文学作品を著者の意図から切り離して、テクストとしてとらえ、それを分析するトレーニングが必要との著者の主張に賛成ですし、本書を読んだのも、具体的な分析例にもっと触れたいとの思いからでした。
どのような問いを念頭に置きながら文章を読むべきか等、大変学ぶことが多かったです。
たとえば、
絵の分析をするときは、全体像を捉えてから細部の分析を行い、部分の分析、細部の分析をした結果を論理的に相互に関連づけ、それらを再び全体に戻して内用を理解するという手順を踏みます。(68頁)
と手順が示されたのち、具体例を読むことができます。
興味深い指摘は、
こうした文章の分析力が最も高く、議論に大きく貢献していたのはロシア人だったそうです。これは社会主義体制で育った彼らの、情報に対する姿勢が影響しているのでしょうか。(43頁)
という指摘でした。文章の分析力は情報の分析力であり、生きる技術の1つなのですね。
今後、さらに理解を深めるうえで有用な本も紹介されています。
フランスの読書技術教育については、ダニエル・ペナックの『奔放な読書』にそのあらましが提示されています。(26頁)
イギリスのクリティカル・リーディングの事情については、ディヴィッド・ロッジ『小説の技巧』(白水社)を読めば、読書技術というものがどのようにとらえられているかよく理解できるでしょう。(38頁)
の2冊です。
中級以上の日本語を、主に欧米の人々に指導したいと希望するなら、自分自身が欧米人のもつ読書技術を持たなければならない(46頁)
という指摘も重要でした。日本の語学教育は、文学を読むところまでなかなか届きませんが、外国人はそれを望んでいますから教師も準備が必要ですね。
ヨーロッパの人々は個人の教養に根差した深い分析力や解釈力を評価するのです。...勉強した成果としての知識として披露しても、それは「暗記に過ぎない」として尊重されなかったのでしょう。(51頁)
という指摘は個人的にも思い当たることありました。
今後も勉強と実践を積み重ねたいと思います。
以上です。
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外国語で発想するための日本語レッスン 単行本 – 2006/5/1
三森 ゆりか
(著)
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- 本の長さ223ページ
- 言語日本語
- 出版社白水社
- 発売日2006/5/1
- ISBN-104560027870
- ISBN-13978-4560027875
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商品の説明
出版社からのコメント
~ 発想すること、それは考えついたことを効果的な叙述・構成などによって表現すること。つまり、自分の考えをわかりやすく相手に伝えること。
自分の意見や気持ちを相手に正確に伝えることはむずかしい。ふだん私たちが使っている日本語でもむずかしいのに、外国語だったらなおさらである。
いかにすれば聞き手や読み手にこちらの意見を理解してもらえ~~るのか。
それにはルールが必要だ。例えばサッカーで言えば、互いにボールを蹴るだけでは試合を楽しむことはできない。決められたルールという共通理解があってはじめて、言葉や習慣が異なっていても、試合が可能になる。
それは言葉についても同じ。それぞれが自分勝手なルールに基づいて、感覚的、印象的な発言をしても、なかなか他の人には伝わらない。何を根拠にし、そこからいかなる解釈や考察を行なったのかを明確にしていくことが共通の理解を促す。
本書では、欧米学校教育で指導されているこの「ルール」(技術)を、絵や本の読み方をとおして習得していく。
この共通のルールを知っていれば、たとえ外国語の語彙が不十分でも、相手に自分の考えや意見をしっかりと伝えることができる。このル~~ールは「外国語の学習を次の段階に進めるため、つまり外国語で発想するために必要にして不可欠な知識であり、技術なのです」。~
自分の意見や気持ちを相手に正確に伝えることはむずかしい。ふだん私たちが使っている日本語でもむずかしいのに、外国語だったらなおさらである。
いかにすれば聞き手や読み手にこちらの意見を理解してもらえ~~るのか。
それにはルールが必要だ。例えばサッカーで言えば、互いにボールを蹴るだけでは試合を楽しむことはできない。決められたルールという共通理解があってはじめて、言葉や習慣が異なっていても、試合が可能になる。
