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晴れた日は巨大仏を見に 単行本 – 2004/6/1
- 本の長さ293ページ
- 言語日本語
- 出版社白水社
- 発売日2004/6/1
- ISBN-104560049920
- ISBN-13978-4560049921
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商品の説明
著者からのコメント
あるとき、坂口安吾の『日本文化私観』を手にとって読んだところ、それは偶然にも巨大仏について書かれた本であった。いや、巨大仏のことなど書いていないのだが、安吾の風景の見方は、私が巨大仏を見るときの見方と共通点があるのではないか、と思ったのである。そこで次に『坂口安吾と中上健次』(柄谷行人)を読んでみると、おお、なんということであろ~~う、そこにも、表立ってはいないが、たしかに巨大仏のことが書かれているではないか! それからというもの、何を読んでも巨大仏について書いてあるとしか思えなくなった私は、さまざまな本に暗黙裡に書かれた巨大仏にまつわる諸問題を、自分なりに整理してみるようなつもりで執筆をスタートさせた。
かし書きはじめてみると、自分でも何を考えているのかわからなくなることがしばしばあり、書きかけの原稿を、三十回ぐらい、どりゃあ! と投げ飛ばしそうになった。本になるまでに、おかげで足かけ四年もかかることになって、われながら、あまりの愚鈍さに呆れたのである。
そういうわけで、話が方々にちらかって自分で収拾がつかなくなったものを、粘りづよく解きほぐして形にしてくれた白水社編集部の和久田頼男氏には、感謝の言葉もない。和久田氏のおかげでこうして本になり、まったくやれやれである。 * ~~ れから、そもそもこんなことになったきっかけは、本文にも登場する袖山満一子氏が、日本の伝統文化の普及を目的としたwebサイトを立ちあげ、そのなかで私に「日本について、人があまり相手にしないような呆れたテーマで何か書きませんか」と勧めてくれたことだった。呆れたテーマで何か書くというのは私の得意とするところで、それどころかアイデンテ~~ィティ、レーゾンデートルでさえあって、“我呆れるゆえに我ある”ぐらいのものであるが、「日本について」という条件がついていたので、そのもとで何が書きたいか考えてみた。
そして、まっさきに思い浮かんだのが「マヌ景」(日本中にはびこるマヌケな風景:詳しくは本文参照)、なかでもとくに巨大仏だった。「巨大仏のある風景のおかしみについて書いてみたい」そう即答した私に、彼女はおおいに呆れ、「そんなことを書く人の気が知れないので、ぜひやりましょう」と快諾してくれたのだった。 ~~ その後、わけあって袖山氏の手から離れてしまったが、幸いにも白水社の和久田氏が、この呆れたテーマを完結させてみないか、と声をかけてくれ、こうしてついに日の目を見た次第である。 ~~ というわけで本書は、webサイト《Jカルチャー探訪祭都》(イー・カルチャー株式会社)に『ニッポン巨大仏紀行』のタイトルで二〇〇一年一月から五月まで連載されたもの、ならびに、白水社のホームページに『晴れた日は巨大仏を見に』のタイトルで二〇〇三年一月から七月まで連載されたものに、大幅に加筆し、怒濤のように修正しました。 *
さて、執筆には手間どったが、取材はとても楽しかった。
なにより、巨大仏を見るためだけに日本中へ出かけていくという、そのバカバカしさが晴れがましくて、自分の性に合っていた。はたから見ればどうでもいいことに全力を尽くしてしまう、オタク的感性が私のなかにあったのだろう。しかもついでに観光旅行もできて、一石二鳥であった。私としては、これからも、なるべくそういうふうにバカバカしいこと中心でや~~っていこうと、あらためて心に誓ったのである。 (「おわりに」より)~
出版社からのコメント
