"源氏の君のかおばせは、すでに死者だけのもつあの精澄さを示しつつあった。あらゆる苦悩は終わりを告げ、彼の面ざしからは飽満と苦々しさの痕跡がことごとく消え去って、未だ自分が十八歳であると彼自身納得しているように見えた。"1938年初版の本書は東の国々が舞台、9つの珠玉の短編集。
個人的には女性初のアカデミー・フランセーズ会員として、また三島由紀夫を評価していたことでも知られる著者作は未読だったので手にとりました。
さて、そんな本書は1951年、ローマ皇帝の個人的な回想の形をとった歴史小説『ハドリアヌス帝の回想』を発表、フェミナ・ヴァカレスコ賞を受賞して国際的名声を得た著者が、父を若くして失ってから、1935年からのイスタンブール、イタリア、中央ヨーロッパなどに遊学時の見聞を活かして発表したギリシャ、バルカン諸国、インド、中国、日本などを題材にした幻想的な短編集なのですが。
やはり、日本人としては紫式部が微妙な配慮からわざと空白にしておいた『雲隠』の巻から、盲いてゆく源氏の最期を皮肉な手法で描いた『源氏の君の最後の恋』が何とも不思議なエキゾチック感があって興味をそそります。
また、漢の皇帝と天才画家の対決『老絵師の行方』凡庸な老絵師を描く『コルネリウス・ベルクの悲しみ』も表現者として鮮やかな対照を感じさせ、印象に残りました。
西洋から東を眺めたエキゾチック感溢れる作品、幻想的な短編集好きな方にオススメ。
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東方綺譚 (白水Uブックス 69) 新書 – 1984/12/1
マルグリット ユルスナール
(著),
多田 智満子
(翻訳)
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古典的な雅致のある文体で知られるユルスナールの一風変ったオリエント素材の短篇集。古代中国の或る道教の寓話、中世バルカン半島のバラード、ヒンドゥ教の神話、かつてのギリシアの迷信・風俗・事件、さては源氏物語など、「東方」の物語を素材として、自由自在に、想像力を駆使した珠玉の9篇。
- 本の長さ163ページ
- 言語日本語
- 出版社白水社
- 発売日1984/12/1
- ISBN-104560070695
- ISBN-13978-4560070697
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登録情報
- 出版社 : 白水社 (1984/12/1)
- 発売日 : 1984/12/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 163ページ
- ISBN-10 : 4560070695
- ISBN-13 : 978-4560070697
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- - 7位白水Uブックス
- - 27位フランス文学 (本)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2024年4月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ある本で、ユルスナールの『源氏の君の最後の恋』のことを知った。欧米人が『源氏物語』のことを語
ると知れば、耳をそばだてられざるを得ない。早速本書を読んだ。
抄訳や評論かと思いきや、(「花散里」と)「御法(みのり)」「幻」「雲隠」あたりの、ユルスナー
ルによる完全な創作であった。それは本書冒頭の「老絵師の行方」でわかった。ユルスナールは「中国
の古代の道教の寓話を素材にしている」言ったというが、訳者によると、翻訳ではないらしい。原典が
あるのか否かも不明らしい。つまり彼女の創作的色彩が強いらしい。
「源氏」の項を通読したが、該当の原文個所の記憶があいまいな(→高校時代以来なので、原文全集は
処分して居り、時間が惜しい)ので、急遽該当巻の現代語訳を入手して、その箇所を読んだ。
(「雲隠」は巻名のみで、本文はなく、源氏の出家と逝去を暗示しているということも忘れてしまって
いた。)
もう一度、本書の「源氏」を読んで、舌を巻いた。紫の上の逝去と源氏自身の老いに伴う死の予感と出
家志向のことを、才能豊かに独自に描き、創作的物語にしている。
東方とは、文字通り中国、インド、日本のことだが、ユルスナールは、本書の最後の「コルネリウス・
ベルクの悲しみ」は、チューリップを画材にしたオランダの話で、冒頭の「老絵師の行方」と”係り結
び”(≒入り口と出口)の関係にある。それをユルスナールは遠慮して明確には語らず、創作だけを残
したと言える。何とも(東洋的に(?))奥ゆかしい人の才能の結実であると思う。
(わたしは、普通このような場合、原文も堪能する質であるが、おそらく原文はフランス語であろう。
わざわざ英訳を介して確かめるまでもなく、本書の日本語訳の「源氏」の箇所を都合3回日本語訳で
読んで充分に満足した。)
当時の欧米人が東洋のことを描くと、例えば、ラフカディオ・ハーンにもみられるように、少々”怖い”
話が多いようで、本書の大部分の話もそういう傾向はあると思うが、また一人、東洋に関する優れた
小説家を知ることができ、まことに幸いであった。
ると知れば、耳をそばだてられざるを得ない。早速本書を読んだ。
抄訳や評論かと思いきや、(「花散里」と)「御法(みのり)」「幻」「雲隠」あたりの、ユルスナー
ルによる完全な創作であった。それは本書冒頭の「老絵師の行方」でわかった。ユルスナールは「中国
の古代の道教の寓話を素材にしている」言ったというが、訳者によると、翻訳ではないらしい。原典が
