この本を読む前、半年あまり素粒子論と宇宙論の一般教養書を50冊ほど読みました。この本は、50冊読んだ一般教養書のまとめとして、半年かけて余白に書き込みをしながら読んだことを覚えています。
一般に素粒子論の教科書というと、例えば長島順清著『素粒子物理学の基礎1・2』など、難しい数式が並び、式の意味するところが全くわからない、といったモノを想像しますが、この本は違いました。あくまでも、定性的に素粒子の示す現象と理論を提示してくれています。そして、後半やや数式をつかった補足が「付録」として付け加えられています。
本書はおおまかなに
・素粒子とは
・標準理論の確立
・理論・実験最前線(宇宙との関連)
から構成されています。
これから素粒子論を勉強しようとしている理学部の物理学科の学生を対象に書かれた「入門の入門書」といったところでしょうか。しかし、物理学科の学生として素粒子をカジルといった感じではなく、素粒子論に興味があり、ある程度一般教養書を読みあさった後に読む「一般教養書のまとめ」としても機能するものと思います。
最後のこの本の目次を、参考までに、示しておきます。
1.粒子と場
2.素粒子の性質と種類
3.粒子の安定性と保存則
4.ミクロの世界を探る手段
5.新粒子の発見とクォーク模型
6.量子電磁力学
7.量子色力学
8.弱い力
9.電弱理論の枠組み
10.質量を与えるヒッグス機構
11.標準理論の光と影
12.標準理論を超えて ー大統一理論と超対称性
13.ミクロとマクロ(宇宙との関連)
14.理論最前線
15.実験最前線
付録A.特殊相対論と運動方程式
付録B.単位系
付録C.C,P,T変換と不変性
付録D.ラグランジアンと運動方程式
付録E.ゲージ不変性とヒッグス機構
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素粒子物理入門: 基本概念から最先端まで (新物理学シリーズ 33) 単行本 – 2002/4/1
渡邊 靖志
(著)
- ISBN-104563024333
- ISBN-13978-4563024338
- 出版社培風館
- 発売日2002/4/1
- 言語日本語
- 本の長さ239ページ
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
素粒子とは何か? どんな種類があるのか? 「標準理論」の枠組みとは? そのパワーと限界は? さらに宇宙とのかかわりとは? 素粒子を本質的な意味で理解し、身近に感じることに主眼を置いたテキスト。
登録情報
- 出版社 : 培風館 (2002/4/1)
- 発売日 : 2002/4/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 239ページ
- ISBN-10 : 4563024333
- ISBN-13 : 978-4563024338
- Amazon 売れ筋ランキング: - 580,686位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 128位原子・素粒子物理学
- - 178位量子物理学
- - 562位高校物理教科書・参考書
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年4月27日に日本でレビュー済み
理系の大学1,2年程度むけの教科書。出来るだけ数式に頼らず,素粒子物理学を概観している。最近,発見され,2012(?)年のノーベル賞にもなった「ヒッグス粒子」についても説明がある。丁寧,時にはユーモアに概観している。
目で見える物質は,分子や原子でできている。原子は「原子核」と「電子」からできている。「原子核」は,「陽子」と「中性子」からできている。原子の周りには,それよりさらに小さく軽い「電子」が回っている。「陽子」や「中性子」は,「クオーク」と呼ばれる「これだけでは単独では存在しない」なにかでできている。これらの微小の世界では,日常の常識では説明できない現象が起こり,「量子力学」と「特殊相対論」で物事が進む。これがまったく不思議な「素粒子」の世界だ。
原子の大きさは,おおよそ10の-10乗m。
「陽子」や「中性子」は,さらに小さく,おおよそ10の-15乗m。
「陽子」や「中性子」の質量は,おおよそ10の-27乗kg。
私は,宇宙の研究をしている。宇宙は,現在,膨張しており,138億年前には,原子より小さな大きさだったと考えられている。この「宇宙の始まり」は,素粒子の物理を使って初めて知ることができる。さらに,宇宙には,「暗黒物質」と呼ばれる直接に観測できない謎の物質が「普通の物質」以上にあると考えられている。この正体は何なのか?これを捕まえるには,どうしたら良いか?このような疑問を考えるためにも,まずは素粒子の物理が必要だ。
素粒子が専門ではない研究者にもお勧めします。
その他のキーワード。
反粒子,ニュートリノ,バリオン,レプトン,加速器,4つの相互作用,弱い力,強い力,ゲージ不変性,対称性。
目で見える物質は,分子や原子でできている。原子は「原子核」と「電子」からできている。「原子核」は,「陽子」と「中性子」からできている。原子の周りには,それよりさらに小さく軽い「電子」が回っている。「陽子」や「中性子」は,「クオーク」と呼ばれる「これだけでは単独では存在しない」なにかでできている。これらの微小の世界では,日常の常識では説明できない現象が起こり,「量子力学」と「特殊相対論」で物事が進む。これがまったく不思議な「素粒子」の世界だ。
原子の大きさは,おおよそ10の-10乗m。
