欧米の人たちは、あらゆる文献に当たって、総合し、大局的な視点で大著を書く人が多いなとつくづく思います。日本で言えばかつての立花隆がそれに近いかも。ただ多くの文献に当たって大著を書けば正しいってわけではないですよね。やはり正しく文献を読んで、正しく批判するという視点が一貫しているかが重要でしょう。
ということで、膨大な文献リストから一部原典に当たって、検討しました。子どもとかかわる仕事なので、離乳期の乳児に好きなように食べさせて、子どもの自然の食物選択能力を調べたClara Davisの文献に当たりました。この文献はのちの小児科医に多く引用され、食物の選択はどんなものでも子どもに任せれば良いという説の根拠になりました。しかし原著者の真意はそうではなく、好きなように選ばせて、好きな量食べても栄養学的に問題が起きなかったのは食べさせる食物がどれも自然で栄養バランスの良いものであることが前提だと言うところにあります。自然な食物と、カロリー過多で口当たりの良い低レベルの食品を選ばせたら、子どもの選択力はあてにならないという洞察が書かれていました。この著者は、きちんと原著者の意図を汲んでこの実験を紹介しています。
一方、著者はこの実験が、食事の環境に一切の考慮を払っていない非人道的な実験であることを厳しく批判します。しかし問題は非人道的な点というよりも、食の嗜好は食事の環境に左右されることも多いはずだから、その点が研究として不十分だとします。これは情緒的な批判ではなく科学的な批判という意味でこの著者の優れた客観性を表すところでしょう。
著者は歴史学の学位を持っているようで、文献批判のトレーニングは十分に受けていて、身についているのでしょう。信頼に値する本だと思います。
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人はこうして「食べる」を学ぶ - – 2017/3/24
好き嫌いは遺伝で一生変わらない? 肥満、偏食、拒食、過食…危険は承知しているが、ではどうすれば?
日本やフィンランドの例も紹介しつつ、最新の知見と「食べる技術/食べさせる知恵」を〝母親目線〟で探るユニークな書!
なぜ人は好き嫌いをするのか?
「好き」を子供はどうやって判断する?
「嫌い」「食べられない」は一生変わらない?
肥満、偏食、拒食、過食……食の危険は承知しているが、ではどうすればいい?
いまイギリスで最も注目されているフードジャーナリストが、日本やフィンランドほかの例も紹介しながら、最新の知見と「食べる技術」「食べさせる知恵」を〝母親目線〟で探るユニークな書!
ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、ガーディアン、タイムズ、フィナンシャルタイムズ、ネイチャーほか、英米の各メディアで書評続々。
料理とワインについての良書を選定するアンドレ・シモン賞特別賞(2015年)受賞
ロンドンの老舗百貨店が主催するフォートナム・アンド・メイソン・フード&ドリンク賞(フードブック部門/2016年)受賞
◎世界が日本食に注目する本当の理由
◎「なにを食べるか」は気にしても、「どう食べるか」はあまり考えない人が多い
◎摂食障害治療で注目されるFBT(家族療法/モーズレイ法)
◎生後四か月~七か月に開かれる「味覚の窓」は重要
◎なぜ兄弟姉妹で好き嫌いが違うのか
◎フィンランドで注目される食育法、サペーレ・メソッド
◎有能な栄養士は共感力が高い
◎ダイエット維持派と逆戻り派の根本的な違い
…………などなど、読みどころたくさん!
◆目次
まえがき
序章 人はいかに「食べる」を学ぶのか
第1章 好き嫌い――遺伝と学習
第2章 記憶――におい・風味・郷愁
第3章 子供の食べ物――「子供食」と「大人食」
第4章 食べさせる――愛情と責任
第5章 兄弟姉妹――性別とプレッシャー
第6章 飢え――空腹と満腹
第7章 摂食障害――治療の現場から
第8章 変化――日本食と食育
終章 アドバイスに変えて
日本やフィンランドの例も紹介しつつ、最新の知見と「食べる技術/食べさせる知恵」を〝母親目線〟で探るユニークな書!
