思わずニヤリの言葉遊び、異なる二つの時間軸のクロス、個性的だがどこにもいそうにない登場人物、お茶目なエロさ。この本にもそんな野田秀樹の魅力がつまっています。
『ゼンダ城の虜』…人工呼吸の森に囲まれたゼンダ城、赤頭巾少年は両性具有の姫を目撃する。そこは「居留守キリスト」の城。 人間はもともと同じ一人の人間ではなかったか?自分は動いていない、世界ばかりが動いているのではないか?そんな問いを投げかける作品。キャラクターが魅力的でテンポがよく、一気に読んでしまう。何より面白い。
『御触れ書き』…4ページのエッセイ。5年前美人だった女性に再会すると、今は…。「美意識が引越しをしてしまった」。著者を取り残して引越しを始める日常世界を描く。エッセイにしては難解㡊??比喩が深く、わかりづらい。
『走れメルス』…「こちら岸」と「向こう岸」で展開する、男女の愛のもつれてドタバタな話。男と女の間に角砂糖のランプをおくと、二人の間が歪んでみえるという「相対・性理論」。男女の「愛」というか「腐れ縁」がわかります。ゼンダ城が子供な作品なら、こちらは大人な作品。しかし、正直わけがわからない作品でした。どこが「走れメロス」のパロディになっているかも、私には複雑すぎてよくわかりません。登場人物もゼンダ城ほど魅力を感じません。
野田作品の特徴は複雑・難解なストーリーです。そこには寓意も含まれています。明解なストーリーを好む方にはきついと思いますが、しかし同時に、ストーリーがわからなくても全く面白いのが野田作品です。これほど言葉を楽し!く遊ぶ作品はありません。
戯曲を読んだことのない方も大丈夫です。ただし元気のある時に読みましょう。
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ゼンダ城の虜 新装版: 苔むす僕らが嬰児の夜 単行本 – 1992/8/1
野田 秀樹
(著)
- 本の長さ271ページ
- 言語日本語
- 出版社白水社
- 発売日1992/8/1
- ISBN-104560033706
- ISBN-13978-4560033708
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
こんこんとわき出る軽やかなことばの渦に呑みこまれ、錯綜した物語の綾目を潜っていけば、迷路に迷ったこころよいめまいの虜になること請け合い。劇団夢の遊眠社解散公演上演戯曲「ゼンダ城の虜」「走れメルス」を併載する代表作品集。
登録情報
- 出版社 : 白水社 (1992/8/1)
- 発売日 : 1992/8/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 271ページ
- ISBN-10 : 4560033706
- ISBN-13 : 978-4560033708
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,105,290位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,420位戯曲・シナリオ (本)
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著者について
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