「陽子」や「中性子」は,さらに小さく,おおよそ10の-15乗m。
「陽子」や「中性子」の質量は,おおよそ10の-27乗kg。
私は,宇宙の研究をしている。宇宙は,現在,膨張しており,138億年前には,原子より小さな大きさだったと考えられている。この「宇宙の始まり」は,素粒子の物理を使って初めて知ることができる。さらに,宇宙には,「暗黒物質」と呼ばれる直接に観測できない謎の物質が「普通の物質」以上にあると考えられている。この正体は何なのか?これを捕まえるには,どうしたら良いか?このような疑問を考えるためにも,まずは素粒子の物理が必要だ。
素粒子が専門ではない研究者にもお勧めします。
その他のキーワード。
反粒子,ニュートリノ,バリオン,レプトン,加速器,4つの相互作用,弱い力,強い力,ゲージ不変性,対称性。
2016年3月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者は実験物理学者ではないか。
本格的に詳細な本を読む前にとりあえず素粒子の全貌を知っていたほうが良いだろうという目的で読み始めたのだが、そういう目的にはふさわしくなかった。
1から導出することなしに数式がぽこぽこ出てくる。「信じる者は救われる」方式で読み進めるしかない。
数式に限らず概念についても同じ。
いちいちそちらの専門書を開いて理解して、という方式で読んでいたら時間がかかりすぎる。
ある事項について既に完全に理解している人間だけが理解できるという「入門書」に意義があるだろうか。
これは私の性向であるが、1から導出しない数式をありがたがって「そういうものか」と受け入れることはできない。
総花的に多くの題材を取り扱おうとした結果こういうことになるのであろうが、専門書のダイジェスト版という本になっている。
小説等ならばダイジェスト版にも用途はあろうが、数学・物理学のダイジェスト版というのはテスト前の一夜漬け、丸暗記しか用途が思い浮かばない。
一方問題という形をとって著者の「考え」を多々記している。
紋切り型の説明をして数式だけ並べていれば誰もケチのつけようがないが、こうして著者の考えを記せばいろいろとケチのつけようが出てくる。
それを敢えてやっているのは好感がもてる。
本格的に詳細な本を読む前にとりあえず素粒子の全貌を知っていたほうが良いだろうという目的で読み始めたのだが、そういう目的にはふさわしくなかった。
1から導出することなしに数式がぽこぽこ出てくる。「信じる者は救われる」方式で読み進めるしかない。
数式に限らず概念についても同じ。
いちいちそちらの専門書を開いて理解して、という方式で読んでいたら時間がかかりすぎる。
ある事項について既に完全に理解している人間だけが理解できるという「入門書」に意義があるだろうか。
これは私の性向であるが、1から導出しない数式をありがたがって「そういうものか」と受け入れることはできない。
総花的に多くの題材を取り扱おうとした結果こういうことになるのであろうが、専門書のダイジェスト版という本になっている。
小説等ならばダイジェスト版にも用途はあろうが、数学・物理学のダイジェスト版というのはテスト前の一夜漬け、丸暗記しか用途が思い浮かばない。
一方問題という形をとって著者の「考え」を多々記している。
紋切り型の説明をして数式だけ並べていれば誰もケチのつけようがないが、こうして著者の考えを記せばいろいろとケチのつけようが出てくる。
それを敢えてやっているのは好感がもてる。
2016年1月9日に日本でレビュー済み
素粒子物理学の解説書となると、小難しい数式だらけの解説書か、抽象的に現象を説明する文字だらけの読み物になることが多い。
しかしこの本は両者のバランスが良く取れている。
著者の妄想や推測も入り混じりながら、数式にポイントを置いて解説している。
高いレベルを求める人間には向かないだろうが・・・。
しかしこの本は両者のバランスが良く取れている。
著者の妄想や推測も入り混じりながら、数式にポイントを置いて解説している。
高いレベルを求める人間には向かないだろうが・・・。
2010年11月9日に日本でレビュー済み
素粒子研究では最先端をいっている我が国ならではの面白い本かもしれない。
私は素論専攻ではないのだが、この本に書かれてある内容は十分読める。
実際の素論は高度な数学に極めて抽象的な内容で、大変敷居が高い学問であるが、この本は全くそんな感じがしない。
完全に理解しなくてもいいから読み終えたら「素粒子って不思議で面白くて夢がある」という感想が生まれるだろう。
ブルーバックスよりしっかり書かれているけど、読み物的な本であろう。
ただし物性にも使える記述もかなりあるので、買って損はないだろう。
私は素論専攻ではないのだが、この本に書かれてある内容は十分読める。
実際の素論は高度な数学に極めて抽象的な内容で、大変敷居が高い学問であるが、この本は全くそんな感じがしない。
完全に理解しなくてもいいから読み終えたら「素粒子って不思議で面白くて夢がある」という感想が生まれるだろう。
ブルーバックスよりしっかり書かれているけど、読み物的な本であろう。
ただし物性にも使える記述もかなりあるので、買って損はないだろう。
2002年8月28日に日本でレビュー済み
素粒子の入門書としては分かり易く書かれていて理論的なこと、実験的なことの"概要"が分かります。また読み物としても非常に面白く、初学者に対して少しでも分かり易く興味を持てるようにという著者の気持ちが感じられます。宇宙論や標準理論など幅広く書かれていて神秘的でした。但し、説明が簡素なため、素粒子理論を本格的に学びたい人には必要ないかもしれません。素粒子理論とはどのような学問なのか興味を持つ人向けです。