なぜ人は好き嫌いをするのか?
「好き」を子供はどうやって判断する?
「嫌い」「食べられない」は一生変わらない?
肥満、偏食、拒食、過食……食の危険は承知しているが、ではどうすればいい?
いまイギリスで最も注目されているフードジャーナリストが、日本やフィンランドほかの例も紹介しながら、最新の知見と「食べる技術」「食べさせる知恵」を〝母親目線〟で探るユニークな書!
ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、ガーディアン、タイムズ、フィナンシャルタイムズ、ネイチャーほか、英米の各メディアで書評続々。
料理とワインについての良書を選定するアンドレ・シモン賞特別賞(2015年)受賞
ロンドンの老舗百貨店が主催するフォートナム・アンド・メイソン・フード&ドリンク賞(フードブック部門/2016年)受賞
◎世界が日本食に注目する本当の理由
◎「なにを食べるか」は気にしても、「どう食べるか」はあまり考えない人が多い
◎摂食障害治療で注目されるFBT(家族療法/モーズレイ法)
◎生後四か月~七か月に開かれる「味覚の窓」は重要
◎なぜ兄弟姉妹で好き嫌いが違うのか
◎フィンランドで注目される食育法、サペーレ・メソッド
◎有能な栄養士は共感力が高い
◎ダイエット維持派と逆戻り派の根本的な違い
…………などなど、読みどころたくさん!
◆目次
まえがき
序章 人はいかに「食べる」を学ぶのか
第1章 好き嫌い――遺伝と学習
第2章 記憶――におい・風味・郷愁
第3章 子供の食べ物――「子供食」と「大人食」
第4章 食べさせる――愛情と責任
第5章 兄弟姉妹――性別とプレッシャー
第6章 飢え――空腹と満腹
第7章 摂食障害――治療の現場から
第8章 変化――日本食と食育
終章 アドバイスに変えて
- 本の長さ432ページ
- 言語日本語
- 出版社原書房
- 発売日2017/3/24
- ISBN-104562053836
- ISBN-13978-4562053834
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商品の説明
出版社からのコメント
◎訳者あとがき(抜粋)
本書で著者は、現代の「食の問題」に対して果敢に切りこんでいきます。ひとつは、肥満、偏食、食わず嫌い、拒食、過食など、現代社会に存在するさまざまな問題です。無数の食品があふれ、奔流のような情報にさらされて、ある意味、方向性を見失っているわたしたち。著者は、一度立ち止まって「自分が食べること、子供に食べさせることの本質に立ち返ろう」と呼びかけ、そのために必要なのは「食べることは戦いではなく喜びである」という信念であり、「自分や子供を養う」という昔ながらの概念なのだ、と説きます。わたしたちが受け継いできた「しつけ」や「常識」はほんとうに正しいのか? 一度確立された食べ方を変更するのは不可能なのか? 著者はさまざまな問いを設定し、世界各地に事例を求め、過去と現在、心と科学のあいだを縦横に行き来しながら答えを探っていきます。
本書の読みどころは、問題提起や批判にとどまらず、「どうすればよいか」を著者が真摯に考え、新たな考え方や手法を紹介している点でしょう。たとえば、生後四か月から七か月の乳児には、苦味などを積極的に受け入れる「味覚の窓」の時期があること。三歳頃までの幼児には、自分の食欲のみで食べる量をコントロールする能力があること。そうした時期に着目して、離乳をうまく進めたり、野菜好きに誘導したり、食事量を自己管理する能力を伸ばしたりしていこうという提案は、なるほどと思わされます。偏食や拒食症を取り上げた「摂食障害」の章では、発症原因を基礎疾患や心理的要因、親子関係などに求めて治療計画を立てるのではなく、「食べること」を最優先に考える実践的な治療法が示されます。米粒程度の食物を繰り返し与えて偏食を克服する方法や、食べ物を薬と位置づけて親子で拒食症に立ち向かうモーズレイ法などです。
