本書は浅田彰の叔父にあたる浅田孝という建築家を軸にして戦争が与えた物質的影響とそれに伴う人々の思想形成を大胆な仮説を元に証明しようという意欲作である。
最後の章での視座は戦慄しました。少々オカルト的な雰囲気があるようにも思いますが、そこも含めて非常に面白かった。
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戦争と万博 単行本 – 2005/1/16
椹木 野衣
(著)
- 本の長さ349ページ
- 言語日本語
- 出版社美術出版社
- 発売日2005/1/16
- ISBN-104568201748
- ISBN-13978-4568201741
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商品の説明
出版社からのコメント
戦争はまだ続き、万博は繰り返される。……戦前に計画された紀元二六〇〇年博と1970年の大阪万博EXPO’70を結ぶ、都市計画家、建築家、そして前衛芸術家たちの、終わりなき「未来」への夢の連鎖のなかに「環境」の起源をたどるタイムトラベル的長編芸術評論。
1970年、大阪万博EXPO’70アメリカ館に展示されたアポロ11号の「月の石」と連日の新聞をにぎわす学生運動家たちの「投石」のかたわらで、美術館の床に置かれた「石の作品」が日本の美術界を塗り替えようとしていた。――岡本太郎、丹下健三、浅田孝、瀧口修造と実験工房、メタボリズム、粟津潔、磯崎新、ハイレッド・センター、石子順造、李禹煥、ダダカン(糸井貫二)、中ハシ克シゲ、ヤノベケンジらの作品を独自の視点でリンクしながら、昭和史の戦前・戦中・戦後を貫くもうひとつの戦争美術=「万博芸術」の時代をいま浮き彫りにする。
1970年、大阪万博EXPO’70アメリカ館に展示されたアポロ11号の「月の石」と連日の新聞をにぎわす学生運動家たちの「投石」のかたわらで、美術館の床に置かれた「石の作品」が日本の美術界を塗り替えようとしていた。――岡本太郎、丹下健三、浅田孝、瀧口修造と実験工房、メタボリズム、粟津潔、磯崎新、ハイレッド・センター、石子順造、李禹煥、ダダカン(糸井貫二)、中ハシ克シゲ、ヤノベケンジらの作品を独自の視点でリンクしながら、昭和史の戦前・戦中・戦後を貫くもうひとつの戦争美術=「万博芸術」の時代をいま浮き彫りにする。
レビュー
戦争はまだ続き、万博は繰り返される。……戦前に計画された紀元二六〇〇年博と1970年の大阪万博EXPO’70を結ぶ、都市計画家、建築家、そして前衛芸術家たちの、終わりなき「未来」への夢の連鎖のなかに「環境」の起源をたどるタイムトラベル的長編芸術評論。
1970年、大阪万博EXPO’70アメリカ館に展示されたアポロ11号の「月の石」と連日の新聞をにぎわす学生運動家たちの「投石」のかたわらで、美術館の床に置かれた「石の作品」が日本の美術界を塗り替えようとしていた。――岡本太郎、丹下健三、浅田孝、瀧口修造と実験工房、メタボリズム、粟津潔、磯崎新、ハイレッド・センター、石子順造、李禹煥、ダダカン(糸井貫二)、中ハシ克シゲ、ヤノベケンジらの作品を独自の視点でリンクしながら、昭和史の戦前・戦中・戦後を貫くもうひとつの戦争美術=「万博芸術」の時代をいま浮き彫りにする。 --出版社からのコメント
1970年、大阪万博EXPO’70アメリカ館に展示されたアポロ11号の「月の石」と連日の新聞をにぎわす学生運動家たちの「投石」のかたわらで、美術館の床に置かれた「石の作品」が日本の美術界を塗り替えようとしていた。――岡本太郎、丹下健三、浅田孝、瀧口修造と実験工房、メタボリズム、粟津潔、磯崎新、ハイレッド・センター、石子順造、李禹煥、ダダカン(糸井貫二)、中ハシ克シゲ、ヤノベケンジらの作品を独自の視点でリンクしながら、昭和史の戦前・戦中・戦後を貫くもうひとつの戦争美術=「万博芸術」の時代をいま浮き彫りにする。 --出版社からのコメント
登録情報
- 出版社 : 美術出版社 (2005/1/16)
- 発売日 : 2005/1/16
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 349ページ
- ISBN-10 : 4568201748
- ISBN-13 : 978-4568201741
- Amazon 売れ筋ランキング: - 224,531位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,556位社会一般関連書籍
- - 4,168位社会学概論
- - 15,254位アート・建築・デザイン (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年10月24日に日本でレビュー済み
19C中葉に始まる国際博覧会が帝国主義の遺伝子を抱えていることは当然だと思うし、敗戦から四半世紀後、高度成長の只中で開催された大阪万博の場合、東京オリンピックに勝るとも劣らない国威発揚の含意があったことは想像に難くない。各国の技術や美意識の水準を示すという博覧会の趣旨から考えて、そこに多数の技術者・芸術家が動員されることも当然だろう。
