バックグラウンドの描写にかなりの文字数が使われていますが、自分にとっては程良い感じのボリュームでした。人間関係が入り組んでいるのと、舞台となる村の地形が複雑ですが、巻頭の見取り図と人物相関図がいい仕事をしてくれており、途中でこんがらがるということはありませんでした。
小説のスタイルとして好みは多少分かれるかもしれませんが、自分にとってはとても面白く程良い読み応えの一冊でした。
読み終えてすぐ、第2作目も注文しました
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厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ) 単行本 – 2006/2/1
三津田 信三
(著)
- 本の長さ457ページ
- 言語日本語
- 出版社原書房
- 発売日2006/2/1
- ISBN-104562039833
- ISBN-13978-4562039838
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登録情報
- 出版社 : 原書房 (2006/2/1)
- 発売日 : 2006/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 457ページ
- ISBN-10 : 4562039833
- ISBN-13 : 978-4562039838
- Amazon 売れ筋ランキング: - 750,083位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 177,127位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年12月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2024年3月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
シリーズの第1作と言うこともあり、土俗ホラー舞台としての山村の設定のつくりこみの念の入れよう、力の入れようが凄いです。いかにも曰くありげな地名のオンパレードであったり、カカシ様と呼ばれる神様が、村の至る所にまつられていたり(「遠野物語」的な土俗信仰を更に煮詰めて濃厚にした感じ)、村の勢力が白の家筋と、黒の家筋に二分していたり、黒の家筋では、代々、女の双子が生まれたり、しばしば神隠しが起こったり、連続見立て殺人が発生したり、過剰なまでの土俗ホラーアイテムの盛り込みようなのですが、裏付けとなる設定を丁寧に構築しているので、表面的になることなく、いい雰囲気を醸し出せてると思います。
各章において、俯瞰視点で記述された後に、登場人物達の手記による、それぞれの視点で補足されるという構成も、なんとなく違和感がありつつも、(こんなにも事細かに手記を記すものだろうか? とはいえ、作家の手が入っている前提なので目をつぶるべきところか?)何サイクルか繰り返していると、馴染んできて、リズム良く読めるようになります。
ミステリ面では、探偵役が最終局面で何回も推理をひっくり返すという意味で、どんでん返しが続くのですが、途中の推理の、ノーマークな驚きに比べて、真犯人が明らかになるインパクトが弱い感があります。犯行を実現可能とするギミック、叙述的なギミックは良くできていて、なるほどと思いました。
各章において、俯瞰視点で記述された後に、登場人物達の手記による、それぞれの視点で補足されるという構成も、なんとなく違和感がありつつも、(こんなにも事細かに手記を記すものだろうか? とはいえ、作家の手が入っている前提なので目をつぶるべきところか?)何サイクルか繰り返していると、馴染んできて、リズム良く読めるようになります。
ミステリ面では、探偵役が最終局面で何回も推理をひっくり返すという意味で、どんでん返しが続くのですが、途中の推理の、ノーマークな驚きに比べて、真犯人が明らかになるインパクトが弱い感があります。犯行を実現可能とするギミック、叙述的なギミックは良くできていて、なるほどと思いました。
2021年9月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「ええっ!そ、そんなことが?」
「ふっふっふっ、ふふふっ」
この手のセリフに耐えられるかが鍵。
ある登場人物があまりにもうるさい。
トリック等々は好きですが。
「ふっふっふっ、ふふふっ」
この手のセリフに耐えられるかが鍵。
ある登場人物があまりにもうるさい。
トリック等々は好きですが。
2017年8月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
昭和、隔絶された村落、因習、怪異——たまりません!
