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ケイレブ・ウィリアムズ (白水Uブックス) 新書 – 2016/7/9

4.5 5つ星のうち4.5 4個の評価

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《ゴシック小説の名作にしてミステリの原点》 慈悲深い主人には恐ろしい秘密があった。
真実を知る若者は犯罪者として追われる身に……
ゴシック小説の名作にしてミステリの原点。

「私ほどに社会から不当な仕打ちを受けた者はないでしょう。かく言う私が憎むような罪を犯したと告訴され、私は拘置所送りとなりました。拘置所でのひどい扱いを一々挙げるのは控えましょう、一番軽いのでも聞いたらぞっとするようなものですから。絞首刑になりたいと毎日待っておりました! 若くて希望に満ち、生きることを楽しむ私、生まれる前の子供のように罪のない私が絞首台に登る日を待つとは! 」
(本文より)

農民の息子ケイレブ・ウィリアムズは、両親を亡くし、有力者の地主フォークランドの秘書として働くようになる。人望厚く慈愛に満ちた主人の下で恵まれた生活を送るケイレブだったが、好奇心の強い彼は、やがて主人の不可解な性格に興味をいだき、ついにその暗い秘密を突き止めてしまう。実は主人フォークランドには人知れず殺人を犯した恐ろしい過去があったのだ……。18世紀末、アナーキズムの古典『政治的正義』 で英国社会に衝撃をもたらした思想家ウィリアム・ゴドウィンが著したゴシック小説の名作。社会の矛盾や不条理をあばく告発小説であると同時に、犯罪の秘密に端を発して、追う者と追われる者のサスペンスと心理的闘争を迫真の筆で描いたミステリの古典でもあり、さらに正義の側にあるはずの主人公が逆に権力者から迫害を受ける展開は現代ミステリを先取りしている。

[目次]
序文
第一巻
第二巻
第三巻

付録一 『ケイレブ・ウィリアムズ』初稿の結末
付録二 『ケイレブ・ウィリアムズ』創作についてのゴドウィンの記録

『ケイレブ・ウィリアムズ』について 岡照雄
Uブックス版へのあとがき

[原題]Caleb Williams
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商品の説明

著者について

ウィリアム・ゴドウィン William Godwin
1756年、イングランド東部のウィズビーチで生まれる。父親に倣ってカルヴァン派牧師となるが、フランス啓蒙思想に触れて信仰を捨て、ロンドンに出て政治評論等を発表、文筆活動に入る。フランス革命直後に上梓した『政治的正義』(1793)は無政府主義的な急進思想を説いて熱狂的な反響を呼び、ロマン派詩人たちにも多大な影響を与えた。その思想や社会批判をゴシック小説の枠組を借りて展開した『ケイレブ・ウィリアムズ』(1794)は、犯罪に端を発する追う者と追われる者の関係を描いてミステリの源流とも位置付けられる。他に賢者の石をめぐる錬金術小説『サン・レオン』(1799)などがある。1797年に結婚した女権論者メアリー・ウルストーンクラフトは、娘メアリー(後に詩人シェリー夫人となる)を出産後まもなく産褥熱で死亡。19世紀に入ると名声も衰え、児童書の出版業に乗り出すが、困窮のうちに1836年死去。

訳者:岡 照雄(おか・てるお)
1930年、福岡市生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学名誉教授、県立福岡女子大学名誉教授・元学長。著書に『アンガス・ウィルソン』(研究社)、『官僚ピープス氏の生活と意見』(みすず書房)、訳書にミュリエル・スパーク『ミス・ブロウディの青春』(白水社)、『サミュエル・ピープスの日記』(国文社、共訳)、ジョン・ディクスン・カー『エドマンド・ゴドフリー卿殺害事件』(創元推理文庫)などがある。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 白水社 (2016/7/9)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2016/7/9
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 新書 ‏ : ‎ 444ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 456007206X
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4560072066
  • カスタマーレビュー:
    4.5 5つ星のうち4.5 4個の評価

カスタマーレビュー

星5つ中4.5つ
5つのうち4.5つ
4グローバルレーティング

この商品をレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2016年9月16日に日本でレビュー済み
追う者と追われる者の緊迫した攻防を描いて息詰まる小説であり、ジュリアン・シモンズなどは近代的犯罪小説の嚆矢として評価している作品だが、現代のミステリと比べると流石に最初は取っ付き難い。作者の娘メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』が近代的サイエンスの暴走への警鐘をいち早く鳴らした側面があるように、本書はあくまで単なる娯楽小説というより社会主義的観点から支配階級や権力の欺瞞や抑圧的体制を批判する点に主眼がおかれ執筆されているからだろう。しかし主人公が転落し苦難と災厄に蝕まれる中盤から物語は迫真のリアリティを持ち始め、その世界に引き込まれる。
作家で批評家のロバート・バーナードは本書の主題を罪人追跡という行為に潜む道徳的曖昧性だと評したが、まさに追う者と追われる者、それぞれが薄氷を踏むように互いに焦燥に駆られる緊迫感に満ちた展開はヴィクトリア期に量産された殆どの探偵小説よりも寧ろモダンに感じられ、容赦ない筆致の冷徹さは現在の日本社会においても共通する深刻な社会病理を暴くかのようである。
なるほど、今も普遍的な価値を保つ作品と評価されるに相応しい内容だ。
15人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2015年9月19日に日本でレビュー済み
行きつけの古書店で 800円で購入 やったな アマゾンはボッタクリの店が多すぎる
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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