ただ本書の手柄は浅田孝という人物を掘り起こすことによって、1942年の「大東亜コンペ」一等に選ばれた丹下健三の「大東亜建設忠霊神域計画」と大阪万博を具体的な系譜によって繋いで見せた点。鍵になるのが、建築を都市計画的な観点から捉える「環境」の概念で、これがメタボリズムやエンバイラメントの会へと引き継がれ、その中心メンバーが万博の企画に深く関わる。多くの技術者・芸術家を呑み込んだこの巨大プロジェクトを著者は満州国建国と等置し(p252)、さらには田中角栄の「日本列島改造論」に継承されたと論じる(p264)。
著者は結論部で、浅田の思考が「官僚制の手に落ちてしまった」(p285)のは「クリナメンの欠如」に起因するとし、これに岡本太郎とダダカンを対置する。それは沖縄であり、バロック的呪術であり、挫折させられた讀賣アンデパンダンに集った「無軌道な前衛芸術」(p76)なのだが、この辺りは「弥生に抗する縄文」だとか「縄文はクリナメンだ!」だとかいう紋切型に落ちそうな性急さも感じた。
しかし浅田孝が浅田彰の叔父という事実もあり、本書中で「浅田、浅田」と連呼されるのが浅田彰みたいに読めて、必ずしも不自然でないのが不気味だった。
ただ本書の手柄は浅田孝という人物を掘り起こすことによって、1942年の「大東亜コンペ」一等に選ばれた丹下健三の「大東亜建設忠霊神域計画」と大阪万博を具体的な系譜によって繋いで見せた点。鍵になるのが、建築を都市計画的な観点から捉える「環境」の概念で、これがメタボリズムやエンバイラメントの会へと引き継がれ、その中心メンバーが万博の企画に深く関わる。多くの技術者・芸術家を呑み込んだこの巨大プロジェクトを著者は満州国建国と等置し(p252)、さらには田中角栄の「日本列島改造論」に継承されたと論じる(p264)。
著者は結論部で、浅田の思考が「官僚制の手に落ちてしまった」(p285)のは「クリナメンの欠如」に起因するとし、これに岡本太郎とダダカンを対置する。それは沖縄であり、バロック的呪術であり、挫折させられた讀賣アンデパンダンに集った「無軌道な前衛芸術」(p76)なのだが、この辺りは「弥生に抗する縄文」だとか「縄文はクリナメンだ!」だとかいう紋切型に落ちそうな性急さも感じた。
しかし浅田孝が浅田彰の叔父という事実もあり、本書中で「浅田、浅田」と連呼されるのが浅田彰みたいに読めて、必ずしも不自然でないのが不気味だった。
2020年7月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
自分の描いたストーリーに合うだけを引っ張り出して、都合よく繋ぎ合わせるやり方は、「やりすぎ都市伝説」のそれと変わらない。気をつけないと、あたかも書いてあることが全て事実のように勘違いしてしまう。机上だけで一方的にものいう評論家の浅はかさやズルさを感じる。
引用している文献は反体制側のものや美術関係のものばかり。事実を探るつもりなら、体制側の取材や調査が必要ではないのか?一方的に自分の説に至るように文献を繋ぎ合わせてドヤ顔してるようにしか読めなかった。
まして、椹木自身の歳では戦争はおろか関東大震災など空想の世界でしかないだろうに、いかにも分かったようなことを書いていて、非常に不快である。評論家はそんなに偉いのか?
こんな評論のようなものを書くなら、いっそ小説にしてしまえば面白く読めたろう。
引用している文献は反体制側のものや美術関係のものばかり。事実を探るつもりなら、体制側の取材や調査が必要ではないのか?一方的に自分の説に至るように文献を繋ぎ合わせてドヤ顔してるようにしか読めなかった。
まして、椹木自身の歳では戦争はおろか関東大震災など空想の世界でしかないだろうに、いかにも分かったようなことを書いていて、非常に不快である。評論家はそんなに偉いのか?
こんな評論のようなものを書くなら、いっそ小説にしてしまえば面白く読めたろう。
2005年5月9日に日本でレビュー済み
~美術評論、というジャンルに属する本なのだが、第二次世界大戦→大東亜戦争→大東亜共栄圏→アジアの統一→進歩と調和→世界万国博覧会・・・という連想ゲームの中で、「戦争以外では最大の国家事業」となった1970年の大阪万博の「裏」を暴いてゆく衝撃の書。60年代の「前衛」が国のお墨付きをもらって腐乱してゆき、「進歩と調和」が結局のところ廃虚しか生み~~出さなかった・・と見る皮肉な視点に拍手。
ちょっと思ったのだけれど、この中に登場する前衛美術家かなにかを探偵にして謎解き仕立てにすれば、「ダ・ヴィンチ・コード」みたいな壮大なサスペンス小説になるかも。~
ちょっと思ったのだけれど、この中に登場する前衛美術家かなにかを探偵にして謎解き仕立てにすれば、「ダ・ヴィンチ・コード」みたいな壮大なサスペンス小説になるかも。~
2005年4月24日に日本でレビュー済み
スルスルとつながっていく様々な人物と事象。
その人生ひとつづつに思いを馳せると、読み手に深く呼吸をさせるようなざわざわした気持ちになる。
面白かった!
その人生ひとつづつに思いを馳せると、読み手に深く呼吸をさせるようなざわざわした気持ちになる。
面白かった!