一方、国民全体の食行動の転換例として取り上げられているのは日本とフィンランドです。日本型食生活について語っている部分では、わが身や日本社会の現状を省みて面映ゆく感じる部分もありますが、わたしたちが見過ごしたり忘れたりしている部分がたしかに数多くあることに気づかされるでしょう。また、小児の肥満問題をきっかけにフィンランドが導入した食育法「サペーレ・メソッド」は、社会全体でも家庭でも応用可能な方法です。
多岐にわたるテーマを扱いながらも本書が優しい読後感を与えるのは、著者が親としての視点を失わずに食の問題を考えていることや、自分自身の人生をたどりなおしているところにもあるでしょう。両親の離婚、姉妹間の競争、姉の拒食症、自分自身の摂食問題、わが子に対する強制摂食の経験などが、ときにユーモアを交えながら率直に語られます。結局のところ、わたしたちはみな、それぞれの「食の物語」を持っているのです。いいことも悪いこともある、それでもわたしたちは変わっていける、食べることは学びなおせる、つねに「最初の一口」がそこにある、という著者のメッセージは、わたしたち一人ひとりの前に進む力になってくれるでしょう。
本書で著者は、現代の「食の問題」に対して果敢に切りこんでいきます。ひとつは、肥満、偏食、食わず嫌い、拒食、過食など、現代社会に存在するさまざまな問題です。無数の食品があふれ、奔流のような情報にさらされて、ある意味、方向性を見失っているわたしたち。著者は、一度立ち止まって「自分が食べること、子供に食べさせることの本質に立ち返ろう」と呼びかけ、そのために必要なのは「食べることは戦いではなく喜びである」という信念であり、「自分や子供を養う」という昔ながらの概念なのだ、と説きます。わたしたちが受け継いできた「しつけ」や「常識」はほんとうに正しいのか? 一度確立された食べ方を変更するのは不可能なのか? 著者はさまざまな問いを設定し、世界各地に事例を求め、過去と現在、心と科学のあいだを縦横に行き来しながら答えを探っていきます。
本書の読みどころは、問題提起や批判にとどまらず、「どうすればよいか」を著者が真摯に考え、新たな考え方や手法を紹介している点でしょう。たとえば、生後四か月から七か月の乳児には、苦味などを積極的に受け入れる「味覚の窓」の時期があること。三歳頃までの幼児には、自分の食欲のみで食べる量をコントロールする能力があること。そうした時期に着目して、離乳をうまく進めたり、野菜好きに誘導したり、食事量を自己管理する能力を伸ばしたりしていこうという提案は、なるほどと思わされます。偏食や拒食症を取り上げた「摂食障害」の章では、発症原因を基礎疾患や心理的要因、親子関係などに求めて治療計画を立てるのではなく、「食べること」を最優先に考える実践的な治療法が示されます。米粒程度の食物を繰り返し与えて偏食を克服する方法や、食べ物を薬と位置づけて親子で拒食症に立ち向かうモーズレイ法などです。
一方、国民全体の食行動の転換例として取り上げられているのは日本とフィンランドです。日本型食生活について語っている部分では、わが身や日本社会の現状を省みて面映ゆく感じる部分もありますが、わたしたちが見過ごしたり忘れたりしている部分がたしかに数多くあることに気づかされるでしょう。また、小児の肥満問題をきっかけにフィンランドが導入した食育法「サペーレ・メソッド」は、社会全体でも家庭でも応用可能な方法です。
多岐にわたるテーマを扱いながらも本書が優しい読後感を与えるのは、著者が親としての視点を失わずに食の問題を考えていることや、自分自身の人生をたどりなおしているところにもあるでしょう。両親の離婚、姉妹間の競争、姉の拒食症、自分自身の摂食問題、わが子に対する強制摂食の経験などが、ときにユーモアを交えながら率直に語られます。結局のところ、わたしたちはみな、それぞれの「食の物語」を持っているのです。いいことも悪いこともある、それでもわたしたちは変わっていける、食べることは学びなおせる、つねに「最初の一口」がそこにある、という著者のメッセージは、わたしたち一人ひとりの前に進む力になってくれるでしょう。
著者について
