この本の語りかけてくる「人間の営みへの愛情」は計り知れない。名古屋周辺で繰り広げられる収集の数々。落書きを10余年にわたって定点観察し、時代の流れと対応させた表などは圧巻であった。「ペットよけペットボトルの流行とすたれ」のバカバカしい面白さ、「おばあさんの『捨てない』暮らし」の涙の出るような愛らしさ、「『進化する荷車』の心をくすぐる楽しさ…。随所に描かれているスケッチも素晴らしい。
「モノ」をめぐる現代批判かと思いきや、そこらへんも実によく練られており、読者は自分のモノとの関わりについてじっくり考えさせられてしまう。かといって堅苦しい本では決してない。本棚に置いてご機嫌になれる本なのである。
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