「応答曲面関数は使用するソフトにより結果が異なる。これは水準値の中心化と項目化を行うか否かによる．各ソフトのオプションで中心化と項目化を設定することが肝要であるが･･･吉野氏講演より」「中心化と項目化って何?」2008年半ば，２チャンネルでこんなやり取りがありました．結論は出ませんでいた．
応答曲面法とは，最近，シミュレーションと統計技法を駆使して行われる設計最適化業務の中で用いられる「実験計画法と重回帰分析法を融合したモデル化手法」です．
しかし理解しようにも教科書も少ないうえ（例えば山田秀先生のもの），記述もあいまいで間違いも多いです．この本は先進企業で設計最適化に携わる技術者が書いただけあって，解析事例を通して体得した応答曲面法のイロハが紹介されています．話題になった「項目化」にも言及しています．また，先行する教科書の間違いも解説付きで指摘しています．
しかしページ数の都合か，実験計画法と重回帰分析法の解説は飛ばして，いきなり応答曲面法に入るので，山田秀先生の教科書などを理解したうえで読まないとチンプンカンプンだと思います．いずれにしても初心者受けする本ではありません．ただL18直交表から応答曲面を求める計画表など，上級者には一見の価値ありです．
理論ばかりかというとそうでもなく，シミュレーションの合わせ込みやロバスト最適化，ロバスト適合の事例が紹介されていたりするので，実用的かもしれませんが，初心者が理解できるような事例ではありませんでした．（合わせ込みの事例などは，2008年の品質管理学会賞を受賞している！）
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