ビー・ウィルソン(Bee Wilson)
フードジャーナリスト、歴史学博士。『サンデー・テレグラフ』紙に毎週フードコラム「キッチン・シンカー」を寄稿しており、このコラムで2004年、2008年、2009年にギルド・オブ・フードライターズ・フードジャーナリスト・オブ・ザ・イヤーを受賞している。
著書に『食品偽装の歴史』(高儀進訳/白水社)、『キッチンの歴史――料理道具が変えた人類の食文化』(真田由美子訳/河出書房新社)、『「食」の図書館 サンドイッチの歴史』(月谷真紀訳/原書房)などがある。
堤 理華(つつみ・りか)
神奈川県生まれ。金沢医科大学卒業。麻酔科医、翻訳家、現同大学看護学部非常勤講師。
訳書に『お菓子の図書館 ケーキの歴史物語』『お菓子の図書館 チョコレートの歴史物語』『「食」の図書館 パンの歴史』『1冊で知るムスリム』『真昼の悪魔――うつの解剖学』(以上原書房)『少年は残酷な弓を射る』(イーストプレス/共訳)『ヴァージン――処女の文化史』(作品社/共訳)『驚異の人体』(ほるぷ出版)など。
「ダンスマガジン」(新書館)等で舞踊評翻訳なども手がけている。
フードジャーナリスト、歴史学博士。『サンデー・テレグラフ』紙に毎週フードコラム「キッチン・シンカー」を寄稿しており、このコラムで2004年、2008年、2009年にギルド・オブ・フードライターズ・フードジャーナリスト・オブ・ザ・イヤーを受賞している。
著書に『食品偽装の歴史』(高儀進訳/白水社)、『キッチンの歴史――料理道具が変えた人類の食文化』(真田由美子訳/河出書房新社)、『「食」の図書館 サンドイッチの歴史』(月谷真紀訳/原書房)などがある。
堤 理華(つつみ・りか)
神奈川県生まれ。金沢医科大学卒業。麻酔科医、翻訳家、現同大学看護学部非常勤講師。
訳書に『お菓子の図書館 ケーキの歴史物語』『お菓子の図書館 チョコレートの歴史物語』『「食」の図書館 パンの歴史』『1冊で知るムスリム』『真昼の悪魔――うつの解剖学』(以上原書房)『少年は残酷な弓を射る』(イーストプレス/共訳)『ヴァージン――処女の文化史』(作品社/共訳)『驚異の人体』(ほるぷ出版)など。
「ダンスマガジン」(新書館)等で舞踊評翻訳なども手がけている。
登録情報
- 出版社 : 原書房 (2017/3/24)
- 発売日 : 2017/3/24
- 言語 : 日本語
- - : 432ページ
- ISBN-10 : 4562053836
- ISBN-13 : 978-4562053834
- Amazon 売れ筋ランキング: - 516,161位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中3.8つ
5つのうち3.8つ
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2020年7月29日に日本でレビュー済み
健康法を期待して読んだのですが、内容はどちらかというと赤ちゃんや子供を持つ親が読むべきものになっています。子供の味覚の話や拒食症の話など読んでいて勉強になる内容が非常に多かったです。どんな食品が具体的に健康に良いかは書かれていないので、それはまた別の本で学びたいと思います。
2017年4月11日に日本でレビュー済み
食生活のうち遺伝子によるものは僅か。環境で十分にコントロールできる。
本書は楽観的とも言えるほどにこのスタンスをとる。
日本は世界でも稀な「健康的な食事をするようになった国」として例外的に1章を割かれ、他の章は欧米の事情を中心に進む。
ライスプディング(ミルク粥)やビートルート(ビーツ)の話は馴染みがなくピンと来なかった。
先進国では肥満や栄養不足の原因はおもに貧困にあると語られるが、
「心がけ次第でバランスの取れた食事も可能」のような無責任な精神論ともとれる主張も。
(読者に貧困層を想定しないのかもしれない)
8つに章分けされてはいるものの、同じような事象を説明する研究が各章で紹介され、話のメリハリが小さくやや散漫な印象。
