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ヨーロッパ中世象徴史 単行本 – 2008/9/24

5.0 5つ星のうち5.0 4個の評価

商品の説明

出版社からのコメント

象徴から読み解く西欧中世
 本書は、紋章学者として出発したパストゥローによる、西欧の中世という時代を象徴の観点からみた歴史の書である。
 中世において、人々は色彩や物質を現実的な性質や有用性よりも象徴によって、尊んだり忌んだりしていた。また名前はものの本質を表わすとされ、しばしば語呂合わせのような理由で優劣がつけられていた。たとえば「イスカリオテの」ユダとは現在、「カリオトの人」ユダの意とされるが、中世のドイツ語では「真っ赤である」を意味する語句と音が似ていたために、地獄の劫火を心に抱えているゆえの赤と見なされ、赤は裏切りの象徴とされた。そこから、髪の色による差別の発想が生まれ、絵画やステンドグラスに描かれる人物の髪や服の色が、現実とは無関係に決定されていく。色彩が、その人物の性質をあらわす象徴となっているのである。
 「動物」「植物」「色彩」「紋章」「遊戯」などのテーマごとに、象徴を読み解くことで、中世の人々の価値観までがわかってくる。象徴や紋章はもちろん、広く中世の文化史に関心のある方、必読の一冊。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 白水社 (2008/9/24)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2008/9/24
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 436ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4560026386
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4560026380
  • カスタマーレビュー:
    5.0 5つ星のうち5.0 4個の評価

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ミシェル・パストゥロー
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上位レビュー、対象国: 日本

2023年10月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
紋章学の専門家ミシェル・パストゥローに依る大作。
中世ヨーロッパを「象徴」と言う視点で読み解き、当時の社会や文化を多角的に検証する。
勿論、かなり高額な書籍なので躊躇する方も多いと思うが、中世のヨーロッパに関心がある方にとっては知れだけの価値がある事は間違いないので、自信を以てお薦めしたいと思う。

本書は「動物」「植物」「色彩」「標章(エンブレム)」「遊戯」「反響」の5章構成―更に各章には様々な題材が盛り込まれ、中世ヨーロッパの象徴となるものを詳述している。
例えば、第一章の「動物」は「動物裁判(即ち、被告が動物)」という興味深い事例を以て始まり、続いて当時好まれた象徴としてのライオン、狩猟文化等についても言及するが、全てに於いてキリスト教との関係に十分な視点が注がれている事は言う迄もない。
特に、古代と中世…即ち、キリスト教の発達に依って動物に対する意識が如何に変化して来たかという事にも着目しているので、中世ヨーロッパを知る上では貴重な情報が詰め込まれていると言っても過言ではなかろう。
そして植物についても然り…恵みの樹木と害を及ぼす樹木、そして百合に代表される「王家の花」等を紹介しながら中世社会や信仰心等を考察しているので、当時の人々が動植物に何を見出していたかを探る事が出来るのだ。
因みに、個人的に最も興味深かったのは、第三章の色彩についてである。
当時、色彩には優劣があった事を御存知の方は多いと思うが、これぞ正しく「象徴」とも言えようか…然も、時代を経るにつれてその価値観に変化があり、徐々に変遷して行った流れが実に面白い…例えば古代では重視されなかった青(現在、イタリアで最も好まれる色が青だと言われているだけに、ローマでは嫌われていたと言うのを知って驚かされたが)が中世社会で昇格する事に依って他の色が後退したり、或いは金を「色」と見做していたかについての考察があったり、更には単色ではなく、色の組み合わせにも様々な認識が定着していた事等…そして、色彩は衣類は勿論の事、教会の装飾や美術品にも深く関わるにも拘らず、その大切な色を扱う染物師の地位は低かった実情を解説しているのも非常に勉強になった。
そして、ユダを象徴する「赤毛」…古くはそのような表現は無かったものの、人々はどうしても善悪に象徴を求め、そしてまた、人々に解り易いように象徴としての表現が広まり、それがやがて定着して行くのだという事を学んだ次第である。
尚、この色彩に関しては第5章「遊戯」でチェスを扱っている項目でも大いに理解を助け、チェス発祥のインド~イスラムのゲームでは実は黒と赤の陣営であり、この二色が両地域では意味があったのだが、ヨーロッパではこの二色に意味はなく、白と赤に変化して行ったと言う流れを難なく受け入れる事が出来たように思う。

