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文盲 アゴタ・クリストフ自伝 単行本 – 2006/2/15

4.6 5つ星のうち4.6 26個の評価

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商品の説明

出版社からのコメント

 東欧とおぼしき土地で、厳しい戦況を残酷なたくましさで生き抜く双子の「ぼくら」──彼らとそれを取りまく容赦ない現実を、身震いするほど淡々とした文体で描いた世界的ベストセラー『悪童日記』(邦訳1991年)の衝撃は、今なおわたしたちの記憶に新しい。
 その驚愕の物語設定や独得の文体はもとより、それがまったく無名のハンガリー人女性の処女作であったこと、小説が書かれたフランス語は〈難民〉だった彼女が20歳を超えてから身につけたものだということなど、著者本人についても大いに注目が集まった。
 そんな彼女が、短いながら濃密な自伝を発表した。祖国ハンガリーを逃れ、異国の地で母語ではない〈敵語〉で書くことを強いられた、亡命作家の苦悩と葛藤が鋭い筆致で描かれ、「家族」「言語」「東欧」「難民」「書くということ」について、そして「幸福」について深く考えさせられる。そして、彼女の作品がまさに自身の壮絶な人生から絞り出されたものであることもわかる。
 「もし自分の国を離れなかったら、わたしの人生はどんな人生になっていたのだろうか。もっと辛い、もっと貧しい人生になっていただろうと思う。けれども、こんなに孤独ではなく、こんなに心引き裂かれることもなかっただろう。幸せでさえあったかもしれない。
 確かだと思うこと、それは、どこにいようと、どんな言語でであろうと、わたしはものを書いただろうということだ。」(「国外亡命者たち」より

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 白水社 (2006/2/15)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2006/2/15
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 110ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4560027420
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4560027424
  • カスタマーレビュー:
    4.6 5つ星のうち4.6 26個の評価

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アゴタ・クリストフ
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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2023年9月18日に日本でレビュー済み
わずか90ページ足らずの自伝的エッセイ集。難民出身の作家が20代に習得したフランス語で書いた本だ。とても簡素な文章。自分にとって必要最小限の関心事だけをしるす。普通は「自伝」に欠かせないはずの私生活についてほとんど触れていない。でも、『悪童日記』三部作と『昨日』の背景がよくわかる。ロシアのウクライナ侵攻の現状を思い出さずにはいられなかった。
2021年1月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
三部作と「昨日」を読み、著者のファンとして本書を手に取りました。
上記作品と同様、シンプルかつ透明感のある文章で、動乱期の様子や心情などが綴られており、興味深く読めました。
ファン向けの作品として読み始めたのですが、読みやすく短めながらも、適度に含蓄を感じる内容となっており、
まだアゴタ・クリストフを知らないという方が読んでも十分に楽しめる作品だと思います。
この作品を読んで、著者の小説に興味が湧いたら「悪童日記」を読むというのも、案外悪くないのかもと感じました。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2015年5月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
彼女の作品と同様、現在形の端的な言葉で語られた90ページたらずの自伝ですが、
その愛想とは無縁のあまりにもの簡素な言葉のひとつひとつに凝縮された孤独や悲しみや
自己のアイデンティティとの葛藤がひしひしと伝わります。

フィクションであるはずの「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」は、限りなくノンフィクションに近く、
著者の体験がベースになっていることが解ります。

9歳でドイツ語を、11歳で今度はロシア語を学ぶことを押し付けられ、大人になって命がけで亡命したスイスのフランス語圏、
とめまぐるしく母語ではない言葉を習得する必要に迫られた著者は、ハンガリー人であるという”自己のアイデンティティとの葛藤”
という意味でフランス語を”敵語”と呼びました。言語を学ぶことは自由であるからこそ楽しいのであって、
それを強いられる時、それはアイデンティティの剥奪と同じ意味を持つのでしょう。

最後に、著者の作品の殆どの日本語訳をされた堀茂樹さんの訳と解説は素晴らしいと思います。
他の作品もそうでしたが、A.クリストフの原作が100%なら彼の解説で120%になるといった具合です。
彼のA.クリストフ作品への愛情と情熱が伝わってきます。
18人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年2月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今現在、ウクライナでの戦争により、故郷を逃れ、日本を含む世界各地に散らばる人たちを思いながら本書を読みました。
 1956年、乳飲み子を抱いて祖国ハンガリーを脱出し、言葉も分からない国で温かく受け入れられ、働き場所を提供される彼女。
 仕事場では誰もが優しく接してくれ、微笑みかけてくれ、話しかけてくれる。
 もう怖がることはない、もう悲しむことはない、いまはもう安全だ。
 しかし言葉を理解できない地で、家族や友達と会えない寂しさに孤独を感じ、心引き裂かれる思いを募らせる。
 彼女は言う。
 亡命先にたどり着いたとき、亡命者はみな何かを期待している。
 何を期待しているのか亡命者自身もはっきり分かっているわけではないが、こんな生活を期待していたのではない、との気持ちが膨らむ。
 彼女はその状況を「砂漠の日々」と呼ぶ。
 同じく亡命してきた仲間たちの幾人かは禁固刑が待っているというのに祖国ハンガリーに戻り、幾人からは更に別の国に行ってしまい、幾人かはみずから死を選んだ。
 戦火を逃れ言葉の分からない国に身を寄せるウクライナの人たちが、同じ思いをしていないか、そういうことを感じさせられる本書でした。

 本書の訳者あとがきには「この自伝を同じ著者の小説作品の周縁に置き、いわば注釈として読みたい」との思いが書かれていますが、これに同意見ですね。
 本書は、ページは少なく、ページあたりの文字数も少ないことから、あっという間に読めてしまいますから。
 『悪童日記』『ふたりの証拠』『第三の嘘』の三部作を一つの作品として読み、本書でその周辺を感じ取る、といった読み方が本書の読み方なのかもしれません。
 うん十年前に読んだ上記三部作、久々に読み返してみようか、という気になります。
2016年9月6日に日本でレビュー済み
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『悪童日記』の作者が、どのような人生を経て、作品を書くに至ったかの自伝である。
ハンガリー動乱で国を出た彼女が、母語ではないことばを獲得した過程が淡々と語られる。私は、移民や母語でない言語で作品をかく作家に興味があるが、この本は衝撃的だった。何年か前にブダペストに行くときに読んでおきたかった。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2015年1月18日に日本でレビュー済み
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アゴタクリストフの悪童日記を読んでいたら、とても面白い1冊だと思います。
彼女の人生について考えさせられました。
10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2014年12月29日に日本でレビュー済み
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すぐ読みたいと思ったときの、購入でした。本屋ではなかなか手に入らない1冊、美しく迅速に装着しました。感謝です。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2021年12月30日に日本でレビュー済み
自伝を書く場合、普通であれば、必要以上に詳細で冗長になってしまうものである。
だが、本作のこの簡潔さ、省略はなんだろうか。
ヘミングウェイの有名な氷山理論とはまた一味違う、言うならば水面上に出ている氷山を砕いてしまい、そこに散らばった、美しくはあるものの、同時に触れた手に傷をつけてしまう危うさを孕んだ、精選した破片を読まされているような感覚とでも言えばいいだろうか。
自分のことを語りたい、こう見せたい、という欲と作品において彼女は無縁なのだ。つくづく不思議な魅力を持つ作家であると思う。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート