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標準語の成立事情: 日本人の共通ことばはいかにして生まれたか (PHP文庫 さ 26-1) 文庫 – 2001/9/1
真田 信治
(著)
現在、日本全国で使われている、いわゆる“標準語”に相当する「共通ことば」は、いつ、どのようにして成立したのか。歴史の流れとことばの変遷に注目しつつ、その成立の経緯を明らかにしようというのが本書の試みだ。
標準語というニュアンスには、戦前までの国語教育が方言を悪としたことから、否定的先入観を抱く人もいよう。しかし、その土地独自の標準語をもつべきと主張する著者の視点は、あくまでも言語を使う庶民の意識に向けられており、そうした先入観は払拭されるに違いない。
日本における標準語に相当していたのは、中世末期までは京や大坂の上流階級が使う上方語だったという。だが江戸開幕以降、武士や町人の往来により、次第に江戸語がその地位を得たそうだ。標準語教育が始まる明治以前、既に庶民には江戸語が標準語という認識があったという指摘には驚かされる。
他にも各地の方言を調べ、標準語のルーツを探るなど、興味深い研究事例が満載である。
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2001/9/1
- ISBN-104569576079
- ISBN-13978-4569576077
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登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2001/9/1)
- 発売日 : 2001/9/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 224ページ
- ISBN-10 : 4569576079
- ISBN-13 : 978-4569576077
- Amazon 売れ筋ランキング: - 349,300位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2004年8月6日に日本でレビュー済み
1946年生まれの社会言語学者が、1987年の著書に2001年に加筆・修正を加えたもの。17世紀初頭に来日したイエズス会宣教師は、聴罪・説教のために日本語を調査し、地域差・性差・階層差についても詳細に記録した。この頃は京都の上層階級の言語が日本語の標準とされていたが、江戸の発展と共に、江戸における上方語的要素の切り落としと各地の方言の混交が生じ、18世紀半ばには江戸語が成立し、上方から江戸への基準の移動が起こる。その後、江戸語が全国の教養層に通用する言葉となった後で、明治維新が起こり、言文一致運動・標準語論争を経て、東京の教養層の言語を基調として標準語が設定され、国定教科書、ラジオ放送、方言撲滅運動を通じて、上から国民に普及させられてゆく。以上の歴史を踏まえた上で、著者は方言の地理的分布から標準語のルーツを探り(主として関西語・関東語の区分と、周圏論に基づくが、当然それらで全てを説明しているわけではない)、また消えた単語、外来語表記の変化、語の取り替え等の事例や、自身の出身集落の調査から言語変化について考察し、最後に各方言のフィルターによって変形した標準語(クァージ標準語)=ネオ方言の存在に注意を促して、本書を終えている。現在の標準語としての日本語が、前近代から変わらず存続したものでも全国的に一律のものでもないことは、古文や方言の存在を知っている以上自明のことであったが、標準語の成立過程についてはあまり知識がなかったので、非常にためになった。分量も多すぎず、文体も比較的分かりやすい。また前近代における言葉の伝播速度が年に平均0.62kmである等の事実やネオ方言についての指摘も興味深い。ただ、情報機器の発達した現在の言語変化については、言及が少ない。