ロッジの最新作は、初老の人間に忍び寄る病気、不安と、それらから生じる悲しみ、苦しみ、苛立ちについて、未だ衰えない性欲、欲望も目配りをしつつ、英国流の笑いを混ぜながら、老いることとは何かを描いている。面白い。笑える部分は、流石に少ないけれど、若い変わった女に誘惑され、戸惑う姿など、リアルで心憎いばかり。
英国も、日本同様に、親の介護問題、引退後の生活、病気など、中高年の抱える問題は共通しており、外国の話とはとても思えない。日本の小説としても読めそうなくらい(宗教、ここではカトリックの話だけは無理だろうけれど)。
引退した大学教授の主人公は、難聴を抱え、自分よりも稼ぎがあり、社会的にも成功しつつある妻がおり、ロンドン郊外に気難しく、施設へ移ることを拒んでいる単身の親がいる。日々の生活は妻を苛立たせ、自分も妻への劣等感と病気と引退による疎外感で落ち込んでいる。もしかして、これからの小説の主流は、世界的な人口の高齢化を反映して、書き手、読者とも高齢化しているので、本書のような老人小説になるのではないか、と思う。
訳は、いつもの高儀訳同様、読みやすく、分かりやすい。装丁だけが、恐らくは主人公の親が住むロンドン郊外の二軒長屋(セミ・デイタッチト)を描いているらしいのだが、似ても似つかない家になっており、少々残念。
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ベイツ教授の受難 単行本 – 2010/3/1
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- 本の長さ388ページ
- 言語日本語
- 出版社白水社
- 発売日2010/3/1
- 寸法14 x 3.3 x 19.5 cm
- ISBN-104560080550
- ISBN-13978-4560080559
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商品の説明
出版社からのコメント
《「難聴」の教授を見舞う悲喜劇》
主人公ベイツは言語学の元大学教授で、難聴のため早期退職し、ときおり、やはり難聴で認知症の父親の家を訪問している。ベイツが再婚した妻のフレッドは、自営業で成功し、会話もままならぬ夫は、妻の「付属品」のような存在だ。
ベイツは女子学生アレックスの論文指導をすることになったが、彼女の色仕掛けにうんざりしてしまう。しかもテーマが「自殺の遺書」分析なので、なおさらだ。夫婦仲もますます冷えていき、何をやっても失敗ばかり......。
そんな中、ベイツはポーランドへ講演旅行に出かけ、アウシュヴィッツを見学して衝撃をうける。ちょうどそのとき、妻からの電話で娘が産気づいたことを知らされる。そしてその直後、息子から祖父が倒れて入院したと連絡をもらう......。
人生の盛りを越えた難聴の主人公ベイツ、老いて一人暮らしの父親、虚言癖のある女子学生など、一筋縄ではいかない登場人物たちが物語を盛り上げる。本書は、読者をおおいに笑わせつつ、「老い」「死」というテーマをしんみりと、かつ明るく描き、大御所ロッジ集大成の観がある。
主人公ベイツは言語学の元大学教授で、難聴のため早期退職し、ときおり、やはり難聴で認知症の父親の家を訪問している。ベイツが再婚した妻のフレッドは、自営業で成功し、会話もままならぬ夫は、妻の「付属品」のような存在だ。
ベイツは女子学生アレックスの論文指導をすることになったが、彼女の色仕掛けにうんざりしてしまう。しかもテーマが「自殺の遺書」分析なので、なおさらだ。夫婦仲もますます冷えていき、何をやっても失敗ばかり......。
そんな中、ベイツはポーランドへ講演旅行に出かけ、アウシュヴィッツを見学して衝撃をうける。ちょうどそのとき、妻からの電話で娘が産気づいたことを知らされる。そしてその直後、息子から祖父が倒れて入院したと連絡をもらう......。
人生の盛りを越えた難聴の主人公ベイツ、老いて一人暮らしの父親、虚言癖のある女子学生など、一筋縄ではいかない登場人物たちが物語を盛り上げる。本書は、読者をおおいに笑わせつつ、「老い」「死」というテーマをしんみりと、かつ明るく描き、大御所ロッジ集大成の観がある。
登録情報
- 出版社 : 白水社 (2010/3/1)
- 発売日 : 2010/3/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 388ページ
- ISBN-10 : 4560080550
- ISBN-13 : 978-4560080559
- 寸法 : 14 x 3.3 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,129,137位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 295,529位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2012年3月5日に日本でレビュー済み
2010年8月16日に日本でレビュー済み
「ベイツ教授の受難」と題されたデイヴィッド・ロッジの、「考える・・・」以来の待望の翻訳です。おそらく本邦初の研究書「デイヴィッド・ロッジの小説世界」で「判決は難聴」といったような訳が当てられていたタイトルですが、本書の「訳者あとがき」にあるように韻を用いたタイトルにはそれぞれの国が手こずっているようで、なかなか難しいところではあります。ただし、ロッジの新作に「ベイツ教授の」と付けば、キャンパス・ノベルであることが容易に察しがつくことを考えると、「訳者あとがき」にこのあたりの事情は詳述されていますので、原題にほとんど由来しないこの題名が案外ベストではないかと思います。内容については、これは読む方の楽しみを削いでしまいかねませんので、ここには全く記しませんが、正確を期すれば本作は「キャンパス・ノベル」というよりも、ロッジ自身がそう呼んでいる通り、「リタイアメント・キャンパス・ノベル」といったほうがより的確であると思います。ロッジのほかの著作のレビューでも書きましたが、若い女性からの絶えざるアプローチや、そこはなとない厭世癖、かと思えば実はどこかいつも弱腰であったりといったところが、ますますウディ・アレンと重なって見えて仕方ありませんでした。