それは言葉についても同じ。それぞれが自分勝手なルールに基づいて、感覚的、印象的な発言をしても、なかなか他の人には伝わらない。何を根拠にし、そこからいかなる解釈や考察を行なったのかを明確にしていくことが共通の理解を促す。
本書では、欧米学校教育で指導されているこの「ルール」(技術)を、絵や本の読み方をとおして習得していく。
この共通のルールを知っていれば、たとえ外国語の語彙が不十分でも、相手に自分の考えや意見をしっかりと伝えることができる。このル~~ールは「外国語の学習を次の段階に進めるため、つまり外国語で発想するために必要にして不可欠な知識であり、技術なのです」。~
登録情報
- 出版社 : 白水社 (2006/5/1)
- 発売日 : 2006/5/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 223ページ
- ISBN-10 : 4560027870
- ISBN-13 : 978-4560027875
- Amazon 売れ筋ランキング: - 161,274位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 166位外国人向け日本語学習
- - 757位日本語研究
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年5月15日に日本でレビュー済み
2009年10月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書では、クリティカルリーディングを勧めている。タイトルを見て、外国語(英語)が話せるようになることを期待して、本書を買うと肩透かしを食う。Speakingの本でも無ければ、外国語の本でもない。クリティカルリーディングの勧めである。タイトルと内容の食い違いを理解して買うと良い。
2016年3月6日に日本でレビュー済み
外国語を身につけるための日本語レッスンがよかったのでこちらも読んでみたが読む必要がなかった。
1章でヨーロッパの国語教育の例をたらたらと書きすぎだ。
三章でやっと本の読み方が説明されるが、内容としてはがっかりするものだった。
この本を読む前と読んだ後とで読解の質に変化はないだろう。
赤ずきんがおばあさんに持って行った“ケーキ”と“ブドウ酒”は何を示しているのだろう
“大学生とおもわれる娘さん”は“中年のオッサン”ではダメだったのだろうか
という問いにはアプローチしてもらえず不満だけが残った。
せめてクリティカルリーディングに関する推薦図書でも載せておいてもらえればよかったのに。
1章でヨーロッパの国語教育の例をたらたらと書きすぎだ。
三章でやっと本の読み方が説明されるが、内容としてはがっかりするものだった。
この本を読む前と読んだ後とで読解の質に変化はないだろう。
赤ずきんがおばあさんに持って行った“ケーキ”と“ブドウ酒”は何を示しているのだろう
“大学生とおもわれる娘さん”は“中年のオッサン”ではダメだったのだろうか
という問いにはアプローチしてもらえず不満だけが残った。
せめてクリティカルリーディングに関する推薦図書でも載せておいてもらえればよかったのに。
2007年2月26日に日本でレビュー済み
本書を読み終えたとき、私は次のように感じた。
『外国語で…』というタイトルの意味は日本国「外」で行なわれている「国語」教育という意味での「外」「国語」ではないか。
『国語教科書の思想』(石原千秋、2005、筑摩書房)では日本の国語教育が道徳教育に成りかわっていることを手厳しく批判しているが、本書でも同じような指摘が見られる。
それはさておき、本書のテーマは日本の国語教育の質的転換である。本書では元来の日本の国語教育の批判にとどまらず、「言語技術」という具体的な指導方法を取り入れることを提案している。それは具体的には「読み」の方法に関わるもので、「テクストの分析と解釈・批判」という言葉がしばしば登場する。著者は読み手の気分や教師の一方的な押し付けによる読みではなく、論理を軸とした読みに切り替えるべきであることを主張する。本書の言葉を借りれば、「主観的で感覚的な読解」ではなく「根拠に基づく論理的な読解」を求めるというわけである。そのような読みでは答えは一つには決まらない。それぞれがそれぞれの読みの論拠を示すことでそれも一つの答えとして認められるのである。特に「絵の分析」は日本の国語教育にとっては画期的であるといえるのではないだろうか。
