【大谷氏も読んでいる】
米国に渡る前、大谷氏は日本史が好きで勝海舟の『氷川清話』を読んでいると知ってとても驚いたことを覚えている。
名前を知っていても実際に読んでいる方は少ないのではないだろうか。
今回、彼の部屋には「生理学」「栄養学」「稲盛氏」の書籍があったというニュースに接した。
大谷氏の発言・物腰は、聡明な頭脳による(人生)哲学と(スポーツ)科学のバランスによる自己修養・自己鍛錬の賜物だと理解している。
稲盛和夫氏の(成功・経営)哲学は、一口でいえば「動機と過程が善であれば結果を気にせずに邁進せよ」というものだ。
大事をなす人物は、考え方が若い頃からしっかりしているのだなと、ダメな初老の自分は感心している。
また、大谷氏は「中村天風」を読んでいることもネット記事で知った。
稲盛氏は天風氏の影響を受けている。
両者に共通するのは、潜在意識の力を信じる姿勢(強い思い・願望・信念・言霊等が潜在意識に浸透する)だ。
【人生哲学の重要性】
最近「エビデンス」という言葉をよく聞くようになった。
「感想」よりも偉いそうだ。
私は逆だと思っている。
エビデンスは判断材料の一つに過ぎない。
エビデンスからは、大局的・原則的な思考(≒考え・哲学)は生まれない。
エビデンスで注意しなければならないのは「数のマジック」だ。
昔、統計学を学んでいて「結論ありき」に合わせる数字(統計)の操作は、どうにでもなると思った。
だから、昔から「数字に騙されない」というような書籍があった。
「数字=科学的」とは必ずしも言えない。
「数字=科学的」と妄信されている方は「エビデンスもどき」に振り回されることになるだろう。
研究者は、人とは違うオリジナリティを出そうとして、あれこれ工夫・操作する傾向にあるものだ。
もっとも誤魔化せない数字もある。
人口動態などが、その最たるものだ。
稲盛氏本の特徴は、「哲学≒基本的な考え方・人生観」を重視している点にある。
【ダメな初老の人生哲学は?】
「自分の人生に関心がなかった」と書くと妙な表現だが、気分としては正しい。
ただし、これからは自分の人生に自ずと向き合わざるを得ない。
仏教のいう「生老病死」を強く意識する年齢になったからだ。
老化による身体の不調、足腰の痛み、残された時間を意識する自分等々だ。
潜在意識の力を信じて、これから「四苦八苦」になるだろう人生を乗り切ってみようと思うのも悪くない。
私は天文少年だったので、地球は太陽の周りを秒速約30kmで運行し、太陽系は銀河中心の周りを秒速約220kmで回っていることをよく意識する。
さらに銀河系は、宇宙が膨張しているので〇〇の方向に秒速〇〇で動いていることになる。
意識をもった人間の存在は、たまたま(賛否はあるだろうが)であっても驚くべき現象で、その材料は星屑からできている。
10代の頃読んだ湯川秀樹のエッセイ集、『この地球に生れあわせて』という表題が自分の気分にピッタリだった。
その自分が、人生の終盤に面白がって先人の知恵に接している。
こうした「人生の意味を問う本」からは勇気をもらえる。
【まとめ】
西郷が説く「敬天愛人」を経営理念とする稲盛氏本は以前にも読んだことがある。
自分の人生とは方向性が違う(人生の成功・大金・努力とは縁遠かったという意味で)が、その言動に敬意を持っていた。
今回読み直してみて改めて感じ入ることがあった。
その一つ一つの教えはシンプルで分かりやすい。
だからこそ、自分を律する難しさもある。
本質を考えているので、質問にも(米国での学習会等)的確に答えている。
稲盛氏の成功・経営哲学(人生哲学)を理解するには、とても良い本だ。
本書は文字が大きくて読みやすい。
聖書的な読み方もできる。
稲盛氏は人間の本質は変わらないと説くし、私もそう思ってきた。
流行りの教育本だけ(哲学なき教えはいずれ忘れ去られる)でなく、本書が教える意味を、子どもたちと一緒に考える方が余程有益で、50年先であっても人生の指針となり続けることができる、お薦めの一冊だ。
『稲盛和夫一日一言』もよかった。以上
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成功への情熱―PASSION― (PHP文庫) 文庫 – 2001/1/5
稲盛 和夫
(著)
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購入オプションとあわせ買い
いまだ不況感が漂う日本経済の中にあって、いまも次々と新事業に挑戦し、成果を上げ続けている稲盛和夫。しかし、そんな稲盛にも悩みがなかった訳ではない。
米国の電子部品メーカーを買収した際、京セラを成長させてきた経営理念・経営方針に従って現地でも会社を運営して欲しいと米国の経営幹部に求めた。ところが、個人主義が徹底した米国には、日本的経営をベースにした稲盛の経営哲学は容易に受け入れられなかった。
稲盛は自らが講師となり、京セラの経営哲学を説き、細細とした質問にも誠意をもって答えた。その結果、感動のうちに理解を得られたのである。
本書は、その稲盛と米国側経営責任者達との勉強会のテーマとなった「人生とはいかにあるべきか」というまさに哲学的な問題から、企業の使命、働き方の指針まで、稲盛の経営哲学をまとめたものである。しかし、それは一企業人に止まらぬ普遍的な人生とビジネスの成功哲学であることはいうまでもない。
米国の電子部品メーカーを買収した際、京セラを成長させてきた経営理念・経営方針に従って現地でも会社を運営して欲しいと米国の経営幹部に求めた。ところが、個人主義が徹底した米国には、日本的経営をベースにした稲盛の経営哲学は容易に受け入れられなかった。
稲盛は自らが講師となり、京セラの経営哲学を説き、細細とした質問にも誠意をもって答えた。その結果、感動のうちに理解を得られたのである。