旅行ガイドブックには載っていませんが、ウルトラマン(40m)よりも大きな仏像が、日本各地に存在しています! ~~ というわけで、「巨大仏のある風景のおかしみ」を求め、笑える東南アジア旅行記の第一人者として知られる著者が、日本中を全国行脚しました。本書に登場する巨大仏は――
[1]怪獣のように「ぬっ」と立っている、日本最大の巨大仏……牛久大仏(茨城、120m) [2]ヘタウマ感のある、原付で事故った女子高生ぽい巨大仏……淡路島世界平和台観音(兵庫、100m) [3]スーパーロボット感のある、非常階段を背負った巨大仏……北海道大観音(北海道、88m) [4]食玩のような大量生産型のチープさがすばらしい巨大仏……加賀大観音(石川、73m) [5]ジェットコースターからも楽しめる、日本最古の巨大仏……高崎白衣大観音(群馬、41.8m) [6]天の啓示として、お金持ちに「降りて」きた巨大仏…………七つ釜聖観音(長崎、40m) [7]地下トンネルに謎の「親孝行壁画」が広がる巨大仏…………久留米大観音(福岡、62m) [8]ウルトラマンコスモスのように森で寝ている巨大仏…………篠栗釈迦涅槃像(福岡、41m) [9]原型師の趣味はアニメ顔で巨乳の少女らしい巨大仏…………会津慈母大観音(福島、57m) [10]グレートマジンガー感のある、迷路のような巨大仏…………東京湾観音(千葉、56m) [11]灯台のように海を見守る、魚を抱えた寸胴の巨大仏…………釜石大観音(岩手、48.5m) [12]肝だめし階段を内蔵した、異星人さながらの巨大仏…………親鸞聖人大立像(新潟、40m) [13]萌えられる、郊外ニュータウンの「からっぽ」な巨大仏……仙台大観音(宮城、100m) [14]してやったりといった表情でほくそえみつづける巨大仏……うさみ大観音(静岡、50m) [15]あらま美形な、国際コンテスト・ナンバーワンの巨大仏……小豆島大観音(香川、108m) *その他、カプセル怪獣ウィンダムvsウルトラセブンという趣の、大阪を舞台にしたアヴァンギャルドな「巨大物」対決……PL世界大平和記念塔(180m)と太陽の塔(70m) 著者は、それらの“唐突な景色”を鑑賞し、さらには巨大仏の周辺にある奇妙なスポットも探訪しながら、坂口安吾や柄谷行人の書物を手がかりに、ユニークで新しい日本風景論を展開してゆきます。 名づけて、日本「マヌ景」論。〔「マヌ景」=日本中にはびこるマヌケな風景〕 いつの間に日本の風景はこんなことに!? と、驚きながら、笑いながら、楽しめる紀行エッセイ。 「負け組の風景」の素晴らしさを教えてくれる、“読むと大吉”な1冊です。
『見仏記』のいとうせいこう・みうらじゅん両氏も大推薦! の本書は、「トマソン」や『珍日本紀行』はもちろん、建築方面では『メイド・イン・トーキョー』などに興味のある方にもおすすめです。~
内容(「MARC」データベースより)
抜粋
~~ 私が初めてそんな巨大仏を見たのは、まだ幼い頃のこと、神奈川県の三浦半島に親戚が住んでいて、その家をたずねるたびに、大船で電車の窓から巨大な観音さまを見たのだった。大船観音は高さにして二五メートルほどだが、丘の上に上半身だけで建っていたので、下半身はきっと地面に埋まってるはず、いざというときはあれは丘から出て大暴れするんだ、と幼な~~心に想像した。 また、私は学生時代を大阪郊外の千里丘陵で過ごしたが、近所に万博記念公園があり、岡本太郎の太陽の塔がそびえていた。太陽の塔は大仏ではないが、なんとも巨大で異様なその姿は、とくに用もないのについ見入ってしまうヘンな風景として、今も心に焼き付いている。 ~~ これらの場所では、あれはいったい何か、とか、なぜそんなものがここにあるのか、と思うより先に、そんな馬鹿デカいものが、うむを言わさずそこにあるその唐突さに圧倒された。いつ誰が何の目的であんなものを建てたのか、というようなことはどうでもよかった。