あるのか否かも不明らしい。つまり彼女の創作的色彩が強いらしい。
「源氏」の項を通読したが、該当の原文個所の記憶があいまいな(→高校時代以来なので、原文全集は
処分して居り、時間が惜しい)ので、急遽該当巻の現代語訳を入手して、その箇所を読んだ。
(「雲隠」は巻名のみで、本文はなく、源氏の出家と逝去を暗示しているということも忘れてしまって
いた。)
もう一度、本書の「源氏」を読んで、舌を巻いた。紫の上の逝去と源氏自身の老いに伴う死の予感と出
家志向のことを、才能豊かに独自に描き、創作的物語にしている。
東方とは、文字通り中国、インド、日本のことだが、ユルスナールは、本書の最後の「コルネリウス・
ベルクの悲しみ」は、チューリップを画材にしたオランダの話で、冒頭の「老絵師の行方」と”係り結
び”(≒入り口と出口)の関係にある。それをユルスナールは遠慮して明確には語らず、創作だけを残
したと言える。何とも(東洋的に(?))奥ゆかしい人の才能の結実であると思う。
(わたしは、普通このような場合、原文も堪能する質であるが、おそらく原文はフランス語であろう。
わざわざ英訳を介して確かめるまでもなく、本書の日本語訳の「源氏」の箇所を都合3回日本語訳で
読んで充分に満足した。)
当時の欧米人が東洋のことを描くと、例えば、ラフカディオ・ハーンにもみられるように、少々”怖い”
話が多いようで、本書の大部分の話もそういう傾向はあると思うが、また一人、東洋に関する優れた
小説家を知ることができ、まことに幸いであった。
2016年2月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
翻訳とは思えないほどスムーズな美しい言葉。
一読の価値は絶対にあります。
一読の価値は絶対にあります。
2014年5月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
フランスの文通相手にすすめられて買いました。
源氏物語の話が出できます。
源氏物語の話が出できます。
2019年11月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ユルスナ―ルの短編の見事な翻訳は、故多田氏の手になる。生前に僅かばかり知古のあった批評子はついぞ彼女の業績については寡黙であった。しかし、ハデスの世界に旅立った多田氏がこのような見事な訳業を出版されていようとは自己の無知を恥ずばかりである。もっとも気に入った一説は「幻想とは恐らく俗物の目に映る最もひそかな現実の形態であろう」(同書、98ページ)である。
2017年8月20日に日本でレビュー済み
この本がどんなに素晴らしいかは、ここに寄せられているレビューの質の高さからもわかると思います。
時代を超えた世界の名著を縦横に堪能したユルスナールの読書量はいかほどだったのか、尊敬と憧れで眩暈がしそうです。
私はこの本を不思議な方法で手に入れました。
骨董と古本を扱う店を経営していた友人に、「本を整理する家があるから一緒に来て」と頼まれ計算係としてついていくと。。
売り主は若い独身の男性で、本は相当な量がありました。独自の感性で選ばれた上質な本ばかりだったと記憶しています。
買取りの作業をしていると突然、「女性にはこういう本を読んで欲しいんだ。これは貴女に上げます」と言って手渡してくれたのが、箱に入った美しい装丁の「東方綺譚」だったのです!
本は売るとなると二束三文にもなりませんね。私はこっそり上乗せしてあげました 笑
いただいた本は初版本で、装丁も紙質も、頁の余白を活かしたレイアウトも素晴らしく、全体が詩的でした。
老絵師と弟子の玲が、その描いた絵の中に消えていくところは何度読んでも淋しく鮮烈で、何とか押し留めたい、連れ戻したい気持ちになります。
玲は「幸福の王子」の燕と重なってしまうのです。「老人と海」のマノーリンとも。
余談ですが、日本版マリ・クレール(創刊号だったと思うのですが)に、マウントデザート島のユルスナールの自宅でのインタビュー記事が掲載され、大変感動したのを思い出します。
手のアップ写真には、「偉大な手」という見事な言葉が添えられていました。
時代を超えた世界の名著を縦横に堪能したユルスナールの読書量はいかほどだったのか、尊敬と憧れで眩暈がしそうです。
私はこの本を不思議な方法で手に入れました。
骨董と古本を扱う店を経営していた友人に、「本を整理する家があるから一緒に来て」と頼まれ計算係としてついていくと。。
売り主は若い独身の男性で、本は相当な量がありました。独自の感性で選ばれた上質な本ばかりだったと記憶しています。
買取りの作業をしていると突然、「女性にはこういう本を読んで欲しいんだ。これは貴女に上げます」と言って手渡してくれたのが、箱に入った美しい装丁の「東方綺譚」だったのです!
本は売るとなると二束三文にもなりませんね。私はこっそり上乗せしてあげました 笑
いただいた本は初版本で、装丁も紙質も、頁の余白を活かしたレイアウトも素晴らしく、全体が詩的でした。
老絵師と弟子の玲が、その描いた絵の中に消えていくところは何度読んでも淋しく鮮烈で、何とか押し留めたい、連れ戻したい気持ちになります。
玲は「幸福の王子」の燕と重なってしまうのです。「老人と海」のマノーリンとも。
余談ですが、日本版マリ・クレール(創刊号だったと思うのですが)に、マウントデザート島のユルスナールの自宅でのインタビュー記事が掲載され、大変感動したのを思い出します。
手のアップ写真には、「偉大な手」という見事な言葉が添えられていました。
2009年12月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読みたい本が 希望どうりに入手できて満足です。甲子夜話 のような 面白い本でした。