本書は、その稲盛と米国側経営責任者達との勉強会のテーマとなった「人生とはいかにあるべきか」というまさに哲学的な問題から、企業の使命、働き方の指針まで、稲盛の経営哲学をまとめたものである。しかし、それは一企業人に止まらぬ普遍的な人生とビジネスの成功哲学であることはいうまでもない。
- 本の長さ322ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2001/1/5
- 寸法10.5 x 1.9 x 14.8 cm
- ISBN-104569575064
- ISBN-13978-4569575063
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出版社より
商品の説明
出版社からのコメント
序文
1 人生で成功するには―HOW TO SUCCEED IN LIFE
成功のための方程式
能力
熱意
考え方
2 ビジネスで成功するには―HOW TO SUCCEED IN BUSINESS
情熱―PASSION
利益―PROFIT
願望―AMBITION
誠実さ―SINCERITY
真の強さ―STRENGTH
創意工夫―INNOVATION
積極思考―OPTIMISM
決してあきらめない―NEVER GIVE UP
1 人生で成功するには―HOW TO SUCCEED IN LIFE
成功のための方程式
能力
熱意
考え方
2 ビジネスで成功するには―HOW TO SUCCEED IN BUSINESS
情熱―PASSION
利益―PROFIT
願望―AMBITION
誠実さ―SINCERITY
真の強さ―STRENGTH
創意工夫―INNOVATION
積極思考―OPTIMISM
決してあきらめない―NEVER GIVE UP
著者について
1932年、鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。59年、京都セラミック株式会社(現京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年より名誉会長を務める。また84年には第二電電(現KDDI)を設立、会長に就任。2001年より最高顧問。10年、日本航空会長に就任。15年より名誉顧問。一方、1984年には稲盛財団を設立すると同時に「京都賞」を創設。「盛和塾」の塾長として、経営者の育成に心血を注ぐ。主著に、『[新装版]心を高める、経営を伸ばす』(PHP研究所)、『稲盛和夫のガキの自叙伝』(日本経済新聞出版社)、『生き方』(サンマーク出版)、『稲盛和夫経営講演選集(全6巻)』(ダイヤモンド社)などがある。 2019
登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2001/1/5)
- 発売日 : 2001/1/5
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 322ページ
- ISBN-10 : 4569575064
- ISBN-13 : 978-4569575063
- 寸法 : 10.5 x 1.9 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 134,322位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 455位リーダーシップ (本)
- - 538位ビジネスライフ (本)
- - 560位PHP文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
1932年、鹿児島生まれ。鹿児島大学工学部卒業。59年、京都セラミック株式会社(現・京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年より名誉会長。また、 84年には第二電電(現・KDDI)を設立、会長に就任。2001年より最高顧問。2010年2月より日本航空会長に就任。京都商工会議所名誉会頭。ス ウェーデン王立科学技術アカデミー海外特別会員。ワシントン・カーネギー協会名誉理事。全米工学アカデミー海外会員。1984年には稲盛財団を設立し理事 長に就任(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『地球文明の危機(倫理編) 新たな倫理をどう構築するか』(ISBN-10:4492223096)が刊行された当時に掲載されていたものです)
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年3月31日に日本でレビュー済み
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2022年6月17日に日本でレビュー済み
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経営者としての考え方、組織の動かし方など、とても勉強になります。
繰り返し読んで、取り入れたいと思います。
繰り返し読んで、取り入れたいと思います。
2023年10月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
持ち運びに便利な文庫サイズでビニールカバーが付いてて助かります。若い人にも読んでほしい!
2021年9月16日に日本でレビュー済み
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いいことも書いているが
私自身はあまり響かなかった。
初めての自己啓発であればおすすめ!
私自身はあまり響かなかった。
初めての自己啓発であればおすすめ!
