されており、地図の★印の何箇所かは個人的に自分も知っている場所で、ここだったのかい!と感慨新た。
吾妻さんの逆光の写真もカッコいいです。
冒頭と最後がきちんと吾妻さんのマンガで締められている構成もよくできていると思いました。
(吾妻さんの訃報に接し、2019年10月に再読し、記述を若干改めました。大意は変わっていないつもりです。単行本版に基づいています)
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逃亡日記 単行本 – 2007/1/1
吾妻 ひでお
(著)
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- 本の長さ222ページ
- 言語日本語
- 出版社日本文芸社
- 発売日2007/1/1
- ISBN-104537254653
- ISBN-13978-4537254655
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登録情報
- 出版社 : 日本文芸社 (2007/1/1)
- 発売日 : 2007/1/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 222ページ
- ISBN-10 : 4537254653
- ISBN-13 : 978-4537254655
- Amazon 売れ筋ランキング: - 208,453位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 244位コミック・アニメ研究
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トップレビュー
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2012年9月5日に日本でレビュー済み
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2018年6月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とりあえず逃げてみました、読んでアルコール依存症は、怖い病気だなとつくづく思いました。
2019年6月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
バブル崩壊後の日本の状況を予告していた。行動で、逃げ出し、アル中だが、日本の低迷を1992から予測していた本。
2024年5月30日に日本でレビュー済み
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本の角が白く擦れていました。
中は開かれた形跡がないので新本と思います。
よって、星を削りました。
中は開かれた形跡がないので新本と思います。
よって、星を削りました。
2018年9月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
失踪日記という作品の解釈本というか参考書みたいでしたが、
舞台裏がいろいろとわかり、それなりに面白かったです。
舞台裏がいろいろとわかり、それなりに面白かったです。
2013年3月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
絵で見せるエッセイ漫画も面白いが、
内容そのものが衝撃的で刺激的なエッセイ漫画は、
やはり読み応えがある。
日常のあるあるネタは、エッセイ漫画の醍醐味でもあるが
本の少し、足を踏み外すだけで転落していく日常の危うさを
体現し、表現している、この吾妻 ひでお の日記シリーズの面白さは、
決して、読者を裏切らない!
内容そのものが衝撃的で刺激的なエッセイ漫画は、
やはり読み応えがある。
日常のあるあるネタは、エッセイ漫画の醍醐味でもあるが
本の少し、足を踏み外すだけで転落していく日常の危うさを
体現し、表現している、この吾妻 ひでお の日記シリーズの面白さは、
決して、読者を裏切らない!
2024年5月3日に日本でレビュー済み
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「失踪日記」「アル中病棟」なイースト・プレス、この本は日本文芸社です。あたかもシリーズであるかのような装丁はどうかと思います。中身は、漫画はほんの少しで、あとはインタビューです。このインタビューがひどい。非常に短い一問一答です。前著をなぞって「こうでした」「〜という」などと、質問とは思えない聞き方をするだけで、さらに突っ込んだところまで聞かない。おそらく素人のインタビューでしょう。そして、必要のない註(◯◯公園は◯◯にある等)を下段にちょこちょこ付けて行数を稼いでいる。また、かつてホームレスをしていた場所に行った写真を掲載する意味もわからないし、その写真のキャプションが驚くほど小さい。漫画もインタビューも推敲がなく、完全に素人編集者の仕事である。こんなものを売ってはいけない。
2015年11月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
どうせ便乗本だろうと思って読まずにいましたが(『失踪入門』なんかはひどいクズ本だったし)、文庫化されたのを機会に呼んでみたら意外と(失礼!)充実の内容でした。
インタビュアーとの問答形式になっており、このインタビュアーは実によくわかった人のようで、吾妻先生の少年時代からデビュー、失踪に至るまでのの思いをうまく引き出しており「失踪日記」や「地を這う魚」を補完した内容で面白く読めました。
欄外の注釈が多く秀逸。おまけマンガも楽しい。
インタビュアーとの問答形式になっており、このインタビュアーは実によくわかった人のようで、吾妻先生の少年時代からデビュー、失踪に至るまでのの思いをうまく引き出しており「失踪日記」や「地を這う魚」を補完した内容で面白く読めました。
欄外の注釈が多く秀逸。おまけマンガも楽しい。