ネガティブな点ばかり挙げてしまったが、食を認知・心理・社会・ジェンダー面から論じているのは気づきを与えてくれた。
特に、小さな子どもの好き嫌いが形成される過程やその解消法の解説は示唆に富む。
ジャンクフードの問題点を記憶に帰しているのも面白い。
これから子育てをする予定がない人、食べものの好き嫌いがない人でも得られるものは多いと思う。
医学や認知心理学の発展もつまみ食いできるような1冊。
本書は楽観的とも言えるほどにこのスタンスをとる。
日本は世界でも稀な「健康的な食事をするようになった国」として例外的に1章を割かれ、他の章は欧米の事情を中心に進む。
ライスプディング(ミルク粥)やビートルート(ビーツ)の話は馴染みがなくピンと来なかった。
先進国では肥満や栄養不足の原因はおもに貧困にあると語られるが、
「心がけ次第でバランスの取れた食事も可能」のような無責任な精神論ともとれる主張も。
(読者に貧困層を想定しないのかもしれない)
8つに章分けされてはいるものの、同じような事象を説明する研究が各章で紹介され、話のメリハリが小さくやや散漫な印象。
ネガティブな点ばかり挙げてしまったが、食を認知・心理・社会・ジェンダー面から論じているのは気づきを与えてくれた。
特に、小さな子どもの好き嫌いが形成される過程やその解消法の解説は示唆に富む。
ジャンクフードの問題点を記憶に帰しているのも面白い。
これから子育てをする予定がない人、食べものの好き嫌いがない人でも得られるものは多いと思う。
医学や認知心理学の発展もつまみ食いできるような1冊。
2023年3月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中古とは気づかず、定価より高額で状態もそんなに良くなく、返品代もかなり嵩んだので、悲しかったけど、よい勉強になりました。これから気をつけます。
2017年5月17日に日本でレビュー済み
本書の内容は多岐にわたります。
たとえば第1章「好き嫌い/遺伝と学習」、デイヴィスの給食孤児院を皮切りに、口蓋裂を持ち生まれた息子との体験を交えながら、「好き嫌いの原点はどこにあるのか」を探します。自閉症の子どもが食べられるものを増やしていった治療などを通し、「特定の食べ物の好みを最終的に決定するのは、決して遺伝子ではない」と結びます。
第4章「食べさせる/愛情と責任」では、「子どもにとって最高のシナリオとは、ジャンクフードはあまりおいてないが、佐藤と脂肪の悪徳についても大騒ぎしない家庭に育つことだ」と明解に記します。
第5章「兄弟姉妹/性別とプレッシャー」では、性による搾取は食事にまで現れること、男っぽい食べ物、女っぽい食べ物など、食事とジェンダーの少し変わった論点から述べられます。
第7章「摂食障害/治療の現場から」では主に選択的摂食障害と拒食症について語られます。
選択的摂食障害、つまり偏食の激しい児の治療について、例えば子どもの食事に対する不安について名前を付けて(外在化)「そいつをおとなしくする方法を見つけ出すまでは新しい食べ物を試さない(治療的パラドックス)」、あるいは「新しい食べ物をはじめるときは米粒ほどの小ささにすると良い効果がある」など全く具体的で実際に参考になる方法が紹介されます。
拒食症については、命に危険があること、原因はほっといて直ちに治療を開始しなくてはならないこと、親や本人を責めるのは全くの間違いであること、など重要な事実が述べられます。
第8章では「変化/日本食と食育」として、日本人と食の関係を絶賛していますが、一方で「日本人が現在のような食習慣を身につけてからそれほど長い時間は経っていない」、「万年にわたり変化しない日本的なもの」のおかげではなく「変化に寛容」であったためとも見抜きます。
そうこうして「わたしたちは個人としても集団としても、食べることをどのように学ぶのだろう」という問いへの回答を探っていくのですが、「それがわかれば、これほど多くの人にとって食べ物が大きな悩みの種になってしまった理由もみえてくるはずだ」ともあるとおり、明解には答えを導き出してはいません。