2023年8月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
王道ですが、やはり読むとストンと頭がスッキリする本。行き詰まったときに基礎に立ちかえることができる本だと思います
2022年11月20日に日本でレビュー済み
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氏の本を以前読んで感銘を受けたため、別の物もと手に取ったが、読み始めたら
やめられなくなった。すべての言葉に説得力がある。この人になら洗脳されても
良いと言ったら言い過ぎだろうか。
以下に惹かれたフレーズを挙げてみる。
・人間として正しいことを追求することをベースにして経営を始める以外方法は
なかった。
・能力よりもさらに大事なことは、リーダー自身の努力と、リーダーシップの土台
となる基本的な哲学
・辛い仕事を、生きがいのあるものに変えるには~「仕事は楽しい」と、自分自身
に言い聞かせることです。意識的にそうする努力を重ねることにより、本当に心から
仕事が好きになれるのです。
・働く目的を、「自分のために」から、「集団のために」へと変えるべきです。利己
から利他へと目的を移すことにより、願望の純粋さが増すことでしょう。
・大きなゴールは、到達可能でそのつど自信を得られ、より意欲的な次の段階へと
導いてくれるような目標に細分化されるべきです。
・企業家はまず、自分の会社をどのように経営していきたいのか、明確なビジョンを
持たなくてはなりません。
・周囲の人たちがすすんで協力してくれるように、自分から積極的に仕事を求めてゆく
べきなのです。これが「渦の中心で仕事をする」ということです。
・動機が善であり、実行過程が善であれば、結果を心配する必要はない
・今自分がしている仕事が好きだと、自分自身に信じ込ませるのです。そうすれば、
仕事はどんどん上達していきます。そして間もなく「情熱」を持つようになるのです。
そうなれば成功は事実上保証されたも同然なのです。
・「誠実さ」は「信頼」を生み、「信頼」は「尊敬」を生みます。そして「尊敬」は、
グループを率いることを可能にするのです。
・リーダーが自己犠牲を払ってこそ、部下の信頼と尊敬が得られるのです。そうなれば、
部下たちもすすんで職場の協調と規律、そして発展のために貢献するようになるのです。
・リーダーの一挙手一投足を、部下が見ていることを忘れてはなりません。自分が部下
に望むことを、率先垂範、自らが実際に示してこそ、部下がみならってくれるのです。
・明るい考え方や態度は、必ず成功をもたらす、と毎日自分に言い聞かせることです。
ニヒルな人、皮肉屋、そして悲観主義者が、努力を重ね、成功することは難しいことです。
・人を動かす原動力は、ただひとつ、公平無私ということです。~リーダーは、まず無私
の姿勢を明確にしなければなりません。
業績の普遍性は、無私の度合いに比例することがわかった。
やめられなくなった。すべての言葉に説得力がある。この人になら洗脳されても
良いと言ったら言い過ぎだろうか。
以下に惹かれたフレーズを挙げてみる。
・人間として正しいことを追求することをベースにして経営を始める以外方法は
なかった。
・能力よりもさらに大事なことは、リーダー自身の努力と、リーダーシップの土台
となる基本的な哲学
・辛い仕事を、生きがいのあるものに変えるには~「仕事は楽しい」と、自分自身
に言い聞かせることです。意識的にそうする努力を重ねることにより、本当に心から
仕事が好きになれるのです。
・働く目的を、「自分のために」から、「集団のために」へと変えるべきです。利己
から利他へと目的を移すことにより、願望の純粋さが増すことでしょう。
・大きなゴールは、到達可能でそのつど自信を得られ、より意欲的な次の段階へと
導いてくれるような目標に細分化されるべきです。
・企業家はまず、自分の会社をどのように経営していきたいのか、明確なビジョンを
持たなくてはなりません。
・周囲の人たちがすすんで協力してくれるように、自分から積極的に仕事を求めてゆく
べきなのです。これが「渦の中心で仕事をする」ということです。
・動機が善であり、実行過程が善であれば、結果を心配する必要はない
・今自分がしている仕事が好きだと、自分自身に信じ込ませるのです。そうすれば、
仕事はどんどん上達していきます。そして間もなく「情熱」を持つようになるのです。
そうなれば成功は事実上保証されたも同然なのです。
・「誠実さ」は「信頼」を生み、「信頼」は「尊敬」を生みます。そして「尊敬」は、
グループを率いることを可能にするのです。
・リーダーが自己犠牲を払ってこそ、部下の信頼と尊敬が得られるのです。そうなれば、
部下たちもすすんで職場の協調と規律、そして発展のために貢献するようになるのです。
・リーダーの一挙手一投足を、部下が見ていることを忘れてはなりません。自分が部下
