カフカが短編小説を書きためたノートの内容が日本語訳された新書です。巻末解説によると、カフカは短編小説を「ピアニストの指慣らし」のように自由気ままに書いていたそうです。この本に収録されている小説は未完のものが多いですが、カフカが広げた想像力の断片を気楽に味わえます。
表題作の「万里の長城」も未完の作品ですが、いかにもカフカらしい小説でした。カフカの小説作法が万里の長城の建設にたとえられているといわれる小説で、権力者や制度のあいまいさについても言及されていました。
この本を読んでいると、人間や世界の宙ぶらりんなあり方に関する見事な表現にしばしば出会います。例えば「ある戦いの記録」の後半に出てくる男は、「わたし」にこう語っています。
「つまり、われわれは雪のなかの樹木の幹のようじゃないのかな?のっかっているだけ、ちょっと突けば押しのけられる。いや、そうはいかない。大地にしっかり根を生やしている。しかし、どうだ、それもそう見えるだけのこと」(p.58)。
この台詞はカフカの解説書でよく引用されるので、ご存知の方も結構いらっしゃるかと思います。私たちは雪のなかの樹木の幹のように不安定なような安定しているような、宙ぶらりんなあり方をしているということがここで示されているといえるでしょう。
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ノート〈1〉万里の長城―カフカ・コレクション (白水uブックス) 新書 – 2006/9/1
- 本の長さ215ページ
- 言語日本語
- 出版社白水社
- 発売日2006/9/1
- ISBN-104560071586
- ISBN-13978-4560071588
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商品の説明
出版社からのコメント
カフカ・コレクションの「ノート」は、カフカ以外の人間の手
になる部分をいっさい排除し、カフカ自身が書いたときの姿に限りなく近い形で
忠実に再現されている。
したがってカフカの作品の成立過程がはっきりと見てとれる。カフカが作品をい
かに作り上げていったか、その作品の生まれるプロセスはどんなものか、小説家
カフカの秘密、彼の文学の母胎となったものがよくわかる。読者はカフカの別の
顔、未知の面白さを発見することができる。「ノート1」は、カフカの手稿の前
半部分から16篇を収録。
になる部分をいっさい排除し、カフカ自身が書いたときの姿に限りなく近い形で
忠実に再現されている。
したがってカフカの作品の成立過程がはっきりと見てとれる。カフカが作品をい
かに作り上げていったか、その作品の生まれるプロセスはどんなものか、小説家
カフカの秘密、彼の文学の母胎となったものがよくわかる。読者はカフカの別の
顔、未知の面白さを発見することができる。「ノート1」は、カフカの手稿の前
半部分から16篇を収録。
登録情報
- 出版社 : 白水社 (2006/9/1)
- 発売日 : 2006/9/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 215ページ
- ISBN-10 : 4560071586
- ISBN-13 : 978-4560071588
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,013,839位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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