ここまで楽しめたのは久々でした。もう一度ミステリーを読むきっかけとなった作品です。
ここまで楽しめたのは久々でした。もう一度ミステリーを読むきっかけとなった作品です。
2016年1月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
八墓村、ドラゴンタトューの女、京極夏彦(絡新婦の理)のような、閉鎖された空間で、その空間特有の宗教感と殺人事件が混じり絡まって
事件の真相がオカルト的な祟りと現実的な犯罪が行き来するような、そんなホラー推理作品好きにはお勧めの一品だと思います。
「まさに、これこれ やるじゃーんあんた 合格っー」という感想でした。
作者のオカルトの薀蓄、情景や心理を上手く文章化して内からくる恐怖を表現する語彙力、交錯する様々な人間関係、とても美味しゅうございました。
ただ
☆5つをつけなかった理由が
私の個人的な感想ですが最後が薄味過ぎです。
オチやトリックが手抜きという訳ではありません(むしろ二転三転する真犯人の意外性は良かったのですが・・・)
そこまで持っていくのに、凄い丁寧な描写だったのに・・・急に何んかこう・・・犯人分かってから・・・期待してた最後の怒涛のドラマというか・・・
もっと最後に50ページくらいかけても良かったのでは?というくらい薄味だったのが・・・気になりました。
あくまで私個人の感想ですが・・・
まぁ、ホラー推理作品好きなら満足できる作品ですのでお勧めですよ。
事件の真相がオカルト的な祟りと現実的な犯罪が行き来するような、そんなホラー推理作品好きにはお勧めの一品だと思います。
「まさに、これこれ やるじゃーんあんた 合格っー」という感想でした。
作者のオカルトの薀蓄、情景や心理を上手く文章化して内からくる恐怖を表現する語彙力、交錯する様々な人間関係、とても美味しゅうございました。
ただ
☆5つをつけなかった理由が
私の個人的な感想ですが最後が薄味過ぎです。
オチやトリックが手抜きという訳ではありません(むしろ二転三転する真犯人の意外性は良かったのですが・・・)
そこまで持っていくのに、凄い丁寧な描写だったのに・・・急に何んかこう・・・犯人分かってから・・・期待してた最後の怒涛のドラマというか・・・
もっと最後に50ページくらいかけても良かったのでは?というくらい薄味だったのが・・・気になりました。
あくまで私個人の感想ですが・・・
まぁ、ホラー推理作品好きなら満足できる作品ですのでお勧めですよ。
2009年8月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
民俗学色の濃い伝奇ホラーと本格味の融合が持ち味の作者の本領発揮の作品。「刀城言耶」シリーズの第一作。舞台の神々櫛村は、谺呀治家と神櫛家の二つの旧家が対立し、厭魅を初めとする憑き物が跋扈する異郷。谺呀治家は憑き物筋で、神櫛家は非憑き物筋。物語は谺呀治家の巫神堂で、巫女の老婆叉霧と孫娘の憑座紗霧が神櫛家の分家の娘千代の憑き物落としをするシーンから始まる。憑座紗霧は千代が生霊に憑かれたと告げるが、その相手の名は何と「さぎり--」と言う衝撃。神々櫛村ではカカシ様が崇拝(畏怖)の対象。舞台設定も名前も禍々しい。物語は刀城の一人称、三人称、紗霧の日記、千代の従兄の漣三郎のノートで構成される。尚、文庫版では冒頭に神々櫛村の見取り図が付いている。
谺呀治は蛇神の家筋。その筋の家では代々双子の女児が産まれる由だが、紗霧も姉の小霧と双子。9歳の時の九供儀礼で小霧は亡くなるが、この儀式で亡くなった者は山神(=カカシ様)になると信じられている。紗霧が見た亡くなる寸前の小霧は厭魅そのもの...。一方、千代の母千寿子は本家の漣三郎を巡って、紗霧を千代のライバル視している。これが冒頭の生霊騒ぎに繋がるが、漣三郎は憑き物を信じない合理主義者で千代に関心は無く、小霧は叉霧に殺されたと考えている。千代は漣三郎に紗霧の生霊を見たと訴えるが...。更に、漣三郎の長兄聯太郎を初めとする子供達の神隠し談、巫神堂で紗霧を襲った偽山伏の首吊り見立て殺人、邑寿川での紗霧の大叔父の見立て殺人、谺呀治家の客間での紗霧の叔父の見立て毒殺と畳み掛ける。漣三郎の戦慄回想談との相乗効果で迫力満点。民俗学的考察も深くて興味をそそる。そして、紗霧の叔母、父と見立て殺人は続く...。
大胆なヒントのお陰でミステリ的趣向は容易に分かってしまうが、数々の怪異譚の連携の巧みさと濃厚な伝奇ホラー味で読者に鳥肌が立つ程の戦慄を与える衝撃的作品。
谺呀治は蛇神の家筋。その筋の家では代々双子の女児が産まれる由だが、紗霧も姉の小霧と双子。9歳の時の九供儀礼で小霧は亡くなるが、この儀式で亡くなった者は山神(=カカシ様)になると信じられている。紗霧が見た亡くなる寸前の小霧は厭魅そのもの...。一方、千代の母千寿子は本家の漣三郎を巡って、紗霧を千代のライバル視している。これが冒頭の生霊騒ぎに繋がるが、漣三郎は憑き物を信じない合理主義者で千代に関心は無く、小霧は叉霧に殺されたと考えている。千代は漣三郎に紗霧の生霊を見たと訴えるが...。更に、漣三郎の長兄聯太郎を初めとする子供達の神隠し談、巫神堂で紗霧を襲った偽山伏の首吊り見立て殺人、邑寿川での紗霧の大叔父の見立て殺人、谺呀治家の客間での紗霧の叔父の見立て毒殺と畳み掛ける。漣三郎の戦慄回想談との相乗効果で迫力満点。民俗学的考察も深くて興味をそそる。そして、紗霧の叔母、父と見立て殺人は続く...。