その他、第四章ではヨーロッパの観光地等では頻繁に目に触れる盾形紋章を扱っているので、何故あれ程まで多くの紋章が存在するのか…即ち、個人から家系へという変化はあるものの「アイデンティ」と言う点に着目している点は解り易く、余談ながらも我が国日本でも「家紋」と言う存在がある事を考えさせられもしたし、最終章「反響」ではラ・フォンテーヌ『動物誌』、メランコリーについての考察、そしてロマン主義時代のベスト・セラー『アイヴァンホー』等を扱いながら本書を纏めている。

本書を読めば、中世ヨーロッパに於ける象徴史が理解出来ると同時に、そもそも何故に象徴が生まれたのか…或いは、何故に象徴が必要とされたのかと言う原点が見えて来る。
中世ヨーロッパを理解する上では欠かせない名著である。
2016年12月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中世の染色事情についてたいへん詳しく参考になった。迅速な発送、梱包等ともども満足です。
2018年7月29日に日本でレビュー済み
 解説される対象が幅広いため、象徴そのものに興味のある人向きかもしれません。ただし個々の解説は分かりやすく、趣味の範囲の広い方であれば抵抗なく通読可能だと思います。
 著者は1947年パリ生まれ、古文書学校を卒業し、紋章学を専門とする高等実習研究院教授とのことで、この略歴だけでも興味をひかれます。
 
 内容的には、まず「序章」で象徴を理解するために必要な事項、例えば名詞の語源を理解する事、目に見えるものと見えないものの関係を理解する事、部分と全体の関係を理解する事などの重要性を説明し、真なるものは現実に存在するものではない事に注意を促している。
 その後、個々の項目に移るのですが、その中でも「第1章 動物裁判」で、動物は自分の行為に責任を持てるのかどうか、さらに動物を罰すべきかどうかが哲学的、神学的、法学的に真面目に議論されていたというのが可笑しい。
 また、「第6章 中世の色彩を見る」、「第7章 白黒の世界の誕生」で、色彩の意味を現在の意味の枠で取り間違えると、全てに誤ってしまう可能性がある事、「第10章 楯形紋章の誕生」、「第11章 楯形紋章から旗へ」の中で、紋章や旗とアイデンティティーの関係とそれを研究することの困難さが語られています。

 目次だけを一見すると固いイメージを抱くかもしれませんが、読んでみるといずれのテーマも内容的に面白く、分かりやすく、今まで考えたこともない多くの気付きも与えてくれました。ただしそのバックには著者の膨大な調査と、深く幅広い思考があるのだと思います。
 非常に勉強になる一冊でした。
 
 ご参考のため目次を挙げます。章の副題が分かりやすいのですが省略します。
  「序章 中世の象徴」
  「動物」
   「第1章 動物裁判」「第2章 獅子の戴冠」「第3章 猪狩り」
  「植物」
   「第4章 木の力」「第5章 王の花」
  「色彩」
   「第6章 中世の色彩を見る」「第7章 白黒の世界の誕生」「第8章 中世の染物師」「第9章 赤毛の男」
  「標章」
   「第10章 楯型紋章の誕生」「第11章 楯型紋章から旗へ」
  「遊戯」
   「第12章 西欧へのチェスの到来」「第13章 アーサー王に扮する」
  「反響」
   「第14章 ラ・フォンテーヌの動物誌」「第15章 メランコリーの黒い太陽」「第16章 『アイヴァンホー』の中世」
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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