それより、そんな巨大仏を見ると、私の胸の奥のこれまで押されたことのない、奇妙なボタンが押~~されるのである。 もっと見たい。 もっと巨大仏のある風景を見て、そのとき胸にわきおこるヘンな感触を、じっくり味わってみたい。そしてできることなら、そのヘンな感触の正体を解き明かしてみたい。 そんなわけで、私は、日本中の巨大仏を見にいくことにした。 ~~ 巨大仏旅行開始にあたり、日本中に大仏がいくつあるのかインターネットで調べてみると、数え切れないほど大仏が見つかり、日本は思った以上に大仏だらけだということが判明した。そのすべてを回るのは大変なので、それらのうち四〇メートル以上のものにしぼって無節操に観光して回ることにする。ちなみに四〇メートル以上というと、奈良の大仏が高さ約一五~~メートルなので、その二倍以上デカい巨大仏ということになる。四〇メートル以上という区切りに厳密な理由はないが、ウルトラマンよりデカいというのが一応の目安だ。なぜウルトラマン以上かというと、もはやウルトラマンぐらいの強さでは悪を倒せない時代がきたから、というのはまったくウソで、とにかくデカければデカいほど唐突でヘンな感じがするからであ~~る。
~~ ちなみに、巨大仏めぐりは決して史上初の酔狂でもなくて、日本の奇妙な風景を撮影して回った都築響一氏の『珍日本紀行』には各地の大仏が登場するし、巨大仏ではないが仏像を見て回るのは、いとうせいこう・みうらじゅん両氏の『見仏記』などで以前よりブームになっており、類似品に注意というか、私が類似品である。この世に類似品ほど紛らわしいものはな~~いと思っていたが、私がそうであった。そんなわけで、類似品なので注意して読んでください。 (「はじめに」より)~
著者について
登録情報
- 出版社 : 白水社 (2004/6/1)
- 発売日 : 2004/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 293ページ
- ISBN-10 : 4560049920
- ISBN-13 : 978-4560049921
- Amazon 売れ筋ランキング: - 234,009位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 98位仏教美術
- - 2,257位紀行文・旅行記
- - 4,087位近現代日本のエッセー・随筆
- カスタマーレビュー:
著者について
1964年 兵庫県明石市生まれ。主に紀行ものを手がけるエッセイスト。大阪大学工学部卒業後、10年近く勤めた会社を退社し、会社勤めをしながら出かけた海外旅行の顛末を書いた『旅の理不尽 アジア悶絶篇』でデビュー。自費出版で版を重ね、雑誌『旅行人』から第2作『東南アジア四次元日記』を出版し、第3回酒飲み書店員大賞を受賞。以後、紀行エッセイを中心に、日常エッセイ、書評なども執筆。2017年度から2年間朝日新聞の書評委員を勤めた。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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m(_ _)m
石ころ⁉︎と思い観ていると、登場するのは海辺で嬉々として石を拾い集める宮田珠己氏。
あまりに拾った石ころを熱く語る氏とは一体?と、調べると氏の御著書を所有していました。この方か!と腑に落ちました。この「巨大仏を…」も楽しい作品です。
「日本でもっとも妙なことにこだわる男」らしいです。こだわりも極まれば本にもなるようで「いい感じの石ころを拾いに」という著書を上梓されているようです。
ウルトラマンとかマジンガーとか老人しか分からないんじゃないかと思う。
もちろん作者ならではの妙に論理だったネタや奇人変人の同行者も健在です。電車に迫ってくる(ように見える)加賀大観音について「次の駅で乗ってきそう」と言ってみたり相変わらず独特のセンスがあります。