大胆なヒントのお陰でミステリ的趣向は容易に分かってしまうが、数々の怪異譚の連携の巧みさと濃厚な伝奇ホラー味で読者に鳥肌が立つ程の戦慄を与える衝撃的作品。
2020年11月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
世界観は好きです。
ただ登場人物の4割くらいは同名、また儀式やしきたりの話が多く出てくるので最初はとにかく読みにくいです。
そして真犯人。この人は例えて言うなら物語のモノローグやナレーションをしていた人が犯人ですというようなメタ的存在に近いものがあり、それはダメでしょうと思ってしまいました。
伏線は確かにありましたが恐らく作者も伝わらないと思ったのか、最後の章でここにこう書いてあった、ここの描写が存在を示していた、など説明口調で探偵に1人語りさせる始末。
それなら少し改変して2人の兄のどちらかを犯人のまま終わらせた方がまだ普遍的とはいえ綺麗に終わらせられたのではないかと思います。
そもそもアリバイ証明となったサギリ(妹)の夕方の儀式も結果的には真犯人のアリバイ証明でもあり、そこの矛盾は怪異でしたで押し通されます。
また九供山の怪異を隠す為に子方に山を拓せて偽の道を作った、というのも、そもそもカカシにさえ畏怖を覚える村人が御山に入った上に木など切れるでしょうか。
細かく読むとどうも引っかかることばかりでしたが、話自体は雰囲気抜群で面白かったです。
ただ登場人物の4割くらいは同名、また儀式やしきたりの話が多く出てくるので最初はとにかく読みにくいです。
そして真犯人。この人は例えて言うなら物語のモノローグやナレーションをしていた人が犯人ですというようなメタ的存在に近いものがあり、それはダメでしょうと思ってしまいました。
伏線は確かにありましたが恐らく作者も伝わらないと思ったのか、最後の章でここにこう書いてあった、ここの描写が存在を示していた、など説明口調で探偵に1人語りさせる始末。
それなら少し改変して2人の兄のどちらかを犯人のまま終わらせた方がまだ普遍的とはいえ綺麗に終わらせられたのではないかと思います。
そもそもアリバイ証明となったサギリ(妹)の夕方の儀式も結果的には真犯人のアリバイ証明でもあり、そこの矛盾は怪異でしたで押し通されます。
また九供山の怪異を隠す為に子方に山を拓せて偽の道を作った、というのも、そもそもカカシにさえ畏怖を覚える村人が御山に入った上に木など切れるでしょうか。
細かく読むとどうも引っかかることばかりでしたが、話自体は雰囲気抜群で面白かったです。
2018年10月29日に日本でレビュー済み
刀城言耶シリーズ最高傑作といわれる3作目『首無の如き祟るもの』でびっくり仰天し、遡って1作目を読んだ。どうせどんでん返し祭りなのはわかってたのにびっくり仰天。声出たわ。
しかし首無と比べるとこっちはホラー度が高いね。そして相変わらず前半の読みづらさが半端じゃない
三津田信三のサービス精神ははっきりいって異常だ。
ホラーとミステリの限りない融合なんてまぁ他でもあるわけで、このシリーズ最大の魅力は過剰なまでのサービス精神、サプライズ、多重どんでん返し、仕掛けである。シリーズ通して叙述トリックやどんでん返し祭りがあるとわかっているのに騙される。
昭和初期、因習に満ちた閉鎖的集落、神隠し、憑き物筋、生霊、民俗学といったホラーネタ。
密室殺人、見立て殺人、双子トリック、叙述トリック、多重推理といったミステリネタ。これらを一作で全部使い切り、しかも単なる装飾になっておらず高いレベルで融合してるってのが本当凄い。
構成のトリックは『首無〜』でも仰天したけど、今回も凄い。どれだけ周到に練られているんだと。ミステリを読み慣れてる人ほど驚かされるよね。
三人の一人称と三人称の4つの視点で紡がれるというクソわかりにくい、新人賞に書いたら一発で一次落ちしそうな構成がここまで計算されたものとは……
しかし首無と比べるとこっちはホラー度が高いね。そして相変わらず前半の読みづらさが半端じゃない
三津田信三のサービス精神ははっきりいって異常だ。
ホラーとミステリの限りない融合なんてまぁ他でもあるわけで、このシリーズ最大の魅力は過剰なまでのサービス精神、サプライズ、多重どんでん返し、仕掛けである。シリーズ通して叙述トリックやどんでん返し祭りがあるとわかっているのに騙される。
昭和初期、因習に満ちた閉鎖的集落、神隠し、憑き物筋、生霊、民俗学といったホラーネタ。
密室殺人、見立て殺人、双子トリック、叙述トリック、多重推理といったミステリネタ。これらを一作で全部使い切り、しかも単なる装飾になっておらず高いレベルで融合してるってのが本当凄い。
構成のトリックは『首無〜』でも仰天したけど、今回も凄い。どれだけ周到に練られているんだと。ミステリを読み慣れてる人ほど驚かされるよね。
三人の一人称と三人称の4つの視点で紡がれるというクソわかりにくい、新人賞に書いたら一発で一次落ちしそうな構成がここまで計算されたものとは……