ただし、第8章で触れられているように、「世界の誰もが食環境を良い方向に転換しうる」と言う希望で本署は締められます。
全体にはやはり長く、同じテーマが異なる章で語られることもあるので、なかなか読むのが大変です。しかしこれだけの資料を読み込み、かつ読み物として面白いものになっているのは、論文資料だけを用いて語るのではなく、著者の私生活や経験を経た実生活にも応用しうる記載が山のようにあるからでしょう。
ところで、拒食症については1800年代のロンドンの報告を引用していますが、弁当箱、「火垂るの墓」、腹八分目など日本通を自負する著者であれば、是非「不食の証(香川修徳)」に触れてほしかった。300年前の江戸時代にも拒食はあったのです。そして女性に圧倒的に多かったのです。
たとえば第1章「好き嫌い/遺伝と学習」、デイヴィスの給食孤児院を皮切りに、口蓋裂を持ち生まれた息子との体験を交えながら、「好き嫌いの原点はどこにあるのか」を探します。自閉症の子どもが食べられるものを増やしていった治療などを通し、「特定の食べ物の好みを最終的に決定するのは、決して遺伝子ではない」と結びます。
第4章「食べさせる/愛情と責任」では、「子どもにとって最高のシナリオとは、ジャンクフードはあまりおいてないが、佐藤と脂肪の悪徳についても大騒ぎしない家庭に育つことだ」と明解に記します。
第5章「兄弟姉妹/性別とプレッシャー」では、性による搾取は食事にまで現れること、男っぽい食べ物、女っぽい食べ物など、食事とジェンダーの少し変わった論点から述べられます。
第7章「摂食障害/治療の現場から」では主に選択的摂食障害と拒食症について語られます。
選択的摂食障害、つまり偏食の激しい児の治療について、例えば子どもの食事に対する不安について名前を付けて(外在化)「そいつをおとなしくする方法を見つけ出すまでは新しい食べ物を試さない(治療的パラドックス)」、あるいは「新しい食べ物をはじめるときは米粒ほどの小ささにすると良い効果がある」など全く具体的で実際に参考になる方法が紹介されます。
拒食症については、命に危険があること、原因はほっといて直ちに治療を開始しなくてはならないこと、親や本人を責めるのは全くの間違いであること、など重要な事実が述べられます。
第8章では「変化/日本食と食育」として、日本人と食の関係を絶賛していますが、一方で「日本人が現在のような食習慣を身につけてからそれほど長い時間は経っていない」、「万年にわたり変化しない日本的なもの」のおかげではなく「変化に寛容」であったためとも見抜きます。
そうこうして「わたしたちは個人としても集団としても、食べることをどのように学ぶのだろう」という問いへの回答を探っていくのですが、「それがわかれば、これほど多くの人にとって食べ物が大きな悩みの種になってしまった理由もみえてくるはずだ」ともあるとおり、明解には答えを導き出してはいません。
ただし、第8章で触れられているように、「世界の誰もが食環境を良い方向に転換しうる」と言う希望で本署は締められます。
全体にはやはり長く、同じテーマが異なる章で語られることもあるので、なかなか読むのが大変です。しかしこれだけの資料を読み込み、かつ読み物として面白いものになっているのは、論文資料だけを用いて語るのではなく、著者の私生活や経験を経た実生活にも応用しうる記載が山のようにあるからでしょう。
ところで、拒食症については1800年代のロンドンの報告を引用していますが、弁当箱、「火垂るの墓」、腹八分目など日本通を自負する著者であれば、是非「不食の証(香川修徳)」に触れてほしかった。300年前の江戸時代にも拒食はあったのです。そして女性に圧倒的に多かったのです。
2020年5月1日に日本でレビュー済み
ちゃんと科学的な観点から「食べる」ことをどのように学ぶのかを検討してくれている。そして、より「良い」食べ方を学び直すきっかけとなりそう。食べるというのは食物の問題では無くて、自分の頭の中の問題なのだから、食物への対応の仕方をちゃんと学ぶことが大切た