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復讐の炎。
筆力鼎を扛ぐ、という文句を想起させられました。空恐ろしくなるほど腕を上げられている。飛躍的に。タイトルから判る通り、主人公のトラクは復讐に駆られ疾駆します。迷走とも言えるか。迷走といえば、初めからで、そも復讐する羽目になったのもトラクに少なからず原因がありますから。アホ、と怒鳴って小突き回してやりたくなりましたね。復讐に取り憑かれ迷走したおかげで、他にも大切な存在たちを危険に晒すことになりましたし。こう記すと、それでは酷い作品なのではないかと勘違い、早合点する方がいるかもしれない。先ほどは絶賛していたくせに、矛盾した間抜けだな、と私を嗤う人もいるかもしれない。さりながら、それは嗤う人が嗤われるだけの読みしかできぬだけのことですね。私が怒鳴り小突きたくなったのは、作者ではなく、作中人物であるトラクと記しました。そういう感情を引き起こされるだけの、臨場感のあるリアルな人、人を取りまく世界が描出されているということであり、それはひとえに作者の筆力に他ならぬことですから。昨今、復讐を美化する浅薄なドラマや漫画をよく見かけるように不愉快に、腹立たしく見ていたもので、本書はどう着地するのか不安にかられていたことは事実です。菊池寛の『恩讐の彼方に』を連想したり。#読了 し、安堵するよりも驚かされました。復讐する心の炎、それと火がリンクされていて。読んでなく、これから読まれようとする方のために詳細は省きますが、自然のなかに起こることと内面に起きるものが、照射しあっているわけです。決着の仕方もよい、と私は思います。シリーズを一つの作品としてみたとき、とんでもない傑作になりそうな予感がします。
上位レビュー、対象国： 日本
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2024年3月15日に日本でレビュー済み
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筆力鼎を扛ぐ、という文句を想起させられました。空恐ろしくなるほど腕を上げられている。飛躍的に。タイトルから判る通り、主人公のトラクは復讐に駆られ疾駆します。迷走とも言えるか。迷走といえば、初めからで、そも復讐する羽目になったのもトラクに少なからず原因がありますから。アホ、と怒鳴って小突き回してやりたくなりましたね。復讐に取り憑かれ迷走したおかげで、他にも大切な存在たちを危険に晒すことになりましたし。こう記すと、それでは酷い作品なのではないかと勘違い、早合点する方がいるかもしれない。先ほどは絶賛していたくせに、矛盾した間抜けだな、と私を嗤う人もいるかもしれない。さりながら、それは嗤う人が嗤われるだけの読みしかできぬだけのことですね。私が怒鳴り小突きたくなったのは、作者ではなく、作中人物であるトラクと記しました。そういう感情を引き起こされるだけの、臨場感のあるリアルな人、人を取りまく世界が描出されているということであり、それはひとえに作者の筆力に他ならぬことですから。昨今、復讐を美化する浅薄なドラマや漫画をよく見かけるように不愉快に、腹立たしく見ていたもので、本書はどう着地するのか不安にかられていたことは事実です。菊池寛の『恩讐の彼方に』を連想したり。#読了 し、安堵するよりも驚かされました。復讐する心の炎、それと火がリンクされていて。読んでなく、これから読まれようとする方のために詳細は省きますが、自然のなかに起こることと内面に起きるものが、照射しあっているわけです。決着の仕方もよい、と私は思います。シリーズを一つの作品としてみたとき、とんでもない傑作になりそうな予感がします。
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