に望むことを、率先垂範、自らが実際に示してこそ、部下がみならってくれるのです。
・明るい考え方や態度は、必ず成功をもたらす、と毎日自分に言い聞かせることです。
ニヒルな人、皮肉屋、そして悲観主義者が、努力を重ね、成功することは難しいことです。
・人を動かす原動力は、ただひとつ、公平無私ということです。~リーダーは、まず無私
の姿勢を明確にしなければなりません。
業績の普遍性は、無私の度合いに比例することがわかった。
2022年1月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
新しく事業を始めるときに知り合いの社長に勧めてもらい読みました。
走り出す良い刺激になりました。
走り出す良い刺激になりました。
2017年5月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
・サノーさん一言コメント
「日本が誇る常勝の将・稲盛和夫による、人生哲学と経営哲学の相関関係」
【サノーさんおすすめ度★★★★★】
・ウノーさん一言コメント
「時に厳しく、時に優しい師の哲学が詰まった一冊です。経営者としての偉業、指導者としての偉業を支える根拠が、ここにあります」
【ウノーさんおすすめ度★★★★★】
・サノーさん、ウノーさん読書会
サノーさん(以下ウ):どこをきっても、どれを読んでも一貫して「正」を全うする稲盛さんの書だ。
ウノーさん(以下サ):この本は、もともとは吸収したアメリカ企業の意識改革のために作られたのですね。
サ:だから、カテゴリーに整理され、短いセンテンスで的確に要点を伝える工夫がなされている。
ウ:読みやすいですよね。過去に稲盛さんの本を読んだことがある方なら、さっとすぐによめちゃうと思います。
サ:内容はいつもの哲学だが、表現や組み立ては、この本が一番かもしれない。
ウ:でも、私にとってお楽しみの「仏教法話」がないんですよね。
サ:そこは、海外向けを意識したのかもしれない。でも、内容は、そのまま「法話」だぞ。
ウ:そうですね。利他と貢献、大善と小善、個別愛と全体愛の違いなどは、説話の引用が仏教でないだけで、いつもの哲学ですね。
サ:すげぇなぁと思うのは、この全くブレない姿勢、正しいことを正しいと言い続けること、因果応報の法則に、わずかでも異論を挟まないことだ。結果を残し続けている人が、こういう主張を堂々と続けることは、大変なことだと思う。
ウ:「だけど」とか「そうはいっても」とかが、ないんです。人間が生まれた目的と仕事が直結している哲学で、終始一貫できるのは、この方だけかもしれません。
サ:この本でも、読書の大切さが伝えられているな。
ウ:こういうトップに言われたら、社員は読むしかないですよね。
サ:そういう企業文化を築き上げたなら、どんな変化も、どんな波も乗り越えていける集団になるのかもしれないな。
ウ:それが、この大経営者の「悟り」なんですかね。
【了】
「日本が誇る常勝の将・稲盛和夫による、人生哲学と経営哲学の相関関係」
【サノーさんおすすめ度★★★★★】
・ウノーさん一言コメント
「時に厳しく、時に優しい師の哲学が詰まった一冊です。経営者としての偉業、指導者としての偉業を支える根拠が、ここにあります」
【ウノーさんおすすめ度★★★★★】
・サノーさん、ウノーさん読書会
サノーさん(以下ウ):どこをきっても、どれを読んでも一貫して「正」を全うする稲盛さんの書だ。
ウノーさん(以下サ):この本は、もともとは吸収したアメリカ企業の意識改革のために作られたのですね。
サ:だから、カテゴリーに整理され、短いセンテンスで的確に要点を伝える工夫がなされている。
ウ:読みやすいですよね。過去に稲盛さんの本を読んだことがある方なら、さっとすぐによめちゃうと思います。
サ:内容はいつもの哲学だが、表現や組み立ては、この本が一番かもしれない。
ウ:でも、私にとってお楽しみの「仏教法話」がないんですよね。
サ:そこは、海外向けを意識したのかもしれない。でも、内容は、そのまま「法話」だぞ。
ウ:そうですね。利他と貢献、大善と小善、個別愛と全体愛の違いなどは、説話の引用が仏教でないだけで、いつもの哲学ですね。
サ:すげぇなぁと思うのは、この全くブレない姿勢、正しいことを正しいと言い続けること、因果応報の法則に、わずかでも異論を挟まないことだ。結果を残し続けている人が、こういう主張を堂々と続けることは、大変なことだと思う。
ウ:「だけど」とか「そうはいっても」とかが、ないんです。人間が生まれた目的と仕事が直結している哲学で、終始一貫できるのは、この方だけかもしれません。
サ:この本でも、読書の大切さが伝えられているな。
ウ:こういうトップに言われたら、社員は読むしかないですよね。
サ:そういう企業文化を築き上げたなら、どんな変化も、どんな波も乗り越えていける集団になるのかもしれないな。
ウ:それが、この大経営者の「悟り」なんですかね。
【了】