日本の国語教育が変わらなければならないとすると、それは「量」のみの問題ではなく、「質」のレベルでも問い直されなければならない。
本書を読めばきっとそのように思えるはずである。小学生からできる練習問題の付いた本書は小・中・高・大、さらには一般人まで読者の範囲を限定しないだろう。日本の国語教育の改善策を具体的な形で提示した本書の価値は大きい。
『外国語で…』というタイトルの意味は日本国「外」で行なわれている「国語」教育という意味での「外」「国語」ではないか。
『国語教科書の思想』(石原千秋、2005、筑摩書房)では日本の国語教育が道徳教育に成りかわっていることを手厳しく批判しているが、本書でも同じような指摘が見られる。
それはさておき、本書のテーマは日本の国語教育の質的転換である。本書では元来の日本の国語教育の批判にとどまらず、「言語技術」という具体的な指導方法を取り入れることを提案している。それは具体的には「読み」の方法に関わるもので、「テクストの分析と解釈・批判」という言葉がしばしば登場する。著者は読み手の気分や教師の一方的な押し付けによる読みではなく、論理を軸とした読みに切り替えるべきであることを主張する。本書の言葉を借りれば、「主観的で感覚的な読解」ではなく「根拠に基づく論理的な読解」を求めるというわけである。そのような読みでは答えは一つには決まらない。それぞれがそれぞれの読みの論拠を示すことでそれも一つの答えとして認められるのである。特に「絵の分析」は日本の国語教育にとっては画期的であるといえるのではないだろうか。
日本の国語教育が変わらなければならないとすると、それは「量」のみの問題ではなく、「質」のレベルでも問い直されなければならない。
本書を読めばきっとそのように思えるはずである。小学生からできる練習問題の付いた本書は小・中・高・大、さらには一般人まで読者の範囲を限定しないだろう。日本の国語教育の改善策を具体的な形で提示した本書の価値は大きい。
2010年5月6日に日本でレビュー済み
本書は、外国語で発想するための前提になる技術を学ぶための本です。
外国語で発想するために必要な技術、本書によればそれは「読書技術」です。この読書技術というものはテクストを分析し、解釈し、批判するための技術で、ヨーロッパでは国語の中心的課題として取り扱われているものですが、日本の国語教育ではまったく抜け落ちているものです。この読書技術によって、ヨーロッパでは文章や対話の内容を分析的に考察し、議論することによって発見し、意見交換することができるようになっています。逆に日本ではこれらの技術が身についていないために、日常的に分析的な思考ができず、表層的なイメージで会話が終始する傾向にあります。
本書ではこの読書技術を身につけるために、絵やイラスト、詩や童話、小説を実際に分析してみます。読みながら分析してみると、いくら短い文章であっても、もしくは絵画であってもそこには様々な情報が詰め込まれており、それを展開することの意義がいかに大きいかを思い知らされます。グローバル化が叫ばれて久しい今日。多くの日本人が、外国語、または日本語でもコミュニケーションをする時代になっていますが、有意義なコミュニケーションを楽しむためにも、本書のスキルは欠かせないものだと感じました
外国語で発想するために必要な技術、本書によればそれは「読書技術」です。この読書技術というものはテクストを分析し、解釈し、批判するための技術で、ヨーロッパでは国語の中心的課題として取り扱われているものですが、日本の国語教育ではまったく抜け落ちているものです。この読書技術によって、ヨーロッパでは文章や対話の内容を分析的に考察し、議論することによって発見し、意見交換することができるようになっています。逆に日本ではこれらの技術が身についていないために、日常的に分析的な思考ができず、表層的なイメージで会話が終始する傾向にあります。
本書ではこの読書技術を身につけるために、絵やイラスト、詩や童話、小説を実際に分析してみます。読みながら分析してみると、いくら短い文章であっても、もしくは絵画であってもそこには様々な情報が詰め込まれており、それを展開することの意義がいかに大きいかを思い知らされます。グローバル化が叫ばれて久しい今日。多くの日本人が、外国語、または日本語でもコミュニケーションをする時代になっていますが、有意義なコミュニケーションを楽しむためにも、本書のスキルは欠かせないものだと感じました